電子書籍と権利ビジネスが、紙を上回る
2021年2月19日の朝日新聞に、講談社の決算があり、電子書籍と権利ビジネスの売上の合計が、紙の出版物の売上を上回ったとありました。
- 2019年12月~2020年11月
- 売上:約1449億(前年比6.7%増)
- 紙の雑誌と書籍:約635億(同1.2%減)
- 電子書籍:約532億(同19.4%増)・・・進撃の巨人、巣ごもり
- 権利ビジネス:約170億円(同海外向けが3割増)・・・漫画原作のアニメ、ゲーム化
- 日本の電子出版の市場規模:3931億円(前年比28%増)
- 紙と合わせた全体の4分の1が電子書籍(87%が電子コミック)
- 紙は16年連続で減少
という内容です。
コメント
記事には、講談社は漫画が多く、市場全体よりも電子書籍の比率が高いとあります。そのため、市場全体では4分の1である電子書籍が、講談社では、紙と並ぶ程度まで高くなっているようです。
漫画が強いために、その電子書籍化の比率が高く、また、漫画がアニメ化されたり、ゲーム化されて、権利ビジネスの比率も高くなるようです。
最近は電車でも、新聞や漫画雑誌を見ている人はほとんどいません。ほとんどスマホを見ています。スマホでは、ゲームをしているか、映画やドラマを見ているか、ニュースを見ているか、漫画を読んでいるかです。中でも、漫画を読んでいる人は多いなという気がします。
また、家庭でも首都圏でマンションに住むとなると、保管スペースの問題があり、書籍を大量に保管することはできず、電子書籍は便利なように思います。
さらに、テレビCMでは、めっちゃコミックやRenta!のCMが、ヘビーローテーションで、これでもかというぐらいに繰り返されています。
スマホで、記事に講談社の漫画とあった、「進撃の巨人」と検索すると、dブック、Renta!、コミックシーモア、U-NEXTの広告が上位に出てきました。めっちゃコミックもあります。
講談社コミックプラス、マガポケというものもありましたが、電子書籍でもあるようですが、紙のコミックを販売している書店を紹介していたり、また、他の電子書籍会社にリンクもしており、どれを利用してもらっても構わないという戦略のようです。
電子書籍ですが、各社、金額がまちまちであり、一冊単位の場合で、だいたい420円~462円という範囲です。コミックの1冊の値段のようです。
通常、紙の場合、講談社や作家の取り分以外に、
- 紙代、印刷代、運送費、保管費用、書店の販売費用などが必要ですが、
電子化されると、
- 電子化費用、サーバー費用などはかかりますが、
基本は、大はばに安くなるはずですが、安くなっていません。
AmazonのKindle版などでは、だいぶ安いものも多いように思います。ここは、独禁法の適用上は、著作物再販適用除外制度は適用されず例、定価販売ではありません。
よくある質問コーナー(独占禁止法):公正取引委員会 (jftc.go.jp)
引用すると、
Q13 電子書籍は、著作物再販適用除外制度の対象となりますか。
著作物再販適用除外制度は,昭和28年の独占禁止法改正により導入された制度ですが,制度導入当時の書籍,雑誌,新聞及びレコード盤の定価販売の慣行を追認する趣旨で導入されたものです。そして,その後,音楽用テープ及び音楽用CDについては,レコード盤とその機能・効用が同一であることからレコード盤に準ずるものとして取り扱い,これら6品目に限定して著作物再販適用除外制度の対象とすることとしているところです。
また,著作物再販適用除外制度は,独占禁止法の規定上,「物」を対象としています。一方,ネットワークを通じて配信される電子書籍は,「物」ではなく,情報として流通します。したがって,電子書籍は,著作物再販適用除外制度の対象とはなりません。
もう少し、電子書籍のコミックの価格については、業者毎の差があっても良いのではないかと思いました。
もう一つ思ったのは、講談社自身が、本気で販売プラットフォームを作るべきではないかということです。
流通がめっちゃコミックとRenta!とdブックに握られたとすると、長期に見ると、講談社のブランドはじり貧になることはないかと心配になります。作家の発掘当の開発力は、まだまだ講談社が上だろうと思いますが、電子コミック業者は、新人作家を募集しています。もし、爆発的にヒットする作品が電子コミック業者から出てくると、業界地図がひっくり返るような気がします。
大手出版も、大変だなと思いました。まだ、電子書籍業者が群雄割拠のような状態ですが、大手に絞られてきたときに、資本参加ができないと苦しい気がします。