2020年の被害額は、2000億円超
2021年2月13日の日経で、海賊版漫画の被害が再拡大しており、昨年の被害額が2000億円超で、正規市場の3分の1であるという記事がありました。
海賊版漫画サイト、巣ごもりで被害拡大 20年2000億円超: 日本経済新聞 (nikkei.com)
- 漫画市場は2020年に約6000億円
- 海賊版サイトの上位5サイトの漫画の被害額は2000億円超
- 12月は、コロナ禍で被害が拡大
- 1月の改正法で、海賊版の「ダウンロード」は違法に(*ストリーミングで見るだけでは違法ではない)
- 一方、サイト運営者の摘発はできていない
- 活動中の海賊版サイトは700以上。年間200以上のサイトを閉鎖させている
- 集英社は、海賊版サイトやSNS上の違法な漫画投稿に、月11万件以上の削除要請
- 2019年から運営元は海外へ(大半はベトナム)
- プロバイダーにサイト運営者の情報開示を求めても無反応
- 訴訟しても、運営者は閉鎖し、新たに立ち上げるだけ
- ホワイトハッカーと連携、悪質サイトのリストを国・通信会社等と共有。アクセスや検索ができないよう対策
などという内容です。
コメント
昨日のブログに記載した、朝日新聞の情報では、
- 日本の電子出版の市場規模:3931億円(前年比28%増)
- 紙と合わせた全体の4分の1が電子書籍(87%が電子コミック)
とあり、数字が違います。
日経の記事では、日本の漫画の市場規模が6000億円とあり、昨日の朝日新聞の記事では、3931億円の87%ですので、3420億円です。差額の2580億円は、アニメなどからなんでしょうか?
それはさておき、ばくっと正規版の閲覧者と海賊版の閲覧者の数は、3分の1ということと理解しました。
それはさておき、2000億円の被害という点も少し気になります。よく広報発信の広告換算価値などと言い、新聞や雑誌でこれだけのページ数の記事を出してもらった。これを広告でやろうとすると、広告換算価値でいくらになる。という話を聞くのですが、それに近い感じがします。
海賊版の閲覧数=本来見られるべき正規版が見られていない=海賊版の閲覧数×正規版の料金で被害額をカウント、となっていると思います。
しかし、現実には、海賊版閲覧できなかったとして、海賊版の読者が正規版を購入したとは限らないように思います。
商品の模倣品被害は昔からありますが、模倣品が出てくる理由は、正規品が高すぎるということが理由と云われます。同等な品質の模倣品が1,000円で作れるのに、正規品が10,000円と10倍もするときに、模倣品が発生するという考えです。ブランド品のバッグなどは、このタイプです。
音楽の場合、ファイル共有サービスのNapsterから、一曲100円でダウンロードするなどのiTunesに移り、現在はSpotifyのような定額制のストリーミングサービスが一般的になりました。
見せしめにベトナム当局とタイアップして、徹底的に叩くようなキャンペーンは必要だろうと思います。
しかし、今回の海賊版の漫画のネット配信の件は、漫画配信の定額制サービスが出てこないと解決しないように思います。
それにしても、ちょっと出版大手の漫画ネット配信は高すぎます。ここは公取の出番なように思いますが。。。
それと、著作権法114条に特許法104条に類似の損害額の推定規定があったのですが、条文上著作権者の保護を強化しても、今回のようなケースでは意味がないなと思いました。