Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

メルカリのマーケットプレイスの基本原則

マスクなどの高額転売を受け策定

2021年1月28日の朝日新聞に、メルカリが、コロナ禍でのマスクなどの高額転売に関し、転売ヤーが社会問題化したことを受け、「マーケットプレイスの基本原則」などをまとめたとという記事がありました。

 

メルカリが、その内容を発信しています。

メルカリ、外部有識者とともに策定した「マーケットプレイスの基本原則」を公開 | 株式会社メルカリ (mercari.com)

 

マーケットプレイスの基本原則(一部抜粋)

 

●安全であること
自由な取引は、安全に利用できる環境があってはじめて成り立つものです。
そのため、法令に違反する取引を禁止することはもちろん、以下のような取引についても禁止し、取引の当事者及び取引の結果影響を受ける第三者の安全を確保します。
・身体・生命への危害が加わる可能性が高い商品の取引
・違法・犯罪行為につながる可能性が高い商品の取引
・緊急事態において、生命身体の安全や健康の維持に関わる必需品であり、できるだけ早く多くの人に届けることが求められるが供給が著しく不足している商品の取引

●信頼できること
マーケットプレイスでは様々なものが取引されています。一つ一つユニークな商品を安心して取引するには、商品や取引に関する正確な情報が提供された上で、誠実に取引される必要があります。そのためメルカリは、以下のような行為を禁止することによって、多くの人に信頼してご利用いただけるマーケットプレイスを構築します。
・商品の詳細がわからない取引や商品情報の偽装を行う行為
・商品に問題があっても返品に応じないという行為
・手元に商品がないのに出品する行為
・販売を目的としない出品行為

●人道的であること
多様な価値観を持つ人々が参加するマーケットプレイスでは、一人一人の価値観や立場が尊重されることが大切です。また、取引を通じて、人道に反するような行為が助長されることがあってはならないと考えます。
そのため、メルカリでは以下のような取引や行為を禁止します。
・人種、民族、宗教、性別等による差別を助長する商品の取引・行為
・誹謗中傷、脅迫行為等

 

この事例が参考になるなと思いました。これは、フリマアプリ、ネットオークションで問題になりそうな事柄の一覧になっています。

メルカリは、それらを許さない、改善していくということなんだろうと思います。

 

 「安全であること」「信頼できること」は、製造会社でも、流通でも、基本的に重要なことだろうと思いますが、「人道的であること」は、珍しいなと思いました。

 

今回のコロナ禍でのマスクなどの高額転売は、人の弱みに付け込んでいるような感じがしますので、これが人道的であることの事例にあるのかと思ったら、マスク転売のようなケースは「安全であること」に分類されています。

「人道的であること」には、「人種、民族、宗教、性別等による差別を助長する商品の取引・行為」「誹謗中傷、脅迫行為等」があります。基本的人権に絡むものを「人道的であること」に整理したような感じです。

 

となると、「安全」という言葉が注目されます。日本では、よく「安心・安全」とワンセットで使うことが多いですが、「安心」が心の持ちようであり、主観的なものであるのに対して、「安全」は客観的な状態をいい、要管理対象になるものは、「安心」ではなく、「安全」というような議論があります。

 

しかし、日本人は一般に、「安心」の言葉を好み、よって、「安心・安全」とセットで使うのですが、メルカリは、「安全」としています。「身体・生命への危害が加わる可能性が高い商品の取引」「違法・犯罪行為につながる可能性が高い商品の取引」は、「安全」に関するものかなと思います。

高額なマスクの取引停止は、不適切に高額で、その被害から消費者を守るという意味では、「安全」なのかもしれませんが、皆が困っていることにつけ込むのは、「人道的」でないような気がします。

 

この「人道的」という基準ですが、誹謗中傷・脅迫行為につながる出品は、まだ想像可能なのですが、平等でないという出品というものは、どんなものなんだろうかと思いました。