ネット広告を規制対象に追加
2021年2月21日の日経に、政府が2月1日に施行された「デジタルプラットフォーム取引透明化法」の対象にネット広告を規制対象として追加するという記事がありました。
巨大IT取引透明化法、ネット広告も規制対象に 政府が追加検討 :日本経済新聞 (nikkei.com)
- グーグルやフェイスブックを念頭
- 公正取引委員会も一方的な契約変更や不透明な価格設定などの問題を指摘
- 現在は、一定の国内売上高のあるオンラインモールやアプリストアを対象
- モールでの表示順位などのルール開示や、契約変更の事前通知を求めていた
- 公取委は2月17日に、ネット広告の問題点を指摘した報告書公表
- 政府は、透明化法に、ネット広告も加える
- 広告の表示基準、価格設定の明示、システム内容の丁寧な説明を想定
とあります。
2021年2月18日の朝日新聞には、公取委の報告書の内容が説明されていました。
- 利用規約にあいまいな部分がある
- 個人情報の取得方法と利用目的を明確するように求めた
- 消費者に個人情報の利用を拒否する機能を提供させ、拒否したのに広告に使うと優越的地位の濫用とする
- また、広告業者などと結ぶ契約の、一方的な変更、解除も優越的地位の濫用とした
- さらに、新聞記事の配信料の算定基準や根拠を明確にするよう求めている
とあります。
コメント
前者は、経産省の施策のようです。
「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案」が閣議決定されました (METI/経済産業省)
20200218001-1.pdf (meti.go.jp)
法案施行時は、大手のオンラインモールとアプリストアの規制だったものが、ネット広告を対象にしたことで、グーグルやフェイスブックを射程にしたようです。
デジタルプラットフォーム透明化法(通称)は、公取委とのセットの運用がそもそも組み込まれているようです。
定期的に、報告や届け出をさせて、問題がある場合は、公取委に通報するという仕組みが組み込まれているのがポイントでしょうか。
取引環境の整備のための法律ですが、独禁法上の課題がある場合は、独禁当局と連携するということで、一体的な処理ができます。
経産省で十分な独禁法の理解があり、運用能力があるということでしょうか。
(令和3年2月17日)デジタル・プラットフォーム事業者の取引慣行等に関する実態調査(デジタル広告分野)について(最終報告):公正取引委員会 (jftc.go.jp)
210217_gaiyou1.pdf (jftc.go.jp)
210217_gaiyou2.pdf (jftc.go.jp) (この22ページがまとめのようです)
こちらは、デジタル広告が広告の主流になり、グーグル、フェイスブック、ヤフーが検索連動広告やディスプレイ広告を寡占していることの弊害防止のようです。
プラットフォーマーという言葉は、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などを指しますが、各々、得意分野があるのでEC、広告等というなどの切り口が重要なのだと思います。
しかし、公取委と経産省が仲良くできるぐらいなら、特許庁と文化庁(著作権課)も、もっと一体運用できるのではないかと思いました。