2021年3月25日の日経で、トヨタといすゞが再び提携という記事を読みました。
トヨタ・いすゞが資本提携 脱炭素へ日野含む3社連合: 日本経済新聞 (nikkei.com)
これは、大きなニュースです。自動運転や電動化といった次世代技術を「CASE」(ケース)といい、その開発をしていくようです。
いすゞ自動車は、ボルボと提携し、また、UDトラックスを6月に100%化するとあります。
一方、トヨタ自動車は日野自動車に50%超出資をしているとあります。
いすゞと日野を合わせると日本での商用車のシェアは80%になり、商売上はライバルですが、トヨタが接点になり、商用車用のCASE技術を磨くことになるようです。
Web版に載っている図と、紙面に載っている図は少し違います。
Web版では、いすゞは本田とFCVトラックを共同開発とありますが、
紙面ではトヨタ・いすゞ・日野とは別枠で、「ダイムラーと三菱ふそうトラック・バス」というものが記載されていました。ダイムラーから、三菱ふそうトラック・バスに89.29%の出資とあります。
この、三菱ふそうに注目しました。
よく三菱グループは鉄の結束と言いますが、三菱ふそうはダイムラーからの出資が、89.29%という完全に外資系企業です。
激変緩和措置として、数年間だけ譲渡先に、ハウスマークの継続を認めることはありますが、三菱ふそうの場合はすでに10年経っています。激変緩和措置ではないようです。
ブランドライセンスは、ハウスマーク(≒コーポレートブランド)の場合は、資本出資比率が50%超の会社にするというのが王道です。世界に子会社を作るときのスタンダードの考えです(時に、昔のソニーのように非常に厳しい会社は100%出資の会社にしかハウスマークのライセンスをしないとしていたこともあります)。
一方、技術ブランディングやフランチャイズの場合は、資本よりも、品質管理(Quality Control)や本部の経営指導などが、重要になります。アメリカ流のライセンスの仕組みです。
「三菱ふそう」というとハウスマークです。よく外資に、三菱名称の継続を認めたなという気はします。
ちなみに、三菱商事、三菱重工、三菱電機などの株主構成をみても、三菱グループ企業で持ち合っていることは少ないようです。金融機関、外国企業、個人などが主要な株主です。
この特徴は、いろんな人が株主なので、特定の大株主がいないという点が特徴でしょうか。特定の大株主がいない場合は、経営陣の意見が通ります。
同じ三菱グループといっても、株式で支配しているという理由で三菱の社名や商標を使えるのではなく、理念や歴史・伝統や人的交流があるので、三菱の社名や商標を使えるということになります。
一方、三菱ふそうの特徴は、特定の大株主がいるということだろうと思います。特定の大株主がいると、社長等の幹部役員は大株主からの派遣になりますし、調達や特許でも大株主の傘の下に入ることになります。
資本でもなく、経営陣でもなく、三菱ふそうを名乗ることのできるメルクマールは、どこにあるのかなと思います。
Wikipedia によると、金曜会や三菱広報委員会の会員企業であるとあります。これが根拠になるのでしょうか。
今は、ダイムラーの傘下にあるが、商標さえ継続していれば、いつかは三菱自動車や三菱重工に戻ってくるということなのでしょうか。このまま行ったきりでも三菱ふそうでよいのでしょうか。
どんな議論があったのでしょうか。
三菱社名であり、三菱グループであることは、従業員の心の持ちように大きく影響します。
ダイムラーがトヨタになっても、外資か日本企業かの違いだけです。ダイムラーであれば、信用もありますし、外資である点は、あまり大きな問題ではないのだろうと思いました。