TCL、ハイセンス、美的集団など
2021年3月27日の日経に、中国の家電メーカーの最近の動きが載っていました。
中国家電TCL、敵対的買収へ: 日本経済新聞 (nikkei.com)
- TCLは、広東奥馬電器の株式の20%を取得。奥馬電器は冷蔵庫のフォックスコンと呼ばれ、海外に強み
- TCLは、テレビなど黒物中心
- 総合電機になることで、需要の波を乗り越え、また、ブランド力を高める
- 白物と黒物を手掛けるハイセンスは、日本の自動車向け空調大手のサンデンHDを200億円で買収
- BtoB分野を強化、技術・人材・生産資源の共有化
- ハイセンスは、TVS REGZAを子会社にしている。2021年半ばにはTOSHIBAブランドの北米テレビの台湾会社へのブランド使用権のライセンスが切れるので、TOSHIBAブランドで、北米で高価格帯のテレビを開拓
- エアコンの美的集団は、中国の医療機器メーカーを買収
- 冷蔵庫、洗濯機のハイアールは、バイオ医療事業を強化
- 日本メーカーは、事業に切り替えに時間がかかったが、中国の家電メーカーの動きは早い
とあります。
コメント
中国の家電メーカー各社の動きがまてめて記載してあるので、よくわかる記事でした。
- TCLは、黒物中心なのを白物に強い会社を買収して、多角化して、総合電機になる道を選び
- 既に白物と黒物のメーカーである、ハイセンスは、BtoB市場に進みつつ、TOSHIBAブランドの活用で北米市場を開拓し、
- 美的集団やハイアールは、医療機器・医療事業などを強化するとあります。
面白いと思ったのは、
- 黒物のTCLが白物事業を入れて、総合電機になり、ブランド力を高めるという戦略
- ハイセンスの北米テレビでのTOSHIBAの活用
です。
1.については、世界3位と強いテレビがあるなら、テレビで世界TOPを狙う方が良いのではないかという気がしましたが、多角化でブランド力を強化する方が、良いという判断なのでしょうか。
ブランド力を強化するというためには、奥馬電器のブランドではなく、TCLのブランドで売り出す必要があります。
奥馬電器のWebサイトは次です。
どうも製品に「HOMA」のブランドが見当たりません。奥馬電器は、OEMメーカーだからでしょうか。それなら、TCLはOEMで奥馬電器から冷蔵庫を仕入れすればよいように思いました。
しかし、それでは、TCLとしては意味がないのでしょう。
もし奥馬電器がTCLに買収されたとすると、OEM中心の事業から、TCLブランド冷蔵庫に、どこかで切り替えが起こるはずです。奥馬電器はそれを嫌っているのだろうと思いました。
2.のハイセンスですが、北米で高級品はTOSHIBA、普及品はハイセンスとすることで、製品シェアが稼げますが、ブランドシェアは、TOSHIBAとHisenseに分かれてしまいます。
40年契約ですので、40年間は、製品シェアを狙う方法が取れます。
オーディオなどでは、超高級品と普及品で、セグメントを分けることも可能です。
しかし、テレビでは、セグメント訳が難しいような気がします。
Hisenseの戦略としては、短期的にはTOSHBAのブランド力を活用して売りをとりつつ、あるところから、TOSHIBAのブランドのブランド力を、Hisenseブランドに移行させるのが通常ではないでしょうか。
共同開発している、共同調達しているなどとPRするだけでもブランド価値はシフトします。
しかし、この観点からすると、今回は、TOSHIBAのテレビ事業を傘下に入れた時点で、TOSHIBAのテレビのブランド力は、Hisenseブランドに、相当移ってしまったような気がします。