事例8「ゆかり」
Rightsの続きです。
知的財産を経営に生かす知財活用事例集「Rights」について | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
赤しそふりかけの「ゆかり」は、今回のRightsの目玉商品ではないかと思います。
- 商品名の普通名称化をさけるため、商品パッケージにおいて、「ゆかり」は三島食品株式会社の登録商標ですと記載。レジスターマークを入れることで、その商品をどのぐらい大事にしているかを伝えられる
- 最近は、コレボレーションの依頼が多い
- 原材料としての「ゆかり」の使用と、名称(ブランド)としての「ゆかり」の使用
- 原材料の商品の売買契約+商標権の使用許諾契約
- コンビニのおにぎりなどでもコラボ商品(おにぎりのパッケージに、「ゆかりⓇ御飯」「三島食品の『ゆかり』使用」の表示
- 権利があるのでライセンスできる
- パッケージの表示について、文言や表示位置にあまり細かく言わない。杓子定規な商標権管理はしない
- 売り上げが大事、商標権にこだわらない
- 最近、コラボが活発に。どこまで商標権を取得するか。例えば、「Yukari Classic」というリキュールを発売
- 商標権は、独占排他権を全面に出さず、他の会社との関係を築くためのツールと考える
- 契約内容の見直し、微調整が大事
コメント
非常にプラクティカルな運用です。
お話をされている方は、法務の方であり、純粋な知財担当・商標担当ではありません。
商標担当の場合、権利取得や使用管理にこだわりがありますが、この方は、ライセンスや仲間づくりに、ウェイトを置いておられるようです。
ただ、Ⓡの重要性を力説されている点などは、商標担当者の立場からしても、理解できます。
全体に「ゆかり」の成分ブランディング(技術ブランディング)の要素が高いように思いました。
コンビニのおにぎりの写真があり、「ゆかり」を使っているのですが、三島食品のロゴとは同じようで、微妙に違いますし、白いパッケージ・印刷であり、紫色の「ゆかり」のイメージではありません。
ただ、「ゆかりⓇ御飯」「三島食品の『ゆかり』使用」の表示があります。
参考用
消費者とすれば、紫色のパッケージで、ロゴも三島食品のロゴである方が、あの「ゆかり」のコラボ商品であるということがしっかりと遡及できるのではないかと思いました。
本文には紹介されていた、CoCo壱番館からオファーがあって作った三島食品のカレーのふりかけなどは、CoCo壱のブランドイメージがストレートに伝わります。
コンビニおにぎりの場合は、「ゆかり」も一つの構成要素ですが、「甘辛茎わかめ入り ゆかりⓇ御飯」とあり、ゆかりだけではなく、「甘辛茎わかめ」というものの重要な要素のようです。このあたりが、カレーふりかけとの違いになるのでしょうか。
CoCo壱のカレーに比べて、「ゆかり」は、脇役なのかもしれません。
ロゴやカラーにこだわるのは、商標管理よりも、ブランドマネジメントです。
今回は、三島食品の法務の方が出てきて、話をされています。社長、営業、法務という登場人物はイメージできますが、もし、ブランドマネジメント担当者がいたら、このコンビニおにぎりについては、どのようなコメントをするのかなと思いました。
普通名称化の防止、Ⓡについては、商標面から対策が取られていますが、「ゆかり」のブランドイメージの拡散のようなところは気になります。ある意味では希釈化に通じます。
難しい運用をしているなと思いました。