事例19~20、知財マッチング
こちらで、「Rights」の最後です。
知的財産を経営に生かす知財活用事例集「Rights」について | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
19 ハイスキー食品工業株式会社:コンニャクの製造販売(香川県)
ラムネなどの飲料の製造が30年。つぎに、コンニャクの製造が30年。香川県にも、スーパーなどが進出し、これまで値引きが必要なったコンニャク業界にも、価格競争の波。
付加価値をつけないと、全国での商売ができない。
大手食品メーカーは、知的財産を活用して、ブランド力や販売力を高めている。
全国の量販店やコンビニに売り込むには知的財産権が必要。
大手からの技術導入では、委託加工メーカーにとどまる。
20 株式会社ジ―アイシー:建設コンサル、システム開発
もともとは建設コンサルだら、公共事業の減少によって、システム開発へ。
鳥取県の依頼で、「動物感知センサー」を開発。
病院から入院患者の見守りシステムの開発を打診される。
「センサーによる人の見守り技術」はなく、自前の技術だけでは対応が困難だった。
鳥取県の知財ビジネスマッチング会に参加。富士通の「センサーによる人の見守り技術」が公開されていた。
富士通と契約、さらに、必要なパートナー30社を加えて、製品化。
外部プロダクトデザイナー、商標(Mittell)も対応。
富士通の公開された特許があるので、技術情報の流出を気にすることもなく、また、パートナーの協力が獲得しやすかった。権利を先にもっているとは、こういうことかと思った。
知的財産ビジネスプロデューサーとして、ジーアイシーの案件をサポート。マッチング、ライセンスだけではなく、金型の手配まで相談にのる。
コメント
特許、意匠、商標といった知財を持つ意味が、独占排他権、模倣品排除という単純なものだけではないという事例です。
ハイスキー食品工業の事例では、全国に商売を広げるためには、知財が必要であることを示しています。
地域の企業から、全国の企業になるに、知財はパスポートになります。
営業に、商標や意匠だけではなく、特許が使えるという例ですね。
また、富士通のこの技術は、事業性の問題で休眠状態にあったようですが、アイディアだけの発明ではなく、事業を目的に開発がされてたものであったので、有効に使えたようです。
休眠特許は、わけがあって休眠になっており、通常は何らかの障害があるのでしょうが、大企業の方針で事業が打ち切られたときなどは、使える特許が埋もれてしまうことがあり、このように成功した事例もあるんだなと分りました。
米国やイスラエルなど、中小企業が高度なことをやっています。当然、特許弁護士の活躍もありますが、中小企業のインハウスの知財力が相当高いような気がします(インハウスの弁理士、弁護士の出番です)。
最近は、大企業のインハウスの知財力は相当高くなりましたが、中小企業が商標だけではなく、特許や意匠に目覚めると、この国が変わるような気がしました。
経産省や特許庁が中小企業支援をやっていますが、資金面の援助よりは、知的財産総合アドバイザーのようなを通じて、中小企業の知財力を強化するように支援することは、重要なことだなと思いました。
これで、「Rights」の紹介は終わりです。紙面の都合もあるのでしょうが、もう少し、深く聞きたいなと思うものがありました。結構面白いので、「Rights」はシリーズ化したら良いなと思いました。