2021年4月14日の日経(夕刊)で、英国がEUから離脱後、EUで英語をどのように取り扱いかの議論が紹介されていました。
英離脱後の「英語」が議論に: 日本経済新聞 (nikkei.com)
- 現在、EUの公用語は24か国語
- 英語を公用語とする国は、アイルランドとマルタだが、アイルランド語とマルタ語をEU公用語として指定しており、英語を指定する国はなくなった
- そのため、英語がEUの公用語から実務言語に格下げの観測
- EUは即座に否定
- 英語が公用語で残る。全会一致が必要で、アイルランドが反対すすると予想される
- 記者会見では、英語とフランス語の併用。記者はいずれかの言語で質問し、報道官は質問された言語で回答
- 実務会議は英語。細かいやりとりに通訳を入れると時間がかかる
- 以前はラテン語。17世紀以降、フランス語が主流だった。1973年の英国加入、EUの東方拡大で英語が主流に
- フランスは英語支配打破。フランス語の復権のシナリオも現実味
とあります。
コメント
離脱した英国の言語を公用語に使わないといけないのは、どうかなという気はします。
フランスは、フランス語を守ることで有名(英語からくる外来語をできるだけ使わないようにする)です。
1994年、ジャック・トゥーボン文化相の主導により、フランス語を言語として正確に保存する見地から「ツーボン法」(Loi Toubon/英語: Toubon law)と呼ばれる関連諸法制が制定された。ツーボン法により、外来語(特に英語)の使用について、例えば広告における外国語文章の仏語訳や、ラジオ放送における歌詞付き楽曲の4割をフランス語の歌とするなど、一定の制限が課せられることになった。
フランス語自体は、英語に次ぐ世界で2番目に多く話されている言語だそうです。英語は80ヵ国・地域の公用語で、フランス語は29ヵ国・地域の公用語だそうです。
フランス、スイス、ベルギー、カナダのほか、かつてフランスやベルギーの領域だった諸国が代表的ですが、アメリカのルイジアナ州などでも話されているようです。
コモンウェルスのような、フランコフォニー国際機関というもののあり、フランス語が連結素になっています。
また、上で紹介した日経にありますが、1973年の英国のEC加盟までは、ECの公用語は仏独伊オランダ語とあり、独伊語は、第二次大戦の敗戦で力は強くなく、フランス語が主流だったようです。
そう考えると、今後、フランス語が重要になってくる可能性はあります。
一方、欧州では、言語の多様性がヨーロッパ地方言語・少数言語憲章で推進されています。国際的な潮流は、各国に存在する少数言語を大切にする流れです。
ヨーロッパ地方言語・少数言語憲章 - Wikipedia
フランス国内にも、少数言語が相当あるのですが、
フランスでは、右派を中心に、言語で国民国家のアイデンティティを確立しようといういう流れがあり、このヨーロッパ地方言語・少数言語憲章の署名を拒絶しているそうです。
一方の国際舞台では、フランス語が英語に代替することは当面なさそうい思いますが、EUをはじめとして、国際舞台で勢力を回復する可能性はでてきたというところでしょうか。