ネットで解決。調停による和解に強制力
2021年5月8日の日経に、法務省が、ネット通販やオークションサイトなどのトラブルを巡り、裁判を経ずにオンラインで解決する仕組みを検討し、近く検討会が法制審議会で議論するという記事がありました。
通販のトラブル、裁判経ずネットで解決: 日本経済新聞 (nikkei.com)
- フリマアプリ、料理宅配では、消費者同士が取引し、トラブルが生じやすい
- 裁判は費用がかかる。泣き寝入り
- オンライン(ビデオ会議、チャット)で解決を図る
- 現在は、ADR(裁判外紛争手続き)はあるが、対面や書面
- 和解に強制力を持たせる
- また、弁護士など調停人を介した和解を電子文書で
というような内容です。
コメント
まず、調停と仲裁ですが、仲裁は裁判と同様に仲裁人の判断(仲裁判決)が出るのに対して、調停はあくまで当事者の和解という点が大きく違います。
日本では、民事調停というのもがあり、簡易裁判所で運用されています。裁判官が1名つき、調停人が2名つき、和解が促進されています。
ビデオ「5分くらいでわかる!!民事調停制度」 | 裁判所 (courts.go.jp)
一方、最近議論されているのは、UNCITRAL(国連国際商取引法委員会)国際商事仲裁モデル法の改正を受けて、
という点のようです。
上記の日経の記事は、最近の議論にある、調停による和解合意に執行力を付与し得る制度の創設をベースにして、追加して、ネットで対応可能なようにするというものだと理解しました。
重要なのは、PDFにある知財調停の方で、簡易裁判所を中心とした民事調停では無理だった知財調停が、東京、大阪地裁の知財部のある裁判所に調停の申し立てが可能になるようです。
当事者間の交渉で和解に行かないようなケースで、裁判をするほどでもないケースは、この民事調停は、使えるかもしれません。
例えば商標事件で考えると、当事者双方の意思の合致が重要な許諾被許諾や同意書案件は適していないかもしれませんが、ネット通販上で商標権侵害商品が販売されている件などは、この民事調停が適しているかもしれません。
大きなものは、仲裁になり、
- 東京国際知的財産仲裁センター
IACTについて | Iact (iactokyo.com)
- 日本知的財産仲裁センター
にいくのだろうと思いますが、小型の事件で調停が使えると、便利かもしれません。