眞島先生の論文を読みました
パテント誌の2021年5月号に載っていた、眞島宏明弁理士・大阪経済大学教諭の「企業のブランドマーケティングに対する知財部門の関与のあり方」を読みました。
企業の知財部門が、ブランドマーケティングにどのように関与すべきかついて考察をしています。
提言としては、商標部門は、知的財産の権利確保を最優先に位置付ける等、視点に偏りが生じる危険があるため、ブランドマーケティングの最終決定に過度に関わるべきではないとします。
まず、ブランドとはとか、ブランドは経営企画が行うものという指摘があります。
また先行研究として、主に、知財管理誌に知財協会の商標委員会が掲載してきた、商標担当がどのようにブランドに関与すべきかという論考や活動報告を調べて、それをまとめた形になっています。
2001年、2007年、2009年、2011年、2015年と知財協会の商標委員会では、継続して検討成果を出しているようです。
2001年の段階では、ブランドへの関与が少なかったものが、徐々に関与が増えているといるようです。
■2007年の報告では、
- ブランドに関わるルール(ポリシー)の作成、運用
- プロダクトブランドのチェックリスト
- ブランドについての社員教育・啓発
- 商標部門の強化
が記載されているようです。
■2011年の報告では、
などがあります。
■2017年の報告では、
ネーミングの採択についての話があります。
眞島先生は、この2017年の報告書を、商標部門はリスクを意識しすぎると理解されたようです。
コメント
眞島先生の論考の内、知財協会の「知財管理」誌を丹念に読み解いた部分は、参考になりました。最近の議論の流れが分ります。
2007年、2011年あたりの報告がよく出来ているのではないでしょうか。2017年のものは、ネーミングの話です。これについては、過去のコメントがあります。3年経っていますが、意見は同じです。
知財部門の特に商標にはパワーがないのは事実です。電機などでは全体の100分の1程度の力しか、予算、人員を配置していません。これでは何もできないという不満はあるのですが、100分の1の割には良くやっているという気もします。
インターブランドの中村正道さんがいうような、ブランディング・プロセスへの関与もありますが、その前に、商標管理を見直すことが必要と思います。
2007年、2011年の知財協会の商標委員会の報告にあるのは、昔ながらの商標管理です。この商標管理が十分にできている会社は、実は多くありません。
昔ながらの商標管理を、ブランド委員会の名のもと実現することが重要ではないかと思います。
ただし、ネーミングの問題は、実は相当重要なのですが、一見やりやすそうなのですが、実は難しい問題です。これは後回しでよいと思います。
この点、
- ブランドに関する全社規程(ルール、ポリシー)の制定
- ブランド体系
このあたりは、商標部門に親和性が高いので、商標部門は、このあたりから、手を付けるのが良いのかもしれません。
このブログでは、検索が可能ですので、「商標管理」と入れてもらって、検索すると、面白い記述が出てくるのではないかと思います。
ご相談いただれば、各企業に合致した、商標管理の方法を一緒に検討させていただきますので、何なりとご相談ください。