Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ニトリが島忠ブランドを廃止

ニトリホームズへ

2021年5月22日の日経に、ニトリが約2100億円で、買収した島忠の「島忠」や「ホームズ」のブランドを廃止し、「ニトリホームズ」にするという話がありました。

ニトリ、島忠ブランド廃止 出店は倍増、5年後1000店へ: 日本経済新聞 (nikkei.com)

  • 島忠は、「島忠」「ホームズ」ブランド
  • 3年以内に改装して、「ニトリホームズ」へ
  • ニトリホームズ」では2階はホームセンターで、2階でニトリの家具の専門コーナー設置
  • 物流の統合等を実施
  • 島忠の高価格家具を全国に配送
  • ニトリは、雑貨の「デコホーム」を展開
  • ニトリの全5       店舗数は、630店舗。5年後に1000店舗
  • 1000店舗で国内は飽和
  • 海外出店が鍵
  • 米国ではホームデポが強く、2店舗のみ
  • 中国(34店舗)やアジア市場(マレーシアなど)へ

というような内容です。

 

コメント

記事は、出店計画や飽和予測、海外展開を中心にしていますが、それよりも、ブランド政策について関心を持ちました。

関西にいる時は、島忠もホームズも知りませんでしたが、関東にでは島忠やホームズがあります。

カリモクの家具など、家具をちゃんと展示して販売しています。

 

「島忠」と「ホームズ」の使い分けは、大略、次のようです。

家具専門店やホームセンターとの複合店では「島忠(Simachu)」「エッサン」、大型ホームセンターでは「Home's(ホームズ)」の店名で営業している。

島忠 - Wikipedia

 

ニトリの業態では、「ニトリダイニング みんなのグリル」が、最近、話題になっていました。 名称からしニトリダイニングであり、ニトリを全面に出しています。暖色系がメインの飲食行でも青緑のニトリロゴがついており、これはどうかなと思いました。

セブン&アイHDのロゴができた時に、デニーズの看板に「7&I HD」を大きく出していたのを思い出しました。

nishiny.hatenablog.com

 

新聞記事には、「デコホーム」という雑貨店があるようです。女性向けのかわいらしい雑貨のお店です。

四角形の緑のロゴで、上段に「デコホーム」、下段に「ニトリ」とあります。結合ロゴです。「ニトリ」でエンドースしています。若い女性向けにニトリロゴはどうかなと思いました。

ニトリ デコホーム (nitori.co.jp)

【デコホーム】二俣川駅前店 | ニトリ | 店舗・営業時間 (nitori-net.jp)

 

ニトリでは、中高年女性をターゲットにした「N+」というアパレルのブランドがあるのですが、こちらも「ニトリ」を全面に出しています。ファッションに、緑のニトリロゴはどうかなと思います。「ニトリ」のロゴのあるお店と、ないお店があるようです。

新作アイテム | N+公式通販サイト (nplus-netshop.jp)

SHOPLIST (nplus-netshop.jp)

 

どうやら、貫徹はされていませんが、ニトリのブランド戦略は、市場迎合型ではなく、自分はこういうものだとストレートに出しているタイプです。

一つの哲学だろうと思いますが、お客様本位ではなく、一般的ではないように思います。

 

アパレルと飲食業では、ブランドを業態ごとに変えることが普通ですが、「ニトリ」ブランドを活用して、エンドースしています。似鳥社長の哲学が出ているのでしょうね。

 

上の3つ事例は、どう思うかと言われると、「ニトリ」を外してしまいましょうと提案したくなるのですが、もしかすると、この3つの新業態を独立したものと捉えずに、すべて次の時代の「ニトリ」ブランドのためにやっていると考えると、反対に良い戦略かもしれません。

ニトリ」が成長し続けるためには、「ニトリ」が変わっていかなけばなりません。そのための多角化、「ニトリ」ブランドの変化のために、逆にエンドースしていると理解できなくはありません。

 

そして、今回の「島忠」「ホームズ」です。「ニトリホームズ」になります。「ホームズ」という言葉は「ニトリホームズ」となって残りますが、「島忠」はなくなります。

こちらは、業態も近いので、良いかと思いますが、ホームセンターと家具店が合体したナショナルブランド商品を販売する「ニトリホームズ」と、PB家具やPB雑貨の「ニトリ」になるわけであり、「ニトリホームズ」の「ホームズ」を大きくするとか、英語のロゴ「HOME’S」にするとかしないと、消費者が業態について混乱しそうです。

 

ニトリのブランド戦略は、35期連続、増収増益だそうですが、まだまだ続けるための布石のような気がしました。