Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

「踊ってみた」の著作権管理

ブロックチェーンで、「n次創作」動画管理

2021年6月7日の日経に、「踊ってみた」など「n次創作」について、ブロックチェーンを利用した著作権管理が進んできているという話題がありました。

「踊ってみた」著作権を整理: 日本経済新聞 (nikkei.com)

  • オリジナルの作品を元に、2次的、3次的に別の作品が派生して生まれるため、「n次創作」という
  • 「YOASOBI」の「夜に駆ける」も、小説の投稿サイトの作品を元に生まれた
  • 収益を上げる投稿者の4割は、原著作者に許諾を得ていない
  • 著作権侵害を恐れて投稿を自粛している潜在的な投稿者も多い
  • n次創作と著作権保護を両立するため、ブロックチェーンを使ったNFT(非代替性トークン)技術の活用
  • 原権利者に、収益が還元される
  • 中国の上海七印情報技術は、ニュース記事や画像の著作権保護に強み。海賊版サービスを提供
  • 広州では、動画サイト提供者が権利者から許諾を得る最善の努力義務
  • 韓国は軽微な侵害の刑事罰を除外して、委縮を防ぎ、透明性ある仕組みを整える

とあります。

 

コメント

ブロックチェーンという言葉が、著作権管理でも出てきています。

先日見たのは、ブロックチェーンをつかって綿花の産地について、 証明しようという話でした。

nishiny.hatenablog.com

 

ブロックチェーンを使った、著作物管理は、昨年の4月頃にもニュースになっていた。 nishiny.hatenablog.com

 

ブロックチェーンが進めば、模倣品や海賊版の被害が大幅に防止できます。 

nishiny.hatenablog.com

 

しかし、技術があっても、何らかの仕組みが必要であり、相当コストがかかるので、デジタルコンテンツや医薬品などからスタートすることになると思います。

 

各種の方式が乱立すると面倒です。デファクトでよいので、圧倒的に人気のある仕組みが出てこないかなと思いました。

 

ECの場合は、真正性を担保する技術や手法としては、ブロックチェーン以外のものもあると思います。

中国のアリババなどは、企業に商標登録証の提出や出荷同意書の提出を求めますが、これも真正性を担保するものです。日本の楽天やアマゾンの出品では、ここまでは求めているのでしょうか?

 

ブロックチェーンなどの仕組みで、製品の真正性が担保されるようになれば、商標の役割も、出所混同の防止から、商品選択を促進、サポートするという宣伝広告機能の役割を中心に再整理することができるように思います。

すでに、アメリカでは、出所混同防止ではなく、サーチコスト理論に一定の支持があるようです。サーチコスト理論は、需要者のサーチコストの削減が、標識の本質的機能であるというものです。

 

まだ、出所混同の防止と、サーチコストの削減と、どちらが正しいのは、よくわかりませんが、これらの新技術は、法制度にも、影響があるのではないかと思います。

 

nishiny.hatenablog.com

 

模倣品や海賊版が、無理をせずとも、少なくなる技術や手法が出てくればと思いました。