Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

消費者庁のアフィリエイト広告規制

検討会がスタート

20201年6月11日の日経に、消費者庁アフィリエイト広告の規制についての検討会をスタートするという記事がありました。

ネット広告、監視強化へ 国が議論: 日本経済新聞 (nikkei.com)

  • アフィリエイト広告では、閲覧者が商品を購入すると広告業者(アフィリエイターという外部広告業者)に報酬が入る
  • そのため、品質や効果を誇大にうたったサイトが目だつ
  • 悪質なものは、1週間で肌のシミが確実に消えるなど
  • JAROへの苦情は、2020年に5531件
  • 法的には、景表法の不当表示に該当
  • しかし、景表法では、商品・サービス供給事業者のみが対象
  • 食品や医薬品以外では、不当表示の責任は広告制作者に及ばない
  • そのため、消費者庁有識者の検討会をスタート
  • 商品・サービスの事業者に、広告にまで責任を持ち、内容の適正さをチェックすべきという意見あり
  • 規制には、表現の自由との関係が重要

とあります。

コメント

通常の広告であれば、商品・サービスの供給事業者が、直接の広告主です。広告主は直接内容についてコメントして、指示を与えています。広告が評価を得たような場合には、広告代理人やクリエイターの名前がでることもありますが、広告に問題があれば、真っ先に非難されるのは、広告主です。

当然、広告主は、全身全霊をかけて広告内容をチェックします。これまで身近に宣伝の人を見ていましたが、複数名のチェックの目、部長の目でチェックし、重要なものは役員や社長の目でチェックしていました。

 

これに対して、アフィリエイト広告については、広告主は野放しになりがちです。責任問題になるのが怖い感じがしますので、大手企業はあまりアフィリエイト広告を使っていなかったのではないでしょうか。

 

大手企業がやっている手法としては、記事風広告というものがあって、一見すると新聞記事なのですが、記事のどこかに、広告である旨の表示があるケースがあります。これは、新聞記事には客観的であるというイメージがあるので、その客観性を活用しようというものです。消費者としては、ちょっと紛らわしいところがありますが、既存のマスコミ広告であれば、広告主も、媒体社も、JAROもありますので、問題になるようなものはほとんどないと思います。

 

アフィリエイト広告についての関連資料は、下記で見ることができます。

第1回 アフィリエイト広告等に関する検討会(2021年6月10日) | 消費者庁 (caa.go.jp)

 

まだ、方向性が完全に定まっている訳ではないのでしょうが、当該広告制作者、広告主、ASP、行政など、すべてのアフェリエイト広告の関係者に、それぞれ一定の義務がかせらるのではないでしょうか。

 

責任が明確化させれ、苦情処理のルートがきっちりできると、大手企業もアフィリエイト広告を活用するようになるのかもしれません。

実際、誇大広告の例があるので、何らかの対応手段を講じることは必要な時期なのではないでしょうか。