Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

図書館蔵書がメール送信可能に

2023年6月までにスタート

2021年6月8日の日経に、図書館が蔵書や資料をメールやファックスなどで利用者に送信できるようにする改正著作権法が成立したという記事がありました。

図書館蔵書、メール送信可 「便利に」「販売減」: 日本経済新聞 (nikkei.com)

  • 来館せずに閲覧できる
  • 補償金の水準や、半分までとされる「著作物の一部分」の範囲が課題
  • 新潮社は、1ページいくらではなく、本の性質によって個別に対価設定を希望
  • 最近は、電子図書館も増加。4月で200超の自治体が導入
  • 今回のメール送信の需要は各図書館の文献資料や電子版のない専門書、論文集に偏る可能性
  • 有斐閣社長は、専門書の購入先が少なくなる危険性を指摘
  • ある図書館の周辺図書館が購入を控えるおそれ
  • 買うよりも安くなると、出版しにくくなると危惧

とあります。

 

コメント

8か月に、この話題がありました。 

nishiny.hatenablog.com

 

その時は、国会図書館になる絶版資料のオンライン送信の件だったのですが、上の日経の記事は、もう一つの論点の複写サービス(図書館資料のメール送信等)の話のようです。

令和3年著作権法改正の影響度と実務対応 - 図書館関係の権利制限規定見直し、放送同時配信等に係る権利処理の円滑化 - BUSINESS LAWYERS

 

上の記事は、著作権法改正ができたことを知らせるためのものですが、新潮社という大手出版社 と、有斐閣という専門書の出版社の取材をしている点が特徴でしょうか。

 

雑誌などを見ていて、論文を読みたいとしても、図書館まで足を運ぶ必要があるとすると、大学の研究者や学生ならまだしも、一般のビジネスパーソンには無理があります。

利用者からすると、今回のオンライン送信は、非常にありがたいように思います。

 

議論になっているのは、書籍の一部分というボリュームと、補償金の金額です。ボリュームが絞られ、金額が案外高くなるようです。

しかし利用者としては、ボリュームとしては、一冊の法律雑誌があったとして論文数本まではOKとしてほしいと思います。

また、金額も現在のコピー代金1ページ10円というのではなく、仮に冊子が1000円で、その10分の1を送信してもらえるなら100円という程度で、利用者に納得のいく金額にしてもらいたいと思います。

 

例えば、法律雑誌で、紙の冊子しかない場合、図書館はスキャナーを取るのでしょうか?それであれば、その手間は大変です。

 

紙の本、雑誌でも新刊本は、電子的に作成されているはずですので、電子で国会図書館に納本して、それを電子で受け取るというのがメインにならないと意味がなさそうです。

 

ちなみに、公立図書館では、1枚10円のコピー代ですが、国会図書館では税込みで26.40円だそうです。

複写料金表(遠隔複写)|国立国会図書館―National Diet Library (ndl.go.jp)

 

2023年6月までに仕組みが動くようですので、どのようになるのか、楽しみにしています。