Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

偽五輪グッズの摘発強化

フリマアプリのチェックと、会場等に捜査員

2021年6月30日の日経(夕刊)に、警視庁が偽五輪グッズの摘発を強化しているという記事がありました。

偽五輪グッズ、摘発強化: 日本経済新聞 (nikkei.com)

  • 聖火をギリシアから運んだ、TOKYO2020号の模型を中国から輸入販売してフリマアプリで販売したとして、男が逮捕。エンブレム等が刻印。31個を31万円で販売
  • 昨年10月にはエンブレムを刻印した偽のメダルでは逮捕、罰金
  • 今後は、予備鑑定捜査員が、聖火リレーのコース、競技会場周辺や繁華街で活動
  • 警視庁生活経済課員で、エンブレムなどについて研修を受講
  • 五輪、パラリンピックの商標を使った公式ライセンス商品は、数万点
  • 予備鑑定捜査員は、2004年から繁華街で高級ブランド品の偽物を販売する露店などの取り締まり
  • ブランド品以外の対応ははじめて
  • ラグビーワールドカップのときは、経済産業省が偽グッズを購入しないようキャンペーン。今回も官民挙げて

とあります。

 

コメント

警視庁の予備鑑定捜査員という人がいるのを知りました。

毎日新聞に少し詳しくでています。

警視庁、偽五輪グッズの摘発強化 現場で鑑定できる捜査員投入へ | 毎日新聞 (mainichi.jp)

  • 露店で販売される偽有名ブランド品の取り締まりを目的に警視庁が2004年に導入
  • 専門家の本鑑定を待つ間に露天商らの行方が分からなくなる恐れがあり、その場で捜査員が現行犯逮捕できるようにして機動的に摘発する狙い
  • 2019年のラグビー・ワールドカップの際はこの制度を運用しなかったが、会場周辺で偽グッズを販売目的で所持したとして、外国人3人を商標法違反容疑で逮捕した
  • 捜査員は15人
  • 大会終了後に組織委が解散するまで警戒に当たる

とあります。

 

昨日のマツモトキヨシの偽マスクも、微妙とは思ったのですが、商標法違反の容疑とありました。偽グッズの対応は、商標権侵害ですね。不正競争防止法ではなく、商標法は即効性があるということでしょうか。不正競争防止法事案でえは、現行犯逮捕は難しいのかもしれません。

 

商標登録があり、そのものズバリのロゴで、当該商品(上の例なら、飛行機模型)が公式グッズにないなら、商標権侵害は明らかです。

 

しかし、もし公式グッズにも、飛行機模型がある場合は、真贋鑑定が必要になります。そうなると、ちょっと手間がかかりますので、現行犯逮捕できないかもしれません。

 

公式グッズのサイトがあったので、2020年号の飛行機があるか見てみると、ありました。

1/200 東京2020オリンピック聖火特別輸送機 スナップインモデル | 東京2020オフィシャルオンラインショップ (tokyo2020shop.jp)

16,500円とかなりの値段です。

 

そうなると、現行犯逮捕をするには、公式グッズがあるかどうかだけではなく、公式グッズの特長と、偽物の特長まで見分けられる必要がります。

 

高級ブランド品の真贋観点は、例えば、コメ兵などが得意な点です。 

nishiny.hatenablog.com

 

しかし、これは、企業秘密のような点もあり、一般には公開していないと思います。

 

警視庁には警視庁のノウハウがあり、これは本物、これは偽物という真贋判定が、メーカーの助けがなくても、ある程度できるところまで、来ているということだと思います。

 

高級ブランド品の真贋鑑定のノウハウが、今回の五輪グッズの真贋鑑定にも生きているのだろうと思いました。

 

予備鑑定調査員は、警視庁のシステムのようですが、大阪府警なども導入してはどうかと思いました。