Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

企業統治指針と知財とブランド

ブランド戦略の開示、外部評価、そして投資へ

2021年6月19日の日経で、6月に改定されたコーポレート・ガバナンス・コードの話が載っていました。

企業統治指針、次は知財 ブリヂストンなど先行: 日本経済新聞 (nikkei.com)

改訂されたコードの内容は、

  • 内容は2つ
  • 「取締役会は知財などの投資を実質的に監督する」
  • 「上場会社は、知財の情報を分かりやすく開示」する
  • 知財を他社からの訴訟などに備える「守り」だけでなく、事業提携など「攻め」にも生かすには、経営層と知財部門の頻繁な情報交換が欠かせない

とあります。

 

内閣府の資料には、コーポレート・ガバナンス・コードに知的財産が明記されることに対応して、

  • 企業では、「知的財産投資・活用戦略に関する開示ガイドライン(仮称)」の策定が必要になり、
  • 統合報告書、知財報告書、IR資料等において開示し、
  • それを、知的財産専門クラスターが分析・評価分析して、機関投資家に提供するとあります

siryou2.pdf (kantei.go.jp)

 

また、「知財ガバナンス研究会」というものが、発足しているようです。

「知財ガバナンス研究会」の発足とメンバー企業募集のお知らせ | HRガバナンス・リーダーズ株式会社 (hrgl.jp)

 

なお、ここでいう知財には、特許のみならず、ノウハウやブランドを含んだ概念だそうです。

 

コメント

2003年〜2006年頃に、知財報告書や知財白書がブームになりましたが、それは一過性に終わりました。

しかし、東証のコーポレート・ガバナンス・コードに明記された現在、状況は大きくことなっています。

また、IPランドスケープなどの手法も、一般的になり、企業の知財活動は高度化しています。

以前とは異なり、今回は、続くと思われます。

 

ポイントは、外部の評価者で、内閣府の資料にある知的財産専門クラスターの育成が上手く行くかどうかですね。

企業の知財戦略を評価して、投資家や世間に伝える仕事です。YouTuberが子供の憧れの職業となる時代ですので、知財専門クラスターに収入がある状況になり、知財パーソンの憧れの職業となるようにでもなれば、このスキームは回る可能性がありますが、その資金を、機関投資家が出してくれるのでしょうか?

あるいは、一般の人を対象に、知財専門クラスターは、YouTuneチャンネルを開設した方が良いのかもしれません。

 

25年前に、松下通信工業にいたときに、クアルコムの話題で持ち切りでしたが、そのとき、クアルコムの株式を買っていたら、今頃、左団扇であったことは確かです。

 

さて、もう一つはブランドです。ブランドを、経営戦略ではなく、コミュニケーション戦略という間違った位置づけをしている会社がほとんどです。これは、広告代理店やブランドコンサルにも、大きな責任があります。

いち早く、ブランドは経営戦略そのものであるという当たり前の状態に戻すべきです。コミュニケーション部門は、ブランドの名称を返上すべきです。すべてはそこから始まるように思います。

コミュニケーション部門の問題点は、事業部門や研究開発部門が作ったものを、社内外に発信するのが仕事であり、基本的に受け身であるという点です。すなわち、事業部門や研究開発部門のような主体性に欠ける点にあります。これでは、ブランドを作り、育成することはできないと思います。

もちろん、調整機能だけの経営企画なら、あまり大差はないのですが。

 

内容的には、知財的な

  • ブランドの権利化の目標、権利化の効率性
  • 模倣品対応

ぐらいは、公表資料なので、昔から開示しているとしても、

  • ブランドガイドライン(ポリシー、考え方、ルール、表現)の公表
  • ブランドをマネジメントする組織
  • ブランドライセンス収入、ブランドライセンス方針
  • M&A時のブランド方針
  • コ・ブランディングの方針、外部との協業方針とブランド表示の例示
  • 技術ブランディング
  • ブランド社内浸透の内容
  • 社内外のブランド認知等の評価、その目標、評価向上のための指標
  • ブランド戦略の成功事例

このあたりをどこまで開示するかですね。

しかし、社員に開示できないものはほとんどないでしょうが、内々で処理してきたことも多いので、どこまで何を開示するかは、考えてしまいそうです。

 

内々で処理をして、外部の批判の目に晒されていなかったのですが、公開して、批判を受け、軌道修正していくのもありだろうと思います。