Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

「はつな弁理士法人」に転職しました④

商標コンサルティング

はつな弁理士法人では、新規業務の「商標コンサルティング」という新しい業務を開拓する予定になっています。

 

世の中には、インターブランド社や広告代理店、デザイン事務所など、多くの「ブランドコンサルティング」を行う会社があります。

これらは、マーケティングの一種として、ブランディングサービスを提供しており、ブランドの目指す姿を整理したり、ブランドのビジュアルを変えたり、ネーミングをしたり、消費者アンケート調査をしたり、ブランド価値のチェックをしたりします。

 

私も、12年程度の期間、企業のブランドマネジメント部門にいましたので、インターブランド社や多くのコンサルティングファーム、デザイン事務所と一緒に仕事をしましたので、日本の商標弁理士の中では、ブランド戦略やブランディングは理解をしている方なのですが、今回提供する予定のサービスは、直接、ブランドコンサルティングではありません。

(もちろん、ケースによって、ブランディング、ブランド戦略的な視点で、アドバイスすることが必要なときは、その経験を生かそうとは思っています。)

 

今回のミッションは、「商標コンサルティング」です。「商標コンサルティング」を提供するにあたり、まず必要になるのは、商標弁理士とのしての知見ですが、より重要になるのは、企業で「商標管理」をしていたときに経験した「企業の商標管理」だろうと思います。

通常の特許事務所でも、依頼された商標調査、出願、中間の権利取得や、異議等の係争案件は、使用許諾交渉や譲渡交渉程度は対応します。また、商標調査戦略や商標出願戦略を相談できる商標弁理士はいると思います(調査会社や外国出願会社の方が詳しい可能性はありますが)。

 

しかし、商標弁理士が、顧客企業の商標管理自体にコメントするようなことはほとんどありません。

「商標管理」というと、更新などの期限管理を中心とした事務管理を想像しがちですが、大前提として、商標のものの見方・考え方ということができます。

商標の名義は誰の名義にすべきか、どのような商標体系を作っていくか、ライセンスを含めてどのように戦略的に商標と向き合うか、商標の啓発はどうすべきか、商標管理体制(連絡網)はどう構築べきか、というものです。

コンサルティングファームでは、会計系のデロイトトーマツグループのサービスに、名義などは多少近い内容がありますが、ほとんど特許寄りの内容のようです。

実は、商標と特許は発想が違うことが多いのですが、そこはあまり気にせずに、一括りに知的財産コンサルティングと括っています。

知的財産コンサルティング|知的財産アドバイザリー|デロイト トーマツ グループ|Deloitte

 

会社によって、商標のポリシーは大きく異なります。沢山商標出願することを良しとする考え方もありますし、商標を絞って強い商標を作るという考え方もあります。

この「商標管理」は、実に奥が深いものであり、各企業がトライ&エラーを繰り返して、各社各様で行っているのが実情です。

商標管理を一番学べるのは、知財協会や業界団体の商標委員会の飲み会の席、商標協会の実務検討部会程度ではないでしょうか。

商標管理の書籍といっても、昔の日本生産性本部や萼優美先生や小野昌延先生、藤原龍治先生の本ぐらいしかありません。

商標管理については、知財管理誌、パテント誌、INTA、商標協会、すべての情報媒体においても、その重要性に比べて、決定的に情報不足です。

 

商標コンサルティングの内容は、アイディア出しの状態ですし、どこまで需要があるのは不明です。

ただ、はつな弁理士法人には、非常に多くの既存ユーザー(クライアント)があります。また、成長真っただ中の企業が多いのも特徴です。それらの企業では、どのように商標を管理していけば良いのか、相談したいと思っておられる会社もあると思います。

これまでの経験から、各社の状態を見ると、こうした方が良い、将来こうなるだろうから、今こうしておくべきというのは、ある程度ガイドすることができますので、このあたりが商標コンサルティングになるのかもしれません。

 

ある程度、コンサルティングの事例がまとまれば、ブログ、ウェブサイト、雑誌、書籍などで紹介したいと思っています。

 

先日、特許を中心とする「知財コンサルティング」で一本立ちしている事務所の弁理士の方の話を伺ったのですが、まだ、特許出願に誘導しようとする知財コンサルが多いが、それは目指すべき知財コンサルではないという話を聞き、まったく、その通りだと思いました。

特許事務所経験での弁理士経験、企業での商標管理の経験やブランドマネジメント(ブランド戦略)の経験もありますので、千差万別の顧客企業のご要望に、対応できるのではないかと思っています。