Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

法人数と所得総額

法人所得総額が過去最大の57兆円

2017年3月31日の日経の夕刊に出ていた小さな記事です。国税庁の発表で、2015年度の法人の所得金額は、57兆円2354億円(前年度6%アップ)で、過去最大だったようです。

 

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特に、どうということはないのですが、数字が面白いので、列挙します。

  • 法人の所得金額は、57兆円2354億円(前年度6%アップ)
  • 増加は、6年連続
  • 法人税額は、10兆5014億円
  • 企業数は、約169万件
  • 赤字企業の割合は、64%で、6年連続で減少

この新聞記事とは関係ない数字ですが、参考までに。

  • 平成29年度予算(一般会計総額97兆4547億円)(また特別会計は重複を除くと196.8兆円) 
  • 平成28年度税収、約58兆円
  • 日本のGDPは、約540兆円
  • 紙幣の発行残高は、99兆円
  • タンス預金は、43兆円

こんな感じなのですね。

ABCマート

景品表示法違反で、再発防止などの措置命令

2017年3月29日の日経と朝日新聞で、ABCマートが靴のチラシで、不当表示をしたとして、景品表示法違反で、再発防止などを求める措置命令を受けたという記事がありました。

記事によると、「HAWIKINS」などの4つのブランドの靴やサンダルなど47商品において、チラシで、自社が製造した商品であるにもかかわらず、メーカー希望小売価格を表記して、実際の販売価格との差を示し、値引きして販売しているような誤解を与える広告をしたようです。

実際には、「㋱」印を用いて「㋱5900円→3000円 49%OFF」などと記載していたようです。 

 

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製造販売小売(SPA)の場合、自身がメーカーですので、メーカーの希望小売価格という概念自体がそもそもあるのでしょうか。


同社は、当初の販売価格を、「㋱」印でメーカー希望小売価格のように、記載していたようです。

確かに、初めから「当初販売価格5900円→3000円 49%OFF」とすると法律違反ではなくなるのではないかと思いますが、季節・流行遅れになって、値下げされたか、売れ残りセールのような感じがしますね。

二重価格表示|消費者庁 

 

同じSPAといっても、ユニクロのように店名も商品ブランドも同じ「ユニクロ」というのと、 ABCマートのように店名はABCマートですが商品名は「HAWKINS」などとなっているのは違います。


消費者は、「HAWKINS」はホーキンスという会社がやっているブランドと思います。実際は、ABCマートと一体なのでしょうが、そのことを知っている人もいれば、気にしていない人もいます。通常は気にしていない人が多いのではないでしょうか。


そうなると、消費者保護の観点からすると、チラシの表記に問題ありという今回の消費者庁の命令となり、納得はできます。

 

このような措置命令を受けたとき、企業としては再発防止のために現場の指導をすることになります。景表法(景品表示法不当景品類及び不当表示防止法)は、独禁法関係の法律で、なかなか難しい法律というイメージがあります。

法務部門はその会社の業務実態に落とし込んだ、わかりやすい解説を現場にする必要が出てきます。


また、ここが一番重要なことかもしれませんが、TOPや、営業の部門長の理解を得るのが第一歩となります。

森永製菓・森永乳業

経営統合を見送り

 2017年3月31日の日経に、森永2社が経営統合を見送るというニュースが出ていました。2月末に経営統合を検討中というニュースが流れ、株式市場も好感して、株価も上がっていたようですが、何があったんでしょうか。

記事によると、両社とも業績は好調なので、統合に伴う合理化を拒んだという説明がありました。

 

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2月末に流れた両社統合のニュースは、両社がまだ検討中の段階で出てしまったものと思いますが、ただ、スクープがでる場合、経営統合がある程度に詰まった状態でスクープがでることが通常?なので、あれだけ大々的に流れた情報がひっくり返ったというのは正直いって驚きです。

日経の記事には、トップ人事をめぐる思惑で両者間にすれ違いがったとの見方もある、と記事にありますが、どうも奇妙なニュースです。どうなってるの?という話ですね。

ちなみに、森永製菓と森永乳業のロゴをくらべると、社名ロゴは同じフォントで、シンボルが違うという面白いものでした。

改めて見ると、森永製菓はエンゼルを使い、森永乳業はエンゼルではないのですね。

www.morinaga.co.jp

 

www.morinagamilk.co.jp

この両者は、田町駅の同じビルに本社があり、距離的には本当に近い会社ですね。

今はもう無くなっているのですが、このビルの1Fに森永が経営している昭和な雰囲気のパン屋さん件喫茶店(アンジェロベーカリー&カフェと云うようです)があったとき、朝に良く利用しました。電車を三田(田町)で降りて、会社のある御成門まで散歩していたのです。途中の増上寺の桜も綺麗でした。

明治製菓明治乳業は「株式会社明治」になっています。森永2社も、なんとか、仲良くできないものなのでしょうか。

米・マクドナルド

台湾の子会社売却

2017年3月29日の日経に、アメリカのマクドナルドが、台湾子会社の株式を売却するというニュースがありました。売り先は、台湾のホテル大手の総経理の個人の会社ということです。

headlines.yahoo.co.jp

中央社フォーカス台湾のYahoo Japan掲載の記事によると、売却額は、約51億台湾ドル(約187億円)での売却ということです。

マクドナルドは、2015年6月に、台湾で直接経営を止め、他社とのライセンス契約をする方針だと発表していたようです。

 

コメント

記事からは明確ではないのですが、今回は100%譲渡のように読めます。

少し前であれば、大切なブランドのライセンスは、100%出資会社か、少なくとも51%超の子会社で、十分に経営コントロールできないところにはライセンスしないというのが、基本的な考え方でした。

特許のライセンスは、資本関係などは関係なしに行うことが基本です。しかし、商標のライセンスは大きく異なっていたのです。

その考えからすると、本件はイレギュラーです。

 

過半を出資する会社(子会社)以外にライセンスすると、結局、資本で経営コントロールができない会社なので、商品の「品質」、サービス(役務)の「質」を維持できず、思ってもみない商品、サービスによって、ブランドの人気が低下する・ブランド価値が維持できなくなる・顧客にも迷惑をかける、という考え方です。よって、法的に経営コントロールができない会社にはライセンスしないとなります。

しかし、最近は、マクドナルドの属する飲食業界や、IT情報通信業界、食品業界などで、資本を前提としないライセンスが、世界的にも増えてきているように思っています。直接進出するとなるとコストやリスクの負担が大きすぎるからでしょうか。(欧、米、日本の電機メーカーの家電事業撤退時のライセンスとは違い、これらの業界は本家の業績が悪くないときにも商標ライセンスビジネスをしていように思います。)

 

資本関係のない(薄い)会社に商標や商号をライセンスするとなると、業務手順のマニュアル化や、品質のすり合わせ、ブランドイメージの評価・ブランド表示のコントロール、ブランドライセンス契約書や、ブランド監査・品質監査など、これらの業務が必須となります。

このあたりは、日本企業、弁護士・弁理士監査法人なども、まだまだ不得手な部分ではないかと思います。

換言すると、折角日本で良いビジネスモデルができても、それを世界で展開する力は、日本企業はまだ高くないと思います。

日本のコンビニエンスストアが、海外でもアジアの合弁先と事業をやっているようなので、このあたりから日本の商標のブランドライセンスのノウハウが蓄積されていくのでしょうか。

 

日本企業も、最終的には、資本関係のない会社でも商標を中心にコントロールするところまで行きたいものです。

SUBARU

富士重工業株式会社から株式会社SUBARU

2017年4月1日から富士重工業株式会社は株式会社SUBARUになりますというニュースがありました。
www.sankeibiz.jp

今日は、大きな新聞広告も出ていました。

社名変更自体は昨年のニュースでしたが、4月1日からの変更なのですね。

昨年7月の東洋経済の吉永社長が語っている記事によると、

海外では、Heavy Industries(富士重工業の英語名)と言っても分からず、名刺のスバルのロゴを見て始めて理解されるということで、社名とブランド名の不一致が問題だったようです。

規模を追うのではなく「スバルだったら5万円高くても買っていい」というブランド路線を選び、「どれだけ違いを出せるかどうかは、目指すものの深さによる。」とし、「飛行機メーカーという歴史に根ざしていることがひとつの特徴だ。安全であり、スポーティさや走る楽しさというのを、どこまで突き詰められるかで、スバルのブランド力は決まってくる。」という話をされています。

富士重工業=スバルが、中島飛行機だったということは知っていましたが、今でも飛行機やヘリコプターまで作っている会社なのですね。
www.subaru.co.jp
コメント

以前から、スバルには水平対向エンジンなど高い技術のイメージやスポーティなイメージはありましたが、最近の「アイサイト」で安全のイメージも付加されています。
航空宇宙事業には、高い技術なイメージ、安全に対する配慮のイメージ、航空機の持つスピード感などがあります。スバルは飛行機会社の作った自動車であり、それをブランドイメージとして確立できれば、他の自動車メーカーにはない独自のブランドイメージを持つことができます。

また、自動車で有名なブランドであるSUBARUをつけることで、航空宇宙事業の事業にとってもメリットがあるので、素晴らしいブランド戦略ではないでしょうか。

toyokeizai.net

<スバルの社名の由来>

ちなみに、子供の頃、昴(すばる)という言葉は英語だと思っていました。
スバルのエンブレムの六つの星のことを古来から「すばる」と云うようです。別名、六連星(むつらぼし)で、英語ではプレアデスPleiadesと云うとのことです。
戦前の中島飛行機が、分割され、その一部の会社であった、6社が合流して富士重工業になったことで、それが六つの星のスバルになったようです。

<ブランド戦略から見ると>

SUBAERUの事例を、少し一般的に見ると、ブランド戦略面からは次のようなことが言えます。

  • 社名とブランドを合わせることは素直(コモディティ商品業界や自動車メーカーなどはマルチブランド政策もありえますが、通常は社名とブランドを合わせるのがコミュニケーション上は有利で基本だと思います。)
  • 100周年事業(社名変更やブランドロゴ変更は、周年事業などで深く会社のあり方を考えるときに行われやすい。)
  • ローマ字社名は珍しい(株式会社SUBARU / SUBARU CORPORATIONであり、片仮名社名ではありません。)

感想

ちょうど一ヶ月

特許事務所勤務に勤務して、一ヶ月が経ちました。

 

仕事内容は、特許事務所の外国商標担当ですので、ある程度は想像通りの業務です。

今のところは出願準備、中間処理、権利管理などの仕事をOJTで教えてもらっています。昔、会社でやっていたことと同じ業務も多いのですが、大きく違うのは仕事の丁寧さでしょうか。

 

企業の知財部でも、商標出願を依頼してきた事業場への連絡は必要であり、製品ネーミングなどの費用負担は依頼事業場持ちという会社でしたので、最終の意思決定権は事業場にありました。当然、中間処理などは連絡はするのですが、丁寧さという点では、特許事務所とは違いました。さらっとコメントを書いて、後は、自分で読んでくださいねという感じでした。

特許事務所のクライアントは、その事務所に不満があれば他の事務所に鞍替えができますが、企業の事業場は、本社の知財部が嫌でも鞍替えできません。本社の知財部の場合、事業場が本社の知財部をパスすることはなく、どちらかというと専門性を尊重してくれるので、そういう方面の心配はありません。ここが各所に差が出てくるところだと思います。

 

実際には、次のようなことをしました。

  • 出願準備としては、マドプロの指定商品のドラフティングなどをしました。特許庁WIPOやUSPTOのリストや過去の出願の指定商品を参考に、日本語でいただいた指定商品を英語化しました。そして、マドプロの出願で久しぶりに特許庁に行きました。
  • 中間は、商品補正指令のほか、引例拒絶も検討しました。
  • 権利管理では、企業から登録証や書誌的データをもらい、それをベースに事務所での管理ルーチンに乗せる仕事をしています。この権利管理は、一般に、事務所は得意とするところですが、企業が苦手とするところだと思います。
  • 日本商標協会の外国商標制度部会に、オブザーバーで参加させてもらいました。久しぶりに米国の異議事件の英語を読みました。
  • お客様との打ち合わせに同席しました(同席しただけですが)。
  • その他、もろもろ。

次は、1年が一つの区切りだと思っています。1年後、仕事が一巡するころには、また報告ができればと思っています。

上野公園で花見

昨日の夜は空いていました

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昨日の夜、上野公園で職場恒例の花見があり、参加させてもらいました。まだ、満開ではなく5分咲き程度と思います。この写真は出口のところにあった枝垂れ桜ですが、見事でした。

奈良公園の氷室神社の枝垂れ桜も見事ですが、上野公園の桜も見事でした。

氷室神社公式ホームページ

 

関西で花見というと大阪城公園とか、造幣局の通り抜けとかが有名です。

東京では上野公園や目黒川、横浜では大岡川でしょうか。特に、上野公園はマスコミで良く紹介されているのですが、今まで、行くチャンスがありませんでした。

今回は、初「上野公園の花見」です。あいにくの雨で、寒かったのですが、そのため、人がほとんど混雑しておらず、花見は堪能することができました。

 

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この場所も、晴れの日ならすごい人がいたはずですが、まったく人がいません。露店も雨で早々に閉めているようでした。

 職場のメンバーに、公園内で商店をさせれている方の知り合いの方がおられたので、テントのようなところで、雨に濡れず、宴会を楽しむことができました。

お酒を飲むと暑くなると思い、コートを着ずに、背広姿で行ったのですが、さすがに寒かったですね。 熱燗のワンカップ大関が非常においしかったです。

商標担当の方とは日常的にお話しをすることがありますが、特許担当の方とは話すことも少なく、特許の方のざっくばらんなお話を聞く良い機会になりました。

 

商店に行く道すがらの、雨傘を通しての花見になりましたが、人混みがなかったのでゆっくりと桜を見ることができましたし、テントでの宴会も野趣があり、今回の雨の花見は、これはこれで面白かったと思います。

ただ、また、次は雨ではないときにも上野公園の花見をしたいと思います。昼間や夜は、すごい人出だと思いますので、朝がねらい目かもしれませんね。