Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

新・商標法概説(その59)

商標登録無効審判 登録に瑕疵がある場合、このような本来登録されるべきでなかった商標を、排他的独占的な商標権として有効に存続されることは、表示自由使用の利益に反し、公益に合致しない。このような登録商標は、原則として登録無効にすべである。 説明…

新・商標法概説(その58)

審査主義と無審査主義、登録異議申立制度 審査主義と無審査主義については、審査主義が妥当であるとして、各国法の比較をしています。 出願公告制度の廃止の理由は、マドプロの条件を満たすのが大変だったことと、早期権利付与の要請があり、特許法に合わせ…

新・商標法概説(その57)

出願公開制度 特許庁長官は、商標登録出願があったときは、出願公開をしなければならない(12条の2第1項)。国際登録も、国内登録も同じ。 商標登録出願人は、①商標登録出願をした後に、②当該出願に係る内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、③そ…

新・商標法概説(その56)

先願主義の例外(博覧会出品、出願分割、出願変更、優先権、要旨変更新出願) これらは、先願主義の例外とまとめられています。 博覧会出品物は、商標出願はその出品又は出展の時にしたものとみなされる(9条1項) 分割による新たな商標登録出願は、元の出願…

新・商標法概説(その55)

先願主義 我が国は登録主義を採用し、商標権者の商標使用の法的安定を確保している。 2以上の商標出願があるとき、最先の出願人に登録をするのが、先願主義であり、我が国は「先願登録主義」をとっている。 ここで、単一の商標だけしか登録されないことが不…

新・商標法概説(その54)

一商標一出願の原則、一出願多区分制、指定商品(役務)の指定、商品(役務)の一部放棄 重要な点は、 平成3年の法改正で国際分類が採用され、それまで認めらてきた、「その他本類に属する商品」というような「全類指定」や包括概念が認められなくなり、省令…

新・商標法概説(その53)

業務記載の廃止、標準文字、国語主義 業務記載については、商標法条約により、手続きの簡素化の観点から廃止された。 ただし、願書に記載を要求しないだけであり、審査はあり、例えば銀行のように法的な業務制限のある企業が、明白に行うことができない商品…

新・商標法概説(その52)

手続的商標法/総説/代理人、弁理士、不受理処分 新・商標法概説は、3部構成の最後の「手続的商標法」という部分になっています。審査、審判、訴訟を扱う編ですが、例えば、弁護士が商標案件を取扱うときに、特許法の参考書を見なくても、全部の事項が記載…

広報の家庭教師

シプード 2020年9月14日の朝日新聞の夕刊で、広報担当者の育成会社「シプード」の代表取締役の舩木真由美さんという方が紹介されていました。 マネーフォワード等のベンチャー企業の広報の家庭教師 6年で約120社の広報担当者の育成 1年で一人だちできるよう…

読んでみました

「越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文 決定版」 コロナ禍で、昨日、ご紹介した本の次に読んだのがこの本です。 出版社はディスカバー・トゥエンティワンという会社です。 越前敏弥さんは、東大卒で英語講師を長年された経験を持つ、プロの翻訳家です。ダ…

読んでみました(やってみました)

名スピーチで英語「速」音読 コスモピアという出版社の上記タイトルの英語の速音読の練習本を、2ヶ月ほどかけてやってみました。 名スピーチで英語「速」音読 [音声DL付] 作者:鹿野 晴夫 発売日: 2020/01/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) 著者は、鹿野…

読んでみました

「社長、商標登録はお済ですか? Ⓡの逆襲 商標登録で成功する経営者、失敗する経営者」 上記タイトルの本を読みました。 社長、商標登録はお済みですか?II Rの逆襲――商標登録で成功する経営者、失敗する経営者 作者:平野 泰弘 発売日: 2018/03/08 メディア: …

コメ兵の偽ブランド対策

AIで鑑定。精度99% 2020年8月20日の朝日新聞に、コメ兵がAIを使った偽ブランド商品を見分けるシステムを名古屋本店で導入するという記事がありました。 8月25日から名古屋本店で導入 ルイ・ヴィトンのみ対応 ブランドや商品を拡大し、全国の店舗へ 鑑定士が…

CEマークからUKCAマークへ

英国向け(2021年1月1日から) 2020年9月10日付のJETROビジネス短信で、Brexitの関係で、英国向け製品(北アイルランド向けを除く)については、従来のCEマークではなくUKCAマークを使用しないければならず、そのガイダンスが公表されたという記事がありまし…

「商標審査官(補)」の任期付職員を募集

募集定員は8名 2020年9月8日付の経済産業省のWebサイトで今年も「商標審査官(補)」の任期付き職員の募集がでています。 「商標審査官(補)」の任期付職員を募集します (METI/経済産業省) 募集人数:8名以上(予定)※募集人数は調整中のため未定です。 …

省庁のデータ表記統一

年内にルール、10年かけて整備 2020年9月13日の日経に、政府が個人の名前や地名、電話番号、年月日などに使う漢字の表記、データの形式について、2020年度中に統一ルールを作るという記事がありました。実際のシステムは各省庁のシステム更新時期に合わせる…

ラベルなし

ペットボトル 2020年8月20日の日経に、ラベルのないペットボトル飲料が売れているという話がありました。 アサヒ飲料、味の素AGF、コカ・コーラボトラーズジャパン、サントリーなどがラベルレスのペットボトル飲料を販売し、好調 ラベルは、プラスチック。そ…

「京都芸術大学」の地裁判決

地裁は原告敗訴 2020年8月28日の日経(夕刊)に、京都造形芸術大学が校名を「京都芸術大学」に変更することに関して、京都市立芸術大学が、名称使用の差止を止めた訴訟の大阪地裁判決があった旨の記事がありました。 「京都芸術大」に校名変更OK 大阪地裁、…

LVMHティファニーの買収撤回

フランス政府の要請が理由 2020年9月12日の日経に、LVMHがティファニーの買収を撤回する件についての記事がありました。 LVMH、コロナで痛手 ティファニー買収撤回 世界で店舗閉鎖、利益減少(写真=ロイター) :日本経済新聞 米国が仏のデジタル課税に対抗し…

読んでみました

Branding(ブランディング) インターブランドの中村正道さんの「Branding(ブランディング)」(日経文庫)を読んでみました。 ブランディング (日経文庫) 作者:中村 正道 発売日: 2019/12/14 メディア: 新書 会社員時代に、インターブランドの方とは接する機…

タケダの大衆薬の売却

ブラックストーンに 2020年9月4日の日経に、武田薬品工業の大衆薬事業の売却についての記事がありました。 大衆薬、武田の子会社売却で岐路に 再編機運も :日本経済新聞 大衆薬は、これまではブランドの醸成や消費者との接点としての意味 医療用に比べて、研…

コネクテッドカーと特許

ドイツの地裁判決 2020年8月22日の日経に、コネクテッドカーについての、ドイツの地裁判決が出て、ノキアが勝ちダイムラーが敗訴したという記事がありました。 つながる車に特許リスク ダイムラー、ノキアに敗訴 (写真=ロイター) :日本経済新聞 フィンラン…

ソニーの車(VISION-S)

無形資産経営の象徴 2020年8月22日付けの日経のDeep Insight の中山コメンテーターの記事を読みました。 無形経済の道、ソニー走る 車産業を「軽く」する :日本経済新聞 ソニーの電気自動車「VISION-S」は、コンセプトカーであるが本格的。公道実験に入り、S…

レナウン清算へ

主力ブランドは売却 2020年8月22日の日経と朝日新聞、そして、2020年8月25日の朝日新聞に、レナウンと各事業ブランドの話が出ています。 レナウン、「ダーバン」など5ブランド売却 小泉グループに :日本経済新聞 日経によると、 ダーバン、スタジオバイダー…

Intelのロゴ変更

目的、特徴、Ⓡが残った 2020年9月2日のインテルのニュースルームで、Intelのロゴ変更の説明がされていました。 Sparking the Next Era for the Intel Brand | Intel Newsroom 2019年からIntelのCMOを務める Karen Walker上級副社長の手記のような形です。 イ…

新・商標法概説(その51)

商標権の移転と更新と放棄 移転: 新法は営業と分離した移転を認めているが、これは、旧法当時から実務的には営業譲渡証を添付すると認めらており、実質審査もなかった。 移転よりも、使用許諾の無制約の方が、問題かもしれない。 ちなみに、ドイツは、1995…

新・商標法概説(その50)

刑事的救済 商標権侵害は、従来から非親告罪である。商標権侵害罪には故意が必要である。 保税倉庫・保税工場: 商標の輸入に関連して、保税地域内にある貨物は、関税法上は国外であり、いまだ商標権侵害ではないという説(通関説)もある。 しかし、それで…

新・商標法概説(その49)

民事的救済 本では、このあたりは詳しく解説されています。必要なときには、該当箇所を読みなおそうと思います。 気になったところだけピックアップします。 差止請求: 辞書などに普通名称のように登載されたからと言って、それだけでは普通名称になったと…

新・商標法概説(その48)

詰め替え問題 並行輸入に随伴しがちということで、詰め替え問題がここで説明されています。 判例としては、 ハイミー事件(最高裁判決) ヴァンホーテン事件 STP事件 マグアンプ事件 バイアグラ事件 を紹介しています。 この中で、ヴァンホーテン事件は、「…

新・商標法概説(その47)

真正商品の並行輸入問題 商標権の地域的効力の問題、その他に絡む複雑な問題です。要約することが、難しいテーマですので、本を読んでもらえばと思います。 大きく、パーカー事件、大蔵省通達、フレッドベリー事件などが説明されています。 パーカー事件判決…