Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

新・商標法概説(その30)

品質誤認的商標(16号)、ぶどう酒若しくは蒸留酒の産地を表示する商標(17号)、立体の機能的形状(18号) まず、品質誤認ですが、商品の「品質」又は役務の「質」とは、商品又は役務の特性という程度の広い意味です。 品質、質の良否についての誤認と、他…

新・商標法概説(その29)

混同的商標(15号)-相対的不登録事由 15号は、10号~14号までの総括的規定で、私益保護の規定とされる。不正の目的を除き、除斥期間の適用もある(47条)。 旧法は、これを公益的性格のもとしており、私益的規定と重複適用できるとしていた。そのため、「1…

新・商標法概説(その28)

防護標章(12号)、商標権消滅後の登録禁止(13号)、種苗法の登録名称(14号) 防護標章(12号):本号の規定に該当する商標は、登録防護標章と同一のもの(相似形を含む。)に限られる。 商標権消滅後の登録禁止(13号)の廃止(削除):廃止により、登録…

新・商標法概説(その27)

先願(11号)ー相対的不登録理由 先願主義(8条)、商標登録主義の原則から、先願違反のものは登録されない。商品又は役務の出所混同を防止するためでもある。 旧法は、「最先の商標登録出願人」とせずに、「他人の商標登録出願人」としていたので、後願が先…

新・商標法概説(その26)

周知商標(10号) 周知商標: 需要者の間に広く認識されている商標 規定の趣旨: 周知商標という既存商標の使用状態の私益保護説と、出所混同防止のための公益的な規定という説があり、現在は私益保護説が有力。 しかし、立法理由はむしろ公益説を中心とする…

新・商標法概説(その25)

肖像・氏名等(8号)と博覧会の賞(9号) 肖像・氏名等は、相対的不登録理由であり、一方、博覧会の賞は、絶対的不登録理由です。 肖像・氏名等 趣旨:他人の人格権を保護するため(混同防止ではない) 肖像、氏名には、著名なものという制限はない。 (理由…

新・商標法概説(その24)

4条1項7号(と19号) 7号(公序良俗違反商標)は、次の例があります。 「征露丸」 「特許理工学博士」など、多くの博士号入り文字商標 「特許管理士」 「出版大学」 本号については、今、世界的に問題になっている「悪意の商標」が関係します。 「悪意の出願…

新・商標法概説(その23)

4条1項1号から6号 絶対的不登録理由の1号から6号の箇所を、順番に読んでみます。 国旗等(1号) 同盟国紋章等(2号) 国連標章等(3号) 赤十字標章等(4号) 監督証明用印章(5号) 公共機関標章(6号) 1号~6号までは、似た規定です。 すこし注目したのは…

新・商標法概説(その22)

消極的要件 絶対的不登録要件と相対的不登録要件 本書では、3条を積極的要件として、4条を消極的要件としています。そして、4条の消極的要件を更に、 絶対的不登録理由:4条1項1号~7号、9号、16号 相対的不登録理由:4条1項8号、10号~15号、17号~19号 に…

新・商標法概説(その21)

使用による識別性 使用による識別性(特別顕著性)については、3条1項3号から5号までに該当する商標であっても、「使用をさせた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる」に至った商標は、商標登録を受けることができる…

新・商標法概説(その20)

識別力のない商標(6号) 小野先生の新・商標法概説を、続けて読んでいます。 3条1項6号は、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」は、商標登録を受けることができないとあります。 厳格な文理解釈上は、「識別…

種苗法の改正

継続審議で、秋の臨時国会に提出の可能性 2020年7月13日の日経のまとめ記事で、種苗法改正の必要性についての記事がありました。 農産品の知財保護なぜ必要? 海外流出が輸出阻害 :日本経済新聞 海外での品種登録の費用を補助する制度が必要 種苗メーカーに…

NISSANのブランドロゴ変更

公式発表がありました 2020年7月15日付の日産のWebサイトに、NISSANのブランドロゴ変更についての公式の説明が掲載されていました。 下記のWebサイトを読んでいただきたいと思います。 新しいブランドロゴが、日産の新たな地平を開く また、YouTubeでブラン…

「レッドスキンズ」の名称変更

チーム名称とロゴ 2020年7月14日の日経に、NFLの「レッドスキンズ」が、先住民(インディアン)を意味するチーム名称とロゴの廃止を決定したという記事がありました。 「レッドスキンズ」名称変更 チーム名とロゴ廃止 批判高まり :日本経済新聞 1933年から使…

五輪エンブレムとパロディ

3名の議論の比較 2020年7月14日の朝日新聞に、日本外国特派員協会の五輪エンブレムのパロディをめぐる論点について、3名の識者の議論が紹介されていました。 グレゴリー・スターさん(編集者、会報誌の編集担当): 「著作権侵害にあたる。選手への配慮も欠…

オンライン名刺

代替サービスへ 2020年7月1日の日経に、新型コロナウイルスで、名刺交換の機会が激減し、名刺管理ソフト会社が「オンライン名刺」を作っている、また、若者はSNSに移行する動きがあるという話が出ています。 名刺文化もオンライン 対面急減で代替サービス Sa…

自動翻訳の最新状況

第三世代AI、大量データ、カスタマイズ、音声翻訳、同時通訳 2020年7月6日の日経に、自動翻訳の最近状況のまとめ記事がありました。 自動翻訳、AI活用巧みに 第3世代、業種・個人に最適化 同時通訳並みも視野 :日本経済新聞 第三世代のAIのアルゴリズム: 20…

IoT特許の差止請求制限の議論

自動車業界の懸念とドイツの訴訟の行方 2020年7月6日の日経に、IoT特許と差止請求制限という話が出ていました。 IoT特許に訴訟リスク 自動車業界の懸念 特許庁で議論 「差し止め」制限 着地見えず :日本経済新聞 異業種間の交渉 窓口巡り綱引き :日本経済新…

法律書のサブスク

黎明期のようです 2020年6月29日の日経に、法律書や行政文書・判例などのリーガルリサーチのプラットフォームが出来ているという紹介がありました。 新型コロナ:法律書もサブスク 新型コロナで需要拡大 :日本経済新聞 コロナで大型書店や図書館が閉じている…

ネット不正出品の監視強化の新法

通常国会に提出予定 2020年7月2日の日経に、政府の未来投資会議が不正出品防止策として、ネット上の売り場の提供する「運営者」に、「出品者の本人確認」と「トラブル発生時の責任を明示する」ように求める新法をつくることを、来年1月の通常国会に法案提出…

新・商標法概説(その19)

氏・名称 「ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は商標は商標登録を受けることができない(4号)。 識別性がないため、個人に独占権を与えるべきではない 氏名は、多くは識別性がある 名称とは、法人の表示をいう …

新・商標法概説(その18)

記述的商標 慣用商標は飛ばして、記述的商標(3条1項3号)ですが、ワイキキ事件を引いています。 「(ー3条1項3号の条文の内容を記載ーは、)業者が自由に使用してよいものであるべきあるから、識別力を欠くことが多いのみならず、それとともに、業者として…

新・商標法概説(その17)

普通名称 3条1項1号の「普通名称」の定義は、取引界において、「その商品又は役務の一般名称であると認められているもの」とあります。 普通名称の認定は、当該名称と商品又は役務の関係、商品製造業者と販売業者又は役務提供者との関係、使用期間、その時代…

新・商標法概説(その16)

識別性(各号の前まで) 標章が需要者に、何人かの業務にかかる商品又は役務であることを認識させる力のことを、「識別力」という。 現行法は、旧法の「特別顕著」という用語を避け、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であること」がわかるものとい…

新・商標法概説(その15)

商標の登録要件 積極的要件(3条) 商標の登録要件は、3条の積極的要件と4条の消極的要件とに区分けして説明されています。 そして、3条は、 自己の業務に使用する商品又は役務について使用をする商標であること 識別性 の2つに分けています。 1.は更に、(…

新・商標法概説(その14)

登録主義と使用主義 1.意義 商標権の成立に着目すべき(小野先生の立場) 登録主義:商標権の成立を登録の事実にかからせている場合、すなわち、登録に商標権の設権的効果を与えている場合(ドイツ、日本) 使用主義:商標権の成立を使用の事実に基づいて…

新・商標法概説(その13)

商標権の権利行使と不正競争防止法 商標権の権利行使について、旧不正競争防止法6条は、商標法による「権利の行使と認めらる行為」には同法は適用されず、従って、旧不正競争防止法1条1項1号・2号の混同行為(及び4条1項ないし3項の行為)に該当する行為も不…

新・商標法概説(その12)

商標法の概念、商標法の体系的地位、不正競争防止法と商標法 小野先生は、使用権と禁止権という言葉に整理されています。 江口俊夫先生と同じであり、専用権と禁止権という網野先生とは違うようです。 商号の商標化(株式会社東芝の東芝商標)と、商標の商号…

大学発特許のライセンス収入

米国は、1件あたり22倍 2020年6月22日の日経に、日本の大学発特許のライセンス収入が、米国に比べて少なく、また、大学の研究費の民間負担率が低いという話が出ています。 (エコノフォーカス)大学発特許 生かせぬ日本 1件あたりライセンス収入、米は22倍 …

契約書にハンコ不要

政府見解 2020年6月19日の日経(夕刊)に、契約書への押印は必ずしも必要ないという政府見解を政府が示したという記事がありました。 新型コロナ:「契約書のハンコ不要」、政府が見解 対面作業削減狙う :日本経済新聞 押印でなくてもメールの履歴等などで契…