Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

新・商標法概説(その46)

侵害とみなす行為 37条各号の行為があった場合は、権利侵害の事実の立証を必要としない。登録商標の信用を害するおそれのある行為を権利侵害とみなして、商標権の保護を強化したもの。 一般に本来の侵害が直接侵害、本号の侵害は間接侵害、みなし侵害という…

新・商標法概説(その45)

商標権の侵害 商標権侵害を、単に侵害者が登録商標を無権限で付する行為のみに限定すべきではない。 商標法では、36条(差止請求権)や38条(損害賠償)などの規定において、「商標権の侵害」という文言のみで規定され、「商標を無断で付する行為に対して」…

新・商標法概説(その44)

先使用権(32条) 先使用権は、 他人の商標登録出願前から、日本国内において、指定商品若しくは指定役務と同一又は類似する商品若しくは役務に、登録商標と同一又は類似する商標を使用しており、 出願前から不正競争の目的でなく使用していたこと、 他人の…

新・商標法概説(その43)

専用使用権・通常使用権 使用許諾制度の国際比較があまりないのですが、基本は通常使用権のところの青本の記載を引いています。 現行法は、商標権の財産性・自由譲渡性を重視し、こに関連して「商標使用許諾制度」を設けた。そして、需要者保護としては、 「…

新・商標法概説(その42)

判定制度 判定制度は、旧法の確認審判制度に替わるもの。旧法の確認審判制度には法的拘束力があるかどうか説が分かれていたが、裁判所に不服について出訴できた。 一方、判定は法的拘束力はないとされ、一事不再理の適用もなく、出訴することもできない。 専…

新・商標法概説(その41)

他人の意匠権、特許権等又は著作権による制限 ここは、商標権と著作権と抵触関係についての判例の紹介が面白いところでしょうか。 商標権と著作権の抵触は、岩波書店のミレーの種まく人のような著作物的色彩のある登録商標の使用について、著作権と抵触する…

新・商標法概説(その40)

権利の限界からくる制限 商標権の効力と表示使用とを調整し、公益上1個人のみに独占させることが適当でない商標の自由使用を確保する。この条理的限界からくる制限が次の3つである。 26条 商標権者の権利行使の制限(39条、特104条の3第1項第2項) 権利の…

新・商標法概説(その39)

商標の同一は又は類似(2) 昨日のコメントです。 コメント 小野先生は、類似をまとめて効力のところで記載し、「混同のおそれ」で判断することが、確定した最高裁判例としています。 残った問題が、出願時は不使用で、従来の経験則による一般的抽象的な類…

新・商標法概説(その38)

商標の同一又は類似(1) 重要テーマですので、全体像を把握するために、一気に読みました。 目次をベースに、重要なところをまとめると、次のようになっています。 (1)商標の同一 (a)商標の同一 (b)商標の同一性概念 (c )商標使用の態様と同一 (…

20万アクセス

3年半の振り返り 昨日、このブログのアクセス数が、20万アクセスを超えました。 今日、見てみると次のような数字です。この数字が多いのか少ないのか、良く分かりませんが、区切りですので、一旦、まとめてみます。 アクセス(合計) 200 ,129 投稿数 1,293 …

新・商標法概説(その37)

商品若しくは役務の同一又は類似 商標は、商品又は役務の関係概念であり、商品又は役務単独、標章単独では何ら意味がなく、保護の対象でもない。 登録商標の保護は、商品又は役務と商標の関係的機能(いわゆるグッドウィル)の保護、すなわち、商標の指示す…

新・商標法概説(その36)

商標権の効力の拡大ー連合商標と防護標章 商標権の効力の拡大として、連合商標と防護標章が説明されています。 連合商標も、防護標章も、母法であるイギリスにおいても廃止されたので、登録促進の名目下に連合商標制度が廃止された。 ただし、防護標章制度は…

新・商標法概説(その35)

商標権の効力ー積極的効力ー使用権 この本では、使用権(25条)と禁止権(37条)という言葉を使っています。この用語は、専用権と禁止権という網野先生の用語とは違いますが、一般的なものだろうと思います。 指定商品又は指定役務について、登録商標を専有…

新・商標法概説(その34)

商標権の主体ー共有 商標権の共有は、無体物であるので、共有ではなく準共有となり、別段の定めがない限り民放の共有の規定が適用される(民264条)。 持分の多寡にかかわらず、共有者の各人が商標を全面的に使用できる。これは、客体の無体性からの結果でも…

新・商標法概説(その33)

商標権の主体ー権利者適格 小野昌延先生、三山俊司先生の新・商標法概説(青林書院)を、続けて読んでいます。 本書は、現在の商標法解釈の通説的見解が多いと思いますが、読む項目毎に新しい発見があります。 本日は、第6章の「権利の主体」の第1節「商標権…

ベーシックインカム

同床異夢 2020年8月15日の日経の大機小機で、ペーシックインカムについての同床異夢の話を読みました。 (大機小機)ベーシックインカム 同床異夢 :日本経済新聞 日本のエコノミストでベーシックインカムの特集 特別定額給付金が、ベーシックインカムに近い …

レジ袋有料化と万引き

エコバッグと風呂敷 2020年8月13日の朝日新聞に、7月から始まったレジ袋の有料化で、エコバッグの利用が進み、エコバッグを使った万引きが増えているという話がありました。 エコバックを使った万引きの被害にあっている古書店 専門書や辞書など、高額の商…

国際経済訴訟の対応強化

外務省が専門課設置 2020年7月30日の日経に、外務省が経済局と国際法局に分かれていた国際的な経済訴訟の体制を国際法局のもとに統一し、「国際経済紛争処理室」を設置し、また、民間からも人材を登用する方針であるという記事がありました。 国際訴訟の体制…

教員の英語力

英検準1級以上、高校で7割 2020年7月16日の日経夕刊に、英語教員の英語力が上向きであるという話が出ていました。 教員の英語力上向き 英検準1級以上、高校7割 :日本経済新聞 文部科学省の2019年度英語教育実施状況調査 一定の目安の英検準1級程度は、中学で…

立会人型の電子署名サービスの有効性

政府の通達 2020年7月21日の日経に、立会人型の、クラウドを使った電子署名サービスを利用した電子署名の有効性について、法務省、総務省、経済産業省が、電子署名法の条文解釈をまとめた文書を公表したという記事がありました。 電子証明書ない「電子署名」…

TikTokの米国事業のマイクロソフトへの売却

トランプ大統領の「国に売却益納付」発言 2020年8月8日の日経に、トランプ大統領が主張しているTikTokの米国事業のマイクロソフトの譲渡に関する、事業売却益を米国に納付すべきという主張ですが、法的根拠は乏しく、過剰介入ではないかとあります。 トラン…

読んでみました

上級国民/下級国民 橘玲著、小学館新書の「上級国民/下級国民」を読んでみました。 上級国民/下級国民 (小学館新書) 作者:玲, 橘 発売日: 2019/08/01 メディア: 新書 内容ですが、3つに大きく分かれます。 1.日本国内の話 2.男性と女性の話 3.グロ…

ファミマのアジアの苦境

タイは撤退、中国合弁で訴訟 2020年8月7日の日経に、ファミリーマートがアジアで苦境という記事がありました。 ファミマ、アジアで苦境 浮上のカギは伊藤忠に :日本経済新聞 タイでは合弁会社の出資引き揚げ 現地会社の株式49%を手放し、事業をライセンス形…

日本マクドナルドの株式売却(その2)

ドル換算とロイヤルティ 2020年8月5日の日経に、米マクドナルドが日本マクドナルド株を15%売却する話の続きの話があります。 (真相深層)成長なきマック「売り時」 米本社、日本法人株15%売却へ 売上高、ドル換算で23%減 :日本経済新聞 米マくドナルドは売…

セブン&アイの米スピードウェイの買収

2.2兆円で買収 2020年8月3日の日経に、セブン&アイ・ホールディングが、米石油精製会社からコンビニ併設型ガソリンスタンド部門「スピードウェイ」を、210億ドル(約2兆2000億円)で買収するという記事がありました。 セブン&アイ、米コンビニを2.2兆円で買…

大文字「Black」と「ブラック企業」

2つの記事から考えると 2020年7月22日の朝日新聞に、大文字「Black」の記事があります。アメリカでは、「人種や民族、文化的意味合いで用いる場合は大文字のBlackを使う」という記事です。 AP通信、USAトゥデー、ニューヨーク・タイムズが決定 小文字は「黒…

デマントがフィリップス補聴器を製造販売

全国の眼鏡店などで販売 2020年7月29日の日経(神奈川版)で、補聴器メーカーのデマント・ジャパンが、フィリップスブランドで補聴器を製造販売するという記事がありました。 デマント・ジャパン、「フィリップス」の補聴器販売 :日本経済新聞 国内では難聴…

日本マクドナルドの株式売却

50%→35%へ 2020年7月29日の日経に、米マクドナルドが保有する日本マクドナル 株ら式を売却する方針であり、保有比率は50%から35%になるという話がありました。 米マクドナルド、日本法人の株式を一部売却へ (写真=AP) :日本経済新聞 資金で、グローバル…

画像のリツイート

著作者人格権侵害との最高裁判例 2020年7月22日の朝日新聞で、ツイッターに無断投稿された写真をリツイートしたら、ツイッターの使用で自動的にトリミングされ、撮影者の氏名が見えなくなり、著作者の氏名が表示されなくなっていることが、「著作者人格権」…

新・商標法概説(その32)

登録事由の存否判断の標準時、団体商標、地域団体商標 登録事由の存否判断の標準時、団体商標については、特に特徴的な記載はありませんでした。 地域団体商標については、審査基準をだいぶ引用しています。 地域団体商標の登録要件は、 出願人は、「事業協…