Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ボラギノールの天藤製薬

ロートが買収

2021年6月9日の日経に、一般用目薬の国内最大手のロート製薬が、痔治療薬の「ボラギノール」の天藤製薬を買収するという記事がありました。

ロート製薬、「ボラギノール」の天藤製薬を買収 90億円: 日本経済新聞 (nikkei.com)

とあります。

 

コメント

 ロート製薬は、胃薬(パンシロン)と目薬(Vロート)の会社と思っていたら、メンソレータムの買収で、現在はスキンケアの会社でもあるようです。

ヘルス&ビューティー事業 | ロート製薬株式会社 (rohto.co.jp)

 

痔のクスリはスキンケアの延長線にはあるので、商品戦略としては理にかなったM&Aのようです。

 

天藤製薬の2021年3月期の売上は58億円とありますので、90億円の買収金額は、少しプレミアムがついているなと思いました(この点、薬は利益率が高いので、適正なのかもしれませんが)。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF02D7Z0S1A600C2000000/https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB097LE0Z00C21A6000000/

 

少しに気なったは、武田薬品が30%の株式を持っているという点です。

確か、ボラギノールは、元武田コンシューマヘルスケアのアリナミン製薬が販売していたと思います。

アリナミン製薬株式会社(旧社名 武田コンシューマーヘルスケア株式会社) (alinamin-pharma.co.jp)

また、今回の買収の立役者のロート製薬の杉本社長は、武田の出身のようです。天藤製薬のことも良く知っていたんだろうなと思いました。

 

アリナミン製薬は今後もボラギノールの販売を継続するようですが、これは日本での話であり、海外ではあまり販売していないようです。

一方、ロートはメンソレータムがあるためでしょうか、海外販売網があり、ロートの海外販売網にボラギノールを載せることができるそうです。

国内販売にも影響を与えず、海外を攻めることができるということで、上手く整理されているM&Aだと思いました。

 

大衆薬は、多くの儲けにはならなくても、着実に儲けができるので、ボラギノールなどでしっかりと稼いで、その資金を再生医療に投入するということです。再生医療の知識がないので、どれほど重要なことかわかりませんが、夢がありそうです。

 

武田薬品は、一般大衆薬の武田コンシューマーヘルスケアを切り出しましたが、大衆薬で儲けるというビジネスモデルもまだ健在なんだなと思いました。

 

※都合で、このブログは、少し、お休みをします。また、再開できる日を心待ちにしています。

企業統治指針と知財とブランド

ブランド戦略の開示、外部評価、そして投資へ

2021年6月19日の日経で、6月に改定されたコーポレート・ガバナンス・コードの話が載っていました。

企業統治指針、次は知財 ブリヂストンなど先行: 日本経済新聞 (nikkei.com)

改訂されたコードの内容は、

  • 内容は2つ
  • 「取締役会は知財などの投資を実質的に監督する」
  • 「上場会社は、知財の情報を分かりやすく開示」する
  • 知財を他社からの訴訟などに備える「守り」だけでなく、事業提携など「攻め」にも生かすには、経営層と知財部門の頻繁な情報交換が欠かせない

とあります。

 

内閣府の資料には、コーポレート・ガバナンス・コードに知的財産が明記されることに対応して、

  • 企業では、「知的財産投資・活用戦略に関する開示ガイドライン(仮称)」の策定が必要になり、
  • 統合報告書、知財報告書、IR資料等において開示し、
  • それを、知的財産専門クラスターが分析・評価分析して、機関投資家に提供するとあります

siryou2.pdf (kantei.go.jp)

 

また、「知財ガバナンス研究会」というものが、発足しているようです。

「知財ガバナンス研究会」の発足とメンバー企業募集のお知らせ | HRガバナンス・リーダーズ株式会社 (hrgl.jp)

 

なお、ここでいう知財には、特許のみならず、ノウハウやブランドを含んだ概念だそうです。

 

コメント

2003年〜2006年頃に、知財報告書や知財白書がブームになりましたが、それは一過性に終わりました。

しかし、東証のコーポレート・ガバナンス・コードに明記された現在、状況は大きくことなっています。

また、IPランドスケープなどの手法も、一般的になり、企業の知財活動は高度化しています。

以前とは異なり、今回は、続くと思われます。

 

ポイントは、外部の評価者で、内閣府の資料にある知的財産専門クラスターの育成が上手く行くかどうかですね。

企業の知財戦略を評価して、投資家や世間に伝える仕事です。YouTuberが子供の憧れの職業となる時代ですので、知財専門クラスターに収入がある状況になり、知財パーソンの憧れの職業となるようにでもなれば、このスキームは回る可能性がありますが、その資金を、機関投資家が出してくれるのでしょうか?

あるいは、一般の人を対象に、知財専門クラスターは、YouTuneチャンネルを開設した方が良いのかもしれません。

 

25年前に、松下通信工業にいたときに、クアルコムの話題で持ち切りでしたが、そのとき、クアルコムの株式を買っていたら、今頃、左団扇であったことは確かです。

 

さて、もう一つはブランドです。ブランドを、経営戦略ではなく、コミュニケーション戦略という間違った位置づけをしている会社がほとんどです。これは、広告代理店やブランドコンサルにも、大きな責任があります。

いち早く、ブランドは経営戦略そのものであるという当たり前の状態に戻すべきです。コミュニケーション部門は、ブランドの名称を返上すべきです。すべてはそこから始まるように思います。

コミュニケーション部門の問題点は、事業部門や研究開発部門が作ったものを、社内外に発信するのが仕事であり、基本的に受け身であるという点です。すなわち、事業部門や研究開発部門のような主体性に欠ける点にあります。これでは、ブランドを作り、育成することはできないと思います。

もちろん、調整機能だけの経営企画なら、あまり大差はないのですが。

 

内容的には、知財的な

  • ブランドの権利化の目標、権利化の効率性
  • 模倣品対応

ぐらいは、公表資料なので、昔から開示しているとしても、

  • ブランドガイドライン(ポリシー、考え方、ルール、表現)の公表
  • ブランドをマネジメントする組織
  • ブランドライセンス収入、ブランドライセンス方針
  • M&A時のブランド方針
  • コ・ブランディングの方針、外部との協業方針とブランド表示の例示
  • 技術ブランディング
  • ブランド社内浸透の内容
  • 社内外のブランド認知等の評価、その目標、評価向上のための指標
  • ブランド戦略の成功事例

このあたりをどこまで開示するかですね。

しかし、社員に開示できないものはほとんどないでしょうが、内々で処理してきたことも多いので、どこまで何を開示するかは、考えてしまいそうです。

 

内々で処理をして、外部の批判の目に晒されていなかったのですが、公開して、批判を受け、軌道修正していくのもありだろうと思います。

アマゾンの不正商品流通の課題

名誉棄損、わいせつ物頒布

2021年6月20日産経新聞に、アマゾンの不正商品管理に不備があり、名誉棄損やわいせつ物頒布が頒布されているという記事がありました。

<独自>アマゾン、不正商品管理に不備 名誉毀損やわいせつ物頒布の疑い - 産経ニュース (sankei.com)

  • 女性芸能人への名誉毀損やわいせつ物頒布などの疑いがある不正な商品が多数販売
  • マーケットプレイスの商品
  • 販売されているのは女性芸能人の顔とわいせつ画像を合成した画像を使った商品
  • 検索で女性芸能人の名前を入力しただけで、検索候補として不正商品名が表示される
  • 政府もアマゾンに聴取するなどの検討
  • アマゾンは出店者の行動規範にすべての法律と利用規約を遵守することを明記
  • 人工知能(AI)などの技術を使って出品物の監視
  • アマゾンは1週間に世界で数億件、規約を侵害する商品を排除

というような内容です。

 

コメント

全世界で、一週間に数億件の規約違反を排除しているとあります。ECをあまり使っていない人々も、世界中には多いはずですので、アマゾンにおける日本のシェアが1割と仮定して、日本でも数千万件の規約違反を排除している勘定になります。

 

数千万件、本当に排除できているかどうかは別として、少ない数ではなさそうです。

 

アマゾンが、自ら販売している商品では、このような問題は起こりませんが、マーケットプレイスでは起こりがちです。

アマゾンの販売ボリュームは絶対的なものがあるので、このルートに乗せられるかどうかは、業者としては死活問題です。

 

不正商品を販売している者は、通常は、自分のサイトとか、闇サイトとかで、販売するのでしょうが、もし、アマゾンのルートに乗せることができれば、販売量が稼げるので、不正認定されるまでの間に売り切れば、自分でサイトを土あげるよりは、早く目標の売り上げを達成できそうです。

 

アマゾンも、AIなどを使い機械的に、不正商品を発見しようとしているんでしょうが、限界があるんだろうと思います。

試しにアマゾンで、「広瀬すず」さんの名前を検索してみると、これは偽物ではないかというタペストリーがありました。よくわからない出店者です。また、同種の商品として、橋本環奈さん、有村架純さんもあります。

 

本物か偽物かは、タレントが所属する事務所はすぐにわかるでしょうから、定期的にアマゾンを巡回して、発見したら、アマゾンに抹消申請をしないといけないように思います。

 

アマゾンとしても、有名女優の名前があるものは、書籍やDVDとして正規に流通しており、コードがあるような商品以外は、受け付けないようにしないにしないといけないのではないかと思いました。

 

これを規制しても、違う種類の商品で同じようなことが起こりそうです。抜本対策は出店者の規制強化なんでしょうが、マーケットプレイスへの出店をしやすくすることと、矛盾するんだろうと思います。しかし、ある程度の規制は必要と思いました。

 

 

台湾の小室哲哉ビル

法的には考えさせられることが多い

Friday Digitalで、台湾で小室哲哉さんの名前など日本人の有名人の氏名を使った建物名称があるという記事がありました。

「小室哲哉マンション」…!?台湾で日本人名ビルが乱立の謎 | FRIDAYデジタル (kodansha.co.jp)

日本の著名人や歴史上の人物は、台湾でも有名。「表参道」「新宿」など地名もマンション名として使われているとあります。

 

コメント

この話は、捉え方が少し複雑です。

 

●まず、単なる名称の拝借の話があります。日本でも欧米の有名な地名を冠したビル、お店の店名など五万とあります。基本的には模倣は次の創造のために必要なものであり、模倣自体が悪いのではありません。

不正競争防止法や商標法に反して初めて、権利侵害の話になります。

 

●また、マンション名、住宅街の名称、ビル名は、商標法が予定する商品やサービスではありません。

ラーメン店、マッサージ店、カフェが、他人に対する便益の提供で、商標法が予定するサービスであるのに対して、「不動産」の名称は不正競争防止法は問題になりえますが、商標法上の商品やサービスではなく、商標登録の対象ではありません。

間接的に商標権侵害ということはありえても、直接的な商標権侵害にはなりません。

 

商標法は、歴史的に、産業革命や交通革命が起こり、国内市場が一市場になったことにより、商品の転々流通というものがおこり、それに対応するために、地域的な不法行為不正競争防止法での対応ではなく、全国的な商標登録制度を設けたという歴史があります。

 

不動産は、土地及びその定着物ですので、そもそもが住所と不可分であり、転々流通しませんので、商標法とはなじみません。

 

そのため、サービスマークが導入された現在においても、一番近い第36類でも、建物の管理、建物の貸与などは、サービスですが、「建物」自体は、商品でも、サービスでもありません。

 

基本は、建物の名称は、自由に名づけることができます。

しかし、有名なものを借用すると、不正競争になることはあります。

森ビル以外が、「虎ノ門ヒルズ」でないビルに、勝手に「虎ノ門ヒルズ」と命名するなどがあると、不正競争になることがあり、これは差し止めの対象になります。

 

また、この偽の「虎ノ門ヒルズ」が、建物の管理や、建物の貸与をしたときに、パンフレット、納品書、請求書に、「虎ノ門ヒルズ」と記載したとすると、間接的ではありますが、商標権侵害になると思います。

商標法による間接的な保護です。 

 

●もう一つ、商標法の話題ですが、今、日本の商標法が厳しすぎると話題になっている、氏名の問題があります。

商標法4条1項8号では、他人の氏名と同一の場合は、商標登録のためには、他人の了承が必要になります。その氏名が、自分の氏名であっても、すべての他人の了承が必要である点で、無理なことを要求するルールであると話題になっています。

 

人格権保護の規定であり、生存中の人にしか適用がないとされています。現在生存中の人物としては、小室哲哉さん、久石譲さんですね。織田信長徳川家康夏目漱石は、故人ですので、同意は不要です。

桜木花道は、スラムダンクの主人公です。いわばミッキーマウスのような空想上の人物名称です。4条1項8号の問題ではありませんが、出所混同の問題は生じますので、他の条項で拒絶になる可能性はあります。

 

氏名と不登録理由の台湾商標法を見ていると、次の拒絶理由の条項がありました。

第30条

13.他人の肖像又は著名な氏名、芸名、ペンネーム、屋号があるもの。但し、
その同意を得て登録出願した場合は、その限りでない。

 20180628_2139171811_20180628-新商標法(2016年12月15日施行)-j.pdf (chizai.tw)

 

「著名な」に限定している点で、承諾書が必要範囲が制限されており、すでに問題はクリアーしています。

人格権保護と簡単に片付けたした、日本法の説明が間違いなのですが、台湾はさすがです。

 

 

 

 

偽五輪グッズの摘発強化

フリマアプリのチェックと、会場等に捜査員

2021年6月30日の日経(夕刊)に、警視庁が偽五輪グッズの摘発を強化しているという記事がありました。

偽五輪グッズ、摘発強化: 日本経済新聞 (nikkei.com)

  • 聖火をギリシアから運んだ、TOKYO2020号の模型を中国から輸入販売してフリマアプリで販売したとして、男が逮捕。エンブレム等が刻印。31個を31万円で販売
  • 昨年10月にはエンブレムを刻印した偽のメダルでは逮捕、罰金
  • 今後は、予備鑑定捜査員が、聖火リレーのコース、競技会場周辺や繁華街で活動
  • 警視庁生活経済課員で、エンブレムなどについて研修を受講
  • 五輪、パラリンピックの商標を使った公式ライセンス商品は、数万点
  • 予備鑑定捜査員は、2004年から繁華街で高級ブランド品の偽物を販売する露店などの取り締まり
  • ブランド品以外の対応ははじめて
  • ラグビーワールドカップのときは、経済産業省が偽グッズを購入しないようキャンペーン。今回も官民挙げて

とあります。

 

コメント

警視庁の予備鑑定捜査員という人がいるのを知りました。

毎日新聞に少し詳しくでています。

警視庁、偽五輪グッズの摘発強化 現場で鑑定できる捜査員投入へ | 毎日新聞 (mainichi.jp)

  • 露店で販売される偽有名ブランド品の取り締まりを目的に警視庁が2004年に導入
  • 専門家の本鑑定を待つ間に露天商らの行方が分からなくなる恐れがあり、その場で捜査員が現行犯逮捕できるようにして機動的に摘発する狙い
  • 2019年のラグビー・ワールドカップの際はこの制度を運用しなかったが、会場周辺で偽グッズを販売目的で所持したとして、外国人3人を商標法違反容疑で逮捕した
  • 捜査員は15人
  • 大会終了後に組織委が解散するまで警戒に当たる

とあります。

 

昨日のマツモトキヨシの偽マスクも、微妙とは思ったのですが、商標法違反の容疑とありました。偽グッズの対応は、商標権侵害ですね。不正競争防止法ではなく、商標法は即効性があるということでしょうか。不正競争防止法事案でえは、現行犯逮捕は難しいのかもしれません。

 

商標登録があり、そのものズバリのロゴで、当該商品(上の例なら、飛行機模型)が公式グッズにないなら、商標権侵害は明らかです。

 

しかし、もし公式グッズにも、飛行機模型がある場合は、真贋鑑定が必要になります。そうなると、ちょっと手間がかかりますので、現行犯逮捕できないかもしれません。

 

公式グッズのサイトがあったので、2020年号の飛行機があるか見てみると、ありました。

1/200 東京2020オリンピック聖火特別輸送機 スナップインモデル | 東京2020オフィシャルオンラインショップ (tokyo2020shop.jp)

16,500円とかなりの値段です。

 

そうなると、現行犯逮捕をするには、公式グッズがあるかどうかだけではなく、公式グッズの特長と、偽物の特長まで見分けられる必要がります。

 

高級ブランド品の真贋観点は、例えば、コメ兵などが得意な点です。 

nishiny.hatenablog.com

 

しかし、これは、企業秘密のような点もあり、一般には公開していないと思います。

 

警視庁には警視庁のノウハウがあり、これは本物、これは偽物という真贋判定が、メーカーの助けがなくても、ある程度できるところまで、来ているということだと思います。

 

高級ブランド品の真贋鑑定のノウハウが、今回の五輪グッズの真贋鑑定にも生きているのだろうと思いました。

 

予備鑑定調査員は、警視庁のシステムのようですが、大阪府警なども導入してはどうかと思いました。

マスクの商標権侵害

マツモトキヨシの商品に酷似

2021年6月16日の朝日新聞(夕刊)で、マツモトキヨシのマスクに酷似したパッケージでマスクを販売したとして、千葉県警が男2人を、商標法違反の疑いで逮捕したという記事がありました。

  • マスクは、ネットや店頭に出回っていた
  • 非正規品には「マツモトキヨシホールディングスのオリジナル商品」との記載
  • 正規品と同じ「耳が痛くなりにくいマスク」の記載
  • しかし、正式なロゴマークがなく、正規品のマスク中央部に付いているワイヤがない

2021年6月17日の読売新聞にも、記事があります。

「耳が痛くなりにくい」偽マスク、マツキヨ商品に酷似…正規品と品質異なる | ヨミドクター(読売新聞) (yomiuri.co.jp)

  • 品質や作りは正規品と異なる
  • 昨年3月〜7月に、模倣品を含め、約5万3000箱のマスクを販売。価格は1000~2000円。9000万円以上の売り上げ
  • マツモトキヨシが、被害を千葉県警に相談。昨年5月には、ホームページに正規品と模倣品のパッケージを載せ、消費者に注意喚起

 

2021年6月16日のTBSニュースが、正規品と模倣品の特長がよく分ります。

youtu.be

 

コメント

昨年のマスクがなかったときに、マスクを販売していたようです。その時の価格としては、良心的です。

 

パッケージは酷似していますので、不正競争防止法違反というのは間違いなさそうです。

 

商標としては、正規品には、左上の黒色の略四角形の中に「matsukiyo」の文字があるのですが、模倣品には、このロゴがありません。

 

また、模倣品には、「(株)マツモトキヨシホールディングスのオリジナル商品です。」という記載があります。

 

「matuskiyo」ロゴの削除が商標権侵害かというと、通常は難しいと思います。真正品のマスクのパッケージから、ロゴを削除する行為は商標権侵害になるというのは聞きますが、模倣品のマスクのパッケージに、ロゴを入れないことが商標権侵害とは言えないと思います。

(この点で、商標権侵害にするには、特殊な論理展開が必要と思います)

 

もう一つの、「(株)マツモトキヨシホールディングスのオリジナル商品です。」は、虚偽であることは確かで、不正競争行為にはなりますが、「(株)マツモトキヨシホールディングス」の部分(商号です)を捉えて、商標権侵害といえるのかどうか不明確です。

 

マツモトキヨシ」という商標の類似範囲として、商標権侵害ということは可能かもしれませんが、文章になっているので、商標的な使用ではないという反論は可能です。

 

まあ、これは商標権侵害と不正競争防止法違反のセットの事案だろうなと思いました。

 

折角、皆が困っているときに、良心的な価格で販売するなら、下手なパッケージ模倣をしなければよかったのにと思いました。

 

ちなみに、千葉県は、マツモトキヨシの本社があるようです。

 

 

 

 

図書館蔵書がメール送信可能に

2023年6月までにスタート

2021年6月8日の日経に、図書館が蔵書や資料をメールやファックスなどで利用者に送信できるようにする改正著作権法が成立したという記事がありました。

図書館蔵書、メール送信可 「便利に」「販売減」: 日本経済新聞 (nikkei.com)

  • 来館せずに閲覧できる
  • 補償金の水準や、半分までとされる「著作物の一部分」の範囲が課題
  • 新潮社は、1ページいくらではなく、本の性質によって個別に対価設定を希望
  • 最近は、電子図書館も増加。4月で200超の自治体が導入
  • 今回のメール送信の需要は各図書館の文献資料や電子版のない専門書、論文集に偏る可能性
  • 有斐閣社長は、専門書の購入先が少なくなる危険性を指摘
  • ある図書館の周辺図書館が購入を控えるおそれ
  • 買うよりも安くなると、出版しにくくなると危惧

とあります。

 

コメント

8か月に、この話題がありました。 

nishiny.hatenablog.com

 

その時は、国会図書館になる絶版資料のオンライン送信の件だったのですが、上の日経の記事は、もう一つの論点の複写サービス(図書館資料のメール送信等)の話のようです。

令和3年著作権法改正の影響度と実務対応 - 図書館関係の権利制限規定見直し、放送同時配信等に係る権利処理の円滑化 - BUSINESS LAWYERS

 

上の記事は、著作権法改正ができたことを知らせるためのものですが、新潮社という大手出版社 と、有斐閣という専門書の出版社の取材をしている点が特徴でしょうか。

 

雑誌などを見ていて、論文を読みたいとしても、図書館まで足を運ぶ必要があるとすると、大学の研究者や学生ならまだしも、一般のビジネスパーソンには無理があります。

利用者からすると、今回のオンライン送信は、非常にありがたいように思います。

 

議論になっているのは、書籍の一部分というボリュームと、補償金の金額です。ボリュームが絞られ、金額が案外高くなるようです。

しかし利用者としては、ボリュームとしては、一冊の法律雑誌があったとして論文数本まではOKとしてほしいと思います。

また、金額も現在のコピー代金1ページ10円というのではなく、仮に冊子が1000円で、その10分の1を送信してもらえるなら100円という程度で、利用者に納得のいく金額にしてもらいたいと思います。

 

例えば、法律雑誌で、紙の冊子しかない場合、図書館はスキャナーを取るのでしょうか?それであれば、その手間は大変です。

 

紙の本、雑誌でも新刊本は、電子的に作成されているはずですので、電子で国会図書館に納本して、それを電子で受け取るというのがメインにならないと意味がなさそうです。

 

ちなみに、公立図書館では、1枚10円のコピー代ですが、国会図書館では税込みで26.40円だそうです。

複写料金表(遠隔複写)|国立国会図書館―National Diet Library (ndl.go.jp)

 

2023年6月までに仕組みが動くようですので、どのようになるのか、楽しみにしています。