Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

攻略!英語リスニング

4月から無くなるの?

NHKのラジオの英語放送に「攻略!英語リスニング」という番組があります。

cgi2.nhk.or.jp

毎回のスクリプトが大変興味深いものが多く、また、講師の柴原智幸さんの声が非常に良く(英語の発音も綺麗で)、楽しく聞いていたのですが、2017年3月末で終わるようです。

テキストの「講師からのごあいさつ」に、「今月でいよいよ本講座も終了です。」の言葉がありました。

理由は不明ですが、これは残念なニュースです。

これだけの美声で、この綺麗な発音の先生ですので、また別のところで、ご活躍されるとは思いますが、YouTUBEなり、なんなり、身近なところで何かやってほしいと思っています。

 

衝突安全装置の普及

弁護士業界へのインパク

先日、以前の会社の東京地区在住の昔の仲間との飲み会があり、鴨すきを食べに行きました。出席者から色々な話を聞いたのですが、一番、記憶に残ったのが、AI(人口知能)の車での活用の話です。


スバルの「アイサイト」を始め、各自動車メーカーは衝突回避などの運転支援システムを導入しています。

www.subaru.jp

これ自体は非常に良いことなのですが、今弁護士・弁理士をしている優秀な元後輩氏によると、弁護士業界にとって脅威になるのではと話題になっているということでした。


ここしばらく弁護士業界は、貸金金利について最高裁判決以降のバブルにあったようですが、バブルも終わりました。運転支援システムの普及で事故が減ることは彼らには大きな問題になるというのです。


自動車事故は、訴訟金額も高く、金銭面では大きな仕事であるようです。学校で習った「ambulance chaser」のようですね(アメリカは弁護士が多く、弁護士は救急車を見つけたら追いかけて仕事をとるという話)。


風が吹けば桶屋が儲かるではないですが世の中は複雑に絡み合っているようです。

日立マクセル

マクセルホールディングスに社名変更

2017年3月21日に、日立マクセルの社名変更のニュースがありました。
www.itmedia.co.jp
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/03/f_0321a.pdf

MaxellといえばTDKと並ぶカセットテープのブランドで、中高生のころは非常に身近なブランドでした。何本もMaxellのテープを持っていましたが、テープを聞くこともなくなり、引越しのときに全部捨てました。
マクセルの社名は、乾電池のブランド名「Maxell」(Maximum Capacity Dry Cell=最高の性能を持った乾電池)から来ているようです。

同社のホームページで、日立マクセルの沿革をみると、

  • 1961年に大阪の日東電工から乾電池と磁気テープの部門が分離して「マクセル電気工業株式会社」としてスタート
  • 1964年に「日立マクセル株式会社」となる
  • 2010年には日立製作所の完全子会社になり上場廃止
  • その後2014年に再上場
  • 今回出資比率が15%を切って持ち分法適用会社から離れ、
  • 社名を2017年10月から「マクセルホールディング株式会社(仮称)」として、日立の冠を取る

という歴史をたどっているようです。


コメント

経営的には、日立製作所が社会イノベーション事業にシフトするのでマクセルの事業が非中核事業になったのか、経営の自由度を高めるためには独立する必要があったというところでしょうか。

通常、日立の子会社になるタイミングで、社名に「日立」を冠し同時にブランドも「HITACHI」にするのに、同社はブランドを「HITACHI」にせず、ブランド価値の高い「Maxell」をブランドとして守り続け、最終的にブランドを冠した社名に戻るという事例です。
この間、経営的には信用・信頼・安定性などを、社名の「日立」冠称からもらい、営業面ではブランドの「Maxell」を前面に出すというブランド価値の二重構造を活用したのだと推測します。

日立はしっかりした会社のイメージがありますが、カッコよさという面では、「Maxell」は海外のブランドのようでカセットテープには向いていたように思います。

ブランドとしては、MaxellTDKと共に一世風靡したブランドですので、今でも全世界でブランド認知が残っています。今後とも、コンシューマ商品分野を中心に、この価値をどう活用するのかが焦点となると思います。TDKのようにブランドライセンスビジネスに入るのでしょうか。あるいは、自ら商品を作って(あるいはOEM、ODMを活用して)商売するのでしょうか。どのような動きになるのか、注目したいと思います。

日立の提供番組「世界ふしぎ発見」(TBS)の最後に「この木なんの木」のCMがあり、沢山の関係会社の社名が紹介されています。日立マクセルも以前はこの会社名表示に名を連ねていたこともあるのでしょうね。

イトーヨーカドーの看板(2)

不正競争防止法や商標法から見ると

一部の人は思っていると思うのですが、関西には滋賀県が地盤の平和堂アルプラザ)があります。平和堂のマークは、配色が違い鳩が二羽いる、青ではなく緑が使われているという差はあるのですが、よく似ています。下記の看板をご覧ください。

平和堂 テナント募集

このロゴの採用はWikipediaによると1974年ということです。一方、イトーヨーカドーの鳩のロゴはWikipediaによると1971年のようです。小売等役務の商標は2007年から、サービスマーク登録制度は1992年からですので、当時は全国をカバーする権利はないと考えるのが自然ですので、不正競争防止法違反にならない限り使用でき、双方ともドミナント戦略ですので出所混同はなかったのだと思います。1974年から2005年まで31年間共存したのですから、当事者同士は今更問題にすることはない話だと思います。

 

もう一つ商標的なトリビアですが、2005年から12年間使っておらず、3年以上の不使用期間がありますので、イトーヨーカドーの鳩のマークは不使用取消審判で取り消される可能性があります。

1996年の法改正前は、商標の更新に使用証拠が必要でしたが、今は不要となっています。よって、イトーヨーカドーに鳩のマークの商標権はあると思います。また、商標のライバルになる平和堂は、過去の経緯からも、何もしないと思います。しかし、模倣品業者を含めて権利にアタックしてくる人もいるので注意が必要です。

商標管理からすると、ブランド変更をするときは、意図して不使用取消対策のために、一部商品だけ使い続けるという方法も検討が必要しかし、世の中には虎視眈々と企業の脇の甘さを追及する人もいます。イトーヨーカドーの日本全国のどこかの店舗では、こんなこともあろうかと、誰かが鳩のマークを使い続けていたでしょうか。

しかし、TOPは商標の不使用対策よりは、方針の不徹底を嫌がります。せっかく作った方針は、徹底することの方が企業としては意味があるからです。ここは、TOPにも商標の不使用取消審判を理解してもらい、TOP同意のもとで、一定の対策を取っておくべきと思われます。

※ 今朝(2017年3月29日)、新聞のチラシを見ていたら、イトーヨーカドーのチラシがありました。ホールディングのブランドの活用度合が大きかっただけで、事業ブランドの「鳩のマーク」はずっと使い続けていたのですね。すみません。買い物にも行っているのに、あまり見ていませんでした。ごめんなさい。看板の方が、訴求力があるということでしょうか。

2つのマークを使うことは、難しいですね。

 

イトーヨーカドーの看板(1)

鳩のマークの復活

2017年3月21日の朝日新聞デジタルの記事で、イトーヨーカドーの鳩のマークが復活するというニュースがありました。
パナソニックのTechnicsの復活など、最近は、ブランドの復活というもの一つのブームです。

www.asahi.com

コメント

イトーヨーカドーは関西ではなじみがありません。関西には大阪発祥のダイエー三重県発祥のジャスコが多く(両方とも今はイオンですね)、イトーヨーカドーは当時は堺とか東大阪とかにしかありませんでした。しかし、1996年に横浜市に引越してからはお世話になるようになりました。
どの店舗も整理整頓や掃除が行き届いており、トイレの横にはウォータークーラーがあるなど、個性があるなぁと思っています。

このイトーヨーカドーの看板は鳩のマークで、ブルーと赤の配色の看板でしたが、2005年のセブン&アイホールディングスの発足に合わせて、「7&i」の看板になっていました。それが、今回、鳩のマークが復活するとのことです。

何やらTOPの退任と関係がありそうな雰囲気ではありますが、セブン&アイホールディングスの認知向上のために慣れ親しんだ鳩のマークを強制的に止めて「7&i SEVEN&i HOLDINGS」ロゴを使うよりは素直ではあります。

「7&i SEVEN&i HOLDINGS」ロゴは、「7 SEVEN ELEVEN」ロゴとイトーヨーカドーの「i」ロゴを組みわ合わせたものですが、主たる部分はSEVENロゴです。イトーヨーカドーセブンイレブンの事業をミックスするという当時のTOPの強い意図が感じらます。特に、同じグループ企業のレストランのDenny'sの看板にも、「7&i」ロゴととくっつけたり(2005年ごろはここまでやっていました)するのは少しやり過ぎだったと思いました。レストランのようなサービス業は、事業の個性を示すため、飲食の業態毎にブランドを分けるが通常です。
(しかし、ライバルのAEONも同じ傾向があり、徹底的に新しいブランドを徹底的に露出しようとしています。)

MISS SAIGON

25周年のミュージカルの映画

2017年2月23日の朝日新聞の夕刊で、新妻聖子さんからの紹介インタビュー記事があり、この映画を知りました。早めに事務所を出て、有楽町のTOHOシネマズ日劇にMISS SAIGONのミュージカルの映画を見ました。

www.asahi.com
ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン 2017年3月 映画館で限定上映決定!

夕方、18:15スタートで、間に5分の休憩があって、後半が終わり、更に10分の休憩の後にオリジナルキャストによるカーテンコールがあり、終了は21:35分で合計3時間20分という長い映画でした。

平日の夕方なので半分程度の入りで、見に来られていた方は女性が多く、7~8割は女性だったように思います。

2001年に香港の法律事務所に短期留学したときに、ワールドツアーで香港に来ていたMISS SAIGONのミュージカルを見たことがあり、粗筋は覚えていました。ベトナム戦争時のサイゴンでの純愛とアメリカに帰国した後の妻との純愛が交錯し、悲劇に終わるというものです。

今回の映画は、2014年のロンドン公演を映画にしたもので、多少の映像効果は追加されているものの、ほぼ、劇場の雰囲気を伝えているものです。

演出は、龍の踊り、ホーチミンの顔のオブジェとベトナム国旗、エンジニアの動き、ヘリコプターなど、香港で見たのと同じでした。

今回のキム役の「エバ・ノブルザダ」の声が非常にかわいいらしい声で、もう一人の準主役の女性(ブルゾンちえみ、キンタローにみたいな髪型の人でした)のこれぞミュージカルという声と好対照でした。

二人の女性の間で心が揺れる元米兵の姿を見て、男はあかんなぁーと思いました。特許的に言えば、先願主義やろと言いたいところですが、悲劇に終わらないと物語になりませんね。

あと、面白かったのは、カーテンコールで出てきた初演のときの俳優が、主役のキム役の方以外は、東洋人も黒人もおらず白人ばかりだったのが、25年たった2014年版ではその役にふさわしい人種の方がバランスよく配役されていたことです。ミュージカル人材の層が厚くなっているのだと思いました。

グランドセイコー GS

SEIKO、Grand Seiko、GS

www.grand-seiko.jp

2017年3月23日の日経に、セイコーホールディングスが高級腕時計シリーズの「グランドセイコー(GS)」のブランド力強化に乗り出すという記事がありました。見出しには『セイコー「GS」てこ入れ』とあり、その記事では次のようにありました。引用しますと、

現在は文字盤の12時の位置に「SEIKO」、6時の位置に「GS」のロゴを入れているが、今後は12時に「GS」を置く。24日に限定発売する初代グランドセイコーの復刻版から採用する。

この記事を見て、てっきり「SEIKO」ロゴを外して「GS」ロゴをブランドにするのかと思いましたが、セイコーウォッチ株式会社の翌日24日の広告で見た復刻版には、12時の位置にレトロな文字の「Grand Seiko」の文字がありました。SEIKOの言葉のない「GS」ロゴ単体はないと思っていたので、「Grand Seiko」で少し安心しました。ただ、これは復刻版であり当時のデザインを採用しただけで、今後のグランドセイコーは、GS/Grand Seikoのセットロゴになると思われます。(GSの方が先に記載され大きいので、メインはGSロゴとも見えます。この意味では新聞の表現は正しいようです。)

コメント

SEIKOブランドは、日本ブランドの象徴です。そして、SEIKOブランドの復活は日本ブランドの復活の象徴につながりますので、是非、頑張ってほしいブランドです。
クォーツ時計で一世風靡をおこし、日本の工業製品の機能、性能の高さのシンボルとなったブランドです。海外の高級ラグジュアリーブランドもセイコーシチズンのムーブメントを使っていると聞きます。
しかし、クォーツ時計は陳腐化してしまい、安物時計と機能面での差がなくなり、それに伴い日本のSEIKOやCitizenの時計の人気が下がり、反対に欧州の高級腕時計の人気が高まっていました。日本の時計で海外人気があるのは、CASIOのG-Shockのような個性が明確なものだけになりました。

セイコーも、SEIKOブランドの価値を守るために、低価格帯にはALBA等の別ブランドを導入したり、高級ラグジュアリー商品としてCREDORブランドを使うなどの対策を取られていますが、CREDORなどが売れたとしてもSEIKOブランドの価値向上にはつながりません。やはり社名でもあるSEIKOブランド自体の人気が出ないことには盛り上がりません。

本当は、SEIKOロゴのままで高級商品を出し、その商品が人気が出てSEIKOロゴのまま売れるというのが理想です。
しかし、SEIKOの場合、マスの顧客も相手にしますので、苦労があります。

50万円以上もするグランドセイコーの商品と、1~2万円の商品もある通常のSEIKO商品と明確に区別できることが必要です。製品デザインや質感の差別化もあるでしょうが、ブランドやロゴの差別化も必要になります。そのため、従来は、メインのSEIKOロゴとサブのGS/Grand Seikoロゴのダブル表記でした。
しかし、サブのロゴ表示では差がわかりづらかったのだと思います。SEIKOロゴしかないと、高級時計を身に着けているのに安いSEIKOの時計を使っていると見られるためです。はっきり、高級品と一目でわかるロゴが必要なのでしょう。
よって、「GS/Grand Seiko」をメインに打ち出すのも、わからなくはありません。

グランドセイコーの商品は、GS/Grand Seikoロゴがメインになるとしても、ロゴの構成中にSeikoの言葉が入っていますので、SEIKOブランドの露出にはなります。しかし、最終的に伸ばすべきは、SEIKOブランドの価値です。今回、SEIKOのホームページを見てると、高級販売店網を整備しようとしているようです。SEIKOのお店で、そこにはSEIKOロゴがあるようです。製品のブランドは、GS/Grand Seikoでも、販売のブランドはSEIKOということで、直営のSEIKO PREMIUM BOUTIQUEで、CREDORなどと一緒に販売するようです。

セイコーウォッチの社長の服部真二さんのメッセージが出ていました。
www.seiko-watch.co.jp