Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

商標担当者になったときに読む本(その4)

ベテラン商標担当者とのはじめての対話

B知財部長の話は、30分ほどで終わりました。来週あたりで、部で「私」の歓迎会をしてくれるとのことです。

B部長は経理に説明することがあるとのことで、時計を見ながら退出しました。相当、忙しそうです。

 

替わりに、直属の上司になるA特許出願課長とC嘱託社員が入ってきました。A課長からはパワーポイントを使っての説明です。ここ数年の国内外の特許出願件数の説明、重点技術分野、主要な係争事件など、主に特許の話の説明を聞きました。

A課長は入社以来ずっと知財部で、今は50歳代。特許のことは相当詳しいようです。契約や事件関係は別のD課長がいるのですが、A課長は、昔は契約もやっていたようです。

ただ、商標は畑が違うので、自分では指導できないと言います。

 

Cさんからは、国内外の商標出願の状況と、この会社の商標(ハウスマーク)の歴史についての話がありました。この会社は、戦後に出来た会社ですが、すでに70年の歴史があります。その間に、数回、ハウスマーク(ブランド)の変更があったようです。また、現在のブランドになって以降も、ロゴは数回変更しています。ただ、そのロゴの変更は1973年を最後にストップしていると言います。

ロゴマークの変更があるときは、予算がついて、国内外に広く商標出願するチャンスなのです。それがブランド変更やロゴ変更のある時期は出来ていたのですが、1973年以来は、大型のブランド出願が出来ていないというのです。

そのため、必要な国で、必要な権利取得が出来ていないときがあり、ここは課題だと言います。

この会社は、ある程度多角化に成功しており、以前の主力事業以外に、複数の事業が成長してきており、それらの事業はサービスも絡んでいると言います。この成長事業の外国でのブランドの出願が十分ではないようです。

 

また、Cさんは、ハウスマーク以外のペットネーム(ネーミング)にも、意見があるようです。アイキャッチの高い、駄洒落ネーミングや、国内では通用するが海外では通用しないネーミングが多く、本格ネーミングが少ないと感じているようです。ネーミングにも、品位品格が必要と考えておられるようです。

 

さらに、最近、広報・宣伝部門とは拠点が異なり、違う街にオフィスがあるので、意思疎通が十分でないという言います。以前は、本社にすべての部門がいたので、商標の話になると相談が直ぐに来たし、ネーミングの会議などがあると、会議に来てくれと言われたようです。ところが最近は、書面やメール中心の連絡になり、血の通った関係になっていないと言います。

 

このあたりが課題なのかなとなんとなく思いながら、知財部の導入受け入れが終わりました。