Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

マーク・ザッカーバーグ

新たなビジョンの公表 

2017年2月18日(土)の日経新聞によると、FacebookのCEOのマーク・ザッカーバーグは、Facebookの新たなビジョンを発表したとのことです。

従来のFacebookは、友人や家族をつなぐことに注力してきたが、今後はコミュニティのために社会インフラを築くことに集中する、とのことです。

トランプ大統領の選挙でも偽ニュースが話題になっていたように、SNS上の偽ニュースは大きな問題ですが、Facebookには、この対策の遅れが社会の分断を深めてしまったとの反省があるようです。そして、その対策として、今後のFacebookは、人々の対話や交流、相互扶助を後押しするとのことです。

 

一言コメント

以前の「友人や家族をつなぐ」とか、今後の「コミュニティのために社会インフラを築く」とか、その会社やブランドは、何を目指しているかということを、企業のTOPが、明確な言葉にまとめて、発信するということが、非常にブランド戦略的だなぁと思いました。

SNSも、インスタグラムとか、LinkedInとか、新しいものがどんどん出てきます。Facebookでさえ、時代の最先端ではなく、改善が必要な部分があるのだと思います。

企業のTOPが、その企業やブランドの課題を明確にして、変革を言葉(ビジョンやプロポジション)で表現して、それをTOP自ら社会に発信するという点で、まさに、ブランド戦略のお手本になるような事例と思いました。

日本企業でも、徐々に、ビジョンやプロポジションの重要性は認識されてきていると思いますが、TOPの発信が強いインパクトを持ったニュースとなり、社会に受け入れられるという点では、海外の企業に負けているように思います。個人の知名度や人気という面もあると思いますが、打ち出す事業戦略そのものが、本質的で、大胆なような気がします。

なお、蛇足ですが、マーク・ザッカーバーグについては、ちょっと前の映画で、「ソーシャル・ネットワーク」という映画がありました。関心があればご覧ください。

ハーボニー(C型肝炎薬)

透明包装に

2017年2f月17日の日経新聞によると、奈良県の薬局で、C型肝炎薬の偽造品(模倣品よりも、きつい言い方ですね)が出ていた「ハーボニー」の問題ですが、3月1日からパッケージを変えて、従来のボトル包装から、中身の見える透明シート包装に替わるようです。

透明シート包装に替わることで、中身が確認できるため、偽造品対策に有利になるとのこと。

もともと、ボトルが開けにくいという声があったことで、シート包装への切り替えを準備していたのを、今回の事件を受けて前倒ししたようです。

 

一言コメント

偽造品対策のためにパッケージを変えるというと、グリコ森永事件の後、一時、お菓子のパッケージが非常に厳重なものになっていたのを思い出します。

最近は、簡易な包装になっているようですが、厳重パッケージをやめたというよりは、開けたらわかるパッケージになっているようですね。企業として安心・安全をお客様に提供するにはパッケージや流通ルートをしっかりしたものにすることが一番です。

模倣品、偽造品というと、中国の話で、日本では関係ないと思っていましたが、ネットの普及や流通ルートの多様化で、最近は日本でも他人ごとではなくなってきているように思います。

数年前に有名家電量販店で時計の並行輸入品が模造品だったとわかったとかいうニュースがありました。中国のサイトには沢山の模倣品が販売されています。個人輸入の斡旋サイトあります。

このような被害が出ている企業は、法的な対策として、税関登録が必要なのだと思います。

知的財産ホームページ (税関の知的財産権のページ)

知的財産の輸入差止申立情報:商標権 : 税関 Japan Customs (輸入差止申立の事例)

日本企業のブランドランキング

インターブランド “Best Japan Brands 2017”

https://www.interbrandjapan.com/ja/data/Interbrand_BJB2017PressRelease170216.pdf

2017年2月16日に、毎年恒例のインターブランド社の日本企業のブランド価値ランキングが発表されました。

同社のグローバルのブランド価値ランキングは、ブランドを冠する事業の海外売上げ比率が30%以上ないといけないことになっています。そのため、日本では有名だけれども海外売上げ比率の低いブランドはランキングされません。そこをあえて公表しているのがこのランキングで、2つのランキングからなっています。

一つがJapan's Best Global Brands 2017で、海外売上げ比率が30%以上のブランドのランキングです。もう一つがJapan's Best Domestic Brands 2017で海外売上げ比率が30%未満のブランドのランキングです。この二つをセットで、Best Japan Brands 2017としておられます。

ということで、Globalの方は、10月ごろに発表されたものの、日本企業のブランドのランキングですので、すでに公表済みのもので、新規性はありません。一方、Domesticは意味があります。

どうしても、Panasonicを中心に見てしまうのですが、Panasonicのブランド価値が63.65億ドルでGlobalで7位ですが、国内にはNTT DOCOMOが95.43億ドル、Soft Bankが63.97億ドルというPanasonicの上のブランド価値を有するブランドが二つあるということになります。

インターブランド社のブランド価値ランキングは、ISO規格にもなっているようで、株式の現在価値を算出するような考え方で、ブランド価値を算出しているので、現在の客観的なブランド価値を評価するのには役立ちますが、それを企業のブランド戦略でどのように活用していくかはいろいろな考え方があると思います。

その企業のメインのブランドですので、M&Aされることでもない限り、直接的には役には立ちませんが、定点観測にはなるので参考指標となることは確かです。

平成28年度 意匠制度の改正に関する説明会

意匠の国際登録(ハーグ協定)と意匠制度の改正

2017年2月17日(金)に、横浜で意匠の国際登録制度と、それに関連した意匠制度の改正についての説明会に行ってきました。講師は、特許庁の意匠課の意匠審査基準室の方でした。

意匠の国際登録は、2015年5月13日から受付を開始しているようです。ハーグ協定についてはおさらいということでしたが、制度の周知方を図ることが一つの目的のようです。一方、ハーグルートで外国から入ってくる出願と通常の日本出願であまり差があってはいけないので、使い勝手を良くするために審査基準の改正をしているということで、意匠審査基準の説明がありました。

2005年からブランドマネジメント室に異動になり、ここ12年ほど、商標権取得のお金の算段と弁理士会の研修以外、知財にはノータッチだったので、今日の意匠の話は、新鮮な気持ちで聞きました。

日本を指定した国際意匠出願が、一年間で2500件程度あり、日本人が出願する国際意匠出願も一年間で800件ほどあるようですので、制度自体は、よく活用されていると思います。現在、ハーグ協定には、EU、韓国、米国、日本が入っているようで、中国、ロシア、英国、カナダ、ASEAN諸国はこれからということでした。

企業活動におけるデザインの重要性は、高まりこそすれ、減少することはないのですが、日本の意匠制度は、最近、元気がないように思います。出願に費用が掛かりすぎるのか、審査が遅いのか、権利行使しても権利者不利の判断が多いのか、どこかに問題があるのだと思いますが、まだ、私自身、良くわかっていません。これから研究したいと思います。

後半の話ですが、国際登録で海外の作法に基づく意匠が、日本に入ってくるので、新規性喪失の例外との証明書とかアメリカのような影を表すための線を認めるように審査基準を改定しようとするのが、意匠審査基準改定のようです。ユーザーの意見も聞きながら検討しているようだし、現在パブリックコメントを募集中ということでしたが、新規性喪失の例外はあまり変わっていないようだし、図面等もそれほど前に進んだ感じはなかった。

ヘビーユーザーのプロは、どうしても現状肯定型の意見になりがちであり、意匠を活性化するには、今、意匠制度を使っていない人に意見を聞くべきではないでしょうか。

 

 

プレミアムフライデー

来週末にスタート

2017年2月17日の朝日新聞によると、2月24日(金)からプレミアムフライデーが始まるようだ。毎月、月末の金曜日に仕事を「午後3時」に終える試みで、働き方改革と消費拡大の双方につなげるものとのこと。

住友商事大和ハウスは、毎週金曜日を有給休暇の取得推奨日にして、年休や半日年休を取得することを推奨しているらしい。

経済産業省のホームページによると、いろいろと解説がありました。ただ、「午後3時」というのは、どこに書いてあるのかわかりませんでした。 

www.meti.go.jp

給料日の後の月末の金曜日には、平均消費額が高くなる傾向が見られています。そこで、この月末の金曜日に、消費者がプレミアムと感じるモノやコトを味わうことで、日常より少し豊かな時間を過ごすことが出来る、プレミアムフライデーを提案しています。個人が幸せを感じられるライフスタイルへと変化するきっかけとなり、また、価値のある商品・サービスに対し適正な対価が支払われることで、デフレ的傾向を変えるきっかけとなることが期待されています。

プレミアムフライデーについては、マークが準備されており、希望する会社は無償で使えるようだ。詳しくは下記のプレミアムフライデー推進協議会事務局まで。経済産業省の委託事業で博報堂が、この事務局をやっているようです。

premium-friday.go.jp

 

一言コメント

この取組みが、どの程度の広がりを見せるかは、今のところ不明です。日本は週休3日に向かっていくのでしょうか?1989年に学校を出て、働き始めたころ、私はメーカーで週休二日だったのですが、役所の友達は隔週週休二日で、土曜日は午前中だけの半日でした。また、2001年に香港に短期留学したとき、香港の法律事務所は、週休二日ではなく、土曜日は午前中だけの半日でした。このときは、日本のメーカー勤務でよかったと思いました。

推進協議会の委員名簿を見ると、流通業界の業界団体の代表のお名前がずらりと並んでおり、消費拡大を狙った施策ということがわかります。有給休暇の放棄日数が多いので、半日年休なら年間で6日で、特に問題ないのかもしれませんね。

 

 

ADRセミナー

知的財産に関する仲裁・調停(ADR)の活用セミナー

本日、弁理士会館で開催されたADRのセミナーに行ってきました。

講師は山内康伸先生。「ADR」とはAlternative Dispute Resolutionの略で、代替的紛争解決という意味で、日本では「裁判外紛争解決」といわれるもの。商標契約でも仲裁条項を入れることが多く、仲裁という言葉は良くみる。

今日の話の要点は、①仲裁と調停の違い。仲裁は裁判に近いもので、仲裁人が裁判官のような役割を果たすが、調停は当事者の話し合いに調停人が加わり、話し合いにより和解案を探るもの。②調停は、勝ち負けではなくWin-Winの関係を模索するものであり、中小企業などを中心に、もっと調停を活用すべき。③ADRの中でも、仲裁は実際は少なく、調停がほとんど。

日本には、日本知的財産仲裁センター(以下、仲裁センター)というものがあり、日本弁護士連合会と日本弁理士会が母体になり、1998年3月に設立されたものがあり、日本で唯一の知財専門のADR機関ということ。だいたい、弁護士と弁理士がセットになるようです。2003年など、20件超/年の仲裁・調停案件があったようだが、2014年、2015年と5件以下になっている様子。

今回の研修も、制度の利用促進を目指した研修のようだ。また、仲裁センターのADR推進機構は、企業の知財の業界団体である日本知的財産協会にも、アンケートをしたり、意見交換をしたりしているようで、周知徹底をしているようだ。

確かに、裁判に行くと公開が原則になるので、知財紛争があること自体を知られたくないようなケースでは、調停を中心としたADRはもっと活用されてよいと思いました。そのためにも、調停人、仲裁人となる我々弁理士は、これも我々の職務という意識改革が必要だと思います。

ちなみに、仲裁センターは、JPドメインの紛争のパネルにもなっており、こちらはもう少し件数があるのだと思う。

弁理士会の研修

グローバル人材育成研修

2017年2月9日(木)に、2016年10月20日(木)から5回にわたって行われた弁理士会のグローバル人材育成研修が終わりました。事前の宿題提出もあり、Web研修や弁理士倫理の集合研修を含めて、今まで受けた弁理士会の研修の中で、一番大変な研修でした。

この研修は、弁理士会会員が国際会議に参加したときに、プレゼンや質疑応答、パーティーでのスモールトークなどの社交スキルを磨こうというもので、同時通訳で有名なインターグループの協力のもと行われるもの。

初回は、インターグループの日本人講師による、通訳者になる人には必要だろうと思われる強烈な授業からスタートし、英語の会議のキーフレーズなどを学んだ。また、後半はドイツ人の女性の先生による英語プレゼンの説明があった。英語プレゼンでは原稿を読んでも良いということで日本の流儀とは違うようだ。

第2回以降、夕方6:00から夜9:00までの研修で、私は、商標Bチームに入り、「新しい商標」と「不使用取消審判」のプレゼンをまとめ、発表して、コメントをもらった。最終回は、夕方に霞が関ビルの35Fの東海大学の会館での立食パーティーがあり、研修は終了。

将来、INTAやAPPAの国際会議に参加するチャンスがあれば、この研修も生きてくると思う。3月からの転職に向けて、何かの契機になればと思っています。