完全にはなくならないらしい
2019年6月5日の朝日新聞に、「iTunes 18年の歴史に幕 アップル、機能ごとにソフト再編」という記事を見ました。
- iTunesが幕を下ろす
- 新マックOS「カタリナ」には搭載しない方針
- 機能を、ミュージック、ポッドキャスト、TVの3つのソフトに引く継ぐ
- 機能ごとに再編することで、使いやすく
- 従来のマックOSや、ウィンドウズOS向けには引き続き提供
- iTunesは、2001年登場。2003年にミュージックストアを追加
などとあります。
コメント
この記事の見出しは、どうやら、ミスリードのようです。
新型のOSであるCatalinaには、iTuneが搭載されていないというだけであり、iTunesが無くなるわけではなく、ダウンロードで購入をしたいときは、引き続き、iTunesから購入してくださいと、Appleのリリースにあります。
Apple、macOS Catalinaを発表 - Apple (日本)
良くいわれるように、ストリーミング型が主流になり、ダウンロード販売は低迷しているということを象徴するような見出しですが、実はAppleにとっては、ダウンロード販売はまだまだ大きな商売であり、急になくなるわけではないそうです。
ASCII.jpに、詳しい説明があります。
https://ascii.jp/elem/000/001/870/1870818/
それは、さておき、日本の新聞記事は、縦書きであり、アルファベットはカタカナ書きすることになっていますし、字数が増えることを極力避けようとします。まさに、この記事にその響がでています。
- 機能を、ミュージック、ポッドキャスト、TVの3つのソフトに引く継ぐ
という部分ですが、
これは、Apple Music、Apple Podcasts、Apple TVのことのようです。
ちなみに、ポッドキャスト=Appleというイメージはありますが、完全にそうでないようです。
「ミュージック」、「TV」といわれたときには、何のソフトなのか、全く分かりません。
さて、Music、Podcasts、TV、は普通名称の部分ですが、それに、企業名(ブランドネーム)のAppleを付けて、ネーミングにしています。
この方式は、日本企業のブランドマネジメントや商標管理では、避けるように指導されることが多いのですが、Appleではやっています。
それも、戦略商品的な重要商品(ソフトウェア)に、Apple冠称名称を付与しているようです。
安易にブランドを冠した商品名を認めると、メインではない、しょうもない商品がブランド冠称名称を使ってしまい、ブランドの価値を下げます。
一方、ブランドを冠した商品名やサービス名は、戦略商品の名称としては消費者には理解しやすいものです。
このようなネーミングの管理を、ちゃんとやっている商標部門は、少ないと思います。企業の商標部門は、権利問題(クリアランス、権利取得、模倣品排除など)を扱い部署という認識があるためです。
宣伝部や広報部が、しっかり、統制を取っていれば良いのですが、これらの部門も、そこまでやっていません。
そうなると、ブランドマネジメント部門の出番なのですが、ネーミングを統括しているブランドマネジメント部門が、日本企業にどの程度あるのかなという気がします。
ということで、日本企業では、一般的に、ブランドを冠したネーミングは禁止とせざるを得ないのだと思います。
ただ、皆、あまり、認識はないのですが、関係会社の社名は、この「ブランド+業態を表す普通名称+株式会社」になっています。
「株式会社」の部分は、表現されないことも多いので、組織を示すものとして、「ブランド+一般名称」は案外あります。
商品やサービスを示すのか、組織を示すのかは、よく似ているようですが、組織はただの器であるのに対して、商品やサービスはより具体的なので、当該名称の定義が必要になり、そのあたりで、両者はだいぶ違うのだと思います。
外国商標をやっていると、例えば、識別性のない言葉とブランドをくっ付けて、登録を取るという運用がありますが、これは、登録を取るための便法という面と、ブランドを冠した本格ネーミングという面の両面があります。
日本企業がこのブランド+商品名の方式を嫌がるのは、三菱、三井、住友のどの旧財閥ではないですが、欧米企業に比べて、何でも取り組んでしまう、日本企業の際限のないブランド拡張傾向に原因にあるのではないかと思っています。
Appleの外縁と、グループのブランド外縁では、全く違います。例えば、Mitusbishi Music、Mitsubishi Podcasts、Mitsubishi TVは、MitsubishiにAppleのような特定のイメージが薄いために、言葉として使いにくいのではないかと思います。
これは、Panasonic、SONYであっても、多少は狭くなりますが、ほぼ同じレベルです。
また、各グループにある、三菱社名商標委員会などの影響もあるかもしれません。
グループブランドとネーミングを峻別しているようです。