Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

FANG・MANT

次に来るのはSLAW

2017年12月30日の日経の「きょうのことば」で、世界を席巻している米国のIT企業8社の頭文字を並べた造語である、FANG・MANTという言葉を知りました。

www.nikkei.com

その頭文字の会社は次のようになっています。

FANGについては、F=フェイスブック、A=アマゾン・ドット・コム、N=ネットフリックス、G=アルファベット(グーグル)であり、

MANTについては、M=マイクロソフト、A=アップル、N=エヌビディア、T=テスラ

 

これらのIT企業の株価は、2017年に大きく増加しており、記事によると、その上昇率は次のでした。

F フェイスブック 55.8%

A アマゾン・ドット・コム 59.9%

N ネットフリックス 51.7%

G アルファベット(グーグル) 36.%

M マイクロソフト 36.9%

A アップル 44.2%

N エヌビディア 107.7%

T テスラ 52.2%

2017年の株高は、これらのIT大手の成長が原因とあります。

また、アジアでも、中国のテンセントやアリババ集団の時価総額は倍増しているとあります。

 

一方、2018年1月4日の日経(夕刊)には、2018年の株式市場で、FANGの次に来る企業として、SLAWを紹介しています。(ただし、SLAWは、未上場)

www.nikkei.com

SLAWとは、S=スポティファイ、L=(ライドシャアの)リフト、A=エアビーアンドビー、W=(シェアオフィスの)ウィーワークでらり、IPO(新規株式公開)への期待が高いようです。

記事では、ウーバーがIPOを急ぐあまり企業文化が歪んだといわれているとありました。

 

コメント

FANG・MANTは、検索すると、少し前から株式市場の関係者では使われていた言葉のようです。

FANG・MANTの中で、知らなかったのは、エヌビディア(Nvidia)です。エヌビディアは、画像処理半導体GPU)の会社で、ゲームのCG(コンピューターグラフィックス)を滑らかに動かす装置で、大量のデータを同時に処理する並列処理能力の高さからAI(人工知能)に利用されるようになったとあります。

www.nikkei.com

SLAWのうち、知らなかったのはリフトとウィーワークです。

まず、リフトは、ウーバーのライバルのようです。リフトの社長は、日本では三木谷さんと中が良いようです。ソフトバンクはウーバーに投資したようですが、楽天ソフトバンクが競い合っているようです。

business.nikkeibp.co.jp

もう一つの、ウィーワークは、シェアオフィスで、ソフトバンクと同社のビジョン・ファンドが出資しているとあります。

www.bloomberg.co.jp

オシャレな空間で静かに作業できるし、人とのつながりが得られる場所ということで、起業家やフリーランスに人気のようです。

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さすがに、ソフトバンク楽天は、既に目をつけているのですね。

 

阿修羅の集客力

興福寺の国宝館で感じたこと

2018年の元旦に、奈良の興福寺の国宝館に行きました。興福寺の国宝館は、阿修羅像など、興福寺の仏像などを展示しています。耐震補強のため、1年間休館していましたが、2018年1月1日にリニューアルオープンしました。

yamatoji.nara-kankou.or.jp

奈良時代の食堂(じきどう、僧侶が食事をする建物)の遺構の上に、食堂の建物を再現したということです。もっと斬新な建物になるのかと思っていましたが、今回は耐震補強ということで、外観は以前と同じです。

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内装はだいぶ綺麗になっています。トイレやおみやげ物の販売コーナーもあります。規模は小さいですが、最近の博物館や美術館と遜色ない綺麗な内装になっています。

 

この国宝館には、有名な阿修羅像があります。それも、ガラスケースに入っておらず、直ぐそこに立っています。昨年、運慶展に行きましたが、大きな仏像はケースに入っていないものもありましたが、有名はものはガラスケースに入っていました。

 

結婚する前、25年ほど前に、夏にふらっと立ち寄ったときには、修学旅行の中高生だけだけで人気も少なく、蝉の声だけが聞こえ、ゆったりとした時間を独占できる場所でした。

今回は、阿修羅などにスポットライトを当てていたのですが、以前は、スポットライトなどはありませんでした。

 

昨年の運慶展で人気だった、龍燈鬼立像、天燈鬼立像もありました。興福寺の国宝館は、お宝の宝庫です。

www.kohfukuji.com

 

2009年に阿修羅展が上野であったときは、2カ月ちょっとの会期中に、94万6172人という人出で、相当な混雑だったようです。1日、1万人以上です。待ち時間もだいぶあったと思います。

先日の運慶展でも、90分待ちでしたので、覚悟していたのですが、なんと。。。待ち時間「0」分です。たまたまかもしれませんが、これは、一体どうしたことなのでしょうか?

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東京で開催すれば、万の人を呼べるコンテンツなのですが、奈良では集客できないということなのでしょうか?

 

しかし、お隣の奈良の国立博物館正倉院展は、毎年秋に開催しますが、多くの人が来ます。2017年は、17日間の会期で、入場者数は21万7053人とありました。奈良でも、一日1万人以上です。

 

東京と奈良の違いはありますが、遜色はありません。また、近くの春日大社には、初詣には95万人の人出があるそうです。

 

二つの理由を思いつきました。

 

一つ目の理由は、日常とイベントという関係です。奈良では興福寺はずっとそこにあり、阿修羅もその他の仏像もいつでもそこにありますので、行きたいときにはいつでもいけます。日常です。一方、東京や関東の人にしてみれば、奈良まで行かないと滅多に観ることができない阿修羅を観れるイベントが近くの上野でやっているので、この機会に行こうという気になります。

大阪人で、通天閣に行ったことが無い人がクラスのほとんど(昔はそうでした)というのと同じです。

 

二つ目は、興福寺にはあまりアピールする気がないということです。興福寺のWebサイトを見ました。一応レスポンシブ・デザインにはなっており、スマホなどにも対応していますが、あまり使いやすいとはいえません。また、英語サイトが非常に貧相です。Facebookもやっていません。

周辺の観光系の公益法人、鉄道会社、出版社などが放っておいても、勝手に宣伝してくれるので、自らアピールすることに力が入っていないのではなかと思いました。

宗教法人があまり宣伝に力を入れるのも、いかがなものかと思いますが、博物館や美術館との差があまりに大きいので、その落差に驚きました。

 

奈良は、以前は、若い外国人バックパッカーが多かったように思いますが、今は、彼らは目にすることが少なくなり、アジアを中心とした全世界からの観光客でごった返しています。英語、中国語、韓国語、タイ語、その他で、積極的に広報発信してはどうかと思います。

 

奈良の大通りである登大路(のぼりおおじ)には、この1年、平成30年1月1日興福寺リニューアルオープンの看板(日本語)はありましたが、それだけでは近所の人しか見てくれません。

 

ただ、25年前の、のんびりした奈良も、奈良の魅力の一つです。そこまで考えて、あえて広報・宣伝に力を入れていないのなら、それも一つの方針ですが、どうなんでしょうか。

通信特許ライセンスのアバンシ

BMWと契約

2017年12月25日の日経に、通信特許ライセンスの各社の主要特許を取りまとめてライセンスするアバンシが、BMWにライセンスをしたという記事がありました。

www.nikkei.com

  • 米国企業連合組織のアバンシが、BMWと包括的ライセンス契約の締結合意
  • アバンシは、エリクソンパナソニックなど、無線通信の主要技術を持つ企業の連合組織で、ライセンス交渉を取りまとめて行う
  • メンバー企業で4Gまでの通信規格の主要特許の約半分を占める
  • 通信と自動車という異業種間の大規模交渉で合意したのは初めて
  • BMWは通信関連の車載部品がある場合、生産する自動車1台あたり3~15ドルの特許料を支払う
  • アバンシは同じ価格基準の適用を前提に、日本メーカーを含む他の自動車大手ともライセンス交渉を進めていく方針

 詳しくは、日経新聞の記事をご覧ください。

 

コメント

面白い記事だと思いました。

 

一つの製品に多くの特許が入る電機や通信機器では、差止請求ではなく、ライセンスを中心にして考えざるを得ず、特許の数が非常に多い場合には、このような企業連合が生まれるのだと思います。DVDやMPEGの手法です。

 

一社毎にライセンスするのは、大変ですので、このアバンシのように取りまとめてライセンスができれば、自動車メーカーにとっても、電機や通信機器メーカーにとってもメリットがあります。卸売り会社と同じ機能だなと思いました。

 

今回は、電機・通信機器と自動車という点が注目されています。昔であれば、部品納入先は部品メーカーへの特許補償の要求で対応したいところでしょうが、IoTはそのレベルを超えているのだと思いました。そもそも、過度な特許補償の要求は優越的地位の利用のようにも思います。

nishiny.hatenablog.com

 

特に、注目したのは料率です。部品ではなく、完成品の自動車(100万円~1500万円)は非常に高額ですが、それに対する料率は自動車1台あたり3~15ドル(336円~1680円)とリーズナブルです。

 

アバンシに特許を任せている会社は、その特許をどう取り扱っているのか、スキームが知りたくなりました。特に標準必須特許の場合、自社でも使っていますし、既に第三者にライセンスしていると思います。どうなっているのかなと疑問に思ったのは、

1)特許の名義は、アバンシに移転しているのか?ライセンスだけを任せているのか?

2)既にメンバー企業と契約している企業との関係とのではなどうなるのか?

3)上記の2)の延長で、ある企業にはラインセンスして、ある企業にはしないという選択的なライセンスは可能か?

このあたりが疑問ではあるのですが、既にアバンシの設立時に何らかの方法で、調整済みの話だと思います。スキームの作り方は一つではないですので。

 

何れにしても面白い話です。法律事務所は、契約や競争法の観点で相談に乗っているのだと思いますが、特許事務所が関与する余地が少ないのは課題です。特許調査・評価や製品の解析、催告時の鑑定など、もっと関われる部分がないものかと思います。 

読んでみました(君たちはどう生きるか)

吉野源三郎著の文庫版

今、マンガ版が人気の吉野源三郎の「君たちはどういきるか」の岩波文庫版を、家族から借りて読みました。 

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

 

2017年に羽賀翔一の漫画が出て(「漫画 君たちはどう生きるか」)、本屋に沢山並んでいます。また、宮崎駿が、製作中のアニメのタイトルが、「君たちはどう生きるか」になるということで、話題になっている本です。

 

この本は、1937年という戦争が迫ってくる当時において、言論統制が厳しくなったなかで、子供には自由な考え方を持ってほしいということで、山本有三が編者責任者として出した「日本少国民文庫」というシリーズの最終刊です。

当初は、山本有三が執筆予定だったようですが、目の病気のため、吉野源三郎が筆をとることになったとのことです。

 

 

まず、非常に読みやすい本です。1937年(昭和12年)に出版された本ですが、古さは全く感じません。

子供向けとありますが、内容は高度です。科学的知識、歴史学、倫理、資本論の入門まで入っています。

説明されている内容は、現代からみても違和感はありません。

これらの科学的な知識(社会科学を含む)が、少年だれしも経験するような倫理的な物語の随所にちりばめられており、上手に説明されるので、子供でも自然科学、社会科学などの本質的な理解が可能なようになっています。

 

また、仲間との信頼関係や、それを崩してしまった後悔、悩みなど、全く、現代でも古さを感じない倫理的な課題も扱っています。

 

1937年の本ですので、戦争を否定していません。戦争の高揚感は現代人が忘れたものの一つだと思います(替わりに受験戦争や、スポーツの競争、企業の業績争いなどがあるのでしょうが)。

 

省線電車という言葉がわからなかったのですが、後で調べたところ国電(山手線や大阪環状線など)のことであると知りました。読んでいるときは、市電(路面電車チンチン電車)をイメージしていましたが違っていました。

 

それはさておき、この本は、2017(正確には2017年~2018年1月3日まで)に読んだ本で、No.1の本です。「君たちはどう生きるか」自体は漫画を頼らずとも、岩波文庫版で十分理解できます。

 

なお、岩波文庫版では、巻末の解説を、丸山真男が書いているのですが、本当に良くポイントを指摘しているなと感心しました。

 

エッカーマンの「ゲーテとの対話」を読んで、その後、斎藤孝ゲーテとの対話の感想をまとめた「座右のゲーテ」を読むと、斎藤孝は何と上手に本を読んでいるのかと思いましたが、今回も同じ感想を持ちました。

 

座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本 (光文社新書)

座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本 (光文社新書)

 

私が漠然と面白いなと思った点について、そう整理して説明すればいいのかと思うような解説をしてくれています。

グランドセイコーの高級化戦略

300万円以上を充実

2017年12月29日の日経に、グランドセイコーの話がありました。

www.nikkei.com

  • 2017年には中低価格帯も扱う「セイコー」ブランドからGSを独立させた
  • 2018年度以降は「グランドセイコー(GS)」のモデル数を2割以上増やし、200超を展開
  • GSの現在のモデル数は約170
  • 高価格帯を増やすなど商品展開の幅を広げることで高級イメージを確立する狙い
  • 中心価格帯は数十万円
  • 今後は300万円以上や1千万円以上の商品を増やし、富裕層らの獲得につなげる
  • 2017年春に実施したブランドの独立化に続き、高価格帯商品も充実させることで、スイス勢を中心とした世界の高級ブランドに対抗

とあります。詳しくは、日経をご覧ください。

 

コメント

Grand Seikoですが、25万円~100万円までというイメージだったので、300万円というのは相当高級だと思います。1000万円は別世界です。

このように高級品を出すことで、Grand Seikoは高級な時計であるというイメージを作っていくのだと思います。

 

高級時計の定義は明確にはないと思いますが、金額で100万円、300万円、1,000万円など、切りのよい数字で、高級のレイヤーが変わってくるように思います。

 

従来、100万円までのレイヤーだったGrand Seikoが、一挙に300万円のレイヤーや1,000万円超のレイヤーに上がるとすると、グレードが上がった感じです。

 

ここからは机上の議論ですが、将来、300万円や1,000万円のGrand Seikoが売れてきたとすると、100万円以下のリーズナブルなGrand Seikoは、超高級商品Grand Seikoの足を引っ張ることになるように思います。

 

そうすると、Grand Seikoブランドの価値を維持向上させるためには、50万円以下のような商品は、Grand Seikoから、通常のSEIKOに移すことが必要になるかもしれません。

 

もしそうなると、通常のSEIKOブランドの価値が上がります。

 

しかし、300万円、1,000万円のSEIKOの時計が売れるようになればよいですが、これは簡単にはいかないように思います。

 

記事には、従来の銀座や大阪の店舗だけではなく、アメリカのビバリーヒルズに店舗を出したことや、女性向けやスポーツモデルを出すようなことがありました。高級商品はレピュテーションですので、高級な店舗や商品やPR(広報)で評判を築くというのは理にかなっています。

 

2017年11月20日のSEIKOのニュースリリースにありましたが、 Grand Seikoは、2010年から本格的にグローバル展開を開始し、2017年春にはデザイン領域の拡大し、ブランドカラーを刷新、Grand Seikoロゴをダイヤル(文字盤)の12時位置に配し、独立ブランドとしての新たなスタートを切ったとあります。

セイコーウオッチ 世界初の「グランドセイコーブティック」を 北米、ビバリーヒルズにオープン|セイコーウオッチ株式会社

 

また、世界初となるGrand Seiko専門店Grand Seiko Boutiqueを北米・ビバリーヒルズの高級ショッピングゾーンロデオドライブにオープンしたとあります。日本の銀座や大阪のSeiko Premium Boutiqueの看板が、グランドセイコークレドール、ガランテと3つのブランドを取扱っているのでSEIKOロゴなのに対して、米国の店舗はGrand Seiko専門店ですので、店名もGrand Seiko Boutiqueですし、看板もGS Grand Seikoロゴだけです。

www.grand-seiko.us.com

日本では、店名や看板にSEIKOが残っています。日本では、Grand Seikoの成功のために、SEIKOロゴの持つブランド力も利用しようという意図があるように思いますが、米国では、完全に切り離しているようです。

nishiny.hatenablog.com

 

欧州司法裁判所 ブランド価値維持の理由で

ネット販売制限に合法判決

2017年12月28日の日経に、欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(最高裁に相当)が、12月6日に、メーカーが一定条件下で、高級ブランド品をアマゾンなどの通販サイトでの販売をすることを制限できるとする判決を出したとの話が、「リーガルの窓」でありました。

www.nikkei.com

最近、アマゾンによるグーグルのAI搭載スピーカーの販売拒否が注目されましたが、今回は、逆にメーカーが販路を制限する話です。大略、次のような内容です。詳しくは日経の記事を見てください。

理由がブランド価値の維持となっている点に注目点です。

  • 欧州では、過去、メーカーが商品の価値を維持するため、代理店などにネット販売や安売り店への転売を禁じるなどの制限をかける「選択的流通」に厳しい判決があった
  • 厳しかった理由は、小売価格の高止まり防止のため
  • メーカーに合理的理由がなければ競争法(日本の独禁法)違反になった
  • そのため、メーカーは自社の実店舗やサイトだけで直販し、消費者の利便性が低下
  • 今回の裁判では、米化粧品大手が、販売代理店に対し、アマゾンなどでの商品販売を禁止。それが競争法違反に当たるかどうかが争点
  • 判決は「高級品のブランド価値を維持するための制限は競争法違反ではない」

ただし、次のような制限がある

  • (1)商品の質や正しい使い方を担保するために商品の性質上必要
  • (2)非差別的であること
  • (3)過分でないこと
  • 「高級感というイメージ」も商品の「質」にあたる

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非常に面白い話だと思いました。本人が作って流通させている真正商品ですので、商標権侵害ではありません。販売制限が競争法違反になるかどうかの議論です。しかし、商標権侵害の並行輸入の議論と似ています。

並行輸入で、市場毎に期待する品質に差がある場、品質のために商品の並行輸入を止めることができるという議論があります。今回も、高級感も「質」の一つというロジックはありますが、結論としては、ブランド価値の維持のために、選択的流通を認めるという話になると思いました。

通常の法律論であれば、品質管理のために選択的流通を認めるとなるところ、品質管理の目的である、次のブランド価値の維持のために選択的流通を認めているが重要なように思います。

並行輸入の議論にも、影響が出てくるのではないでしょうか。

 

さて、経営的には、これが認められるとすると、高級ブランド品メーカーとしては助かると思います。アマゾン・エフェクトを心配しなくて良い領域が、一つできたことにもなります。一方、消費者としては価格競争で値段が下がるという期待が減ります。

 

この点、高級ブランド品を安く買えてうれしいという消費者も多数いると思いますが、反対に、消費者自身そのブランドがいつまでも価値の高いブランドであって欲しいという思いも強いように思した。

 

先日、テレビで「マツコ会議」の銀座の高級時計販売店を番組を見ましたが、数百万円から数千万円する時計は、生産も絞っているので、値崩れがないと言っていました。楽しむことができる財産として時計を買っているようでした。

そもそも、この高級時計は、ネットで買うものではないと思いました。

 

記事には、弁護士の課題提起として、

①高級品の定義

②過分な制限とは

などが指摘されていましたが、確かに、一口に高級品と言っても色々ありますし、過分な制限かどうかも商品毎・国毎に商慣習が違うように思います。

 

商標の価値として、出所表示、品質保証と歴史的に発展してきた商標の保護価値の議論が、ブランドの価値(高級感というイメージ)を保護議論にしているように思いました。

パナホーム

パナソニックホームズに社名変更

2017年12月28日の日経に、パナホームが、パナソニックホームズに社名変更するというニュースがありました。www.nikkei.com

  • パナホームは2018年4月に社名とブランドを「パナソニックホームズ」に変更
  • パナソニックは住宅分野を成長の柱に掲げている
  • パナホームが手がける住宅販売は中核
  • 国内の住宅着工件数が減少傾向
  • 知名度の高いパナソニックブランドを使い東南アジアなど海外市場の開拓も進める
  • 同社は10月、パナソニックの完全子会社化
  • それにより上場企業間の取引で利益相反がなくなり、連携を増やせる
  • パナソニックは「パナソニックホームズアンドリビング」という事業ブランドで、キッチンなどの住宅設備や照明、介護用品を展開
  • こうした商品群と、パナホームが手がける住宅を連想させやすくする狙い
  • 中堅建設会社の松村組(東京・千代田)の買収も決めている

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この日経の記事では、社名とブランドを「パナソニックホームズ」に変更するとありました。ちなみに、2017年12月29日付の朝日新聞では、社名が「パナソニックホームズ」になることだけが記載されています。

パナソニックはどう発表しているのかと思い、ニュースリリースを見てみました。

news.panasonic.com

ニュースリリースには、4月から、社名を「パナソニック ホームズ株式会社」、ブランドを「Panasonic」に変更するとありました。

日経にはブランドを「パナソニックホームズ」に変更するとありましたが、「Panasonic」に変更が正しいようです。

 

一般には、パナホームパナソニックが同じグループ企業ということを理解していない方も多いと思います。

 

もともと、パナホーム株式会社は、ナショナル住宅産業株式会社という社名で、パナホームを当初はネーミングとして、その後はブランドとして使用していました。

当初のブランドはナショナルです。そして、パナホームがブランド化した後に、社名をナショナル住宅産業から、パナホーム株式会社に変更しました。ブランドに社名を合わせるコーポレートブランド重視の考え方に合わせた対応と思います。

 

考え方としては、最近は、あまりコーポレートブランド重視ばかりではありませんので、社名をパナソニック ホームズに変更しても、ブランドはPanaHomeのままとする方法もあります。

 

また、もともとは、ナショナル住宅産業が社名でナショナルがブランドです。パナホームはネーミングでした。

この状態に戻すなら、社名はパナソニック ホームズで、ブランドはPanasonicで、ネーミングとしてPanaHomeを活用する方法もあります。日本のPanaHomeの認知の高さからすると、この方法でも良いように思います。

 

あるいは、ネーミングのPanaHomeもやめてしまい、社名はパナソニック ホームズ、ブランドはPanasonic、ネーミングはPanaHome以外の別の名称という方法もあります。

 

ニュースリリースからすると、最後のもの、すなわちPanaHomeは完全にやめることになると読んだのですが、そうすると、相当大きな変更ですし、Panasonicブランド全体のイメージにも影響します。

 

住宅ですので、通常の工業製品と異なり、製品やパッケージにブランドが、バッジになったり、印刷されているわけではないので、変更の工数はそれほどかからないようにも思いますが、いずれにしてもブランド変更は大変な作業です。

 

PanaHomeからPanasonicにブランド変更して、売りが上がるか下がるかも気になりますが、一般には、直ぐには変化しないと思います。当面は、その企業の体力に見合った数字だと思います。

 

重要なのは、ブランド変更後に、どんなブランド戦略に基づいて、商品・サービスが出てくるか、また、ブランド訴求をするかです。どんなものが出てくるか、楽しみにしています。