Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

アディーレ法律事務所の宣伝

3弁護士会が懲戒審査を決議

2017年4月4日の朝日新聞に、アディーレ法律事務所の宣伝についての記事がありました。不適切広告について、消費者庁から景品表示法違反で措置命令を受けた問題に関して、東京弁護士会など3つの弁護士会が、同事務所と所属弁護士について、「懲戒するか審査すべきだ」と決議したというニュースです。これも景表法違反ですね。

自社サイトで、着手金を1か月間は全額返還するキャンペーンといいながら、実は常時このようにしていたということで、昨年2月に消費者庁から措置命令を受けたということですが、今回は弁護士会が懲戒処分したというのではなく、懲戒審査相当とした(これから審査する)だけでもニュースになっているようです。

特に、今回は、代表の石丸幸人弁護士だけではなく、所属弁護まで審査の対象となるようです。弁護士として、法律的に正しくない取扱いを見逃した点を問題視しているようです。景表法は運用が難しい法律ですので、弁護士でも間違えるということでしょうか。あるいは、法律的には危ないと思っていたが、上司を止めることはできなかったのでしょうか?弁護士といっても勤め人ですので、上司の方針に盾突くのは難しいというのは十分理解できます。しかし、法律違反は避けないといけませんし、それで懲戒処分を受けるのは避けたいところだと思います。

従来、この種の懲戒があるときは、ボスの責任だけが追及されることが多かったらしいのですが、今回、所属弁護士にも責任ありとすることは、当該所属弁護士さんは苦しい立場に立つと思いますが、長い目で見ると、法律事務所での所属弁護士の発言権をアップすることにもつながるのではないでしょうか。

アディーレ法律事務所は、弁護士事務所としてTVCMを大々的に初めてやった事務所ではないかと思います。昔のように、弁護士法か弁護士会の会則かで、宣伝をさせないというのは既に時代遅れだったと思いますが、TVCMは高いのによくできるものだな思っていました。

アディーレ法律事務所のホームページを見ると、弁護士数や支店数も非常に多いのですね。素直に驚きです。人員数は、大手法律事務所です。
www.adire.jp
ちなみに、「アディーレ」とはラテン語で、身近なという意味のようです。事務所名からは、依頼者の身近にありたいという創業の理念・理想を感じるいい名前です。しかし、そのような身近な法律事務所というのは、大企業的な事務所ではなく、かかりつけの医院のような町医者のような気もします。医者の場合、大学病院というものがあり、病気のレベルにより、町の医院→地元の病院→大学病院というような協力関係があります。一方、法律事務所には、大学経営の法律事務所や、それに近いものがないですね。

過払い金返還訴訟のTVCMが有名でしたが、過払い金返還訴訟は時効で終結方向と聞きますので、今後は、何を飯のタネにするのでしょうか。