2018年7月5日に、JETRO開催の「韓国の商標・デザイン制度とトレードドレスの保護の最新事情」というセミナーに参加しました。
特許庁の委託事業ということです。
講演者も多彩で、同時通訳も入って、本式なセミナーなのですが、無償でした。
東京地区では、このようなセミナーに簡単に参加できることが、メリットなのだと思います。
内容としては、JETROの方が、全体的な知財制度の最新動向を説明し、商標、意匠、トレードドレスと続きます。
意匠は、先日、ブログに書いた、サムスン対アップルの話です。
今日は、JETROのソウル事務所の副所長さんからの説明からです。内容は、次のものです。
- 国際裁判部
- 三倍賠償
- 高校の知財の授業
- その他
●まず、韓国の知財訴訟の33%が外国人が関係するということで、韓国の知財裁判所が国際的なハブになろうとしているようです。
そのため、2018年6月から知財裁判所に、国際裁判部を設け、外国語で弁論と証拠提出が可能となるようです。
特許法院とソウル中央地裁に設置し、当面は英語のみですが、将来は、日本語や中国語での裁判を目指すという話でした。
裁判長は韓国語で、判決文も韓国語ですが、外国語の翻訳が送付されるということです。
通訳は、同時通訳を活用するようです。
日本でも、特許庁も支援する、国際仲裁裁判所が設置される見込みで、英語で、CAFCの元裁判官などの仲裁が受けられるようになりますが、外国語での裁判というのは、一つ検討テーマであるように思いました。
●3倍賠償については、韓国の国会で、特許と不競法に関して審議中ということでした。また、将来は、10倍賠償を検討しているということです。
3倍賠償というのは、民事と刑事が未分離であるアメリカ法特有のものと理解していましたが、日本と同じ大陸法系の韓国でも実施できるということですので、これも参考になる話です。
●高校の選択科目に、「知的財産一般」が入るということでした。
日本でも「情報」関係の科目が選択科目としてありますが、高校の教科に知財が入るというのは、素晴らしいと思います。
●その他、弁理士会レベルでは、南北融和を受けて、将来に備えて、北朝鮮の知財制度との相互比較をしているようです。
北朝鮮には、旧ソ連の発明者証制度のような発明権というものが、特許権とは別にあるなどの話を聞きました。
日本は北朝鮮を国家承認していないのですが、欧州各国など承認が進んでいますし、北朝鮮は、WIPO、PCT、ハーグ、マドプロ、ベルヌなど、主な国際条約に加盟済みということです。
また、JETRO韓国のWebサイトで、知財情報を発信しているということです。
知的財産に関する情報 | 韓国 - アジア - 国・地域別に見る - ジェトロ
会議の後に懇親会もあり、知り合いの弁理士さんがいたので、飛び入り参加したのですが、来られている韓国の弁護士さんや弁理士さんは日本語が堪能で、面白い話が聞けました。
以前の会社がほとんど韓国とやり取りの無い会社だったので、今まで韓国に行ったこともないのですが、面白いなと思いました。