Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

知財立国は成ったか

日経の現状は60点という記事www.nikkei.com

2018年1月15日の日経に、知財立国は成ったか(上)、現状60点、電機救えず、秘匿と生産委託不徹底という記事がありました。

渋谷編集委員の記事で、荒井寿光氏やキャノンの長沢健一常務のコメントもあり、読まれた方も多いと思います。

詳細は、記事を見ていただくとして、まとめると、次のようになります。

 

まず、お二人が、知財高裁の創出や、約40本の知財立法など、知財立国のインフラは整った。この意味で、60点の合格最低点と評価されています。

しかし、企業、特に電機が件数競争に陥り、工場の生産ノウハウなどを特許出願してしまい、そのノウハウを韓国、中国の会社に取り込まれ、競争力を無くした。また、欧米のIT企業のオープン&クローズ戦略に負けてしまった。

巻き返しのためには、本業に貢献しない特許部門は不要と認識し、特許部門は事業を支える部門、事業の支援組織になるべき。また、従来のような特許の取得と活用だけではなく、ソフトウェアや著作権、営業秘密、ビッグデータなどの権利を確保する契約までを含めた力量が必要という内容でした。

 

ちなみに、荒井さんと長沢さんの対談記事は、こちらです。ヴィヴィッドで面白い対談です。

www.nikkei.com

 

コメント

2005年2月から2017年2月までは、知財の外にいました。

現在は、特許事務所の外国商標担当という職ではありますが、久ぶりに知財の世界に戻ってきて、その地位が低下していることは実感しています。

 

日本の特許業界は落ち込んでいますが、中国は大盛況ですし、韓国も悪くないようです。欧米は以前とそう変わらない感じです。どうも日本だけが一人負けしています。日本の一人負けの原因の一つが、電機にあるのは確かだと思います。

 

他の原因は、弁理士を増やし過ぎたことに目が行きがちですが、弁理士の訴訟代理権付与に失敗したことと、弁理士が明細書に固執していることの二つだと思います。

 

IT企業のオープン&クローズ戦略が例示されていますが、要は事業の理解力と契約力です。大半は企業の仕事ではあるのですが、弁理士制度は現実には大きく企業の知財組織風土に影響します。

 

英国の特許弁理士、商標弁理士は、訴訟代理が可能で、日本もこれを目指したはずですが、どこかでボタンの掛け違いがあり、失敗しました。

 

もう一つの方法は、弁理士を廃止して、米国のように弁護士に一元化する方法もありますが、今更これは無理があります。

 

何れにしても、弁理士が契約や交渉出来ないことには話が進みません。弁護士の話を聞くと、内容証明弁理士は送れないということがあります。弁理士法改正前にはグレーでしたが、案外自由でした。

 

特許部門や特許事務所に弁護士を入れて、著作権の契約などをやってもらうよりは、技術動向や事業を理解している弁理士がそれをすべきです。反対に弁理士が、明細書を書く仕事だけに凝り固まっていては、ダメなように思います。

 

この記事を読んで思ったのですが、弁理士は、やはり、訴訟、判定、異議、審判、鑑定、仲裁、調停、交渉の代理を重視すべきと思います。特に、交渉が重要なように思います。

 

明細書が好きだという人もいるので、一概に、否定はしないのですが、何のために、法律の試験を受けたのかを再度、考えるべきでしょう。社会的に必要とされているのは、明細書作成だけではないと思います。

 

また、付記代理人の制度を再構築すべき時期と思います。(この名称もどうかと思います)

 

もう一つ、特許事務所で働いて感じたことは、まだ、「特許」という言葉をまだ事務所名称に使っていることです。今の時代、企業に特許部はありません。皆、知的財産(権)部です。

 

たぶん、特許庁の名称が変わらないので、こんなことになっているのですが、これは問題です。特許庁を、消費者庁のように文部科学省法務省との共同の役所にして、(できれば地方に移転して)、知的財産権庁とすべきです。そして、特許事務所は、知財事務所となるべきです。未だに、PatentやTrademarkと言っていること自体が、既に古い感じがします。

 

知財高裁は、目黒に移転して、今度はビジネスコートという記事もありましたが、知的財産権庁と一緒のビルに入った方が良いのではないでしょうか。

 

荒井さんは知財高裁ができたことをほめていますが、問題はその判断内容です。日本の国力や日本企業の強化に役立ったのか、その見極めを、経済学者や経営学者にしてもらう必要があります。

 

特許庁は、コツコツと良くやっているように思いますが、全体をコーディネートすることが期待されており、その意味では、十分にコーディネートできていないのではないでしょうか。

 

電機が世界で一人負けしたことが、特許村が困窮している直接の原因ではあるのですが、電機だけではなく、各所に原因が点在しているように思います。

 

カトリーヌ・ドヌーブ 寄稿と謝罪

口説く自由

2018年1月11日の朝日新聞カトリーヌ・ドヌーブさん他約100名が、ル・モンドへ、「口説く自由」はあるという寄稿をしたことが話題になっています。

www.asahi.com

  • 米国の大物プロデューサーへの告発をきっかけに世界に広がった性被害やセククハラの告発について、カトリーヌ・ドヌーブさん他が「口説く自由はある」と異論
  • ル・モンドに約100人の連名で寄稿
  • 性暴力は犯罪
  • だが、しつこく、不器用でも口説くのは罪ではない
  • 仕事上の会食中にひざに触れる、キスを求める、性的な話をするといった行為だけで男性が罰せられ、職を失っている
  • 弁解の機会もないまま性暴力を働いたのと同様に扱われていると強調
  • 女性を常に犠牲者として守ろうとするのは、女性のためにならない
  • 寄稿に対し、「性暴力の被害者をおとしめている」といった批判が出ている

反響が大きかったのか、既に、一部謝罪がされているようです。

www.asahi.com

  • 忌まわしい行為の被害者が、傷つけられたと感じたのなら、おわびする
  • リベラシオンに書簡で謝罪
  • 当然ながら、寄稿はセクハラをよしとするものではない
  • 寄稿には必ずしも正しくない部分があった
  • ネット上の告発が人を裁き、刑の宣告となるような風潮を好まない
  • おしりに触れただけで俳優が映画から姿を消したり、企業幹部が辞任に追い込まれたりしていると指摘
  • ネットも通じた告発がもたらす影響には懸念を示した

とあります。

 

コメント

挨拶で抱擁したりする文化の国とそうでない国があるので、その文化の差も考えて、記事を読みました。

 

カトリーヌ・ドヌーブさんは、もてる人なので、このようなことを言うのかなとも思いましたが、単純な話ではないようです。

 

この話を読んで、フランス人は面白いなと思いました。

アメリカ人は、例えば、たばこが健康被害があるとなると極端にたばこを嫌うようになります。70年代は飛行機で吸っていたのに、80年代はビルの外で吸うようになるというのは、極端から極端にシフトしすぎに思います。まるで禁酒法のようです。

 

この点、フランス人は、アメリカほど禁煙運動が盛んではないと聞きます。批判精神が旺盛なためでしょうか。これはこれで健全なのだと思います。

 

また、カトリーヌ・ドヌーブさんの謝罪もすばらしく、すぐに火消しをしているので、問題が大きくならないと思われます。この素早い謝罪は、危機管理やブランドの名声の管理でも非常に重要な点です。

 

有名人なので、どうしても名前が出てしまいますが、カトリーヌ・ドヌーブさんは、ル・モンドへの寄稿にサインはしたようですが、メインのライターではなさそうです。

 

さて、BBCの日本語サイトを見ていると、ル・モンドに寄稿した人達の考え方が少し出ていました。

www.bbc.com

朝日新聞が触れていない部分としては、次のような記載がありました。

  • 昨年から次々と表面化する性的スキャンダルは、新たな「ピューリタニズム(清教徒的な過剰な潔癖主義)」の波が起きていると警告
  • 作家や学識者、表現芸術の関係者など著名なフランス人女性100人
  • 男性が紳士的にふるまうのは、決して男尊女卑な攻撃ではない
  • ひっきりなしに続く糾弾の波は、収拾がつかなくなっている
  • このせいで、まるで女性が無力で、慢性的な被害者であるかのような雰囲気、女性をそのように見る風潮が生まれている
  • このフェミニズムの動きに、女性としての自分を見いだせない
  • 権力乱用を非難する以上に、男性や性的なものを憎悪する動きになってしまっている
  • 女性たちは、ハリウッドを中心とした動きに距離を置いた

ピューリタニズムが、キーワードと思いました。英米が極端に振れる時がある原因なのだと思います。

 

www.bbc.com

また、BBCの謝罪の方の記事には、次の説明がありました。

  • ドヌーブ氏らの書簡に対する反発は、フランスでは大きな話題にはなっていない
  • 性的暴力の常習者を名指しすることの是非について、フランスでは数カ月前から賛否両論
  • 特に、世代間の不一致がある
  • 性暴力被害に名乗りを上げたり、被害者に連帯するなどの運動について、年長者の世代は1960年代にやっと獲得した性の解放の成果を台無しにするものだと懸念
  • 若い世代は、性的暴力への戦いは女性の権利を求める戦いの同一線上にある、最新の局面だと位置付けている

このあたりになると、よく理解できていません。なにやら、難しい議論があるようです。

 

裁判の電子化

最高裁が調査開始

2018年1月9日の朝日新聞に、最高裁が裁判の電子化の調査を開始したという記事があります。

www.asahi.com

調査を開始したという話で、今直ぐに電子化されるわけではありません。

記事によると、2方向あるようです。

一つ目は、紙の書類で提出しなければならない裁判書類をペーパーレス化することです。

二つ目は、裁判でのインターネット等の活用です。

まず、ペーパーレスの方ですが、日本は諸外国に比べて20年ほど遅れているそうです。米国は州単位で進めており、シンガポールや韓国もだいぶ進んでいるようです。

次に、裁判でのインターネットの活用ですが、新聞の社会面では、大阪のパナソニックの法務部担当者の話が出てきて、訴訟のたびに大阪の法律事務所の弁護士に地方に行ってもらう必要がありコストがかかるという話が出ていました。

 

コメント

まず、ペーパーレスですが、紙は証拠として残りますし、取り扱いが簡単で、読むにも便利です。ただし、紙は、紛失のおそれがありますし、情報処理には向きません。今の時代ですので、一番初めの訴状が紙というのは、時代遅れな感じはします。

 

判決文などはデータで公開されていますので、訴状は紙でも、裁判官はパソコンを使って判決を書いているのだと思います。

 

ここで言うペーパーレスとは、一連の手続き書類が、すべてどこかの電子キャビネットのようなものに収納されており、いつでも、どこで、閲覧でき、裁判官や弁護士の作業効率は上がるシステムだと思います。

 

特許では、だいぶ前にペーパーレスになりましたが、企業の書類は確かに減ったかもしれませんが、テキストファイルやPDFという電子データとなって、大量に保管されています。

 

電子データの怖いところもあり、入力のチェックなどがいい加減になると、紙以上に情報管理が無茶苦茶になってしまうこともあります。変なところにデータが埋没してしまい、必要なデータが出てこなくなる可能性もあります。

 

特許庁の運用は、事務手続きなどが裁判所に近いものがあると思います。特許庁の場合、一か所で集中管理しているので、データも正確です。一度、特許庁に運用方法を、聞きにいかれると良いと思います。

 

二つ目のインターネットの活用ですが、確かに、テレビ会議や電話会議を使えば、コスト削減にはつながると思います。ただ、裁判官も弁護士も、面と向かって、相対で話をすることで、相手の真意をくみ取ったりするのだと思っていました。

この点、最近は、高精細のテレビ会議もあるので、実際、出張して会議に同席しているのと変わりません。裁判の後の和解に向けての話合いをするときは、相対での話が必要でしょうが、裁判自体はテレビ会議で十分なように思います。

ただし、弁護士としては、出張の楽しみが減ってしまうので、反対運動が起こりそうです。

 

最近は、弁護士も多くなり、結果、生活のために裁判が増え、裁判しなくても良いのに裁判を勧めたり、訴額を高額にすることを勧めたり、裁判も荒れてきたと聞きますが、裁判の電子化やインターネットの活用が、口頭弁論の充実につながり、裁判の良い意味での活性化になれば良いと思います。

 

反対に、電子化やインターネットの活用が、濫訴の助長になるのであれば、考えものということになります。

 

もう一つ、弁護士や裁判官の業務でも、AIの活用を視野に入れておいた方が良いと思います。

広辞苑の改訂版

台湾とLGBT登録商標

2018年1月12日の日経夕刊に、広辞苑の改訂についての記事があります。

www.nikkei.com

岩波書店広辞苑が、10年ぶりに改訂され、第7版がでました。「ブラック企業」「LGBT」など、約1万項目を追加とあります。そのほか、「がっつり」「上から目線」「パワースポット」「炎上」などが追加されたようです。

 

また、同じ日経の夕刊で、台湾省という記述に対して、台湾が反論しているという記述があります。

www.nikkei.com

改訂にあたっては、台湾が中国の一部ではないとして、修正を要求していたようですが、岩波書店がこれを拒否したとあります。中国がこれで良いとするなど、物議を醸しだしています。

日経には、日中共同声明では、実は、この問題は玉虫色の解決をしており、台湾が中国に帰属するという中国側の立場を「十分に理解し、尊重する」という表現にとどめているとあります。

今回の改訂に際して、台湾の当局から事前に要請があったのを、岩波書店は聞かなったようです。

 

さらに、2018年1月15日の日経電子版には、共同通信の配信で、広辞苑LGBTの記述が間違っていたという話が出ています。

www.nikkei.com

LGBTを「多数派とは異なる性的指向をもつ人々」と説明しているところ、LGBは性的指向に関係し、Tは「トランスジェンダー」で、性的指向は全く関係なく、身体の性と自己認識としての性が一致しないことやその人を指すということで批判があり、岩波書店辞典編集部は、誤りとの意見があることは承知しており、修正するかどうかを含めて社内で対応を検討しているようです。

 

コメント

広辞苑は、人気のある辞書であり、誤りが許されないためでしょうか、多くの人が問題点がないかチェック中のようです。

もし修正する場合、既に買った人にはどうするのか?ネットで修正点を記載しておくのか?何か冊子でも配るのか、一体どうするのでしょうか?

しばらくして、修正などが落ち着いてから買った方が良いのか、今の時代、オンライン辞書の方が良いのか、など思ってしまいました。

 

あまり関係ないのですが、辞書で、思い出したことを書きます。

 

辞書に、商標を普通名称のように紹介されると、普通名称化が促進されるので、それを防止する方法として、ドイツ商標法や欧州共同体商標規則には、辞書に対して補足説明を要求する権利が規定されています。

 

ドイツ 商標法 2 | 経済産業省 特許庁

第16条 出版物における登録商標の複製

  • [1] 辞書,百科事典又はこれらと類似の出版物における登録商標の複製が,当該商標がその登録に係る商品又はサービスについての普通名称であるとの印象を与える場合は,当該商標の所有者は,その商標の複製と共にそれが登録商標である旨の表示を加えることをそれら出版物の発行者に要求することができる。
  • [2] 当該出版物が既に発行されている場合は,かかる要求は,[1]に規定する表示を当該出版物の次版から付すよう求めることに制限されるものとする。
  • [3] 出版物が電子データベースの形で販売される場合又は出版物を含む電子データベースにアクセスが認められる場合は,[1]及び[2]の規定を準用する。

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EUTM

Article 12

Reproduction of an EU trade mark in a dictionary

If the reproduction of an EU trade mark in a dictionary, encyclopaedia or similar reference work gives the impression that it constitutes the generic name of the goods or services for which the trade mark is registered, the publisher of the work shall, at the request of the proprietor of the EU trade mark, ensure that the reproduction of the trade mark at the latest in the next edition of the publication is accompanied by an indication that it is a registered trade mark.

広辞苑のような一般的な辞書に普通名称として紹介されてしまう状態になっているというのは、普通名称化もだいぶ進んでいるように思いますが、技術用語辞典のレベルなどは、第三者の登録商標を最先端の技術用語として紹介してしまっている例も多く、意味があると思います。

この条文を法律に入れるのは、辞書業界は嫌がるでしょうが、欧州が採用しているぐらいですので、次回の商標法の大改正時には入れても良い条文と思います。

 

ひと昔前まで、NHKでは、放送に登録商標を使ってはいけなかったので、私も以前の会社に入社したての頃、よくNHKから電話をもらい、ある名称が登録商標かどうか教えてくれと言われたものです。今は、J-Plat Patなどでネットで検索できるので、わざわざメーカーに電話をして聞く必要はないのだと思います。

 

また、特許の明細書でも登録商標を記載することはNGでしたので、技術者対象の知財研修の特許の明細書の書き方では、普通名称と間違えやすい登録商標を紹介して、徹底していました。

 

このようなことは、一件無駄に見えますが、非常に良い知財教育になりますので、特許の明細書の記載も、今のように緩くするのではなく、昔のように厳しくすべきではないでしょうか。

www.jpo.go.jp

 

ソニー復活の記事から

カーリング(継続課金)

2018年1月5日の日経の、ソニーの最高益更新の記事で、この言葉が出ていました。

www.nikkei.com

記事によると、ソニーは、今期、20年ぶりの営業最高益(6300億円)が射程に入ったとあります。牽引役は、2兆円の売上高のゲーム事業であり、その5割がネットワーク事業ということです。

ネットワーク事業とは、プレイステーション4のゲームのダウンロードを手掛けており、特に、年5,000円のPSプラスに加入すると、複数人でオンラインゲームができるようです。この会員数が、3000万人規模になりつつあるということです。

これまでは、ゲーム機本体などの最終製品の販売が必要な事業構造だったのが、ゲームのオンライン会員のような継続課金にシフトしており、このようなビジネス群をリカーリング(recurring)と呼ぶようです。

ゲーム、音楽、復活した犬型ロボットaibo(アイボ)が、リカーリングビジネスということです。

そして、ソニーは、売上はリカーリングビジネスで伸ばす一方、工場は20年前の3分の1にして外注化を進め、有形固定資産回転率が下がり、稼ぐ力が高まったとあります。

 

コメント

カーリングで検索すると、次の記事がありました。

www.msn.com

この記事の著者によると、リカーリングビジネスには、3つほどの種類があるようです。

一つ目は、音楽でファンが継続的に音楽CDを購入してくれるようなもの。

二つ目は、ネット接続事業者のように、毎月加入料を支払うようなもの。

三つ目は、家電の消耗品や付属品を継続的に買い続けさせるタイプのもの。そして、3つめが、インクジェットプリンターが該当し、高性能のプリンタを安い価格で販売し、インクカートリッジを高く販売する方法とありました。

 

三つ目のプリンターカートリッジの事例などは、「またお金を取るの?」とファンを逃してしまう可能性も秘めるとあります。確かに、リカーリングには、その可能性もあります。

 

しかし、電機業界でも、例えば、エレベータ・エスカレータなどの事業は、メンテナンスがあり、継続課金が見込める企業は好調です。自動車も車検制度があり、自動車業界を守っている面があります。

 

さて、問題は、特許事務所の業界に、リカーリングがあるかどうかです。

顧問料などは、リカーリングです。しかし、今は、非常に少ないと思います。

また、商標の更新などは、リカーリング・ビジネスだったと思います。ただ、その部分は、特許事務所以外の知財会社が強くなっています。

 

もともと、特許事務所は、出願書類を、一つ完成させていくらというビジネスモデルですので、基本的に、リカーリングではありません。労働集約型で、人海戦術です。歴史で習った、工場制手工業です。多少は、法制度の知識、TIPSの塊など、知識産業の面もありますが、平均的に業界の人は皆が持っているノウハウですので大差はありません。

最近は、弁理士会などはコンサル型業務を進めていますが、弁理士に期待されるコンサル結果は、知財を用いたリカーリングの創出です。しかし、知財カーリングを指導すべき弁理士自身が、継続課金できていないとすれば、まずは、自らの業務の再設計から始めないといけないように思います。

 

欧州連合商標(EUTM)などは、特許庁は方式審査と識別性の審査はしますが、抵触性の審査は権利者同士の話し合いを第一としますので、異議申立では、弁理士が活躍しています。

マッチポンプになっては駄目ですが、異議申立のチェックも重要です。外国商標の実務を担当して、日本のように審査官に責任の全てを持ってもらう他人任せの制度、運用より、良いと思っています。異議申立が活性化していますし、フランスやドイツの商標調査の質も、インターネットを駆使した合理的なものになっており、昔に比べてだいぶ良くなっているように思います。昔の無審査主義の、同じ商標の権利が沢山あり、誰が強いのか不明という悪い点はなくなってきています。

批判もあるとは思いますが、EUTMのような制度の構築などは、結果としては、良いリカーリングではないかと思いました。

スタバの偽スマホケース

商標権侵害で逮捕

2018年1月11日の朝日新聞夕刊と、翌1月12日の日経で、スターバックスのロゴを使った偽のスマホケースで、千葉県の男女を逮捕したという記事がありました。

www.asahi.com

内容は、次のようなものです。

  • 偽のスターバックスのロゴを付けたスマートフォンケースを販売目的で所持していたとして、千葉県警は、男女2人を商標法違反の疑いで逮捕
  • 昨年6月、スタバのロゴに類似したマークのスマホケース計342点を販売目的で所持した疑い
  • 容疑者の一人は副業として売って利益を得ていたのは間違いないと容疑を認めている
  • スマホケースは中国から輸入
  • 通販サイトアマゾンに出品
  • 1個千数百円で販売。昨年3~6月に計約70万円を売上げ
  • 成田空港の東京税関職員が昨春、容疑者を摘発
  • 県警は、スターバックスコーヒージャパンの協力を得て非正規品と確認
  • 容疑者は小遣い稼ぎのため、昨年2月ごろから販売

NHKのニュースもありました。未明にマンションに家宅捜索に入る様子などが放映されています。

www3.nhk.or.jp

  • 11日午前6時ごろから捜査員が2人の自宅に捜索に入り、逮捕
  • 偽物と知りながら中国から輸入し、インターネット上で売りさばいていたと見て詳しく調べる
  • スターバックスコーヒージャパン広報部によると、正規に販売したスマートフォンのケースは1種類だけ
  • インターネット上ではスターバックスロゴマークを使ったスマートフォンのケースが相次いで販売されているが、正規に販売した1種類以外は、いずれもロゴマークを無断で使った商品
  • 経済産業省によると、模倣品や海賊品の相談のおよそ3分の1がインターネットの通販サイトやオークションサイト関連
  • 商標権を侵害された会社が通販サイトの運営会社に要請して出品停止などの措置が取るが、偽物の商品は後を絶たない

 

コメント

小遣い稼ぎでやったようですが、新聞に容疑者として名前は出るし、NHKで放映されるし、大変な騒ぎになっています。

 

70万円の売り上げのために、買付や仕入れの費用、販売経費もかかっているので、儲けはしれていると思います。これで、逮捕、有罪となるのであれば、まったく割の合わない話であり、商標権侵害商品のネット販売は、しない方が良いことになります。

 

昨春に空港で摘発されているとありますので、それから半年かかっています。繰り返し輸入販売をしていたようですが、一罰百戒を狙った、警察、税関、行政のPRのような気もします。

 

さて、この記事を見て、アマゾンで、「スタバ スマホケース」で検索しました。すると、業者は違うかもしれませんが、ニュースに出ていたものと同じデザインのものが、2件出品されており、Primeまでついていました。このニュースがあったら、すぐに動くのかと思ったら、アマゾンも、案外のんびりしているのですね。

 

中国ではネット販売が盛んですが、商標権者の許可のある商品であることを証明しないとネットで販売させてもらえないときがあるようです。そのため、商標権者の同意書を求めてくるときがあります。

 

日本のアマゾンやメルカリは、まだ、そこまでやっていませんが、怪しいと思った商品は、そこまで対応すべきではないかと思います。別の言い方をすると、アマゾン、メルカリ、楽天などのネット販売業者には、真贋鑑定の責任の一部を負うべきと思います。出店する企業や個人だけではなく、ネット事業者に責任を負わせるのは、行政や立法の問題です。

 

NHKが最後に少し言っていますが、商標権侵害を止める責任は、誰にあるのか?という古典的命題です。

日本は権利者(この場合はスターバックス)と警察・検察に責任があり、中国では、ネットについては、ネット事業者と販売者にも責任を負わせています。日本は、プロバイダ責任制限法の解釈からのようです。最適な責任分担をして、模倣品を減らすのが重要ですので、日本の運用は、不十分なように思います。

 

ただ、手法として、中国でやっている、権利者の同意書の発行は、権利者にとっても大変です。模倣品鑑定の技術は画期的にアップしていますので、中国のように証明書ではなく、何等かの技術的手段で解決すべきかもしれません。

it.impressbm.co.jp

www.nikkei.com

模倣品というのは、中国や中国商品を販売する海外の話だったのですが、ネットを介して、徐々に日本に入っています。今後、日本でもネット取引がより盛んになるのは間違いないですので、これらの技術が必要になるのも、そこまで来ていると思います。

 

今回の小遣い稼ぎの個人をスケープゴートにするだけでは解決しない、根の深い問題があるように思いました。

 

マケドニアの国名

正式にはマケドニアユーゴスラビア

2017年12月31日の朝日新聞に、マケドニア国の国名問題が出ていました。ギリシャとの間で、四半世紀もめているようです。

digital.asahi.com

  • 現政権は、国名をめぐって独立から四半世紀続くギリシャとの争いの解決に本腰
  • 国名問題のため、ギリシャが反対するNATO加盟、EU加盟交渉の開始のため
  • ギリシャ国内に同名の地域がある
  • 領土的野心を示すものとして「マケドニア」の国名に強く反対
  • 5月に発足した現政権は、国名問題での譲歩を示唆
  • 現政権は、前政権で停滞したギリシャ側とのやりとりを活発化。米国の後押し
  • 対外的な名称だけを変えるなどの方法などがある
  • 世論を二分して禍根を残す、国民投票は避ける
  • マケドニア地域は1912~1913年のバルカン戦争で分割
  • マケドニアギリシャのほかブルガリアなどにも及ぶ
  • マケドニアは1991年に独立

 

マケドニア共和国 - Wikipedia

また、Wikipediaマケドニア共和国という欄に国名問題の説明がありました。

それによると、

 コメント

日常的に、旧ユーゴスラビアの各国とは、外国商標の出願国というぐらいしか接点がありません。国名問題がこんなに大変だとは知りませんでした。

 

日本人に身近な国名問題というのは、台湾を中華民国とは呼ばないということと、ミャンマービルマかぐらいです。

英語では、ビルマはまだBrumaが多いように思いますし、そもそも、英語では、ソビエトソ連)のことを、当時もずっとRussia(ロシア)と言っていた(まじめにソビエトと呼んでいたのは日本人ぐらい?)ように思います。

英語は国際語なので、すでに特定の国家のものではなく、その英語の単語として定着してしまうと、なかなか変更できないのではないかという感じをもっています。

 

米国は、憲法上の名称である「マケドニア共和国」で承認しているようですが、今回は、自らがギリシャとの和解を助けているようですので、新しい名称が決まれば、積極的に使うのでしょうか?

 

だた、「マケドニアユーゴスラビア」という名称も、非常に長く、使いにくいですし、論理的ですが、機械的な命名で、何かもっと良い名前が欲しくなります。

Wikipediaには、ギリシャ人はマケドニア共和国のことを、ヴァルダル(川の名前?)、スコピエ(首都名)などと呼ぶとありましたが、これも無理がありそうです。

 

今は使わないようですが、白ロシア(現在のベラルーシ)、小ロシア(現在のウクライナウクライナの蔑称とありました)のような方法もあるとは思いましたが、国名問題は、大変そうです。

果たして、どんな名前になるのかと関心を持ちました。

 

国名表記は、外務省のWebサイトが良くできています。

国・地域 | 外務省

商標は、特許と違って、コーポレートブランド(ハウスマーク)のときは、200ヵ国地域対応もありますので(本当は、120ヵ国で十分と思いますが)、良く見るサイトです。マケドニアユーゴスラビア(Former Yugoslav Republic of Macedonia)とありました。英語サイトには、Former Yugoslav Republic of Macedonia Relationsとあり、Relationsが多いようです。理由は、不明なのですが。。。