Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

今年の司法試験合格者

1525人の合格(合格率は、29.11%)

2018年9月12日の日経に、今年の司法試験の合格者の情報がありました。

www.nikkei.com

  • 合格者は、1525人(昨年より18名少ない)
  • 合格率は、3.25ポイントアップの29.11%
  • 予備試験組が、全体の2割
  • 受験者は、729減の5238人で、11年以降で、過去最低
  • 平均年齢28.8歳
  • 法科大学院終了組が1189人(合格率24.75%)
  • 予備試験組が336名(合格率77.6%)
  • 2018年度の法科大学院志願者は、8058名(ー102名)

合格者の出身大学ランキング(合格人数)

  1. 京都(128名)(合格率59.26%)
  2. 東京(121名)(48.92)
  3. 慶応義塾(118名)(39.20)
  4. 早稲田(110名)(36.54)
  5. 中央(101名)(23.22)

となっています。

 

コメント

Yahoo!を見ていると、現代ビジネスの記事がありました。

目標3000人に対し、2000人程度まで増やしたが、弁護士業界から反発があり、1500名程度に落ち着いているようです。弁護士業界は、1000名程度を適正規模と考えているとあります。

 

29.11%と言う数字は、元々の、ロースクールを修了すると8割合格と言っていた話に比べると低い数字に思われますが、何回か受けられるので、法学既修者では、累積合格率は7割という数字があるようです。

 

知財の裁判件数は、昔よりは増えていますが、弁護士数や弁理士数の伸びに比べると、それほどでもありません。他の法分野でも、消費者金融の利率の話を除けば、同じようなものだと思います。

訴訟が増えれば、弁護士過剰と言う話も出なかったはずです。

 

法務省には、使いやすい訴訟制度にするための努力が、足りないと思います。裁判官や検察官は、予算や定員に縛られて、簡単に増やせないのだと言う声がありそうですが、外国の訴訟件数などを見ていると、本当にそれで良いのかなと思います。

タイの知財の刑事事件も、ほとんどは商標事件ですが、年間5000件程度あります。

日本でも本気でネットを調査すれば、沢山の商標事件が出てきそうです。

 

もうひとつは、企業内弁護士です。

弁理士のように、弁理士世間合格者は、半数以上が企業内弁理士という状態になれば、弁護士業界もなれば、状況が一変します。弁理士は、今や、会社員の資格です。

企業内弁護士の教育を、ベテランの法務部メンバーがすることになりますが、それもありだと思います。質は問題ないと思います。

 

法務省縮小均衡で考えるのではなく、経産省など他の官庁とタッグを組み、企業の法務部に、エース級をロースクールに送るように働きかけをすべきです。

エース級に、来てもらえる授業になっていない点は、ロースクールの問題です。

 

予備試験は、ロースクールと整合性がないので、やめるべきと思います。ここは、法務省の問題です。

 

そして、法学未修者を含めて、当初の目標の8割を目指すべきです。

 

訴訟社会に移行出来なかったのと、日本の競争力の低下と機を一にしているように思います。

研修会に行ってきました

東南アジアの模倣品対策セミナー

2018年9月19日の18:30~20:40に商工会館であった、弁理士会関東支部主催の「東南アジアにおける模倣品対策~タイを中心として~」を聴いてきした。

 

 

面白いと思ったところを、順不同で書きます。

  1. アセアンの模倣品の90%は中国製で、メコン地域には陸路で入ってくる。陸路では税関差止は困難。インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポールといった海の国と、タイ、ベトナムラオスカンボジアミャンマーというメコン地域の国は違う
  2. ミャンマーの新知財法の今年の成立は難しいのではないか。2018年6月~8月の大洪水で経済が停滞しており、知財法案のプライオリティが下がっている。著作権だけ少し先行しているが、商標などは2019年や2020年にずれ込むかも。現在の登記法から商標法への移管について、優遇措置があるが、証明書類が必要(案外大変そうです)
  3. 特許権のエンフォースメントで、翻訳の質が問題になってきている。英語で現地に依頼していも、最終的には、タイ語ベトナム語にする必要がある。このときの翻訳ミスの問題が出てきている。翻訳を外注している事務所よりも、事務所内に翻訳機能を持っている事務所の方が、一般的に翻訳の質が良い
  4. 日常的に、グーグル翻訳で現地語→英語を使っていた。読解には問題ないレベル。英文レターを日本語に翻訳して、意味に無理がないかチェック
  5. シンガポール特許庁は、審査官が100人いるが、90%が博士号取得者で、中国語がネイティブが35%。中国語サーチができるのがセールスポイント。生き残り策
  6. JETROバンコクが、東南アジア知財ネットワーク会員というものをやっており、登録すると、知財ニュースが受け取れる
  7. タイの模倣品対策は、警察、刑事裁判が中心
  8. 模倣品案件があるなら、JETROの真贋判定セミナーを、申し込むと良い。日本語でOK。現地語の通訳をJETROがつけてくれる
  9. ベトナム職務発明は、従業員の取り分が法定されており高額

 

コメント

講師は、弁理士の石川勇介さんで、弁理士会の費用でJETROバンコクに派遣されていたようです。

特許庁の方が、JETROバンコクに行くというように理解していましたが、民間の弁理士や企業経験者でも行けるルートがあること知りました。

 

20代、30代ぐらいの若いうちに、JETROバンコクなどの海外で駐在するのは、いい経験になるだろうなと思いました。ちなみに、石川弁理士は、特許の弁理士のようです。

 

模倣品対策と銘うっていますが、知財全般のお話しでした。模倣品対策に興味がある方は、パテントに石川弁理士の論考があるようですので、興味がある方は、そちらを見ていただけではと思います。

https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3020

https://system.jpaa.or.jp/patents_files_old/201609/jpaapatent201609_015-027.pdf

 

個人的に興味を持ったのは、翻訳の話題です。

特許では現地語の翻訳が問題になっているようですし、シンガポール特許庁の売りが中国語能力であったり、現地での情報収集にGoogle翻訳が使われていたり、翻訳はいろいんな話題があると思いました。

 

例えば、外国商標では、英語で指定商品を記載して、海外に依頼します。しかし、どのような翻訳になっているかは、その言葉が読めないのでBlack Boxです。

20年前には、この問題が中国で大量に発生し、ライセンスや模倣品対策の段階になって、翻訳が間違っているということが判明して、問題になりました。

しかし、最近は、Google翻訳があるので、特許の明細書のような複雑なものは別として、単語レベルでは、間違いが少ないはずです。

 

ちなみに、Google翻訳をつかうなら、ブラウザーは、Google Chromeがお勧めです。

 

日本ヤフー株の売却

米アルタバが4800億円で売却

2018年9月11日の日経に、米アルタバが日本のヤフー株をすべて売却するという記事がありました。

www.nikkei.com

  • 米ヤフーは、2017年にポータルサイト事業を、ベライゾン・コニュニケーションズに売却。社名をアルタバに変更
  • 今回は、保有する日本のヤフー株をすべて売却
  • アルタバの持ち分は、ヤフー株の27%で、ソフトバンクグループに次ぐ第2位
  • 約4800億円
  • アルタバは、他にアリババ集団の株式を保有

というような内容です。

 

コメント

2018年9月13日の日経電子版で、売却先の情報が出ていました。海外の投資家が積極的に日本のヤフー株を買っているようです。

www.nikkei.com

この記事によると、購入した海外投資家は

  • ヤフーの既存株主
  • 政府系ファンド(SWF
  • ロングオンリーの機関投資家
  • プライベートオフィス
  • ヘッジファンドなど、およそ150を超える投資家。米国勢が55%を占めた

ということです。

 

このときに、ソフトバンクグループがどのように、ヤフー株を買ったかは情報がありません。

 

それ以前の段階では、既に、アルタバが約10%のヤフー株を2000億円で売却し、ソフトバンクが引き受け、替わりにヤフーがソフトバンクグループの持ち分のヤフー株株式を約2000億円分、自社株買いしたとあります。

複雑な取引ですが、もともと、43%だった、ソフトバンクグループ全体の、ヤフー株の持ち分比率は変わっていないようです。

www.nikkei.com

 

正確には、約2200億円だそうです。

アルタバは4~6月にかけて保有するヤフー株の一部を市場で売却し、ヤフーの株価が低迷。ヤフーは8月、親会社ソフトバンクグループの通信子会社を通じて約2200億円の自社株買いを実施し、株価の下落にいったん歯止めがかかっていた

www.nikkei.com

 

さて、本題なのですが、Global Brand Databaseで調べると、米国の権利者は、デラウェア州のOATH INC. Corporation となっています。

 

Wikipediaによると、この会社は、ベライゾン・コミュニケーションズの傘下企業で、YahooとAOLを傘下に持ち、2つのブランドを維持して、事業を行っているとあります。

Oath Inc. - Wikipedia

 

一方、日本では、Yahoo! の権利者は、ヤフー!インコーポレーテッドとありますので、アルタバのことでしょう。

アルタバとしては、株式を売却して売却益を得て、その上、まだ、商標権を保有し続けて、商標使用料を取っていこうという算段なのでしょうか?そうなら、2重どりのような気がします。

 

ベライゾン(子会社)のOATH INC. Corporation が、日本のYahoo!株を持っているなら、事業をやっているYahoo!に対してブランド使用料(ロイヤルティ)を支払うことになりますので、理解できます。

しかし、単なる投資会社のアルタバが権利者では、サービスのビジネスモデルの提供やサービス品質管理といったクオリティコントロールは、できません。米国的に考えると、商標ライセンスの基礎としての品質管理がなく、naked lisenceとして、権利が無効になりそうです。

そこまで争わなくても、ライセンスの対価は、あっても権利維持手数料見合いの微々たるものと主張できそうです。

 

日本の場合、ライセンスの考え方が発達しておらず、紙切れの権利も権利と見る傾向がありますので、アルタバに商標使用料(ロイヤルティ)の支払いが必要なように思いますが、品質指導や品質管理を前提に契約をしていれば、それがなければ、使用料の低減交渉は合理的です。契約次第ですが。

 

ちなみに、彼らはアメリカでの使用はありませんが、日本では、日本のヤフーの使用が彼らの使用になるので、不使用取消は、困難です。

 

日本のヤフーとしては、日本のヤフーの株式の問題もありますが、日本におけるYahoo!商標の商標権を買い取ることを検討することが必要なように思いました。

ブランドライセンス商品(バーバリー)

本家がブランド価値管理を問い直し

2018年9月17日の朝日新聞に、バーバリーなどファッション系のライセンスブランド商品で、ライセンサー側がブランドイメージ管理を強化している事情を説明する記事がありました。

  • 3年前、英バーバリー三陽商会とのライセンス契約を解消
  • 理由は、本家のブランド管理強化
  • 1990年代にマフラーやスカートが女子高生にブーム。商品は比較的安価
  • 本家の高級品とライセンス商品との二重構造
  • 70年代から90年代には、有名ブランドの入った傘、ハンカチ、タオル、スリッパ
  • 当時は、ブランド名の浸透を優先
  • しかし、インターネットの発達とグローバル戦略で、品質管理やブランドイメージ維持が重要に

コメント

面白い記事だと思いました。

 

70年代から90年代に海外のファッションブランドが、日本の商社などにブランドをライセンスしたのは、当時は、日本は遠い市場であり、直接事業をするのは困難だったのと、ブランド名の浸透を優先したためランセンスしていたが、そこで低価格品が出てきてブランドイメージを損なうようになったということのようです。

 

バーバリーのキャメルチェックが、日本の女子高生に流行している時期は確かにありましたが、このことがバーバリー三陽商会のライセンス解消の原因になってしまったとは思いませんでした。

 

日本のライセンシーは、売れ筋の価格帯の商品を量産し、これが安いブランドというイメージにつながり、本家が売りたり高級品のイメージを害するというロジックは分からないでもありません。

 

しかし、ライセンス契約の中で、製品の品質チェックや、ブランドイメージを壊さないための約束はできそうな感じもします。結局、本家がコントロールを怠ったということが、ブランド価値を下げる原因ともいえます。

 

トイレのスリッパに高級ブランドが使われて、ブランドイメージが落ちるというのは、よく言われていましたが、これも、ちゃんと本家がコントロールをしていないためです。日用品のブランドとなってしまい、高級感はなくなります。

また、短期的な利益のために、売れそうならどんな商品にも高級ブランドを付ける日本の商社の姿勢にも問題があったのだと思います。

高い値段で買い取ったり、使用権を取得したら、何年かで収益をあげないといけないので、そうなってしまうのはビジネスとしては分かりますが、長期的なブランド育成視点ではないと思います。

 

特許ライセンスの場合、販売価格帯の拘束は独禁法に抵触するのでしょうが、商標ではライセンサーとライセンシーがWin-WInになり、特にそのブランドが高級品になってしまっても消費者にも迷惑をかけないように思いますので、独禁法上の問題になるようにも思われません。

 

あるとすると、従来通り、普及価格帯で量を優先したいライセンシーと、高級価格帯でイメージを優先したいライセンサー側の意見の対立でしょうか。

欧米では、高級品を購入する層が日本よりも多そうなのと、グローバルマーケットを対象にするので、高級なイメージを確立しておくと、高級品が世界で売れるのかもしれません。

閉じた市場を対象にしたライセンスの限界のようなものがあったのでしょうか。

 

ライセンスは、両社の関係があって初めて円滑に進めることができますので、ライセンス収入を経理の収入に入れてしまうのではなく、その内の何割かは、品質チェックやブランド認知やブランドイメージ調査、両社の長期的ブランド育成方針の確認などに、使うようにしないと、この問題は解決しないように思いました。

サービスイノベーション

日経の連載を読みました

2018年9月4日から6回に亘って連載されていた、「サービスイノベーションとは何か?」の連載をまとめて読んでみました。

www.nikkei.com

 

最終回の第6回が、全体のまとめとなっていると思います。

 

サービスイノベーションのためには、サービスをシステムとして設計する必要があり、そのためには、

顧客起点でサービスを考えるサービスデザイン、顧客に最適なサービスを提供するための組織改革、迅速な開発・検証を可能にするアジャイル型開発手法の導入などが必要になります。

 

これを導くために、第1回から第6回まで、事例を紹介されています。

 

第1回:Suica(企業の競争力を高めるには、サービス化とデジタル化が結びついたサービスイノベーションが欠かせない)

 

第2回:ネット証券、宅配便のトラッキング(サービスインターフェースは、顧客との価値共創を促し、経験価値向上の要となる)

 

第3回: コマツのコムトラック、ランドログ(製造業のサービス化には、装置の開発からソリューションの提供に思考パターンを変える必要があり、そのためには、評価方法や、キャリアパスの仕組みの変更が必要)

 

第4回:QBハウス(顧客や従業員・経営者をつなぐインターフェイス、卓越したサービスを実現する仕組み作り、つまりサービスデザインが必要)

 

第5回:英国の行政サービスのサービスデザイン(共感=人に対する深い理解、価値共創=サービス利用者や事業者との共創プロトタイプ作成=アイデアを迅速に形にして試す)とITデザイン(ニーズからスタート、余計なことをしない、データに基づいてデザインする――デザイン原則、とアジャイル型組織)

 

第6回:S・バーゴらが2004年に提唱した「サービス・ドミナント・ロジック」の紹介(製品はサービスの価値提供のためのツール・手段。製品そのものから製品の利用に伴うサービス経験、サービスシステムに重点) 

 

コメント 

「サービスイノベーション」や「サービスデザイン」という言葉は、あまり聞いたことがありませんでした。

Googleで調べてみると、「サービスデザイン」の方が、「サービスイノベーション」よりもヒット件数が多いので、より一般的な言葉のようです。

 

Wikipediaによると、

サービスデザインとは、サービスの質と、サービス提供者と顧客の間のインタラクションの改善を目的として、人・インフラ・コミュニケーション、そしてサービスを構成する有形の要素をプランニングし、まとめあげる活動である。多くの観察をまとめて、スケッチやサービスプロトタイプなどで、コンセプトやアイディアを視覚的に表現する。

とあります。こちらは理解できます。

 

一方の、サービスイノベーションは、Wikipediaには項目がなく、上位に出てくるのは、下記の本とその書評でした。新しい概念のようです。 

サービス・イノベーション -- 価値共創と新技術導入

サービス・イノベーション -- 価値共創と新技術導入

 

マーケティングジャーナルという雑誌に、青山学院大学の小野譲司教授が書評を書いています。これよると、この本の著者らがいう、

「サービス・イノベーション 」とは、新技術導入による、サービスのシステム化発想による生産性向上と、革新的な新サービ ス創出との両方を意味する

新サービス創出だけでなく、従来、提供 されていたサービスであっても、飛躍的に生産性が上がったり、サービスの提供プロセスが変わったりすることもサービス・イノベーショ ンである

サービス産業におけるサービス生産性の向上への観点だけでなく、製造業も含めたビジネスのサービス化による市場における価値創造活動に着目する

という、幅広いスタンスでサービ ス・イノベーションを取り扱っているとのことです。

 

その他、少し古くなりますが、日経情報ストラテジーに、サービス・イノベーション推進委員会の委員の内藤耕さんの論考があります。

tech.nikkeibp.co.jp

サービスイノベーションというと、企業としての効率化に目が行きますが、顧客の価値や効果という面と両立することを目指すのが、サービスイノベーションということが紹介されていました。

 

まずは、サービスデザインという言葉や、サービスイノベーションという言葉に注意を払うというとこからでしょうか。

 

最近、経産省特許庁が「デザイン経営」といことを言っています。

www.meti.go.jp

その定義は、経産省のサイトによると、

デザイン経営とは、デザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用する経営手法です。その本質は、人(ユーザー)を中心に考えることで、根本的な課題を発見し、これまでの発想にとらわれない、それでいて実現可能な解決策を、柔軟に反復・改善を繰り返しながら生み出すことです。

 とあります。

 

特に、私が下線を引いた、本質としている部分は、「サービスデザイン」に非常に近いものです。

特許庁の提供している行政サービスを念頭に置くと、「デザイン経営」といういわゆるデザイナーに寄った言葉ではなく、「サービスデザイン」、「サービスイノベーション」という言葉でも良かったのかもしれないなと思います。

特許庁には、デザインの得意な意匠課の人も、ICTの得意な人もいると思いますが、経営学の専門家がすくなく、そこが問題なのかもしれないと思いました。

 

まあ、やることは同じなので、誰がやっても良いのですが。

バーバリーの廃棄物問題

売れ残りの廃棄をやめると発表

2018年9月7日の朝日新聞で、バーバリーが売れ残り品を焼却処分を、即時にやめ、再利用や寄付につとめると発表したという記事がありました。

内容は、

  • バーバーリーの昨年度の廃棄は、2860万ポンド(約41億円)
  • 衣料品、香水、アクセサリー
  • 理由は、商品が横流しされて安価で出回り、ブランド価値が低下するのを防ぐため
  • 環境保護団体から批判
  • バーバリーのCEOは、現在のぜいたくは、社会や環境に責任を持つことを意味すると声明

とあります。

 

コメント

この話のスタートは、7月のバーバリー株主総会で株主が廃棄商品を購入する機会を与えられなかった理由を聞いたことからスタートしているようです

Burberry Investors Question Destruction of $38 Million in Goods - Bloomberg

株主の素直な質問が、問題に発展したという事例です。

 

さて、この問題は、NHKでも特集が組まれていました。何もバーバーリーだけの問題ではなく、業界全体の問題のようです。

例えば、BBCの記事では、カルティエモンブランのブランドを保有するリシュモンは、過去2年間に480百万ユーロ(430百万ポンド)の時計を買い戻さなければならなかったとあります。

Burberry burns bags, clothes and perfume worth millions - BBC News

  

日経の下記の記事が一番まとまっているようです。

www.nikkei.com

背景として、次の数字がありました。

  • 年間100万トン、1枚300グラム換算で30億点近くの衣料品が廃棄されている。背景は需給のミスマッチ
  • 経済産業省などの調査では、2016年の国内の衣料品の市場規模は約10兆円と1990年から3割減少。同期間で衣料品の供給量は約40億点と約2倍に増えている

前半は日本のことを言っているのか、世界のことなか不明なのですが、いずれにせよ、廃棄品は沢山あるということのようです。

 

後半の部分は、ユニクロファストファッションが普及し、全般的に価格が低下していることも原因と思います。

個人の感覚としては、この26年で、衣料品は半額程度に安くなったように思いますし、その分、個人の購入点数などは倍ぐらいに増えているのではないかと思います。

そのため、この数字だけで流通での廃棄品が増えているはと言えないようにも思いますが、それでも業界の感覚としては、増えているのでしょう。

(ちなみに、今回の問題ではないのですが、個人の廃棄品を入れると確実に衣料品の廃棄は増えているのは確かです。ファストファッションの問題として、こちらの方が大きな問題であるように思います。)

 

対策としては、日経の記事には、

  • 在庫ゼロ店舗
  • 売れ残りに手を加えるアップサイクル
  • 売れ残り品のネット通販のスマセル

などが紹介されていました。

 

また、NHKの特集でも、対策として、ゾゾスーツやデジタルサイネージを使った受注生産などが紹介されていました。

 

販売機会を無くしたくないので、在庫を持ち、それが原因で、廃棄物が増えるというのは、経営戦略としては、仕方ないようにも思います。

バーバリーはCEOが声明を出して、当面の火消しはやったようですが、今後、どうやって、再利用や寄付で乗り切るのかと思います。

 バーバリーニュースリリースには、傷ついた商品、欠陥のある商品、期限切れの美容用品などは、例外的に廃棄するとありますので、エキスキューズはしているようです。

Burberry Ends Practice of Destroying Unsaleable Products - Burberry

  

もう一つの個人の廃棄物ですが、これは、燃料と考えて燃やすしかないのでしょう。

衣料品の原料に資源としての価値がなさそうなので、家電リサイクルのようなことは、できないのだと思います。

個人が無駄な衣料品を買わないようにするしかないのでしょうか。

ユニクロのようなベーシックなものは別として、流行を追い求めるタイプのファストファッションは、環境にとっては問題があるように思いました。

使い捨てプラスチック

廃止の動きとその背景

最近、新聞やネットで、プラスチックの話題をよく見ます。

 

●プラスチック製ストロー

●プラスチック製の使い捨てレジ袋

  • 米スーパー大手のクローガーが、2025年までに全店で廃止。再利用できる袋(エコバック)に切り替え(2018年8月24日の日経夕刊)
  • シカゴやカリフォルニア州では禁止(同記事)
  • 2013年からイオンが無料配布を取りやめ

●使い捨てコンタクトレンズ

 

コメント

はじめ、スタバックスや、すかいらーくの話を見た時は、ブランド戦略として、環境にやさしいブランドだということを消費者に訴求したいのだろうと思って見ていたのですが、ここまで広がると、これからは差別化ができるようなネタではないので、ブランド戦略上は特に有用ではありません。

ニュースバリューがあるのは、はじめのマクドナルド、スターバックス、日本ではじめてのすかいらーく、ぐらいです。

 

検索していると、欧州委員会が1月に発表した「欧州プラスチック戦略」というものとそれを受けた欧州指令案というものがあるようです。 

欧州委、使い捨てプラスチック製品を規制する法案を提案 | ビジネス短信 - ジェトロ

 

まだ、案のようですが、2019年5月を目標としているようです。

  • 無料配布の禁止など(食品用容器とドリンクカップ
  • 販売禁止(綿棒の芯、フォーク、ナイフなどのカトラリー、皿、ストロー、マドラー、風船用の棒)
  • ラベル表示義務の導入
  • 拡大生産者責任の適用

などです。

拡大生産者責任という言葉は聞きなれない言葉ですが、「製品の使用後の回収費用を生産者が負担するなど、生産者の責任を製品の使用後まで拡大させること」とあります。

 

ストローなどは、販売禁止になるようです。各社の動きは、これを受けたものとすれば、今回のマスコミの報道は理解できます。

 

日本の官庁、業界団体の動きとしては、2018年9月5日の日経には、 

  • 日本化学工業会が「海洋プラスチック問題対応協議会」を立ち上げた
  • 環境省が、2019年の大阪のG20を照準にプラスチック資源循環戦略をまとめる

という記載がありました。

 

また、生分解性プラスチックの話題で、2019年8月29日の日経に、三菱ケミカル、カネカの話がありました。

紙製ストローは、紙のにおいで飲料の風味を損なったり、強度が弱いという難点があるようで、生分解性プラスチックが有望なようです。価格は高くなるようですが、飲料代に占めるストロー代はわずかとあります。

この記事には、枠組み作りは、フランスが先行して、2020年までにプラスチック使い捨て容器の禁止の法律を作り、英国が追従し、日本は遅れているとあります。

 

日本は、健康被害などの科学的検証を優先しているようですが、その間にも、欧州主導でルールが作られてしまうとあります。

 

欧州のルール作りのうまさは、CEマークのような適合マークや、ISOのルールでも明らかです。日本企業は、たとえ技術では先行していても、ルール作りで負けてしまいます。

環境でも、他の問題でも同じですが、日本だけでルールを作っても、あまりインパクトがありません。アジア全体とか、日韓台+アセアンとか、ある程度の枠組みでルールを作り、欧州に対抗しないと折角の日本企業の技術が生きてこないように思います。

 

国レベルでは、技術、法律、英語、外交力、その他の能力のあるスーパーエリートを計画的に養成することが必要がありそうです。