Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

台湾の商標制度

商標の定義、同意書、異議申立、先使用権、著名商標

特許ニュースの2017年9月26日号に、RIN IP Partnerの弁理士の和田 阿佐子さんが、台湾の商標制度の概要を書かれていました。

特許ニュース

外国商標になれるため、特許ニュースの海外商標制度シリーズで、海外の商標制度が紹介されているときは、読んでおこうと思っています。

 

台湾の紹介ですが非常に分かりやすく書かれていました。

筆者の筆力があるのだと思いますが、日本法に近いので頭の中で比較がしやすい、自分が台湾商標法にある程度の知識があるから分かりやすい、ということもあると思います。

 

台湾は、人口が2350万人で、日本の5分の1です。出願件数は、アジアでは、中国、インド、韓国、日本に次ぐ第5位で、2016年で79,000件程度です。人口比で、5倍すると395,000件です。14万件の日本と比較すると、出願に積極的な国ですね。(台湾は、多区分制度のようです)

登録主義、先願主義、類似群コード採用など基本的に、日本によく似ているのが台湾商標制度です。

面白いと思った、特徴的な制度は、以下です。

1.商標の定義

識別力を商標の定義に入れています(18条)。識別力のないものは、商標ではないとして拒絶されます。また、2012年からは、匂いと感触の商標を認めているようです。

2.同意書

登録主義、先願主義ですが、すでに同意書制度が導入されています(30条10号但書)。審査官を拘束はしませんが、ダブルアイデンティティ(商品同一、商標同一)でない限り、同意書が効果があるようです。

3.異議申立

付与後異議です(48条)が、異議の成功率が、約20~40%と高い水準です。これなら、皆、公報を見て、異議をしようと思います。

4.先使用権

先使用権の要件が、①他人の商標の登録出願日前に、②善意で、③同一又は類似の商標を同一又は類似の商品又は役務に使用する場合に認められます(36条1項3号)。

日本のように周知性が要件になっていません。

登録主義でも、使用主義的要素が、入っています。バランス感覚のある立法だと思います。

5.著名商標の保護

防護標章登録制度は、2003年に廃止されたようですが、著名商標と混同を生じさせる商標や著名商標の識別性を希釈化させる商標は登録が拒絶されます(30条1項11号)。また、そのような商標の使用は商標権侵害とみなされます(70条)。

 

コメント

同じ、登録主義、先願主義でありながら、日本の相当先を行った先進的な法律となっています(実際の運用面は課題があるのかもしれませんが)。上記にあげた1~5は、日本法の欠点ですが、すべて対応できているのは、素晴らしいですし、なぜ日本では出来ないのかと思います。

 

特許庁の現場の審査官や、国内事業中心の企業が嫌がるのは、既存の制度がやりやすく、変化を嫌うということで、なんとなく分かりますが、根本的な原因は、他にあるように思います。

 

法制度改正に係る人(特許庁の職員、学者、弁護士、弁理士、その他)自体に、企業で実務経験が少なく、グローバルな商標制度の理解が欠けいるためではないかと思います。どうでしょうか。特に、経産省特許庁の職員には、民間経験を積むことを条件とした方がよさそうです。

 

以前の会社で商標の責任者だったとき、事業部門の知財に研修生が来ており、どこかの事業部の人と思って、普通に接していたのですが、研修修了時に、実は裁判官で研修で来ているのですと言われて驚いたことがあります。このレベルまで研修が進んでいるとすると、すでに研修で片がつく問題ではありません。

 

民間と公的セクターの人材の流動化まで進める必要があるのではないかと思います。

ギャンブル依存症の調査

1万人の面接調査

2017年9月30日の日経と朝日新聞ギャンブル依存症の調査についての記事がありました。

www.nikkei.com

www.asahi.com

今回の調査は、厚生労働省が行ったもので、成年(20歳~74歳)1万人を対象に、面接調査をしたということです。有効回答は、4685人ということです。

過去にギャンブル依存症が疑われる状態になった人が158名(3.6%)。直近1年のギャンブル依存症が疑われる人が32名(0.8%)。

これを元に推計すると、全国で当てはめると、過去が320万人。現在で70万人となるようです。

男女比では、過去では男性6.7%、女性0.6%。現在では男性1.5%、女性0.1%とあります。

 

海外比では、生涯(過去)でみて、オランダが1.9%、フランスが1.2%、スイスが1.1%という数字があり、日本の3.6%は高い数字のようです。

 

その理由は、調査を行った医師によると、日本では外国よりパチンコなどのギャンブルが身近にあり、いつでもギャンブルができることが影響しているとのことです。

 

厚生労働省は、2013年にも全国調査を行ったようです。そのときは、生涯で4.8%(536万人)と推計していたようです。

今回の調査とは調査のやり方が違うので、単純に比較はできないとあります。

 

コメント

今回の調査は、2017年調査の中間報告という位置づけのようです。

 

今回の調査と、2013の調査の大きな差は、アンケート調査か、面談調査かの違いがあるようです。ここまで大々的な「面談調査」は、あまり聞いたことがありません。

 

また、今回の2017年調査のために、2016年にプレ調査が実施されていました。

www.j-cast.com

このときは、2013年調査が全国対象のアンケート調査だったのに、都市部で面談調査をした結果、生涯で依存症が疑われる人が2.7%と少なく出ており、調査に批判があったようです。

 

その対応として、①全国調査、②1万人調査ということになったようです。

 

田舎の方が、娯楽(刺激)が少なく、パチンコ屋が流行っている印象はありますので、①だけでも良かったように思います。

 

日本では、依存症がすでに多いですので、カジノができても依存症は大きく増えないのかもしれませんが、この種の調査は定点観測的に行っていく必要がありそうです。

 

衆議院の解散があり、IR推進法とギャンブル依存症対策法案はセットで、廃案となっていますが、与党が勝つと、復活すると思います。

 

一番の関心は、そのとき、横浜にカジノができるかどうです。真偽のほどは不明ですが、お台場には最適な土地があまりなく、横浜の方が可能性は高いという文章を読みました。一方、横浜では住民以外も、大きな反対の声があるようです。

www.nikkei.com

 

カジノができると地盤沈下傾向の横浜が活性化するようにも思いますし、市民としては治安が心配ではあります(想定されている山下埠頭はだいぶ遠いので、個人の生活に影響はありませんが)。

しばらく紆余曲折が続きそうです。

アディーレ法律事務所

業務停止2カ月の処分

2017年10月11日の日経に、アディーレ法律事務所が、東京弁護士会から業務停止2カ月の処分を受けたという記事がありました。

www.nikkei.com

  • 事実と異なる宣伝を繰り返したとして、アディーレ法律事務所を業務停止2カ月、元代表の石丸幸人弁護士(45)を業務停止3カ月の懲戒処分
  • 期間中は本店と全国80以上の支店で業務が禁じられる
  • アディーレはウェブサイト上で、約1カ月間ごとの期間を限定して過払い金返還請求の着手金を無料または割引にするなどとするキャンペーンを繰り返していたが、実際には5年近くサービスを続けていた
  • 消費者庁は2016年2月、景品表示法違反(有利誤認)に当たるとして、こうした表示をしないよう求める措置命令
  • その後、所属弁護士などに対する懲戒請求が東京弁護士会などにあり、弁護士会としても同法違反と品位を失う非行があったとする弁護士法違反を認定
  • アディーレは有利誤認の程度は軽微で、景品表示法違反の認識はなかったと弁明
  • 都道府県にある拠点に180人以上の弁護士が所属
  • 東京弁護士会会長は極めて悪質な行為で長期間にわたって反復継続されている。事態を重く受け止め、非行の防止に努めるとの談話

 

同日付の東京弁護士会会長の談話です。

www.toben.or.jp

  • 弁護士法第56条に基づき懲戒処分
  • 広告行為が景表法に違反。日本弁護士連合会の弁護士等の業務広告に関する規程等にも抵触し、品位を失うべき非行
  • 実際の取引条件よりも有利であると一般消費者が誤認。一般消費者の選択を阻害するおそれのある極めて悪質な行為。長期間にわたって反復継続されている組織的な非行
  • 依頼者が多数。臨時電話相談窓口を設け、依頼者からの相談に応じる

相談が多数来ているとのという、朝日新聞の記事です。

www.asahi.com

  • 受け付けを始めた12日から13日までの2日間で、約2千件
  • 弁護士10人態勢で対応。電話が鳴り続けている状態。
  • 「アディーレ法律事務所と連絡がとれない」「既に支払った弁護士費用や着手金、預り金はどうなるのか」など、不安を訴える内容
  • 同事務所は「処分を受け、事務所として受任契約を結んだ顧客には契約終了を伝える書面を順次発送していく」

コメント

アディーレ法律事務所のWebサイトは閲覧できない状態になっていました。

 

弁護士には自治が認められているため、監督官庁の処分ではなく、所属弁護士会の処分となるのは理解しましたが、2カ月の営業停止となると、相当厳しい処分だと思います。

 

アディーレ法律事務所に依頼している依頼者も困惑しますし、同事務所で働いている弁護士や事務所員の生活にも影響が出そうです。

 

電機メーカーなら、公正取引委員会の傘下の公益社団法人の全国家庭電気製品公正取引協議会があり、公正取引規約や、その解説としての相当詳しい「DO and DON'T」集であるイエローブックを出していますし、問題があれば委員会で審議されますので、営業停止のような大問題になることは、まずありません。

 

日弁連にも、ある程度の広告のルールはあるようなのですが、ルールの運用に課題がありそうです。

弁護士業界の広告分野の専門家が少ないこと、自分達が法律のプロという過信があること、弁護士がみな一国一城の主であり業界としてのまとまりがないなど、いろいろと原因は考えられます。

 

広告代理店が広告作成業務は請け負っていると思いますが、多少、問題ありと思ったとしても、弁護士事務所からの依頼なら法的問題はなんとかクリアーしていると思ってしまうと思いますのであまり責められません。

 

アディーレ法律事務所の方に目が行きますが、弁護士会の広告規制の運用能力の問題でもあるように思います。

青島ビールの株式売却

アサヒビールは欧州強化へ

2017年10月13日の日経に、アサヒグループホールディングスが、中国のビール2位である青島ビールについて、保有する20%の株式の売却を検討すると発表したという記事がありました。www.nikkei.com

記事によると、

コメント

Wikipedia青島ビールの解説を見ると、もともと、アサヒビール青島ビールには、戦前の大日本麦酒の時代から関係があるようです。

山東省はドイツの租借地で、そこに青島ビールができたのを、第一次世界大戦後、日本が山東省を租借することになり、青島ビール大日本麦酒が買収し、青島ビールの工場で、札幌と朝日の両ビールを製造していた(戦後、接収された)ようです。

 

さて、2016年12月14日付けの日経ビジネスオンラインに、インベブからSABミラーの欧州事業買収に関してのアサヒ泉谷CEOの話が出ています。

business.nikkeibp.co.jp

これを読んでいると、グローバルなビール業界の大再編の中での対応ということが分かります。

インベブが、SABミラーを買収して世界シャアが30%、営業利益のシェアで50%の巨大会社となった。インベブが事業を展開していない主要国は、日本とベトナム程度。日本のビール会社には、インベブからの買収の可能性がある。

その中で、アサヒは、SABミラーが切り離すことになった西欧の高級ビール事業を(イタリアのペロー二、オランダのグロルシュ)買収し、また、東欧でも有名なチョコのピルスナーウルケルなどを含む事業を買収。

複数の高級ブランドを持つ会社として生きる道を選んだ。プレミアムで生き残るとあります。

 

インベブから買収されないためには、規模を大きくしておくか、インベブの興味のない事業をやっている会社になっておくかですが、量を追いたいインベブとしては、高級ブランドを複数持つアサヒは方向性が違う会社になるということだと思います。

 

よくM&Aや資本参加で、販路(ルート)を買うという言葉が出てきますが、販路を買うのは、実は、なかなか難しいことだと思います。被買収会社(あるいは資本参加先の会社)としては、自社の製品の販売が第一に重要で、自社の製品を買収会社のルートで売ってくれるならうれしいとは思いますが、自社のルートは自社製品を売ること精いっぱいで、例え親会社の製品でも他の製品を売る余裕などないはずです。

 

余程、革新的な経営手法でもセットで導入するなどしないと、他人のブランドを販売するようなことは難しい話です。

長期的には、親会社の製品を売ることが、その会社のメリットになるという状況を創れれば一番良いのですが、相当時間がかかると思います。

 

一方、自社に日本を含め世界的な営業ルートがあり、買収した会社の商品が世界に通用する商品なら、自社のルートで販売することは可能です。特に海外の有名な商品を日本に持ち帰るビジネスは、短期的にも成功の可能性が高いと思います。

 

アサヒの関係で見れば、青島ビールとしては、青島ビールとして世界的なプレーヤーになりたいと考えるはずですので、100%超出資でもないのに、そのルートを使ってアサヒの製品を売ろうと考える方が難しいと思います。そもそも合弁工場運営が良いところだったのではないでしょうか。

一方、欧州の高級ビールで考えると、商品価値の高いビールですので、それを世界でどう売るかを一緒に考えるということになると思います。手始めに日本で導入して成功することは、被買収会社にやる気になってもらうために、絶対必要と思います。

 

アサヒが本気なら、これらの会社のブランドの商標権を一か所に集めるべきです。物理的に名義変更が簡単に出来ないとしても、商標の決裁権をもつべきです。どうも、JTは被買収ブランドの商標権をJT名義にしています。被買収会社に、こちらの本気度が伝わります(将来的にその会社を売ることを考えるなら別ですが)。

グローバルなM&Aの成功の鍵の一つに商標権の取り扱いがあると思います。

John Lemon

On Lemonにブランド変更

2017年9月19日のGardianの記事に、ポーランドのレモネードのJohn Lemonがオノヨーコさんから警告書を受けて、On Lemonにブランド変更するという記事がありました。

www.theguardian.com

  • レモネードの名前はJohn Lemon
  • ポーランドの会社は、5年前に出来た会社
  • オノヨーコ(Ono Lennon)の弁護士の警告書を受け、On Lemonに変更
  • 10月までにJohn Lemonドリンクの在庫を処分する必要
  • オノヨーコの弁護士(オランダ)は、親会社の他、欧州中の販売会社に警告書を送付
  • 商標権と人格権の侵害と主張
  • 損害賠償として、一日5000ユーロと、一本500ユーロの支払いを要求
  • ハーグの裁判所に損害賠償を求めて提訴
  • ブランドロゴの直下のレモンを持ったレノンの壁の絵が掲載されたアイルランドFacebookが決めて
  • 他の広告には、「Let It Be」の言葉のそばに、丸い眼鏡が描いてあった
  • John Lemon側は2014年に商標登録。一方、Jone Lennonの登録は2016年
  • しかし、レモネードの販売禁止を避けるためブランド変更することにした

コメント

レモネードもパロディ商品ですが、John Lemonで画像検索すると、丸いサングラスをかけたレモンの画像が沢山アップされています。LennonとLemonは綴りが近いので、すでに一般的なパロディだったようです。

 

今回は、Facebookの広告が決めてになったようです。Facebookで広告をするとき、担当者の自由にまかせると、広告マンでは絶対やらないとんでもないものが出てくることがあります。

オノヨーコの主張も強烈です。1日66万円。一本6万6千円。どんな計算をすると、この金額が出てくるのでしょうか?

仮に一本、1000円のレモネードとしても、販売価格の66倍です。アメリカの3倍賠償の懲罰的賠償も、この請求に比べるとかわいいものです。

ただし、落としどころは、10月中は販売が認められるというやさしいものです。オノヨーコ側としても、販売中止が勝ち取れれば、良かったのでしょう。

 

自分の権利は自分で守る(権利かどうかわからないものでも、権利主張することで権利にしてしまう)のが、欧米の常識で、オノヨーコは、その常識に従って行動しているだけです。

特に、今回、John Lemonは、欧州で先行して、EUTMの権利があります(異議申立もしていなかったのではないでしょうか)。その後、オノヨーコ側がJohn Lennonの権利を取得したとあります。

通常、この状態なら、日本人なら権利主張しません。

商標権があっても、それは間違っているからしれないし、言いたいこと、言うべきことがあれば訴訟を含めて徹底的に争うという事例と思います。

 

役所に権利を設定してもらってありがたがっている日本人とは全く違います。日本人はオノヨーコに学ぶところが多いと思います。

 

2017年9月20日のSunには、今回の騒動の相手方の一人、イギリスの販売会社の社長が出ています。スタートアップ企業には裁判は耐えられないとか言っていますが、この社長、案外、平気な顔をしています。商品の宣伝になって、在庫もはけたのではないでしょうか?

www.thesun.co.uk

 

 

正露丸、インテル、BMW

音楽的要素のみからなる音商標の登録

2017年9月26日に、特許庁のWebサイトで、音楽的要素のみからなる音商標の登録についてリリースが出ていました。

音楽的要素のみからなる音商標について初の登録を行いました | 経済産業省 特許庁

 

新しいタイプの商標とは、音、色彩、位置、動き、ホログラムの商標を指しますが、このうちの音商標についての話です。

従来、登録されていた音商標の代表が、久光製薬のTVCMの最後の「ヒ」「サ」「ミ」「ツ」という部分の音商標などですが、これは音楽だけではなく、音楽と言葉(「ヒサミツ」という言葉)のセットになったものでした。

特許庁のリリースによると、

  • 新しいタイプの商標のうち、音楽的要素のみからなる音商標について、初めて登録を認める旨の判断
  • 出願人から登録料が納められた後、商標登録
  • 新しいタイプの商標は、約1,600件の商標出願を受け付け、300件を超える登録
  • 多様なブランド発信手段として、企業のブランド戦略に大きな役割が期待
  • 特許庁は、審査に努め、企業のブランド戦略構築を支援
  • 音楽的要素とは、メロディー、ハーモニー、リズム又はテンポ、音色等

とあります。

 

新しい商標の出願件数と登録件数は、次のようなものです。(2017年9月19日現在)

出願件数(計1594件)は、音(566件)、色彩(509件)、位置(376件)、動き(126件)、ホログラム(17件)

登録件数(計303件)は、音(172件)、色彩(2件)、位置(35件)、動き(83件)、ホログラム(11件)

 

コメント

いままで商標登録が認めらた音商標は、音と言葉がセットになったもので、音の特徴で登録が認められたのか、言葉の特徴で登録が認められたのか、混然一体となっており、実は良く分かりませんでした。

今回の3件は、明確に音(音楽的要素)だけです。特許庁のWebサイトでは、音がMP3で添付してあるので、聞くことができます。

大幸薬品のラッパの音、インテル入ってるの音は、有名ですので、妥当なところだと思います。

www.asahi.com

正露丸のメロディ商標の登録の経緯があります。イベント会場の正露丸トイレなど)

 

BMWのTVCMの後の音、いわゆるジングルといわれているものは、印象的な音ですが、前2者に比べると、それほど有名ではないので、このBMWで登録になるなら、双方沢山登録になるように思います。

 

統計で思ったのは、色彩の商標の登録が2件で止まっていることです。トンボのMONO消しゴムの青・白・黒のストライプと、セブンイレブンのお店のファサードの色だったと思いますが、それ以降、登録がないというのは、どうしたのでしょうか? 

色彩の商標の出願は、509件と多いので、登録件数の少なさが気になります。

nishiny.hatenablog.com

色彩は、異議申立を待っているのかもしれませんね。似ている色彩を、以前から使っていたということが、あるように思います。 

 

日本の商標法は、登録主義国の通例で、使用主義国に比べて、先使用の認定条件が厳しく、先使用側に周知を要求します。よって、周知でない先使用者は使用を止める必要があり、抵触するものが予想される色彩商標の運用に慎重になっているのかと推測しました。

商品「消しゴム」で、トンボのMONOの色彩と同じものはないと思いますが、店舗で、セブンイレブンと同じ色彩の店舗ファサードは、在ってもおかしくありません。というか、セイコーマートセブンイレブンの色彩の違いは?と聞かれても、パッとは説明できません。

 

類似群コードというコンピュータがない時代の旧世紀の遺物で商標権の権利範囲を決めているところ、異議申立で商標権の取消をしないことと、先使用の認定条件が厳しいところなど、同意書を認めないところ、日本の商標法や運用には課題が多いように思います。課題の源は、日本的登録主義に行きつきます。

そもそもの登録主義国のように、訴訟条件として登録を求めるという登録主義であれば無審査になるばずですし、本気で審査するなら市場における商標の使用実体に合わせる努力(使用主義)が必要になります。

日本の登録主義の、役所が権利を設定してあげるので、その範囲で使用をしても良いとするという発想は、お上意識に立脚した時代錯誤のものの見方であるように思います。

 

識別力を商標の要素に入れるとか、ベストライセンス問題も良いですが、法改正を議論する人は、本質的なところを議論してほしいと思います。以前は、英米(特に英国とコモンウェルス)が理想的と思っていましたが、最近は、EUTMもいいなと思うようになってきました。

商標は特許と違って、新規性がないので、国毎に、同じような商標に別権利者が居てもおかしくないのですが、グローバル化した今日、当事者の議論に任せるEUTMは一つの解です。

 

単に、識別力だけ、異議申立だけ、同意書だけを切り取って議論しても、埒があかないので、法律全体、法運用全体を、比較法的に、比較実務検討などをしっかりやって、あるべき法制度を構想すべき時期ではないでしょうか。

JPDS ブランディング支援特別講演会

Brand Management~ブランドの育成と管理~

2017年10月3日、日本パテントデータサービス(株)(JPDS)の講演会に行ってきました。講師は、元ヤマハで商標を担当されていた、弁理士の橋本政美先生です。

 

商標協会の年次総会で、JPDSの方と名刺交換したので講演の案内をいただくようになりました。

知的財産戦略の総合サポート JPDS日本パテントデータサービス株式会社

JPDSは、特許事務所の方には、PATDATAを引き受けた会社として有名だと思います。

 

講師の先生は以前知財協会の商標委員会でご一緒したことがあったので、どのような話をされるのか、興味がありました。知財の仕事と、ブランドマネジメントの仕事が、どのように関係性があるのか、ヒントになるようなことがあればと思って参加しました。

 

会場は、西新橋のJPDSの会議室です。名古屋、大阪、福岡を高解像度のテレビ会議システムで結んでいましたので、全部で100名程度の参加者でしょうか。見た感じは、企業の商標担当者が多かったようです。

JPDSとしては、商標調査ツールのサービスが仕事のようですので、新規顧客勧誘の一環だと思います。

 

さて、内容ですが、基本的に、ブランドディングなり、ブランドマネジメントの話です。丁寧に概念を説明していただきました。

 

事例としては、関アジ・関サバのブランディングの事例、ヤマハ(株)とヤマハ発動機(株)のロゴの違い、商標管理(Trademark Management)とブランド管理(Brand Management)の違い、ブランド価値・ブランドアイデンティティ・ブランドスローガン等の概念の説明、などです。

途中、前の会社のブランドプロミスが漠然としていると指摘がありました(う~ん)。

 

講師が丁寧に各概念を理解されていることが分かりました。以前の職場で、ブランドコンサルティング会社や広告代理店の方からプレゼンを受けるときは、ビジュアルなものがほとんどで、概念を中心に話を聞くことが無かったので、新鮮でした。ただ、理解のためには、ビジュアルが欲しいようにも思いました。

 

面白かったのは、講師の先生は、ロゴの使い方などのブランドのミクロ要素の管理を、商標管理(Trademark Management)に分類され、商標担当者の業務とされていた点です。確かに、日本の商標管理のバイブルである日本生産性本部の「商標管理」では、権利管理以外の商標の適正使用管理が紹介されています(木村先生や大村先生の「商標が分かる12章の本」でも参考文献に挙がっています。今は、入手は難しいですが、古い企業や事務所にはあると思います)。

 

知財の商標部門で適正使用管理をするのが良いか、ブランドマネジメントの部門でやるのが良いか、企業によってそれぞれとは思いますが、考えさせられる話でした。

 

TIPSとしては、INTAが、適正使用管理のガイドライン(ACID)を出していることです。

http://www.inta.org/Media/Documents/2012_TMUseMediaInternetPublishing.pdf

ACIDとは、Adjective、Consisent、Identification or Status、DIstinctiveの略のだそうです。ここで書かれているのは、前述の日本生産性本部の商標管理と同じレベルです。

 

企業のブランドマネジメントでやっている、ミクロ要素の管理ですが、この70年でだいぶ変化しています。それをINTAも正面から分析していませんし、アメリカにおいても、商標管理とブランディングがだいぶ距離ができているのかなと、改めて思いました。

この冊子を出すだけでも、INTAはだいぶ良いのですが、現在のブランドマネジメントでこの4つが重要と言われても、一貫性以外は、ピンとこないと思います。

 

もう少し、各企業が何をマネジメントしているのか、大学の先生なりが調査して、まとめることは非常に有用と思いますが、ブランドガイドラインはノウハウの塊であり非公開という企業も多い(反対に今はWebサイトに公開する企業もあるのですが)ので、研究が、あまり進んでいないように思います。

 

また、根本論ですが、ブランドマネジメント的な視点でみると、ブランド価値、ブランドイメージのコントロールが基本ですので、出所混同を中心に概念を整理している商標法は、混同概念に縛られ過ぎているように思います。

コモンローと違い、欧州の名声(レピュテーション)理論の方が、ブランドマネジメントに合致しています。欧州の共同体商標などは、20年前にできたものですので、最近の議論が反映できているのだと思います。

アメリカでは、ダイリューションの理論が名声に近いですので、まだ、何とか理解できますが、日本の商標法は、名声もダイリューションもなく、出所混同だけですので、社会と法律が乖離しており、どうしたものかと思います。