Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ブルーボトルコーヒー買収

ネスレが470億円で68%の株式取得

2017年9月16日の日経に、ネスレが高級コーヒーの製造やカフェ運営を手がける米ブルーボトルコーヒーを買収したという記事がありました。

下記はその速報です。

www.nikkei.com

  • ブルーボトルは豆の仕入れや作り方にこだわるコーヒー会社
  • 米国の「サードウエーブ(第3の波)コーヒー」の先駆け
  • 西海岸で人気を集め、日本にも進出
  • ネスレは4億2500万ドル(約470億円)でブルーボトル株式の68%を取得
  • ブランド力と個性を維持するため、ブルーボトルの主要経営陣は続投
  • ネスレはコーヒーの世界最大手で主力商品に「ネスカフェ」を持つ
  • カプセル式コーヒー「ネスプレッソ」など、プレミアム商品にも力を入れている
  • ブルーボトルの買収で高成長が見込める高級コーヒー分野を強化

ネスレのWebサイトで、ニュースリリースが出ていました。

www.nestle.co.jp

ブルーボトルコーヒーは、ネスレが持つコーヒーに関する深い知見とグローバル規模の強固な顧客基盤を共有する一方で、独立した組織として経営を続けていきます。現経営陣と社員は半数未満の株式を保有し、ブルーボトルコーヒーを成功させてきたこれまでと同じ起業家精神を持って、事業を展開していきます。

引き続き、ブライア ン・ミーハンは、ブルーボトルコーヒー最高経営責任者(CEO)として、創業者であるジェームス・フリーマンはチ ーフ プロダクト オフィサーとして陣頭指揮をとります。

 

コメント

9月16日の日経によると、ネスレの売り上げが10兆円だそうで、ブルーボトルは小粒な買収ということです。

本業での成長が鈍化しているので、ぜいたくを楽しむ消費者を取り込むには、個性派の買収が欠かせないとあります。

 

ネスレと言えば、ネスカフェ、ネスプレッソのイメージですが、多くの食品ブランドを傘下に抱えており、食品のブランドコングロマリットでも有名です。

キットカットNestleのブランドも付いていますが、ピュリナ、マギー、ブイトーニなど、別ブランドで展開する多くのブランドを持っています。

以前、聞いた話では、売上の6割がNestle系で、4割はその他のブランドということでした。今回のM&Aは、ブランドに価値があるので、ブルーボトルコーヒーのブランドを継続することは間違いないですし、ブルーボトルがスターバックスのように大成功することもあると思います。

M&Aするネスレ側としては、ネスカフェやネスプレッソなどの既存のブランドと、全く無関係にブルーボトルを伸ばすのか、ある程度の関係性構築するのかなど、ブルーボトルをどのように生かしていくのか気になります。

ブルーボトルとしては、ネスレの資金力や海外展開能力を活用すると、大きく事業を伸ばすことは可能で、ブルーボトルの方にメリットが多いような気がします。

ブルーボトルが伸びれば、ネスレの企業としての収益は向上しますが、ブランド面で考えるとどうなるのでしょうか。

キットカットのようにNestleや、今回ならNescafeをあまり全面に出し過ぎると、ブルーボトルの個性が薄まるような気もします。

あの有名なブルーボトルを持っている、ネスレのコーヒー事業はすごいという関係性はありますが、それだけで良いのかなぁという気はするのですが、ネスレの経営陣の立場に立って考えると、たぶんですが、新しい成長をグループ内部に取り込むことが重要であって、それだけで十分という判断ではないでしょうか。

 

ブルーボトルコーヒーのWebサイトでは、コーヒー200gが1500円程度で通販していました。

bluebottlecoffee.jp

 

一点、面白いと思ったのは、ネスレ日本のWebサイトでのニュースリリースです。今回のブルーボトルコーヒーの買収のニュースリリースを見たのですが、スイスの本社が出した英語のリリースを載せているのと、その日本語訳があることです。

また、英語をクリックすると別のサイトに飛び、そこから、英語、フランス語、ドイツ語のニュースリリースに飛びました。

 

スイスが本社なので、英語だけでは不十分で、フランス語、ドイツ語も必要なのだと思います。また、日本の顧客にグローバルな動きを日本語で正確に知らせるなど、非常に丁寧な仕事をしているなと思いました。

育児の給与額

平均237万円

2017年9月14日の朝日新聞に、明治安田生命保険の育児に関するアンケート調査の紹介があり、0歳~6歳児の子育てに給与をもらえるとしたらいくらかを聞いたところ、平均は237.5万円だったとの記事がありました。www.asahi.com

  • 調査は子のいる20~50代の既婚男女にネットで8月に行い、有効回答は1032人
  • 0円との回答は、女性の3・3%に対し、男性は11・5%
  • イクメンは増えているが、男性の間で育児労働を軽んじる風潮がまだ根強いのではと指摘
  • 育児で想定する給与額で最も多かったのは、男女とも101万~300万円で、男性は28・6%、女性は47・8%
  • 次は301万~500万円で、男性は20・2%、女性は19・2%
  • 0円では男性が女性を大きく上回ったが、501万円以上でも男性が8・4%で、女性の3・7%を上回った

元ネタは、下記の「子育てに関するアンケート調査を実施」を見てください。

明治安田生命 | 2017年度ニュースリリース

 

コメント

このタイプの育児の金銭換算よく見るように思います。自分が質問されたとして、どう答えるでしょうか?

 

質問は「育児に対して対価がもらえるとしたら年収ベースでいくらになるか」というものです。前提が、0歳児~6歳児の育児ということのようですが、大体、子供がそのぐらいのときに、私は30歳台でしたので、自分の年収はそう高くありませんでした。

 

もし、育休を1年間とると年収が0として、そのときの年収見合いで回答してしまうような気がします。あるいは、働いているとしても、その労働の大変さと子育ての大変さを比較して、その時の年収を基準に、年収を割り出して回答するように思います。

 

全く別の視点ですが、育児は喜びであり、プライスレスと考えて、0円と回答してしまうかもしれません。

 

この質問は、安田生命の今回のアンケートの中でも、意味のある質問ではないように思いました。ただ、新聞では一番アイキャッチのある、この質問にフォーカスを当て紹介しているのだと思いました。このアンケートの客寄せパンダ的な質問なのかもしれません。

 

本当はこのアンケートのポイントは、次のようです。

  • 3人目以上の子供を持つのに何が不足しているか(お金、2.7万円不足)→社会の支援が必要
  • 育児休暇の取得状況(女性は半年~2年に多く、男性は1日~一ヶ月)→男性の育児休暇取得が課題

 

なお、「20歳~59歳の子供のいる既婚男女」に聞いているようですが、母数の取り方もどうなのかと思います。

50代になると、子供は社会人、大学生、高校生で、0歳児や6歳児ではない人が多いと思います。

 

0歳児~6歳児の子供を持つ、「20歳~59歳の既婚男女」なら分かりますが、そうなると50代のN数を集めるのが、至難の業になってしまうので仕方ないのでしょうか。

 

アンケート自体は面白いので、時間のあるときに見てみると良いと思います。

 

通勤コスト

神奈川県がトップで97.7万円

2017年9月13日の日経に、年間の通勤コストは、神奈川県がトップで、97.7万円になるという内閣府の調査が紹介されていました。

www.nikkei.com

  • 神奈川県が年間1人当たり97.7万円で最も高い
  • 最低は宮崎県で31.2万円
  • 2番目以降は東京都や千葉県などの首都圏や、奈良県兵庫県など近畿圏
  • 往復の通勤時間に平均時給をかけて、各年齢層の通勤コストを算出
  • 首都圏は賃金が高いが、通勤にかかるコストも高い
  • 宮崎県や青森県など低い地域に比べ60万円程度多く負担
  • 通勤コストを社会的損失であり、この社会的損失を減らすことが重要
  • 対策として、企業や政府機関が職場を地方に移す(職住近接)
  • テレワークを活用する

元ネタは、内閣府の「地域の経済2017」のようです。このページの雇用労働市場の動向のPDFです。加えて家賃の問題もあるようです。

 

地域の経済2017 - 内閣府

加えて、神奈 川県や東京都の勤労者は、家賃の低い5県の平均的な勤労者と比べ、毎年 36-52 万円 34 程度の家賃を追加負担することから、合計で約 96-112 万円程度の機会費用を負担しな がら働いていることになる。

 

コメント

神奈川県、東京、奈良、兵庫が高いというのは、実感に合致しています(神奈川の前は、奈良に住んでいたので)。

直接の定期代だけではなく、通勤にかかる時間を時給計算しているため、金額が高くなるようです。

通勤時間が、ゆったりと電車に座れて、本でも読めるのであれば、通勤のための拘束時間はありますが、自由時間になりますが、満員電車で1時間というのは、苦しいものがあります。

 

東京の省庁などが地方移転すれば、企業も地方で良いということになり、様子は変わるのでしょうが、そんな雰囲気はありません。

文化庁(京都)と消費者庁の一部(徳島)以外、あまり聞いたことがありません。

 

昔、特許庁の医薬品の部門は、大阪移転など議論された時もありましたが、いつの間にか消えました。

 

そういう意味では、文化庁消費者庁の取り組みは、是非とも上手くいってもらいたいので、社宅を良くするとか、赴任手当をはずむとか、なんとかして成功してもらいたいと思います。

 

もう一つの可能性は、千葉の幕張なり、横浜のみなとみらいなど、広域の東京圏に省庁が移転することです。日産や富士ゼロックスの研究所や日揮千代田化工など、企業の本社がだいぶ増えたとはいえ、みなとみらいは、まだまだ土地が余っています。幕張も同様だと思います。

 

自宅のある横浜で働ければ近くて良いのですが、如何せん職場がありません。ここが、神戸と横浜の差ですね。

特許事務所など、特許庁にたまに行く程度で特許出願は電子出願ですので、東京にある必要性はなく横浜で十分です。

現に、ある特許事務所の所長からは、神奈川県は、企業の研究所や事業場が多いので、特許事務所を横浜に開設することで、優秀な人材が集まったと聞きました。企業も、横浜がNGとは云わないと思います(特に名古屋や大阪の企業にとっては、横浜も東京も同じ東京地域なのです)。

 

ただ、特許の研修会は東京中心にやっていますし、委員会活動も東京です。東京で特許事務所を開設するメリットは、同業の仲間が集まっており、情報が集積していることの効果でしょうか。

 

反対に、東京は家賃が高いので、この点は地方が有利な点だと思います。

 

人材確保・事業所の家賃・交通費・個人の家賃では地方が有利であり、情報の集積という意味では東京が有利ということでしょうか。恩田特許事務所は岐阜の事務所ですが、非常に成功しています。東京支店もありますので、情報収集や発信は東京で可能です。

このように、本部が地方にあり、東京に支社があるのが一番効率的ではないかと思いますが、どうなんでしょうか。

ダイエーのブランド

600品目値下げ

2017年9月9日の朝日新聞に、イオン傘下のダイエーが、食品や日用品など約600品目を値下げすると発表したという記事がありました。

www.asahi.com

内容は、次のようなものです。

  • 13日から約3か月間、値下げ、値下げ幅は1~2割程度
  • 全国のダイエーグルメシティ176店
  • 大手メーカーの商品が対象
  • ペットボトルのお茶や顆粒だしなどの食品
  • シャンプー・リンスなどの日用品
  • 購入頻度の高い商品を選んで3ヶ月ごとに値段の見直し
  • 節約志向の根強い消費者をつなぎとめる
  • イオンや西友も値下げしている

コメント

自宅の近くのダイエーが昨年イオンに変り、食品専門店の中型店舗のグルメシティは別として、ダイエーはすべてイオンになったのかと思っていました。

ダイエーとイオンのホームページで、過去自分が行っていたダイエーで、既にない奈良店を除き、今はどうなったかというと、

  1. ダイエー古川橋店(大型、郊外)→イオン
  2. ダイエー京橋店(大型、都心)→イオン
  3. ダイエー三田店(大型、郊外)→イオン
  4. ダイエー十日市場店(大型、郊外)→ダイエー
  5. ダイエー金沢八景店(大型、郊外)→イオン
  6. ダイエー横浜西口店(大型、都心)→ダイエー
  7. ダイエー横須賀店(大型、郊外)→イオン
  8. ダイエー戸塚店(大型、郊外)→イオン

だいたい、イオンになっているのですが、十日市場店となんと横浜西口店(ビブレの横)がダイエーのままでした。

Wikipediaによると次のようになっているようです。

最後のところがポイントですが、Wikipediaの脚注によると、毎日新聞が元ネタのようです。

mainichi.jp

関西での高い知名度を生かし、食品専門店のグルメシティが、ダイエーのまま残るとあります。

この方針通りなら横浜西口店は何でも売っている大型店なので、変更されることになるのかもしれません。

 

関西でのダイエー知名度の活用と、会社としてのダイエーを受け皿にして食品スーパーを強化するという方針なのだと思いますが、ジャスコも、マイカルも消したのに、ダイエーを残すというのは驚きました。

マックスバリューは確かに機能名的すぎて、食品スーパーのブランドとしてどうかと思いますが、今まで、大型のモールを「イオンモール」、GSMを「イオン」としてきた延長で、食品スーパーも「イオンフードスタイル(仮称でWikipediaにあった名称)」などとするのが、通常だと思います。

 

一病息災というか、少しぐらい問題がある方が、結局、健康に気を付けているので良いという考え方もありますが、あえてダイエーを残す理由と戦略を聞きたいなと思いました。

 

商標権は3年使用していないと誰でも取消請求することができますので、使い続けないと関係ない第三者にダイエーのブランドを横取りされてしまうのかもしれませんが、第三者が下手に使ってイオン傘下のダイエーとの混同が生じれば、不正競争防止法で差止請求できる可能性はあります。よって、商標更新問題は決定的な理由にはなりにくいと思います。

 

ガソリンのような商品ではブランドは地域を超えますが、小売店では地域性も重要なファクターであるように思います。

また、専門性、価格帯、その他何らかの特色があれば、ブランドを分ける意味があるのですが、単にブランドが有名だからというのでは、理由としては弱いと思います。

 

関西人ですので、関東に転勤して来たとき、ダイエーがあると安心しました。ヒガシマル醤油の薄口を売っているためです。特色としては弱いですが。

中国の商号判例(氏名と商号との抵触)

慶豊包子舗事件

2017年9月7日の特許ニュースに、中国の商号判例紹介がありました。林達劉グループの北京林達知産権研究所 北京魏啓学法律事務所の魏啓学さんと李美燕さんの判例解説です。2016年中国法院10大知識産権案件(JETROの調査資料もあるようです)にあるようです。

 

中国北京が本拠の北京慶豊包子舗(以下「慶豊包子舗」という)は、肉まん店のチェーン展開をしていて有名なようです。一方、被告は山東慶豊餐飲管理有限公司(以下「慶豊餐飲社」で、その代表者は「徐慶豊」という個人です(簡体字では「徐庆丰」)。

慶豊包子舗は、「慶豊」商標について、42類の「レストラン等」を指定役務にした商標権を持っています。また、「老庆丰/LAO QING FENG」という商標について、30類の「饅頭、肉饅頭等」を指定商品にした商標権を持っています。

 

被告は、吉利餐庁など8つの企業内食堂で営業をしたようですが、その時に使用したスローガンは、「庆丰餐飲の全社員は貴方を歓迎する」というものでした。その他、公式サイト、店舗ドア、メニュー、広告・宣伝で、「庆丰」や「庆丰餐飲」を使用しました。

一審と二審

一審の山東省済南市中等裁判所での判断は、次のようなものです。

慶豊餐飲社の主張:会社の代表者の名前を商号として登録する権利があり、登録した商号は使用する権利があり、また、慶豊包子舗は著名商標ではなく、使用商標も同一・類似ではない。

一審の判断:字体、大小と色彩上、際立てて使用していないので、商号の合理的な使用に該当する。また、慶豊餐飲社の商号登記時に山東省や済南市では有名ではなく、商標権侵害を構成しない。

二審の山東高等裁判所は、一審を支持しました。

 

最高裁判所の再審

本件は、最高裁に再審請求され、最高裁は商標権侵害と不正競争の双方を認定して、一審、二審を取り消して、商標権侵害行為と商号の使用停止を命じる判決を下しました。

徐慶豊氏は、かつて北京餐飲業界で勤務していたことがあり、慶豊包子舗の知名度や影響力を知っているはずで、ただ乗りの悪意を有し、公衆に誤認を与える恐れがあるので商標権侵害に該当し、また、慶豊包子舗は商号でも有名であり、同一種類の営業をすることは商号へのただ乗りもあり不正競争でもあると判示しました。

 

解説 

魏さん、李さんの解説には、法律の適用関係が丁寧に説明されていました。

  1. 商標が「著名商標」の場合は、当該商号の使用が、商標権侵害、不正競争になる
  2. 「著名までいかない商標の場合」は、商号の商標と言われている部分が、際立てて使用しているかどうかが判断のポイント
  3. 今回、一審二審は形式的に字体、大小、色彩等の使用態様を際立てて使用していないとしたが、最高裁は公衆の認識を中心に、文字「庆丰」を使った被告使用行為は商標的な使用に該当するとした(商標権侵害)
  4. 「著名でもなく、際立て使用するものでもない場合」は、不正競争があり、先行商標の知名度、商号使用者のただ乗りの主観的な悪意、客観的な誤認混同のおそれなどから判断する(不正競争防止法違反)
  5. 今回の最高裁は、不正競争行為を商号同士の比較で認定していますが、被告の商号と原告の商標でも商標権侵害状態にあり、よって、被告商号と原告商標の比較でも不正競争防止法違反になるのではないかと議論を展開しています

コメント

判決は納得できるものです。

特に日本企業の商標や商号といった、ブランドが中国企業の商号として取得されてしまい、商号の使用であるという後ろ盾の下、実質的に商標権侵害が生じることが良くあるので、商号についても商標権侵害や不正競争防止法での規制がかかるようになることは望ましいと思います。

ちょっと古いですが、「日本雅馬哈(ヤマハ)株式会社」事件、「香港松下電器」事件などに、通じる論点です。

 

今回は、代表者の氏名であり、氏名権(中国ではこの言葉を使うようです)がありますので、商号の採用に一定の正当性があり、どちらが保護されるかということで、公衆の利益を優先したのだと思います。

 

今回の慶豊包子舗の説明が下記のサイトにありました。

timor-sparrow.net

 

2016年中国法院10大知識産権案件には、有名なマイケル・ジョーダンの中国名(喬丹)を使った「喬丹体育」の事件もあったようです。

 

中国では、日本の20倍の商標出願がありますので、商標権侵害などで、裁判に争われる案件も非常に多いはずです。

中国の判例は事件としても面白いものが多く、また、中国には賢い人法律専門家も沢山いるので、徐々に判例も整備され、法律運用レベルも日本を超えてくるのも時間の問題という気がします。

 

だた、今回の解説にもあるのですが、「著名商標保護に係る民事紛争案件審理における法律応用の若干の問題に関する最高裁判所の解釈」とか、「商標民事紛争案件審理における法律適用の若干の問題に関する最高裁判所の解釈」など、司法が作った規則があり、それが適用されています。

自由主義の国では、通常、判例を法学者や実務家が判例評釈して、判例の背後の理論が整理しますが、中国では裁判所自身が解釈指針を決めている(あるいは、解釈という名の立法行為をしている)ようですので、この点は、やはり違和感があります。

LVMHとケリングの協力

「やせすぎ」などの防止方針

2017年9月7日の朝日新聞に、LVMHとケリングが共同で、モデルについての方針を発表したというニュースがありました。

www.asahi.com

  • LVMHとケリング(グッチやイブ・サンローラン)が、共同で、ファッションショーに「やせ過ぎモデル」を起用しない方針を発表
  • モデルが無理なダイエットで健康を損なう問題があり、モデルの福利のため
  • すべてのブランドで、男女ともモデルの募集要件から小さい服を着られるよう求める項目をなくす
  • 廃止されるのは女性服だと米国のXXSにあたるサイズ
  • また、ファッションショーに参加する大人服のモデルは16歳以上とした
  • 16~18歳のモデルは、学業に支障がないように午後10時から午前6時までの仕事を認めない
  • モデルの健康への配慮について、業界のリーダーとして特別な責任がある
  • この方針がブランドをさらに1段階、高めることになる

●VOGUEに、次の記事がありました。

www.vogue.co.uk

朝日新聞にあった以上の情報としては、次のような方針があるようです。

  • 2018年の春夏ショーのシーズンから適用
  • 6ヶ月以内に、医療機関の発行した健康であることの証明書が必要
  • 仕事時間に臨床心理士などを配置
  • 問題があるときは、医療機関・配役監督・会社に直接、通報できる
  • 午後8時以降は自宅にまでの移動手段を提供する
  • 仕事当日を通して健康な食事をする情報と共に、食事や飲料を提供
  • 撮影や着替えのために裸になるときは、制作担当や写真家と一緒のところでは、決して一人にしない
  • 16歳~18歳のモデルは、付き添いや保護者が必須
  • アルコールは配役や撮影のときは提供されない

そして、背景として、次のように説明しています。

  • モデルエージェントのジェームズ・スカリーが、ケリングのバレンシアガで発生したモデルの虐待問題を非難したことが背景
  • ケリングとLVMHという業界の代表によるモデルの仕事環境改善となった。今回の改善を業界全体に広げていきたい

コメント

バレンシアガで発生した事件は、少女たち150人を、暗い吹き抜け階段に閉じ込めて、監督たちがランチに行き、3時間帰ってこなかったというもののようです。

www.vogue.co.uk

これが問題になったので、バレンシアガは問題への急遽対策をとることを通知し、そして、今回、親会社であるケリングが、LVMHも巻き込んで、業界全体として、対策をとることになったようです。

 

朝日新聞の記事では、やせすぎモデル問題にフォーカスしていますが、問題の背景には、ショーや撮影現場の過酷な環境や、監督の態度など、劣悪な労働環境があったようです。

 

企業で問題が発生したときに、PR部門が危機管理能力を発揮して、しっかりした対策を立案し、それをTOPが発信して、危機を乗り越え、ブランドの棄損を最小限にすることが重要とされています(危機管理広報)。

 

今回は、虐待問題とは全く別の論点ともいえる、やせすぎモデル問題を前面に出ているように思います。

本来、マイナスでしかない話を、モデルの健康を含めた包括的なモデルの福祉のための提案にすることで、ブランドや業界の活動をプラスに持っていっているように見えました。

マイナスをプラスに持っていく、上手いやり方なのかもしれません。

EssoとMobil

ENEOSに統合

  2017年9月7日の日経に、JXTGエネルギーが、給油所のブランドを「ENEOS」に統一するという記事がありました。 

www.nikkei.com

ブランド統合の歴史が、図で説明があるので見てください。

今頃、発表になった理由

  • 特約店は「ブランドに愛着と誇りを持っている」
  • 反発は必至。発足当初はブランド統合を見送った

エッソ、モービルの説明

  • エッソ、モービルはエクソンが世界展開するブランドで、日本でも1960年代から半世紀以上の歴史を持つ
  • エクソンはすでに小売市場としての日本への関心を失っている。12年に東燃ゼネラルに事業を売却し、ブランドは残ったが経営には関与していない

共倒れの懸念

  • JXTGの給油所数の国内シェアは4割超。幹線道路などではENEOSの看板が乱立し、共倒れの懸念
  • 対策として店舗の統廃合の必要性

経営効果と将来

  • エクソンに支払う年数十億円のブランド使用料はなくなる
  • 新たな収益源は海外展開。しかし、海外では欧米メジャーが立ちはだかる
  • 今後は海外で厳しい戦い

速報記事もありました。店舗数など出ています。

www.nikkei.com

店舗数など

  • ENEOSの系列給油所は全国に約1万カ所
  • エッソ(約1800カ所)、モービル(約1000カ所)、ゼネラル(約500カ所)
  • 18年から順次、ENEOSに切り替える。20年の東京五輪までに切り替えを完了
  • 国内のガソリン需要は電気自動車などエコカーの普及で年2~3%ずつ減少

 

コメント

年2%~3%、確実にシュリンクする市場というのは、厳しいですね。これも、M&Aの一つですが、攻めのM&Aではなく、市場を整理して、効率化して生き残るためのM&Aですね。

 

パイの広がっている市場であれば、別ブランドを活用して、売上の拡大を目指すという方法もありますが、ガソリンは配送網やカードの統廃合など、一つのブランドに統合して効率化を図る方が良いのでしょうね。

ブランド使用料の数十億円(80億円なのか20億円かは不明ですが)の経営貢献も大きいと思います。

 

また、服などは商品に個性があり、ブランドで選択されますので、ブランドを変えることに意味がありますが、ガソリンはどのブランドのものを買っても、基本同じ性能の商品ですので、値段勝負とならざるを得ない特殊な商品なのだと思います。

 

可能性があるとすると、フルサービスのスタンドをENEOS、セルフのスタンドをJOMOにするとかはあるのかもしれませんが、今は、どこもセルフなので、この戦略もないですね。

 

10年ほど前から、ガソリンスタンドがなくなって、そこがコンビニに変っているということも良く見かけ、古いカーナビでガソリンスタンドがあるはずのところになく、ガソリンスタンドが減ったことは肌感覚で分かります。

 

人口の集積地の東京近辺は、交通の便利が良く、地下鉄などの公共交通機関で足りるので、車が必要ではありません。私は横浜ですが、本当に、車に乗らなくなりました。奈良にいた時とは、だいぶ違います。

 

実家のある奈良市では、地元の有力企業である増尾商事さんが、Mobilの特約店だったので、Mobilのスタンドが多く、一番愛着があります。

 

今回、EssoとMobiとゼネラルが無くなるとすると、残るは、Shellと出光とコスモ石油でしょうか。Shellと出光は、経営統合の方向で議論があるようですので、これもブランド問題になるのでしょうか?消費者としては、ブランドの選択肢が少なすぎるのもどうかと思います。

 

この先、海外に出てメジャーと戦うのは、余程、画期的な商品がないと苦しいと思います。

水素社会になるのも、時間がかかりそうですし、しばらくは、ガソリン業界は、我慢の時代が続くのでしょうか。