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Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

外国商標 指定商品・役務の考え方(4)

自動車メーカーの事例

電機メーカーと同じ耐久消費財に自動車があります。

完成品は「automobile(自動車)」なのですが、一万点以上の部品があります。そして部品は補修部品などの形で独立して取引されます。

自動車メーカーも電機メーカーと同じように指定商品の記載をやっているように思いますが、
この点について、以前、自動車メーカーの商標担当者に聞いたところでは、「automobile and their parts」で良いとしているとのことでした。
こっちは、商品に振り回されているのに、自動車メーカーは羨ましいなぁと思った記憶があります。

理由は、彼らはエンジンと車体が本業で多くの部品は部品メーカーの商品であり、自分達の商品ではないためです。また、部品の点数が電機メーカーよりも多いのも理由です。
一部、補修部品がありますが、商社機能で流通させているのであり、商標は部品メーカーの商標があるためです。

だいぶ昔に聞いた話なので、現時点でも、そういう運用なのかは、確認しておきます。

外国商標 指定商品・役務の考え方(3)

商標・ブランドについての気付き

45分類、全ての商品分類への出願

前の会社は、実際に使用している商品・サービスの具体記載にこだわった運用でした。一方、総合電機のA社や光学機械のB社のように、登録制度のある国すべてにおいて、全商品・役務の分類で権利取得すること目指している会社もあると聞きます。

ハウスマークが、第三者に権利取得されてしまうような商標事件が起こると、その国では、当該商品の事業ができなくなり、大きな問題になりますので、安全のために全世界・全分類で商標権を取ろうということだと思います。

もし、権利を取られてしまったりすると、取り戻すためには、無効審判や無効訴訟をしていく必要があり法務のコストも労力もかかりますので、権利取得のコストと無効にする法務コストを比較して、法務コストが安ければ、権利取得しておく方が良いという判断だと思います。

前の会社のように、どこかの国で実際に事業をしている商品・役務に拘るなら、条件が整えば他の国で展開出来る商品や役務ばかりです。使用意思はあると言っても良い状態です。また、実際の事業がありますので、日本語や英語でカタログやホームページのようなものもありますので、指定商品・役務の記載や説明も可能です。

しかし、全分類となると、いくらA社やB社のような大企業でも、実際は事業をやっていない商品・役務が出てきます。そうなると、具体的な商品・役務を記載すること自体が難しくなり、特許庁の類似商品・役務審査基準とか、国際分類のアルファベティカル・リストを見ながら、想像を働かせて商品・役務を選ぶということになります。(そもそも、商標登録時や更新時に、使用証拠や使用宣誓書の提出が必要な国では、法的に、全分類は無理ですので、全分類というのは、アメリカやフィリピンのような厳格な使用主義国を除くという制限があります。)

A社やB社は、実際に事業をやっている商品・役務と、事業をしていないけれども可能性として考えた商品・役務を分けて管理されていると思われます。

結局は、商標権を取得する考え方・ポリシーの問題となります。昔の3Mが使用主義の考え方で、A社やB社は登録主義の考え方です。以前の会社は、使用主義に憧れながら、管理実務を考慮した、中間的な運用なのだと思います。

外国商標 指定商品・役務の考え方(2)

商標・ブランドについての気付き

商品・サービスの粒度

以前の会社の、当時の実務の特徴としては、アメリカやカナダ、英国のような具体的商品を記載する必要のある国だけではなく、一般的にはクラスヘディングで十分という国まで、具体的商品・サービスを記載していた点です。単に使えれば良い程度なら、大概念(クラスヘディング表示など)で十分ですが、模倣品対策やライセンスに主眼をおいたため、個別商品指定が望ましいと考えたのです。WIPOのアルファベティカル・リストよりは、ずっと細かい粒度でした。

今から考えると、模倣品対策やライセンスする国は、ある程度決まっているので、その国だけ個別商品指定を徹底すればよかったのかしれません。アジアや中国で、模倣品やライセンスの時、具体的商品が指定されていないために苦労をしたので、反動でこのような状態になってしまった面があります。

実際の個別商品は、アルファベティカル・リストに記載のない商品名ばかりですので、カタログやWebページを準備し、いつでも提出できるようにしていました。商標なのか、商品の普通名称なのか、判別できないものも多かったと思います。

この点は、視点を変えると別の見方もできます。時代とともに、会社の商品・役務が変化しますので、個別商品というのは、事業感覚にも合致する面もあるのです。TVやエアコンなど時代を超えて不変の商品もありますが、部品などを中心に、全社では毎年数%程度の商品の入れ替わります。10年もすれば商品・サービスがごっそり入れ替わるイメージです。

下手にクラスヘディング表示や、アルファベティカル・リスト程度の「粒度」で商品・サービスをまとめるよりも、徹底的に個別の商品・サービスにこだわるのは、この事業の感覚には合致するのです。

なお、出願にあたっては、3Mのように新しい商品・サービスだけを追加で出す方法もありますが、前の会社は、すでにある商品・役務を含めて、全部取り直す作戦でした。

これを徹底すると、理論上は、商標権の更新出願は不要ということになります。すでに同じ国、同じ分類で、多くの権利があるような状態では、権利関係が重複・錯綜しており、このような置き換え出願に合理性がありました。(特にローカル分類から国際分類に再分類された国などは権利が細かくなり過ぎ、整理が必要でした。)

ライセンスで権利番号を特定していない限り古い権利は放棄すれば良いのです。更新制度よりも新規出願の方が費用は高いのですが、最新の権利があれば最新の商品・サービスに最も近い権利があるのはメリットです。

外国商標 指定商品・役務の考え方(1)

商標・ブランドについての気付き

ハウスマークの出願

会社の方針によって正解が変わる話なのですが、外国商標の出願について自分として今まで考えていたことを何回かに亘ってご説明します。

外国商標出願というと、ハウスマーク(コーポレートブランド)の商標出願が重要です。そして、商標出願は、①商品・サービス、②国、③マークに分けて考える必要があります。そして、一般に、一番難しいのが、商品・サービスと言われています。

たぶん、今は、WIPOのリストを中心に考えることが、平均的な対応方法だと思います。

話が出願から少しズレますが、以前の会社に入社したてのころ、商標登録異議申立のために、日本・中国・台湾・アメリカの商標公報をチェックする仕事がありました(その後、特許情報会社からFAXやメールで検索結果が来るようになり、公報チェックの仕事はなくなりました)。

アメリカのOffical Gazzeteで、「3M」商標の指定商品を見て感動しました。アメリカは具体的商品指定が必要な国です。彼らは毎年毎年、新製品について、「3M」商標の出願をしているのです。1989 年版の新商品、1990 年版の新商品、1991年版の新商品という具合です。全世界とアメリカでの最先使用日を記載する必要があるというアメリカの法制度とセットで考えると、3Mの運用は、素晴らしい運用だと思いました。まさしく先使用主義です。また、日本のライバル関係にあった某社の出願にも感動しました。例えば、オーディオのアクセサリーについて、本当に細かなものまで、きちっりと書いてあったのです。

ただ、この運用を全世界でするとなると無駄、無理があります。世界では分類は必要でも具体的指定商品の記載が必要ない国もありました(日本分類のときも大体そんな感じでしたし、中南米や旧共産圏など「類」の記載だけで終わりの国がありました)。その国まで、個別商品・サービスを指定する意味はありませんし、勝手に代理人が類だけにして出願していました。

ただし、以前いた会社では、アメリカでの権利取得に対応することと、全世界、自分達の管理しやすい商品・サービスの括りで把握しやすい形で権利網を取得するためと思いますが、ハウスマークについては、数年に一度、その時点で実施している商品・サービスの実態調査をして、日本語・英語で商品・サービス名リストを作っていました。(この粒度があらいときもあれは、細かいときもあって、とりまとめの担当者の個性が出ていました。)

そして、このリストを基本に、外国出願の指定商品・役務を考えていました。

正露丸の新製品

商標・ブランドのニュース

51年、36年 どっち?

 2017年3月16日の日経と朝日新聞に、「ラッパのマーク」の大幸薬品の「正露丸」の新製品のニュースがありました。新製品の名前は、「正露丸クイックC」です。液体をカプセルに入れたもので、素早く胃に溶けるようです。

有名な家庭薬で、久しぶりの新製品という点に、ニュースバリューがあるようです。

www.seirogan.co.jp

日経には「正露丸の新型薬51年ぶりに発売」とあり、朝日新聞には「正露丸36年ぶり新装」とあります。えっ?どっちが正解、という感じです。

記事を読むと着眼点の違いのようです。

日経は、糖衣錠まで、錠剤だけだった正露丸が、「液体のカプセル」という新タイプになったという点に着目しています。1966年の「セイロガン糖衣」からカウントして51年ということです。

朝日新聞は、新製品の発売が36年ぶりということに着目しています。1981年の「セイロガン糖衣A」からカウントして36年ということです(「セイロガン糖衣A」には「A」がついています。当時の新製品だったんでしょうか。)。

よって、どっちも正解ですが、ややこしいですね。

 

コメント

正露丸」は商標の教科書にも出てくる有名な話があります。

一つは、「正露丸」は、日露戦争のときに発売され「征露丸」だったものを、戦後に国際関係に配慮して「正露丸」に変えたということですね。

もう一つは、「正露丸」自体は、木(もく)クレオソートからなる薬の普通名称になっており誰が使ってもよいもので、多くの会社が「〇〇正露丸」ということで正露丸を出しているといことです。こちらは、名称とパッケージとかも含めた不正競争防止法の事件が、裁判で争われているようです。

www.seirogan.co.jp

今回は、「ラッパのマーク」で有名な大幸薬品の話ですが、確かに色々な「正露丸」がありますね。

この文書を書くのに、大幸薬品のホームページを見たら、今回の記事は単に正露丸としての新型薬が出ただけで、正露丸以外の商品もあるのですね。当たり前といえば当たり前ですが、あまりにも正露丸のイメージが強く他の薬に思い至らず、記事を読んだイメージとして、大幸薬品には久しく新製品がなかったのかと勘違いをしてしまいました。「クレベリン」など、薬局で見かけます。私も知っていました。

www.seirogan.co.jp

(いままで、電機機器メーカーのホームページは良く見ていたのですが、食品や薬や外食業界の会社のホームページはだいぶ違うので面白いですね。)

「や台ずし」と「磯丸すし」

商標・ブランドのニュース

トレードドレス事件 訴訟の意図は?

2017年3月16日の朝日新聞デジタルの記事で、すし屋さんのトレードドレス事件を見ました。名古屋の「や台ずし」を展開する会社が、東京の「磯丸すし」を展開する会社を、外観の変更と約471万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に訴えたというものです。

「や台ずし」の運営会社は名古屋の会社で、「や台ずし」は本格職人握りずし居酒屋という業態で店舗を幅広い地域で出しているようです。

「磯丸すし」は「磯丸水産」という人気の海鮮居酒屋の運営会社が、最近はじめた新業態で横浜に第一号店があるようです。

www.asahi.com

 

コメント

店舗名称(商標)は全く違いますし、店舗の外観が立体商標が商標権になるのはハードルが高いで、不正競争防止法がメインになる事件だと思います。

パッと見てですが、通常すし屋の店内にあるお品書きが店外にあるところと、店舗名を記載した看板の配置のレイアウトが外観上近いところでしょうか。

最近あった、トレードドレスの事件としては、コメダ珈琲と和歌山の喫茶店に店舗外観の使用差止めを求めた仮処分が、東京地裁で認められたケースがありました。

www.asahi.com

本件は法律上の論点としてはコメダ珈琲のケースは近いのですが、法務戦略として、パッと思いついた事件は、「鳥貴族」と「鳥二郎」の事件でした。訴訟を上手に使っていると思います。

www.sankei.com

この件は、あまりニュースになっていませんが、昨年にすでに和解しているようです。和解の内容は不明ですが、結局、鳥二郎の商標権は維持されています。もともと、商標権侵害や不正競争防止法の事件としては無理筋の話と思っていました。

しかし、実質上の勝者は、どうやら商標異議申立では負けた鳥貴族のようです。裁判をすることで、マスコミが鳥貴族と鳥二郎の違いを説明してくれましたし、鳥二郎に模倣業者のイメージを与えることができたためです。ビジネス上は鳥貴族の勝ちであり、上手いやり方だと思います。

本件の結論自体はこれからですが、今後、商標の周辺で不正競争防止法を活用して、このタイプの、速攻攻撃のような訴訟の活用が増加するように思います。

ホリーズカフェ(大阪のスタバ?)

閑話休題

大阪で大人気のカフェ

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わけあって、2017年1月のひと月は単身赴任で、大阪京橋のワンルームマンションで生まれてはじめての一人暮らしをしていました。

土日にやることがなく、本屋さんに行こうと思い、大阪で一番専門書がありそうな本屋ということで、堂島のジュンク堂に行ったときのことです。梅田から堂島までの道のりで、赤い看板のホリーズカフェを沢山みました。

ホリーズ

株式会社ホリーズ - ホリーズカフェ レギュラーメニュー

水だしアイスコーヒーのダッチアイスコーヒー(270円)が看板メニューのようです。スタバほどおしゃれじゃないが、ゆったりできて、ソフトクリームもあって、大人はもちろん、若者にも、子供にも、大人気でした。ダッチアイスコーヒーを飲んだのですが、すっきりした味でした。

店舗は、大阪を中心に、関西だけのようです。スタバのように、一等地にはありません。大阪駅前第3ビルの下のようなところにあります。

人気の秘密は、自宅のキッチンかダイニングで過ごすような雰囲気です。とにかくゆっくり出来ることだと思いました。

これが東京に来たら受けるのでしょうか?東京で、スタバやドトールコーヒーとガチンコ勝負をしてもらいたいと思います。楽しみにしています。