Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

商標に関する日中共同研究

商標の類否判断に関する日中の比較研究

特許庁のWebサイトに、「平成30年度知的財産に関する日中共同研究報告書」が、アップされています。

平成30年度知的財産に関する日中共同研究報告書 | 経済産業省 特許庁

この中に、商標に関するものが、4つあり、順番に読んいるところです。中国の商標の類否は、日本とは違うところがあり、そのあたり、参考になればと思って読んでいます。

 

まずは、中国社会科学院 知識産権センター 李 明徳 教授の「商標の類否判断に関する日中の比較研究」です。

 

https://www.jpo.go.jp/resources/report/takoku/nicchu_houkoku/document/h30/h30_houkoku4.pdf

 

李先生の論文の構成は、

1.商標の類否判断に関する概要

2.商標の類似と商標の登録

3.商標の類否と商標権侵害

4.結論

となっています。

 

1.商標の類否判断に関する概要

  • 商標法の目的:第1は、商標に化体し・累積された業務上の信用を守ること(1916年のハノーバー事件の米最高裁判例の引用)。第2は、商品・役務の出所に対する混同から消費者を守ること。第3は、正常は市場競争秩序を守ること。※ 日本と順番が違います。第2と第3が入れ替わっています。
  • 商標の機能:中国では、商標の機能は、出所提示機能、商品・役務区別機能、品質保証機能、広告・宣伝機能とあります。※ 日本の3機能分析とは違います。商品・役務区別機能は、日本の自他商品識別機能に言葉は近いですが、少し違うのかもしれません。消費者保護が全面に出てもおかしくありません。

2.商標の類似と商標の登録

  • 中国では、商標の同一・類似と、商品(役務)の同一・類似で、拒絶をするが、その奥には「混同をもたらすおそれ」が隠れている。具体的は、バドワイザーの図形商標の事件。形式的に類似ではなくても、混同のおそれがあれば類似になる。消費者に混同をもらたおそれに焦点を当てている。
  • この点、日本では、4条1項15号が処理しており、異なる。
  • 日本については、最高裁が商品の類似について消費者の混同のおそれを判断した橘正宗事件、4条1項8号に関する商号の略称の周知性について月友会事件、4条1項19号についてのManhattan事件を説明しています。特に、4条1項19号の外国周知でも良い点は、超地域性として、積極に評価しています

3.商標の類似と商標権侵害

  • 中国商標法は、1982年成立。当初、「混同をもたらすおそれ」は基準ではなかった。
  • 2001年、未登録周知商標の保護で、「混同をもらたすおそれ」の概念導入
  • 2002年、最高人民法院は、「商標民事紛争案件審理における法律適用の若干の問題に関する解釈」で、商号とドメインネームと商標の関係で、「混同をもたらすおそれ」の概念導入
  • 2013年、法改正で、57条2項で、商標権侵害で、商標の同一・類似、商品(役務)の同一・類似を使用することによって、「混同をもたらすおそれがある場合」は、商標権侵害になるとした。(※ 文言上は、類似であっても、更に、混同をもたらすおそれが必要になります。)
  • NIKEは、スペインは別の権利者がいる。その別の権利者が、中国にOEM生産委託をした場合について商標権侵害とした判例の紹介。(このOEMの対応に対しては、中国では批判があり、2013年の法改正で、混同をもらたらすおそれで、処理することになったことの紹介)
  • 日本で侵害関係を、「混同のおそれ」で処理したものとして、「小僧寿司」事件
  • 日本も中国も、権利授与(※付与)が、権利発生の条件であるが、中国のテレビ番組の番組名「非誠無●」と、結婚紹介所の同じ商標との類否に関して、混同をまねかないとして、侵害を否定した例
  • 日本では、POPEYE事件で、商標登録の有効性に異議を唱えない前提で、「権利濫用」の抗弁制度が確立した点の紹介

4.結論

日中の類否では、登録時でも、商標・商品(役務)の同一類似だけではなく、混同のおそれを考慮しているとはいえる。

ただし、侵害時は、中国は明文で、混同のおそれを要件に入れた

誤った登録は、日本は「権利濫用」論で対処し、おそらく、中国では英米法の観点を入れて、登録は単なる公示であり、財産権の付与とは無関係となるだろう。

日本の商標法は、が4条1項19号の外国周知が称賛される。

 

コメント

一般に、中国、台湾、韓国などの商標制度は、日本の真似をしているという人が多いのですが、単純にそうではありません。

李先生のこの論文をみても、アメリカや大陸法を相当勉強していることが分かります。

形式的な類似を、どのように修正するかですが、類似の中に混同を読むか、類似の外で混同を読むかであり、中国は類似の中で混同を処理すると理解しました。類似の外で判断する日本とは全く違います。

 

橘正宗の判決は、商品の類否を、使用する商標との関係でみるか(相対説)、抽象的な商品との関係で見るか(絶対説)で、日本では、登録主義なので、抽象的にしかみれないとして、絶対説とした判例のようです(工藤莞司、「商標法の解説と裁判例」P153、参照 )。

中国は、これを、混同の概念で、類似の中で、読み込んでいるようですので、相対説になるのではないでしょうか。

 

中国においても、審査においても、審査の便宜上、類似商品役務審査基準的に、類似群コード(短冊)で判断しますが、これは、相対説ですので、実際の使用商標を前提に、裁判所で争えることになります。より柔軟な解釈ができます。

 

また、中国の権利行使は、混同概念を、更に全面に出してます。同じ「類似」という概念を使っても、中身が違うようです。

 

既存の大企業を有利に扱うか、スタートアップを有利にあつかうか、別の言い方をすると、既存の商標権を有利に扱うか、これからの商標を有利に扱うかは、重要な政策問題です。

欧文字商標に限れば、世界の商標の類否判断は、実は似ています。多少の、違いがありますが、理解できる範囲です。

一方、商品の類似の国際比較は、今、TM5で、ツリー状に商品概念を整理することがスタートしたばかりで、あまり、決まったものがないと思います。

TM5で、何か、世界的な基準ができないものかと期待しています。

日本の商品の類似は、昭和30年代のものですが、類似の幅が広く、それで本当に良いのか疑問です。少くとも、サービス程度に、商品類似は、細かく設定すべきではないでしょうか。

 

特に。4条1項15号を、4条1項11号た別に置くならそうなりそうです。

 

なお、この論文は、日中の法律や判例についての分析ですので、実務的なところは、別の論文等で理解する必要がありそうです。

KDDIとauのブランドメッセージ(その2)

2つのメッセージ

昨日の続きです。KDDIのWebサイトのブランドメッセージのところを見ています。

ブランドメッセージ | KDDIについて | KDDI株式会社

KDDIブランドについて | KDDIのブランドビジョン | KDDI株式会社

auブランドについて | KDDIのブランドビジョン | KDDI株式会社

KDDIブランド、auブランドとも、各々のブランドの目指す姿、ブランドロゴの説明、ブランドスローガンのロゴ、ブランドステートメント、で構成されています。

 

KDDIブランドのブランドスローガンは、「Tomorrow, Together」

auブランドのブランドスローガンは、「おもしろいほうの未来へ。」

実際の使い方は、KDDIブランド、auブランドとも、ロゴの上にブランドスローガンがくっついている形式です。

 

注目するのは、ブランドステートメントで、長文のコピーになっています。これはKDDIのWebサイトで読んでいただくしかありません。

 

KDDIブランドの方は、通信の会社として、お客様とともに、未来をつくっていくというのが云いたいことのようです。

auブランドの方は、違った道、難しい方を選択し、ワクワクする、思い切って踏み出す、自由、広い世界、ということを言って、一緒にというKDDIブランドの「Tomorrow, Together」のようなフレーズが出てきて、最後は、「おもしろいほうの未来へ。」となっています。

 

この2つのブランドステートメントは、一体成型で作られています。一つの曲の1番と2番のような感じです。

 

通信キャリアにしては、珍しく、KDDIは、海外で事業をしています。KDD以来の伝統だと思います。

携帯電話キャリアの方は、日本中心ですので、海外のお客様には、KDDIブランドしか見えません。

 

ちなみに、英語版サイトで、KDDIブランドやauブランドがどのように紹介されているのか、ブランドメッセージを見ると、日本語版しかないとあります。これは、珍しい状態です。

KDDI Brand Vision | About KDDI | KDDI CORPORATION

auブランドの説明は、海外に不要かもしれませんが、KDDIブランドのブランドステートメントは、必要なように思います。

 

今回のブランドステートメントは、詩のようなコピーで説明しています。これは情緒的な説明で、日本人向けです。

これを単に翻訳しても、ロジックを重視する海外の人には、理解できないと思います。

そうかといって、まったく違ったものを出すこともできません。どう処理するのでしょうか。少し時間をおいて、また見てみようと思いました。

 

KDDIブランドとauブランドの関係は、NTTブランドとdocomoブランドの関係と似ています。ソフトバンクや新規参入の楽天には、優先通信キャリアの部分がなく携帯だけです。

ソフトバンク楽天は、ブランド拡張の限界への挑戦という感じがしますが、audocomoは、そもそも、このような携帯ブランドが必要だったのか?、NTTやKDDIではダメだったのか?という気はします。アメリカでは、AT&Tブランドで、有線も携帯もやっています。

 

通信キャリアには、少し硬い会社というイメージがあるので、消費者向けの携帯についてのブランドとしては、audocomoは、役に立ったんだと思いますが、2つのブランドを持つということは、それらのブランドは同じなのか違うのか?違うとすればどこが違いのか?消費者は、それを気にしているか気にしていないのか?など、色々疑問がわきます。

 

NTTとdocomoは、NTTブランドを冠しているので、信頼感のようなものを継受しているとは思います。親子とはいえ会社が違いますので、今や、全く違うブランドという感じもします。

この点、KDDIauは同じ会社なので、2つのブランドの関係性が、より気になるところです。

 

KDDIとauのブランドメッセージ(その1)

新しいブランドスローガン

KDDIauのブランドスローガンが、新しくなった件で、2019年5月15日にKDDIニュースリリースが出ています。

https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2019/05/15/pdf/press_20190515a.pdf

 

  • KDDI は、ブランドスローガンを一新
  • KDDIブランドは、「Tomorrowm Togetherr 」
  • au ブランドは「おもしろいほうの未来へ。」

 

  • KDDI は、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献することが企業理念
  • 安心・安全なコミュニケーション社会の実現に取り組んできた

 

  • KDDIブランドは、会社発足からのブランドスローガン「Designing The Future」を「Tomorrow, Together 」に
  • 5G/IoT に代表される先端技術を活用
  • 通信を中心として、お客さまや社会とともに、未来へ向かって持続的に発展・成⻑していく

 

  • auブランドは、「あたらしい自由。」から「おもしろいほうの未来へ。
  • 「通信とライフデザインの融合」
  • au とともに未来を楽しんでいただけるようなワクワクする体験価値を提案し続けていく

 

  • KDDI は、「通信とライフデザインの融合」を推進し、“ワクワクを提案し続ける会社”として、お客さまやパートナーとともに持続的に成⻑・発展する未来に向けて、新しい体験価値を創造していきます。


そして、ブランドメッセージ紹介動画があります。

ブランドメッセージ | KDDIについて | KDDI株式会社

 

コメント

非常に珍しいタイプです。一つの会社なのですが、ブランドが2つです。

 

KDDI」と言っているときは、会社を指すようです。

KDDIブランド」と言っているときは、ブランドとしてのKDDIを指します。

auブランド」は、auブランドのことです。

 

ニュースリリースや、ブランドのページでは、明確に使い分けているようです。

 

例えば、松下電器産業株式会社があって、NationalとPanasonicがあるというときは、社名とブランド名が全く違う言葉なので、何もしなくても、社名とブランドは明確に区別できますが、KDDIは、会社としてのKDDIを言っているのか、ブランドとしてKDDIを言っているのか、KDDIという言葉を聞いたでは分かりません。

 

会社については、「社是」「KDDIフィロソフィ」が非常にユニークです。

 

社是:「心を高める」 ~動機善なりや、私心なかりしか~ 

社会から受け入れられることを意識しているように思います。第二電々(DDI)設立などに関係するのでしょうか?

KDDIフィロソフィは、次のようなものです。

●第1章 目指す姿

  • つなぐのは思い、つなぐのは笑顔
  • 365日、守るのが使命
  • 驚きを超え、感動をお客さまに届ける
  • 一人ひとりがKDDI

●第2章 経営の原則

  • 社会への責任を果たす
  • 公明正大に利益を追求する
  • 売上を最大に、経費を最小に
  • リアルタイムで経営する
  • 事業の目的、意義を明確にする
  • ガラス張りで経営する
  • 筋肉質の経営に徹する

●第3章 仕事の流儀

高い志を抱き、具体的な目標を立てる。絶対に達成するという強烈な願望を持ち、成功するまであきらめずにやり抜く。そして、達成した喜びを分かち合う

●第4章 行動の原則

  • 自ら燃える
  • ジブンゴト化する
  • スピード感をもって決断し行動する
  • 目線を上げる
  • チャレンジ精神を持つ
  • どんな仕事も地道に一歩一歩、たゆまぬ努力を続ける
  • 原理原則に従う
  • フェアプレイ精神を貫く
  • 闘争心を燃やす
  • 本気、本音でぶつかる
  • 一丸となってやり抜く
  • 外を見て内を知る
  • 常に創造的な仕事をする
  • 能力は必ず進歩する
  • 現地現物で本質を見極める
  • 小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり

●第5章 人生の方程式

  • 人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
  • 利他の心で考える
  • 常に謙虚に素直な心で
  • 人間として何が正しいかで判断する
  • 感謝の気持ちを持つ
  • 常に明るく前向きに取り組む

経営の教科書のような感じです。

これとは別に、ブランドの整理があります。

 

共創の思想や、ワクワク感など、言っていることは分かります。

どうもこの2つのブランド、KDDIauというように、言葉は全く違うのですが、曲でいう1曲目と2曲目のように、セットではないかと思いました。(続く)

川崎市が神戸市を抜く

政令指定都市で6位に

2019年5月6日の日経(夕刊)で、川崎市の人口が、神戸市を抜き、政令指定都市で、6位になったという記事を見ました。

川崎市の人口、政令市6位に 1日時点で神戸市上回る :日本経済新聞

  • 川崎市の人口は、2019年5月1日時点で、152万6630人
  • 神戸市を超え、20ある政令指定都市で、6位
  • 神戸は、152万4749人
  • 川崎市の1990年と2018年10月1日を比較すると、人口増加率は、29.22%増

ちなみに、2019年4月1日現在の政令指定都市の人口は、

  1. 横浜市
  2. 大阪市
  3. 名古屋市
  4. 札幌市
  5. 福岡市
  6. 神戸市
  7. 川崎市

だった、とあります。

 

2019年5月21日の神戸新聞NEXTの記事によると、神戸では話題になっているようです。

理由は、東京への人口の一極集中。以前であれば、四国や中国地方の人が、神戸に来ることが多かったが、東京に行ってしまう。

また、

人口の社会増減ではなく、自然増減(出生数と死亡数の増減)が理由とあります。

神戸市の人口、なぜ川崎市に抜かれた? 政令市7位に転落の理由

 

コメント

川崎市は、武蔵小杉駅などのタワーマンションが有です。最近は、横須賀線新川崎も人の乗り降りが多くなってきました。

数年前まで、東海道線横須賀線なら、横須賀線が空いていると思いましたが、今は、新川崎・武蔵小杉からの混雑は、東海道線以上のような気がします。

 

タワーマンションは大規模修繕が大変ということなので、技術開発が追いつくのかという不安はあります。

本当の恐怖は20年後…憧れのタワマンは「時限爆弾」 マンション管理士が警鐘(前編)(税理士ドットコム) - Yahoo!ニュース

 

神戸市の人口減ですが、阪神淡路大震災の影響かと思いったのですが、震災が平成7年(1995年)1月17日です。

しかし、神戸市の人口統計では、直近では、平成23年(2011年)がピークのようです。

http://www.city.kobe.lg.jp/information/data/statistics/toukei/jinkou/index.html

 

阪神淡路大震災のあとも、一旦減って、その後は、人口は増加していたようです。

そして、平成23年以降は、自然減少になっているようです。大きな社会構造の話ですね。

 

最近、東京の私立大学の入学者数を絞る政策が話題になっており、若者が東京に集中しないようにする考え方があります。

これに対し、江戸時代の水野忠邦の「人返し令」の失敗というものを見ました。

 

どうなるのかは、不明ですが、秋田の国際教養大学や、別府の立命館アジア太平洋大学のような、魅力的な大学が地方に増えれば、そもそも、東京の大学を目指さなくても良いように思います。

 

ネット社会になって、徐々に、地域差は少なくなっていくばずですが、テレワークを使った在宅勤務もこれからという状態ですので、まだまだですね。

ロンドン五輪の遺産は、テレワークと言いますが、日本ではどうなるのでしょうか。

中小企業の知財強化

特許法改正と独禁法の違反事例のまとめ

2019年5月17日の日経に、大手企業が中小企業の特許やノウハウなどの知的財産権を奪われるケースが深刻になっているという記事がありました。

中小の知財を大手が奪う 巧妙な手口、公取委が調査 :日本経済新聞

  • 技術革新の担い手として中小企業が見直されている
  • 電子部品を覆うフィルムシートの事例。特許技術であり、内製化をしない旨の誓約書もとったが、いずれ内製化する予定ということが、メールの誤送信で発覚
  • 中小企業に発注をにおわせて、情報や技術を奪うのが知財取扱いの典型(日本商工会議所の担当者)
  • 特許権侵害については、被告の工場に専門家が立ち入り、証拠収集しやすくする新制度導入
  • 公正取引委員会も優越的地位の利用について、3万社にアンケート。2019年前半に調査結果を公表
  • 量販店が、プライぺートブランドの総菜レシピを委託先から提供させるなども対象
  • 大企業の共同研究の契約書は、研究成果は全部先方の知財になると書かれているものがある
  • 取引先にも、安易に知財を渡さない
  • オープンイノベーションには、公正な知財取引が必要

コメント

大手だけでは開発しきれない技術を、オープンイノベーションで中小企業にも一緒に考えてもらうという流れと、現実の購買部門を中心とした取引慣行とのギャップのような話でです。おそらく、多くの会社の知財部ほ、オープンイノベーション側だと信じたいと思います。

 

中小企業も、目先の仕事が欲しいので、多少の情報は渡してしまうかもしれません。

そもそも、特許になっているものは、公開されています。しかし、特許があっても、製造ノウハウがないと実施できなかったりしますので、ノウハウの簒奪などはありそうです。

 

以前の仕事で、商標条項が入っていると、契約書のチェックが回ってくることがありました。

そのとき、イスラエルの中小企業だったと思いますが、非常にレベルの高い契約書が送られてきて、驚いたことがあります。Blu-Rayなどの規格マークの契約書と遜色ないレベルでした。

 

社内にこの契約書をかける知財人材がいるということは、相当のレベルの会社であり、将来のGoogleになるのではないか?と、契約書を見ただけですが、そう思ってしまいました。

これだけの契約書を送ってくる会社に下手な対応はできません。

 

特許法改正や、公正取引委員会ガイドラインも良いですが、中小企業は武装すべきです。内部にそのような人材を抱えることも方法ですし、それができる法律事務所や特許事務所に依頼するのも、方法です。

 

中小にも、知財の核になる人材は必要ですが、契約書の作成など、内部でするとすると、ある程度の人件費の予算を計上しないといけません。あるいは、専門家と思って、弁護士や弁理士を雇っても、そのレベルに達しない人を雇ってします危険性も高いようです。

法律事務所・特許事務所に、外注する方が、確実で、安いかもしれません。

 

一般に、大手の法律事務所は、高いので、特許事務所も有効してはどうかと思います。特に、法律に詳しそうな弁理士のいる特許事務所です。

契約を英語で作成するなら、特許事務所の取引している海外の法律事務所は、渉外法律事務所の取引先と全く遜色ありませんので、日本の手数料が安い分、安く仕上がるのではないと思います。

 

共同開発契約で、開発資金を全部もってもらうようなタイプのものは、権利が大手企業になることが多いと思います。

資金は大手中心で、開発が中小中心なら、イーブンということで、共有でしょうか。ここは、交渉です。

共有の扱いも、法律通りで良いか、特約をした方が良いか検討が必要です。

IPランドスケープ

商標で展開すると?

2019年5月13日の日経に、「攻めの知財」シフト進むとして、IPランドスケープの紹介がされていました。編集委員の渋谷さんの記事です。

「攻めの知財」広がる ブリヂストンや旭化成 :日本経済新聞

 

IPランドスケープとは、知財を中心とした情報を、市場での位置づけ、競合関係を含めて統合的に分析し、グラフや模式図を使って経営陣や事業担当者に戦略の切り口を示す活動。欧米企業では定着。日本では、2017年からとあります。

 

最終的にはM&Aや提携、新事業の提案などにつなげるようであり、これにより、受け身の部門が攻めの部門になり、知財部門がコストセンターから戦略部門になるというもののようです。特に、見せ方が重要とあります。

  

事例としては、

とあります。

 

記者の分析としては、

  • 日本の知財は、出願中心の受け身の存在だったが、IPランドスケープで戦略部門に脱皮できるとあります。
  • また、知財は、出願数よりも使い方、活かし方が重要とし、事例として、日本企業は出願数は多いが、電機や半導体は生き残れなかったことを挙げています。
  • 企業の経営者は、自社の知財の強み弱みを理解し、事業に生かす作業に参加し、特許の数を超えた真の知財経営に目覚めるべきとします。

コメント

その通りと思いますが、IPランドスケープという言葉がなっただけで、このような活動は、17、18年前から、企業の知財部ではやっていたなという気がします。特に、目新しい感じは、ありません。

 

その当時、出願や契約といった実務部隊とは別の、知財本部という戦略本社にいたのですが、10名ほどの特許の人(半分は知財プロパー、半分は研究所から来た人)が、この類の仕事をしていました。

 

そのとき、商標やブランド担当は、何をしていたかですが、社内で発生するブランド問題についてルールを作ることや、ルールを決めるブランド委員会を開催することなどをメインの仕事にしていました。

これはこれで必要な仕事だったのですが、攻めの商標管理、ブランドマネジメントにはなっていません。(管理部門、営業部門、各事業部門で、意見が違い、これはこれで大変でしたが。)

 

特許は、M&A、提携、新事業が、ターゲットになるのでしょうが、商標・ブランドは、社会から評価、競合との関係、ブランドの強み、弱みの分析、アンバサダーの分析、コ・ブランド先の選定、などとなります。

あるいは、インナーコミュニケーションに寄せて、商標・ブランドでは、組織の目標、組織の一体感、従業員のモチベーションなどがターゲットになるような気がします。

 

どちらにせよ、戦略的に見ていくとすると、商標は、ブランドマネジメント的に考えないといけないように思います。

商標自体は、星取表でもあれば十分です。NOVAMARKのマップシステムです。

 

ケラーの戦略的ブラン・ドマネジメントを見ていると、ROLEXがブランド監査をしているとあります。このような評価をしていくことが、商標・ブランドのIPランドスケープだと思います。

 

エッセンシャル戦略的ブランド・マネジメント第4版

エッセンシャル戦略的ブランド・マネジメント第4版

 

  

"ROREX Brand Audit”で、検索すると、次の事例がありました。内容は良く分かっていないですが、見せ方の工夫が凄いなという気がします。

Rolex brand audit by Stephanie Christofferson on Prezi

 

 

70歳まで働く機会確保

政府が、企業に努力義務

2019年5月16日の朝日新聞に、政府の未来投資会議が、15日、希望する人が70歳まで働ける機会の確保を企業の努力義務とする方針を示したとあります。

来年の通常国会に、高齢者雇用安定法案が提出されるとあります。

 

現在の制度は、65歳までに雇用の安定を確保するため

  1. 定年の廃止
  2. 定年の延長
  3. 継続雇用制度の導入

の何れかの措置をとることを企業に義務付けていますが、

 

新制度は、新たに65歳~70歳については、1.~3.に加えて、

 4. ほかの企業への再就職の実現

 5. フリーランス契約への資金提供

 6. 起業支援

 7. 社会貢献活動参加への資金提供

の中から、企業が労使協議を経て選択肢を定め、従業員に選んでもらう仕組みにする考えとあります。

 

年金については、70歳に引き上げることはせず、希望すれば遅らせることも可能としています。

 

まずは、努力義務で、将来的には義務化すると明記しているとあり、安倍首相は、元気で意欲のある高齢者の方に、70歳までの就業機会の確保に向けた法改正としているようです。

 

コメント

未来投資会議というもの自体、聞きなれないものです。コトバンクによると、

内閣総理大臣を議長として、関係大臣や有識者が参加。将来の経済成長に資する分野における投資を、官民で連携して進め、未来への投資拡大に向けた成長戦略と構造改革の加速化を図るための指令塔として開催される会議、とあります。産業競争力会議の後継のようです。

未来投資会議(ミライトウシカイギ)とは - コトバンク

 

おそらく、記事にあるような方向でまとまるのだと思いますが、60歳から65歳が、1.~3.の対応策で、65歳から70歳、1.~3.に加え4.~7.とあります。1.~3.でも良いが、それ以外に、4.~7.でも良いという内容です。

 

そもそも、1.の定年廃止をしてしまえば、年齢による差別はなくなりますので、この議論はなくなります。

年齢による差別を認めない1.と、認める2.の方法は、本来は、思想的にはだいぶ違うものです。

 

何でも良いので、65歳まで(今回は、70歳まで)の雇用を確保するのだという感じです。

 

新しい、4.~7.を見ていると、フリーランス、起業というのが、目につきますが、同じフリーランス、起業をするなら、少しでも早い方時期が良いと思います。65歳になってからよりも、60歳ですべきですし、60歳よりも、55歳、もっとそれ以下にすべきです。

 

フリーランス資金提供や、起業の支援というのは、どんな形でするのか分かりませんが、特許事務所では、以前から、高齢の引退後の所員に自宅で明細書を作成の下書きを書いてもらい、事務所でチェックして出すというのがあったと思います。そのような下請け的な起業になるのはないかと思いました。

 

どのような方法かは分かりませんが、70歳ぐらいまでは働こうという方向ですね。

確かに、以前の企業の商標の職場のOB会にでても、70歳ぐらいの方で、現役のときとあまり変わらないぐらい頭が回転している先輩がいます。頭脳は、年齢とは関係ないなと思ったりしました。

 

また、最近、知り合いの弁理士の先輩で、70歳や68歳で、独立した方がおられます。ご高齢の女性弁護士さんが、弁理士会の商標委員会に参加されています(飲み会まで参加されています)。

これを見ていると、特許事務所において、元気な高齢者と定年制度の問題は、重要な問題ではないかと思います。

 

ライフシフトの考え方にも合致しているので、個人的にも、どんな形にせよ、働き続ける方法を模索しないといけないと思いました。

 

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