商標権侵害で逮捕
2018年1月11日の朝日新聞夕刊と、翌1月12日の日経で、スターバックスのロゴを使った偽のスマホケースで、千葉県の男女を逮捕したという記事がありました。
内容は、次のようなものです。
- 偽のスターバックスのロゴを付けたスマートフォンケースを販売目的で所持していたとして、千葉県警は、男女2人を商標法違反の疑いで逮捕
- 昨年6月、スタバのロゴに類似したマークのスマホケース計342点を販売目的で所持した疑い
- 容疑者の一人は副業として売って利益を得ていたのは間違いないと容疑を認めている
- スマホケースは中国から輸入
- 通販サイトアマゾンに出品
- 1個千数百円で販売。昨年3~6月に計約70万円を売上げ
- 成田空港の東京税関職員が昨春、容疑者を摘発
- 県警は、スターバックスコーヒージャパンの協力を得て非正規品と確認
- 容疑者は小遣い稼ぎのため、昨年2月ごろから販売
NHKのニュースもありました。未明にマンションに家宅捜索に入る様子などが放映されています。
- 11日午前6時ごろから捜査員が2人の自宅に捜索に入り、逮捕
- 偽物と知りながら中国から輸入し、インターネット上で売りさばいていたと見て詳しく調べる
- スターバックスコーヒージャパン広報部によると、正規に販売したスマートフォンのケースは1種類だけ
- インターネット上ではスターバックスのロゴマークを使ったスマートフォンのケースが相次いで販売されているが、正規に販売した1種類以外は、いずれもロゴマークを無断で使った商品
- 経済産業省によると、模倣品や海賊品の相談のおよそ3分の1がインターネットの通販サイトやオークションサイト関連
- 商標権を侵害された会社が通販サイトの運営会社に要請して出品停止などの措置が取るが、偽物の商品は後を絶たない
コメント
小遣い稼ぎでやったようですが、新聞に容疑者として名前は出るし、NHKで放映されるし、大変な騒ぎになっています。
70万円の売り上げのために、買付や仕入れの費用、販売経費もかかっているので、儲けはしれていると思います。これで、逮捕、有罪となるのであれば、まったく割の合わない話であり、商標権侵害商品のネット販売は、しない方が良いことになります。
昨春に空港で摘発されているとありますので、それから半年かかっています。繰り返し輸入販売をしていたようですが、一罰百戒を狙った、警察、税関、行政のPRのような気もします。
さて、この記事を見て、アマゾンで、「スタバ スマホケース」で検索しました。すると、業者は違うかもしれませんが、ニュースに出ていたものと同じデザインのものが、2件出品されており、Primeまでついていました。このニュースがあったら、すぐに動くのかと思ったら、アマゾンも、案外のんびりしているのですね。
中国ではネット販売が盛んですが、商標権者の許可のある商品であることを証明しないとネットで販売させてもらえないときがあるようです。そのため、商標権者の同意書を求めてくるときがあります。
日本のアマゾンやメルカリは、まだ、そこまでやっていませんが、怪しいと思った商品は、そこまで対応すべきではないかと思います。別の言い方をすると、アマゾン、メルカリ、楽天などのネット販売業者には、真贋鑑定の責任の一部を負うべきと思います。出店する企業や個人だけではなく、ネット事業者に責任を負わせるのは、行政や立法の問題です。
NHKが最後に少し言っていますが、商標権侵害を止める責任は、誰にあるのか?という古典的命題です。
日本は権利者(この場合はスターバックス)と警察・検察に責任があり、中国では、ネットについては、ネット事業者と販売者にも責任を負わせています。日本は、プロバイダ責任制限法の解釈からのようです。最適な責任分担をして、模倣品を減らすのが重要ですので、日本の運用は、不十分なように思います。
ただ、手法として、中国でやっている、権利者の同意書の発行は、権利者にとっても大変です。模倣品鑑定の技術は画期的にアップしていますので、中国のように証明書ではなく、何等かの技術的手段で解決すべきかもしれません。
模倣品というのは、中国や中国商品を販売する海外の話だったのですが、ネットを介して、徐々に日本に入っています。今後、日本でもネット取引がより盛んになるのは間違いないですので、これらの技術が必要になるのも、そこまで来ていると思います。
今回の小遣い稼ぎの個人をスケープゴートにするだけでは解決しない、根の深い問題があるように思いました。