Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

RPA

特許業界での導入は?

2018年6月6日の日経に、RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)についての記事がありました。

www.nikkei.com

  • RPAはソフトウェア。事務作業の8割を自動化
  • オートメーションエニーウェアなどが、2000年代に開発
  • 世界で1億人の仕事がRPAに置き換わる
  • リコージャパンは、人事の勤怠管理、経理の財務諸表の作成に導入
  • 2019年までに、415種類の仕事に入れて、年18万時間を生み出す
  • 職場ごとに導入のキーマン
  • 金融、製造から導入。人手不足の中小企業に意義が大きい

コメント

RPAは、少し前から、気になっていたソフトウェア(ロボット)です。

下の日経の記事は、リクルートでの導入の話ですが、こんな使い方をしているようです。

複数のソフトウエアで形式の異なるデータを、表計算ソフトなどに打ち直す作業のほか、収集したデータからグラフなどを用いた経営リポートを作成する際にRPAを導入している。文章校正や名刺管理にも活用している。

単純作業を7割削減、リクルート RPA導入拡大 :日本経済新聞

 

特許事務所の場合、国内は電子出願であり、はじめからデータがあるので、入力業務自体があまりありません(情報検索閲覧も特許庁のJ Plat-PatなどのDBがあります)が、海外の場合、メールやPDFで、書誌的データの報告があり、それを人間がハンドでPCにを使って、DBに入力しています。

 

例えば、出願日や出願番号、登録日や登録番号、年金納付や商標の更新管理、商標の商品情報の入力、中間処理の期限管理などです。

 

PDFの書類(明細書、その他)も、DBに保管しておく必要がありますし、顧客にも、PDFで納品する必要があります。顧客は、メールでこのPDFを送付してくれというところもありますが、特別のシステムに入力を要求する顧客もあります。

 

明細書を書く人と同じ人数が、事務管理関係に必要となりますが、将来、このRPAが特許業界まで普及するとなると、ハンドでの入力業務が激減するのではないかと思っています。

 

大手企業は、特許事務所に、入力業務を依頼して、自分はデータをもらっているだけなので、既に、入力の大変さから解放されています。(昔は、企業では、手入力していたので大変でしたが、それを特許事務所にアウトソーシングしたということです。特許事務所のデータも書誌的事項を管理しており、企業内の入力に比べ、ミスが少ないことが理由だと思います。)

 

3名以上が、同じ業務をしているときは、RPAの導入を検討できるとありましたので、特許業界でもいつかは入るのではないかと思います。

 

もう一つの可能性は、各国特許庁が自国のデータを電子化していますので、その公開データをRPAが巡回して、こちら側の知財管理DBに反映していくことです。ただ、アメリカや欧州なら、良いのですが、インドや中国など、公開されているデータが完全ではない(実際は内容が動いているのに、昔のままの古いデータであるなど)ことがあるので、まだまだです。

 

今のところは、現地代理人から送られてくる、PDFが命です。入力自体はRPAが行い、その確認や例外対応に、人間が回ることで、事務作業が7割削減ができるだと思います。

特許事務所の管理DBは、期限などの書誌的データの管理中心で、皆、コツコツと入力していますが、使用頻度が少ないデータも多いようですので、RPAが最適です。

 

事務所単位で、RPAを採用するもの方法ですが、どこの事務所でも似たり寄ったりの業務ですので、特許事務所用の管理ソフトを提供している会社が、RPAもセットでやってくれると、開発費用が安くなるのではないでしょうか。

 

PDFをDBで管理するペーパーレス化をやっている事務所は多いと思いますが、次に、書誌的データの入力作業をRPAで入力するのが、流行りそうです。

ペーパーレス化ができていない事務所は、RPAとペーパーレスは、セットで検討するのが、良いのではないでしょうか。