知財管理 2019年9月号
知財管理の9月号に、藤本豪弁護士の「フォント使用上の留意点」という解説がありましたので読んでみました。
へーそうなのという解説でしたので、ポイントをメモしておきます。
1.タイプフェイスとフォントの違い
- タイプフェイス(書体)は、「言語表記を主目的に、記録や表示などを組み使用を前提として、統一コンセプトに基づいて制作されたひと揃いの文字書体」
- フォントとは、「タイプフェイスを具体的な記録や表示、印刷などに利用できるようにしたハードウェア、ソフトウェア」
(望ましいタイプフェイス法的保護のあり方」日本タイポグラフィ協会)
※このフォントの定義の、「ソフトウェア」という最後の部分が、法的保護に影響するようです。
そもそも、一般人は、フォントという言葉は良く使いますが、タイプフェイスなる言葉は使いません。
2.フォントの権利
- 日本ではタイプフェイス(書体)には著作権をみとめない(独創性、美的特性を備えていない、最高裁平成12年9月7日)
- しかし、フォントについては、コンピュータプログラムとして著作権が認められる(大阪地裁兵士絵16年5月13日)(※そうなのかと思いました)
- 海外は、アメリカは日本と同様
- 英国、ドイツ等多くの国では、タイプフェイスにも著作権を認める
- タイプフェイスに意匠権を認める国もある(フランス、ドイツ、アメリカ)
3.実務的な話
- Windowsの場合の留意点として、Windows標準搭載フォントは商用利用もできるが、Officeに搭載されていてもWindows標準搭載フォントでないと商用利用するには、別途、契約が必要
- アカデミック版も商業利用できない
- 中国のYaheiフォントは、商用利用には、北京北大方正電子有限公司のライセンスが必要
4.社内ルールのあり方
- 企業で使えるフォントのルールを決めておくべきとして、複数の社内ルール案
というような内容です。詳細は、知財管理で。ご確認ください。
コメント
タイプフェイスとフォントという言葉に、上記のような使いわけがあるのですね。確かにタイプフェイスは書体と理解していますし、フォントは印刷の活字(ハードウェア)が発祥で、現在ではデジタル化されて、ソフトウェアの形態になっています。
タイプフェイスに著作権がないとしても、フォントに著作権があるなら、実務上は、「フォント」?は著作権で保護されていると考えた方が良さそうです。
アメリカが、タイプフェイスに著作権を認めるなら、日本もそうなったのだと想像します。
実務的には、フォントを著作権と考えると、それで十分ですね。
コンテンツであるタイプフェイス自体に保護は及びませんが、問題なく実務は動きそうです。
アカデミック版を使うと、商用利用できないというのは、知りませんでした。学生にWindowsに慣れ親しんでもらうために安い価格を設定しているマイクロソフトの営業施策程度に思っていました。
ちゃんと、安い理由があるようです。
Officeにあるフォントでも、Windows標準搭載フォント以外は、商用利用で使ってはいけないというのは、発見でした。
ただ、この点は、
- 会社の年賀状にこのフォントを使用する程度は問題なく、
- 会社が、ポスターの制作や印刷を業務としいる時は、このフォントを、勝手に使ってはいけない、という意味と理解しました。
このあたり、フォントの著作権を持っている、会社毎にポリシーが違うようですので、Windows標準搭載フォントを使うことは無難なんだなと思いました。
あるいは、フォントメーカーと契約をしている、ちゃんとした、デザイン事務所や、印刷会社にお願いして、自由に、使いたいフォントを使うかです。