Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

確信的な(悪質な)特許権侵害への対応

パナソニックの豊田さんの寄稿文を読んで

2017年12月21日の日経の私見卓見というオピニオン欄に、パナソニックの元知的財産センター長の豊田秀夫さんの寄稿文がありました。

www.nikkei.com

内容は、確信犯的に特許を侵害する悪質な企業が増えている。国際的な大企業のときもある。パテント・トロールより深刻な問題。しかし、特許庁などの危機感は薄い。早急に、実態調査や対策を講じるべきというものです。

 

説明としては、ライセンス交渉をまとめるには、手間とコストがかかるが、技術革新は速く、交渉妥結を待たずに製品が市場から姿を消すことも珍しくない。そして、交渉を引き延ばして特許を侵害したまま逃げ切ろうとする企業がいる。

パテントトロールは、訴訟をふっかけて和解金を得る手法。金額の折り合いさえつけば交渉はまとる。

これに対し、ごねて特許権者をあきらめさせたい、悪質な特許侵害企業との交渉は難しい。裁判を起こしても、時間とコストがかかる。「差し止め請求権」も、なかなか認められない。

特許庁は、新たに「裁定制度」の構想を出したり、異業種間の交渉のガイドラインの策定を準備したりしている。

しかし、トロール対策ばかりが強調され、悪質な特許侵害企業に関する議論や実態調査はほとんどない。

このままトロール対策に偏重した制度設計が進めば、特許権者の権利が不必要に制限され「特許のただ乗り問題」を助長させかねない。バランスの取れた議論が必要。

 

詳しくは、日経を見てください。

 

コメント

トロールは、だいたいイメージできます。特許権を企業から買い取り、裁判を起こし、その間に交渉をして、ある程度の金額をせしめる会社という理解です。相手方は、製品の販売はしていないので、クロスライセンスができす、どうしても対価が高額になるのが、対応が難しい点とされていました。

 

日本の裁判所は、コストは大したことがないのですが、裁判を提起しても勝てないので、トロールも日本を飛ばして、ドイツ等で裁判を起こすという話がありました。 

nishiny.hatenablog.com

 

一方、豊田さんの話は、確信的(悪質な)特許権侵害企業ということで、 模倣品・海賊版対策の特許版のようなことと理解して、考えてみました。

 

一読しただけでは、確信的(悪質な)特許権侵害企業というもののイメージがつかみにくかったのですが、仰るように、ITなど製品の移り変わりの速い分野では、逃げ切ろうとする企業がいるというのは、事実だと思います。

模倣品対策で言われている、モグラ敲きであるとか、イタチごっこ、という言葉が、この種の特許権侵害企業には当てはまるのだと思います。

 

スタートアップの会社には皆さん優しいですし(実際、影響もないことも多いでしょうし)、外国企業で特定国でのみ活動して日本に入ってこない会社(製品を日本で販売しない会社)の場合はどうすることもできません。

 

ある程度の規模をもって、日本で活動しているが、特許を無視する会社に、特許権者として、差止請求するのは正当な権利行使ですので、それを円滑にできるようにすべきという話だと思いました。

 

私見ですが、このような問題に、対応するには、素早い判断で差止が認められる制度が必要です。

 

外から入ってくるものについては、アメリカのITCの差止のようなものが必要ということになると思います。たぶん、アメリカでも連邦地裁ではなく、行政機関が行っているので、素早い動きが可能だからです。しかし、現在の日本の税関は、著作権、商標権、意匠権など、現在の税関職員が簡単に止められるものはやりますが、特許は難しいと思います。法改正も必要でしょうし、特許庁からの出向とか、弁理士の採用とか、工夫が必要です。

 

もう一つは、国内向けの話ですが、韓国の確認審判制度です。技術的範囲の検討を技術的素養のない裁判官と弁護士がするのは無理です。今回、ロースクールでも、技術の分かる司法試験合格者を増やすという方向をトーンダウンしたように、裁判官や弁護士では無理があります。韓国の制度の方が、良いと思います。

 

この2つを組み合わせると、ある程度、豊田さんのいうものに、対応できると思います。また、特許権者を、バランスの取れているところよりも、少し有利にしたぐらいの方が、経済は発展すると思いますので、日本全体にとっては良いことだと思います。

しかし、これらの実現には、頑強な反対勢力がいそうです。

中国の消費者の変化

シンプル化で、日本製品が人気に

2017年12月9日の朝日新聞に、中国の消費者が「MUJI」ブランドを好むようになっているという紹介がありました。

従来の「派手さ」や「安さ」ではなく、「シンプル」なものを好むように変化してきているという話が出です。

www.asahi.com

事例として、「無印良品」の良品計画のホテルが中国で始まることと、中国の越境EC業で日本の商品が人気であることを挙げています。

 

まず、無印良品ですが、「MUJIホテル」の第1号が2018年1月に深センに開業予定で、2号店は北京に2018年3月に開業する予定のようです。北京のホテルには無印良品の店舗が入るようです。

 

ホテルのコンセプトは、「アンチゴージャス、アンチチープ」

 だそうです。

 

従来、中国の消費者は、派手さを好む「ゴージャス」か、反対に安さを好む「チープ」だったようですが、最近は、消費者の志向は日本に近くなり、デザインが良く、実用的な無印良品は人気で、店舗数も210店まで増えているようです(日本は420店)。

 

「日本学刊」の編集者の陳祥さん曰く、

「2、3年前まで、ぜいたくな物はよいという高級志向があった。だが、本来中国は日本と同じ東アジア文化で、自然で素朴なものを好む」

という発言の紹介があります。

 

 

日本の小売業は中国進出を加速し、2016年の日本の対中投資は減ってきているのですが、卸売り・小売業だけをみると17.2%増と大幅に増加しているそうです。

 

 

中国の越境ECでも、日本の製品が売れており、売れ筋はベビー・マタニティー用品や化粧品、ヘアケア用品などとのことです。

 

「日本の商品は、頼んで1週間で届くので好評だ」

という越境EC事業者の言葉の紹介がありました。

 

コメント

確かに、東洋人はシンプルなものが好きなのだと思います。また、最後にある、中国への地理的な近さは圧倒的に有利です。よって、これから日本のサービス業の対中進出は、大きいに期待されるところです。

日本から見てですが、商標権に関していえば、冒認出願などで、先に権利を取られてしまうこともあるので、できるだけ早く、なるべく丁寧に出願しておくべきでしょう。

 

一方、中国は、日本や欧米の技術を学ぶところから、モノづくりで成功し、技術開発力も相当つけてきました。次は、ブランドを作る時期ということで、中国政府が数年前からブランド育成に力を入れていると聞いています。

 

中国ブランドで、日本でも良く知られているのは、パソコンのlenovo、通信機器のHUAWEI、電池のBYD、テレビなどのHisense、白物家電の美的(Midea)、青島ビールなどですが、最近は、アリババ(スマホ決裁のアリペイなど)、民泊の途家(トゥージア)、自転車シェアのモバイクなどのサービス企業も、日本で、有名になってきました。

そして、最後に、ファッションや小売りや飲食などのサービスが有名になると思われます。中国の飲食店としては、火鍋の小肥羊や、蘭州ラーメン 馬子禄などが日本に入って来ているようです。私は知りませんが、もっと沢山、有名チェーン店などもあると思いますので、徐々に入ってくると思っています。

 

日本からも中国に進出している訳ですので、反対に中国からも日本に向けても進出してもらった方が、刺激があって経済は活性化するはずです。

 

日本も、徐々に、加工貿易国から、技術立国を経て、金融立国(日本で大成功する可能性はそれほど高くないかもしれません)、観光立国(宿泊、レストランなどを含む。国内では成功の可能性が非常に高いと思います)にシフトするようになってきています。

 

 

この点、知財業界なのですが、金融についてはFinTechということで、技術の要素もあるので多少の注目をしていますが、観光産業については、ビジネスモデル的なものはあると思いますが、基本、発明にはなりにくいものが多く、ノーマークです。

東横INNのドイツのホテル

一貫し過ぎ?

2017年12月13日のYahooニュースで、「ホウドウキョク」の配信ですが、面白い記事を見ました。東横INNフランクフルト中央駅前の紹介です。headlines.yahoo.co.jp

 
ホウドウキョクの下記のサイトに、その部屋の写真が載っています。


この部屋が、ドイツにある東横INNフランクフルト中央駅前の客室だそうです。

ホウドウキョクは、東横インにインタビューをしています。

できるだけ日本と変わらない仕様にしているとのことです。

違いは、スリッパ・ナイトウェアが無い、歯ブラシは有料、シャンプー・リンス・ボディソープはドイツ製品、コンセントもドイツで普及しているCタイプ、という点だそうです。

 

朝食は、おにぎりではないですが、白米のご飯があるようです。もちろんパンもあります。

 

日本人が利用しているのかというと、案外、欧米の利用者が多いようです。

 

東横INNは、どのホテルにおいても客室の作りはほぼ同じで、来春、フランスに、「東横INNマルセイユ サン シャルル駅前」がオープンとのことです。

 

コメント

最近、出張は都内だけなので、ビジネスホテルを利用することは全くないのですが、以前は、ほとんど大阪出張ですが、良く利用していました。

インバウンドとUSJで、大阪のホテルは人気で、数年前に、5,000円ぐらいで泊まれていたホテルが、軒並み10,000円以上となり、会社の出張旅費予算オーバーということもあったのですが、東横INNは価格を変えず安い値段で提供しているので、人気となっていました。

APAホテルが1万数千円と高騰したのとは、だいぶ違います。背景には、社長の哲学のようなものがあるようです。

 

公式Webサイトによると、この東横INNフランクフルト中央駅前ホテルは、シングルが39ユーロです。134円で計算すると、5226円という値段でした。安いですね。

www.toyoko-inn.com

 

このホウドウキョクの記事を見て、東横INNは、本当に愚直なまでに徹底しているなと思いました。

ドイツやマルセイユまで、同じ仕様、同じ朝食でホテルサービスを提供しようというのは、余程、自分のやり方に自信があるということか、(いい意味で)何も考えていないか、どちらかだと思います。

 

ブランド論でいう一貫性ということについては、ここまで徹底することは、非常に困難であり、また、良いことなのだと思います。自分達の強さをしっかり認識しているからこそできることで、ブランド戦略的な思考ができているように思います。

日本の出張者は、海外まで出張に行って、少し異国情緒のある現地のホテルに泊まりたいかもしれません。しかし、再々フランクフルト出張があり、現地ホテルに飽きた人もいるでしょう。

そして、欧米の現地の人が、このホテルのサービスを認めるなら、それが一番です。

 

商品の場合は、同じ仕様の商品で世界で販売することも当然あります(それでも各国の要望を入れたデザインにしたりします)。

一方、サービスは、そもそもが、レストラン、旅館など、非常に局所最適なものが多く、そもそもが多様なもので、一つの型に当てはめられないと思っていました。

 

この東横INNのホテルが、海外で受け入れられるなら、日本でキッチリと運営され、成功しているサービスは、ほとんど海外で成功しそうです。美容院、散髪屋などは、その候補ですが、ドトールコーヒーなども、大成功する可能性があります。

 

商品輸出ではなく、サービス輸出を検討する時期になっているように思います。サービス輸出で、日本に資金を還流するには、ノウハウと商標です。

そして、事業を始めるには、まず、商標が必要ですので、是非、サービス事業者には、世界で商標権を取得して、事業を進めていただきたいと思います。

 

数年先に事業を開始するなら、商標の手当は、今直ぐやっておくべきです。如何せん、サービス事業者には特許部門がないので、商標は後手後手に回りやすいのが課題です。

楽天のロゴ

漢字と英語と(R)

楽天のロゴについての続きです。楽天のWebサイトを見ていると、次のようなロゴがブランドロゴの位置(左肩)にあります。

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●すべてに共通しているのは、(R)のマークですが、なぜかRakuten Travelだけは、(R)が赤ではなく、緑になっています。Rakuten Travelの前身が、日立造船の子会社からスタートした「旅の窓口」であり、スナフキンを使ったりして、緑を基調としたブランドカラーだったのを、今も継続しているのだと思います。

(R)Rakuten Travelを一つだけ取り出してみるときには、違和感はありませんが、このように横に並べたときは、統一感に欠けます。

いっそのこと、業態毎に別のカラーにしているなら、分かりやすいですが、旅行サイトだけ赤を使わないのかは不明確です。

 

●証券や銀行が、漢字なのは、理解できます。日本ではローマ字を読める人が多いとはいえ、絶対読めるのは漢字、ひらがな、片仮名ですので、銀行や証券のような誰もが利用する施設は、ローマ字や英語でなくても良いと思います。

また、少し前までは、財務省が、特定企業グループの子会社であることを示すことを嫌がっていいたということもありました。

 

●ブックスが片仮名ですが、分かりやすい単語なので、英語でも良かったように思います。

 

●問題のMobileですが、横並びで見ると、やはり違和感があります。ローマ字のフォントも違います。ブランド戦略としては一貫性がないように見えます。

しかし、(R)Mobileは、短いですので、看板にすると映えます。もし、(R)Rakuten Mobileとするとすると、長い看板になってしまいます。

 

携帯電話事業者は数が限らているので、(R)Mobileであっても、消費者は、これは楽天のやっている携帯電話事業と十分わかるように思います。

 

●(R)Rakuten STAYは、STAYが全部大文字のAll Capsですし、STAYのフォントがまた違います。

 

このように事業が多角化してくると、本当に(R)Rakutenという一つのブランドで括るのが、理想的なのか?という意見も出てきます。

何回か読んだ、Al RIES と LAURA RIES の RIES 父娘の本では、三菱やパナソニックは何をやっているのか分からないとして、ブランド拡張しすぎの良くない例として紹介されていますが、それに近くなってきているように思います。 

The 22 Immutable Laws of Branding: How to Build a Product or Service into a World-Class Brand

The 22 Immutable Laws of Branding: How to Build a Product or Service into a World-Class Brand

 

欧米人から見ると、三菱やパナソニックは何をやっているかわからない、なんでもやっている会社は特徴がないと映るようです。

 

一方、アジアでは、財閥系の会社も多く、事業の多角化時も、企業ブランドが重視されます。

 

このあたりは、姓(Family Name)と名(First Name)のどちらを重視するかの考え方の違いに近いものがあります。

 

三菱を見ていると、スリーダイヤの図形は有効に働いているように思います。

最近も、三菱電機がロゴ変更して、成功しています。印象が強く残るようなったと思います。

「MITSUBISHI 電...」の画像検索結果

「MITSUBISHI 電...」の画像検索結果

三菱グループ各社に比べると、楽天の個々の事業ブランドは、規模が小さいと思いますが、それであるからこそ、楽天は、あまり隊列を乱さずに、統一感ある表現に努めた方が得策ではないでしょうか?

特に、(R)は緑ではなく、赤にすべきと思いますが、どうでしょうか?

 

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三菱マテリアルも、以前は、青のスリーダイヤだった時期があるようですが、現在は赤のスリーダイヤに変わっているようです。

楽天の携帯電話

ロゴはどうなる?

2017年12月14日の日経に、楽天が携帯電話事業者になるという記事がありました。

www.nikkei.com

  • 現在、ドコモから回線を借りて格安スマホの「楽天モバイル」を運営
  • 2017年11月にはフリーテルを買収して約140万の契約者
  • しかし、1契約あたりの収入が低く、接続料のため利益率は高くない
  • 自前で周波数帯や設備を所有すれば、接続料を支払う必要がなくなる
  • 今回は、まず、「4G」の周波数帯を取得し、4Gた設備を整備
  • これを、2020年に始まる「5G」の足がかりにする
  • 2019年から携帯キャリアとして新サービスを始める
  • 新規事業者への周波数帯の割り当てはイー・アクセス(現ソフトバンク)以来
  • 自前で回線や設備を持ち通信品質などを高める
  • スポーツ中継といった動画ビジネスと組み合わせ、通信と放送の融合も進める
  • 約10年後をめどに1500万以上の契約件数を目指す
  • 基地局の整備などに数千億円の投資必要
  • サービス開始時に2000億円、2025年までに最大6000億円を借り入れる
  • 数千万の契約数を持つ大手携帯3社との差は大きく、継続は簡単ではない

というような内容です。

 

コメント

このニュースのため、株式市場では楽天株と他のキャリアの株が双方下がっているとありました。

楽天は、巨額の借入金や競争が厳しいと予想されるためですし、他のキャリアは、楽天が営業攻勢をかけてくるので競争が激しくなり今ほど利益があげにくくなるというのが理由のようです。

 

キャリアは、法律で守られた事業ですので、なんだかんだと言っても儲かります。もっと通信料金は下げられるのに、高止まりしているというのは、その通りだと思います。政府も期待しているようです。

 

問題はiPhoneで、日本ではiPhoneがないと顧客獲得ができないようですが、アップルが売りの売りの小さな楽天iPhoneを供給してくるかどうかが、事業成功のポイントのようです。

 

さて、私が気にしているのは、楽天モバイルのブランドロゴです。

 

楽天モバイル」という漢字片仮名交じりの言葉と、下記の英語の「(R)Mobile」の2つが出てきます。

 

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以前の楽天は、

楽天市場

楽天トラベル」

楽天証券

という漢字と片仮名が中心でしたが、

現在は、赤の丸に白抜きのRの図形が、必ずついています。

 

また、証券、銀行は、まだ、漢字の「楽天証券」「楽天銀行」ですが、それ以外では、漢字は消えて、ローマ字の「Rakuten」中心になって来ています。

すなわち、

楽天トラベル」→「(R)Rakuten Travel」

楽天カード」→「(R)Rakuten Card」というようになっています。

 

(R)の赤い図形と、「Rakuten」というローマ字を基本にして、業態を表すのに必要な言葉「Travel」とか、「Card」を付加する戦略のようです。

 

ブランド体系論でいうと、個別事業ブランドや、エンドース事業ブランドというではなく、マスターブランド戦略となります。

別の言い方をすると、「Travel」「Card」のついた「(R) Rakuten Travel」「(R)Racten Card」は、「(R)Rakuten」ブランドがマスターブランドとするとサブブランドという整理をすることも可能です。

 

今回の携帯電話事業でも、このルールを当てはめると、「(R)Rakuten Mobile」となるはずですが、実際は、「(R)Mobile」となっています。なぜなんでしょうか?ちょっと考えてみました。

 

 

一つの理由ですが、携帯キャリアの名称は、生活に深く入り込むので、短いに越したことはありません。「ドコモ」「エイユー」「ソフトバンク」と3音~6音までです。

「ラクテンモバイル」は8音と長いので、短くするとすると、「アールモバイル」(長音を除き6音)となります。

 

もう一つの理由は、漢字の「楽天」を想起してしまう「Rakuten」を使うよりは、「(R)Mobile」の方が、若者受けが良いという理由です。

 

「(R)Mobile」と表記しているのを、「ラクテンモバイル」と読んでもらうべきなのか、いっそのこと「アールモバイル」で良いとするのかは、どちらにも誘導はできます。楽天の意思次第です。

 

もし、楽天が携帯電話で成功したとすると、そのインパクトは大きいので、「(R)Rakuten」は、すべて「(R)」に切り替えても大丈夫ということになります。「Rakuten」から「(R)」へのブランド変更です。

 

少なくとも、大阪の元弁理士に先を越されないように、「(R)Travel」「(R)Card」も商標出願しておくべきですが、すでにやっておられるでしょうか?

楽天ブランドの民泊

楽天ブランドをライセンス

2017年11月30日の朝日新聞に、民泊に楽天ブランドを活用するという話が出ていました。

www.asahi.com

  • 楽天名を冠した民泊用ブランドを新設
  • ブランド名は「Rakuten STAY」
  • フランチャイズ契約を始める
  • 清掃やチェックイン手続きなどを楽天が代行
  • 売上高の数%分をブランド使用料、利益の数%分を代行手数料として楽天に支払う
  • 部屋の所有者が自費で、楽天が監修した内装に改装
  • テルチェーンのように一定の品質として、民泊に抵抗のある客層も取り込む
  • 歯ブラシやタオルなどの備品はロゴの入ったものを楽天が用意
  • 住宅宿泊事業法(民泊新法)が来年6月から施行
  • 不動産情報サイト運営のライフルと共同で民泊のサービス
  • 約800万件の不動産オーナーに、民泊転用とフランチャイズ契約を勧める

コメント

確かに通常の民泊と比べて、チェックインや清掃を、信頼のある企業がやっていると思うと安心して泊まれそうです。

楽天には、楽天トラベルという宿泊先の紹介サービスがありますので、集客も十分できそうです。

 

ライフル(LIFULL)は、岡田結実さんとホームズくんがCMに出ているHOME'Sを運営している会社のようです。こちらは、不動産オーナーと結びついているようです。

 

民泊を利用したい顧客には楽天、遊休マンションやアパートを民泊に活用したい不動産オーナーにはライフルと、それぞれルートがありますので、この両者の合弁会社には、意味があります。

 

ライフルの社長の井上高志さんという方は、リクルートコスモスリクルート出身者のようです。リクルートの起業家輩出力は凄いですね。

 

さて、楽天ブランドのフランチャイズ(ライセンス)となりますので、品質管理には注意が必要です。ホテル業界は、昔から、外資系のホテルも、プリンスホテルのような日本のホテルも、フランチャイズが相当普及している業界ではあります。しかし、民泊の場合は、対象物件が様々ですし、大きな看板をつけるわけにはいかないと思います。今回、新聞に紹介されていたのは、部屋のイメージ、歯ブラシやタオルといったものです。

 

ネット等での集客と、部屋に入った後の満足度には、楽天ブランドが効くと思いますが、民泊なので大きな看板はなくブランド露出は最大化されないのではないかと思います。駐車場の三井のリパークのP図形のような、小さな看板でもつけるのでしょうか?

 

民泊は、まだ、使ったことがないのですが、部屋の鍵をどうやって受け取るのでしょうか?別のサイトには、直接オーナーが渡す、郵便受けに入れる、暗証番号の鍵など、方法は色々あるようです。現在は、郵便受けが一般的とありました。

 

2017年11月30日の日経にも、楽天の民泊の話が出ています。

www.nikkei.com

現在、民泊の特区があるのは、大田区など一部で、来年6月から全国に広がります。現在、エアビーアンドビーに登録されている多くは、旅館業法の簡易宿泊所の許可もなく、非合法で物件のようで、黙認されてはいる程度で、日本企業は参入をはばかっていたようです。

 

6月からは、合法化されますのでこの時期の参入がラストチャンスというところでしょうか。

 

楽天は、海外の集客のために、中国大手の途家(トゥージア)、米エクスペディアの子会社(ホームアウェイ)と連携して、訪日客を誘致するようです。

また2017年12月12日の日経によると、民泊事業で、旅行予約サイトのブッキング・ドットコムと業務提携するようです。

インドのプリウスの社名

インド会社が勝訴

2017年12月17日の朝日新聞に、インドにおける、プリウスの社名の裁判で、トヨタが敗訴したという記事がありました。

www.asahi.com

  • プリウス」の社名を認める判決
  • インドの自動車部品メーカーが「プリウス」を社名に使っていた
  • ニューデリーの「プリウス・オート・インダストリーズイ」
  • 同社は2002年から、社名を登記
  • トヨタ車の交換用の部品も製造
  • トヨタ側は、訴訟で、「プリウス」名称の使用差止を求めていた
  • インド最高裁は2017年12月14日、トヨタの訴えを退けた
  • トヨタ側は、プリウス社が社名を登録した後の2009〜2010年にインド市場でプリウスの販売を始めた
  • しかし、日本では1997年から販売しており、すでに広告やニュースなどで「プリウス」の名前はインドを含む世界で有名になっていたと主張
  • 最高裁は1997年にニュースになってはいるが、インド市場で(プリウスの)ブランド名が確立しているとはいえないと指摘
  • インドでは販売台数も相当限られ、(部品メーカーが社名を登録する前の)2001年以前に広告はなかったとして、トヨタ側の訴えを退けた

サンガムIPのインド知的財産ニュースレターの2017年7月3日号に、第二審までの動きの説明がありました。

www.sangamip.jp

ニュースレターによると、二審でも、トヨタ側は負けていたようです。

良く理解できていない部分もあるのですが、商標と商号の2つの話があるようで、商標は、商号は2001年4月から使われており、一方、自動車部品の「PRIUS」商標は2001年7月から使われて2002年に商標登録されているようです(現在、無効審判のような手続に入っているようですが、今回の判決でプリウス社のものであると確定するのではないかと思います)。

 

プリウス社の設立以前に、トヨタプリウスが有名だとする記事が一つあるだけで、その程度では、プリウスが海外で有名とは認定できないという話のようです。

2001年の時点で、トヨタプリウスが国際的名声を得ていると立証できていれば、トヨタが勝ったようではあります。

強い証拠を、提出できなかったことが敗因のようです。

 

コメント

判決やその判例評釈を見たわけでもなく、新聞記事とニュースレターからだけの情報ですので、不明確な点がありますが、ご容赦ください。

まず、感じたのは、PRIUSが誕生したのが、1997年頃のようであり、当時はインドはまだ輸出先でもなかったのだと思いますが、商標出願していなかったことが一番の問題となります。

 

それと、PRIUSは造語のように思いますが、日本でも日立のパソコンに同時期にPRIUSという機種があったように(すぐになくなりましたが、TVCMもしていたのである程度有名でした)、あってもおかしくない商標ですので、第三者が善意に使い始める可能性があった商標です。今回の相手方も、裁判では造語の語源を説明しています。

 

あとは、証拠の問題です。2001年4月がポイントのようですが、これ以前に有名である、(それも日本でではなく)インドでの認識として、海外では有名であるという証拠を提出しなければならなかったようですが、それが十分できなかったことになります。

 

トヨタ側は最高裁まで争うのですから、戦う姿勢ではあるのですが、最大の問題は、1997年から2001年までに、商標出願ができなかったという点にあるように思います。

 

このあたり、製薬会社は、新薬などは、はじめから100ヵ国対応すると言いますので、だいぶ先を言っているように思います。

今回は、よく言う交通事故のようなケースと思いますが、教訓になるケースのように思います。

 

トヨタは昔、米国で、LUXUSが、判例データベースのLEXISから異議申立てを受けて異議に勝ったということが有名でしたが、この判決も違った意味で、有名になりそうです。

 

nishiny.hatenablog.com