Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

住友ゴムとDUNLOP

ダンロップスポーツを吸収合併

2017年8月30日の日経に、住友ゴムが上場子会社のダンロップスポーツを吸収合併するという記事がありました。

www.nikkei.com

記事によると、

  • ゴルフやテニス用品を手がける上場子会社ダンロップスポーツを2018年1月に吸収合併
  • ダンロップスポーツは12月27日付で上場廃止
  • 住友ゴムは「ダンロップ」ブランドのスポーツ用品や日用品の世界の商標権を英社から4月に取得
  • 今回、商標権を持つグループ会社のダンロップインターナショナルも吸収合併して、スポーツ事業を本体に統合
  • ゴルフやテニス用品でダンロップブランドを世界中で使用できるようになった
  • 住友ゴムは15年に米タイヤ大手のグッドイヤーとの提携を解消
  • ダンロップブランドのタイヤを国内やアジアなどで販売
  • スポーツ用品を通じて伝統ブランド「ダンロップ」のイメージを高め、タイヤ販売にもつなげたい考え。

記者会見もあったようです。

www.nikkei.com

  • スポーツ用品の「ダンロップ」ブランドの使用は日本や韓国などに限られていたが、4月に全世界での商標権を取得。合併で海外事業を拡大
  • タイヤ市場は今後も伸びる見通しだが、新興国ダンロップのブランド力は低い
  • 「ブランドを最大限に活用するには、経営資源をスポーツ事業に投資することが必要」
  • 「スポーツ用品との相乗効果でタイヤのブランド価値を上げたい」と話した
  • 「ブランド価値向上でタイヤ事業の発展につなげる」(かぎ括弧は社長談)

コメント

住友ゴムと英ダンロップ、現在の英ダンロップの親会社のグッドイヤーの関係は、分かりにくいのですが、Wikipediaにまとめて書かれているように思います。

ダンロップ - Wikipedia

詳しくはこちらを見てください。

 

J-plat patによると、日本やアジアの「タイヤ」の商標権は、住友ゴムが権利者のようです。海外のタイヤの商標権も、アジアなどは、住友ゴムが権利者になって来ているようです。

 

タイヤがメインの重要な商品ですが、DUNLOPで展開できるのは、日本、アジア、ロシアで、欧米はグッドイヤーがDUNLOPで展開しているようです。グッドイヤー傘下の英ダンロップ・インターナショナルという会社が、商標権を持っているようです。

 

一方、スポーツ用品は、上場会社の日ダンロップ・インターナショナルが持っているようですので、今回の吸収合併により、完全に、日本の住友ゴムに商標権が移り、スポーツ用品については、住友ゴムが、DUNLOPのオーナーの地位につきます。

今後、新興国では、タイヤの売りが期待されるのですが、DUNLOPブランドの認知は今一つという面があるようで、そこを切り開く先兵として、スポーツ用品のDUNLOPを強化するというのが、今回のストーリーのようです。

 

筋は通っていますね。アジアやロシアといった新興国で、まず、スポーツ用品で認知を得て、タイヤを売るということですね。グッドイヤーのDUNLOP事業が上手くいくかどうかですが、将来は、買収のチャンスはあると思います。

逆説的ですが一つぐらい目の上のたんこぶがある方が、一病息災という面があるかもしれません。

 

将来、もし仮にですが、DUNLOPをグッドイヤー側から買収できたとして、住友ゴムの社名をとるのか、ダンロップにシフトするかですが、通常のブランド論ならダンロップとなりますが、住友の金看板は捨てられないのでしょうね。