ルブタンの判決と日本の登録状況
2018年9月17日の日経に、色彩の商標登録の話が出ていました。「音」や「動き」など、新しいタイプの商標の登録制度が2015年に始まり、3年になります。
特に、色彩の商標登録は、ハードルが高く、単色での登録はいまだにゼロということです。
- 同じような色に複数の出願がある。登録には消費者の認知度を高める取り組みが必要
- 2018年6月欧州司法裁判所で、仏クリスチャンルブタンの「赤い靴底」の商標権を侵害の判決。オランダ企業が敗訴
- 海外では、ティファニーの「ティファニーブルー」、UPSの「チョコレートブラウン」が商標登録
- 日本では、トンボ鉛筆の消しゴム「青・白・黒」の組み合わせなど4件のみ。単色はない
- 色彩の出願が約520件。半数が単色
- ニコンのカメラのグリップ上部の「赤」。はとバスの「黄」の出願
- 色だけの商標は、強い効力があるので、極めて高い著名性が必要(特許庁商標課)
コメント
単色に、商標登録をするということは、ある特定の商品やサービスで、第三者がその色を使えないということになりますので、特許庁の商標課が、単色の商標登録に慎重になっているのは、よくわかります。
J-Plat Patで見ると、色彩のみの商標で、143件のヒットとありました。記事にある520件とはだいぶ差があります。差分の400件弱は既に拒絶になったのでしょうか?
現在登録になっているのは、トンボの消しゴムMONOの三色、セブンイレブンのファサードの色の組合せ、三井住友銀行の色の組合せ、三菱鉛筆の鉛筆状の縦長の茶色と黒の組合せです。
鉛筆の商標は、考え方が面白いので、時間があれば、検索してみてください。
記事にある、ルブタンの件は、単色と言っても、靴底という位置も関係するので、完全な色彩のみの商標ではありません。こちらは、まだ、出願中(ペンディング)です。
これからでも、いつでも出願できるのですが、日本には、ティファニーブルーやUPSの茶色の出願はないようです。
ティファニーブルーや、UPSの茶色ぐらいの有名な色彩というのは、現実にはなかなかありません。
例えば、UPSのライバルのDHLですが、黄色の封筒や車もありますが、赤色のDHLのロロゴとの組み合わせで有名であり、黄色だけではなく複数の色が使用されています。
ティファニーのパッケージなどでも、ティファニーブルーに、Tiffany&coの文字は黒や白で表現されていますが、黒や白は、厳密には色ではないので、無視して考えることになります。
一方、UPSの車には、本当は、黄色いストライプとUPSの盾型のロゴが入っています。ただ、茶色に強い印象があるのは事実です。車の安全の問題かと思いますが、そもそも茶色の車はあまり見ません(赤や黄色い車は市販車にも沢山あります)。
新聞には、みずほ銀行のコズミックブルーや、はとバスの黄色が紹介されていましたが、このあたりが登録の候補でしょうか。しかし、ブルーや黄色は、一般的な色なので、商標登録は難しいような気がします。
ティファニーが、日本で商標登録をとるまで、単色の商標登録はお預けでも良のではないでしょうか。