Cancellation
Cancellationというと、不使用取消などの取消をイメージするのですが、EUTMでは、Cancellationは上位概念で、下位概念として、①Revocation(取消)と②Invadidity(無効)があります。
①のRevocation(取消)は、不使用取消などです。取消の効果は、取消請求日から効力がなくなるというものです。
②のInvalidity(無効)は、絶対的理由と相対的理由の双方があります。無効の効果は出願日から効果がないといものです。
これらは、当事者系の手続きです。
無効の絶対的理由は、「誰でも」が主張することができのに対して、相対的理由は、先行商標の所有者やランセンシーに限定されます(※日本では利害関係の有無で、処理しているところでしょうか。)。
挙証責任は当事者にあります。
ここらあたりにも、相対的理由は、当事者間で解決するものという考え方はうかがえます。
使用言語は、5か国語です。
まず、Revocation(取消)ですが、その理由は、不使用の他、普通名称化、欺瞞的・誤認を生じるおそれといったものです。この3つは、取消という概念になじむのだろうと思います。
Bad faith(悪意の出願)は、取消の理由ではなく、無効の理由ということでした。
取消は、EUTM全体について行われ、地理的な一部取消はありません。(指定商品などの一部取消はあります)
取消された場合は、各国出願にConversion(移行・出願変更)が可能です。
普通名称化ですが、Action(作為)、inaction(不作為)で、普通名称化するとあり、挙証責任は取消請求をする側にあります。
権利者側は、一般名称として辞書に記載されていないと抗弁できるそうです。
登録後の普通名称化が、取消の対象で、登録前の普通名称化は、無効の対象です。
作為・不作為についての、権利者のSelf-harming act(自傷行為)の例としては、権利者自身による普通名称的な使用、ライセンシーに当該商標が普通名称であると示唆するような様々な態様を認める、辞書に商標という参照が無いことなどです。
普通名称化を防止するには、顧客に商標であると認識させるために情報提供することが必要で、広告、ラベルへの警告表示、取引者への注意喚起、ライセンス条件の見直しと適正使用管理(モニタリング)が、必要ということでした。
※このあたりは、アメリカはNaked licenseで、商標登録が無効になるというところから、商標管理(trademark management)が発展しましたが、欧州は取消のあたりで、まとめているようです。
日本は、事後的な普通名称化は、取消理由でもなく、まったく遅れています。権利者を過保護にすることは、強い商標(ブランド)を作るには、マイナスであることが理解されていないようです。
特許庁が、権利者団体の実務家の意見を聞きすぎることと、弁理士会などの商標専門家からの商標制度を良くしようという提言がたりないのかもしれません。企業勤務の弁理士がもっと発言すべきかもしれません。
次に無効です。
EUTMRの7条の拒絶理由の他、Bad faithということを理由にできます。Bad faitheの理由は、異議のときにも使えないということで、無効だけです。
悪意の出願の定義はなく、判例法に任されているようです。
権利がなくても良く、利害関係も不要だそうです。
相対的理由については、商標(同一、漏示、名声)を根拠にする他、名称についての権利、肖像権、著作権、意匠権、他の先行権利を基礎に主張できるそうです。
質問としては、ロゴを共同体意匠で登録を取得しておきて、それをベースに無効請求できるという話やがありました。可能だそうです。
最後に、BREXITの話になり、EUIPOもUKIPOも、Webサイトにまとめを出していることとと、今後はUKは、別出願(マドプロでチェックしておくなど)が推奨されるという話でした。
Intellectual Property Office - GOV.UK