タケダの大衆薬の売却
ブラックストーンに
2020年9月4日の日経に、武田薬品工業の大衆薬事業の売却についての記事がありました。
大衆薬、武田の子会社売却で岐路に 再編機運も :日本経済新聞
- 大衆薬は、これまではブランドの醸成や消費者との接点としての意味
- 医療用に比べて、研究開発費は少ないが、広告宣伝費や販促費がかかり、収益性は低い
- 大衆薬を抱えながら、医療用薬の成長を両輪で目指すのは容易ではない
- 国内ではアステラス、第一三共が、大衆薬子会社を売却
- 海外でもロッシュがバイエルに売却、ファイザーとグラクソ・スミスクラインと統合
- ブラックストーンは、「カロナール」のあゆみ製薬を持つ
武田の発表が、8月24日です。
武田コンシューマーヘルスケア株式会社株式のBlackstoneへの譲渡について
その前に日経に記事が出ていました。
武田、医療用薬特化へ改革 大衆薬を米ファンドに売却 新薬開発、危機感強く :日本経済新聞
- 売却額は2500億円
- 大衆薬は「タケダという名前を世の中に広められる事業だった」
- アリナミン、ベンザ
- 売却には、一部の武田OBが反対
- 武田の有利子負債は4兆8000億円
- これまでに8300億円の資産売却、大衆薬売却はその仕上げ
- 当初は3000億円を想定していたが、インバウンドの喪失で安くなった
- 武田はMRや事務職に希望退職を募っている
- 湘南の研究所も、1100名が660名になり、主軸は米国の研究所に
2020年9月4日の朝日新聞にも記事があります。
- 売却額は約2400億円
- 武田コンシューマーの売上は、608億円。純利益は86億円
- 5年~10年で株式上場を目標
- 日本の大衆薬は海外から評価。安心・安全のイメージ
- 台湾などでアリナミンの認知度は高い
コメント
電機メーカーで家電をなぜ続けるのかという議論と同じです。GEなどはすでに中国企業に家電事業を売却し、しかし、GEというブランドは使用させ、消費者へのブランド認知とブランドライセンス料を得ながら、家電の経営はしないというビジネスモデルにシフトしています。
新聞やニュースリリースを見ても、武田(タケダ)のブランドを、売却後の会社に使わせるのかどうかという点の記載がありませんが、素直に考えると、使わせないということになると思います。
GEなどの家電の場合は、ブランドが「GE」であるのに、アリナミン、ベンザの場合は、メインがアリナミン、ベンザで、コーポレートブランドの武田(タケダ)はエンドースの役割なので、そもそもが違うのだろうと思います。
今回の武田コンシューマーは、将来は上場するのでしょうから、そのとき、資本も入っていないのに、武田(タケダ)の名称を名乗らせることはできないと思います。
コンシューマビジネスは、ブランドの醸成や消費者との接点として重要という日経の記事にある点が、儲からないがコンシューマビジネスを続ける意味とされていますが、医薬品と電機では、コンシューマの認知の必要性がだいぶ違うのかもしれません。
医薬品の需要者は一般人ではなく、医師であり、専門家です。
電機もBtoB商材の購入者は、専門家ですが、集めるべき従業員、関連する事業の裾野の広さなどから、ある程度のブランドが必要なのかもしれません。
しかし、武田のコンシューマー事業の利益率、高いですね。純利益で14%もあります。凄いなと思います。本業ではないとして切り出される大衆薬ですが、電機に比べれば相当に高収益事業です。
アリナミン、ベンザは、薬の名称ですので、社名が必要です。これから、武田(タケダ)に替わるコンシューマーの会社のブランド?社名?が作られるのではないかと思いますが、どんなものになるか、楽しみです。