Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

外国商標 出願国の考え方

どの国・地域まで出願すべきか?

以前、ハウスマークの外国商標の出願に関して、「商品・サービス」のことを書きましたが、今回は、国・地域を考えてみたいと思います。

現在、商標登録制度のある国・地域は200ほどありますので、民生品なら、200カ国・地域が対象になります。しかし、その中には、人口も少ない国・地域で商標登録制度を持っていたり、費用対効果で本当に出願が必要かどうかまよう国・地域が多いのも事実です。

 

国や地域については、大きく分けると、実際に商売のある国・地域だけ(仕向け地のみ)に出願する方法と、実際には仕向け地ではなくても商品が流れている国・地域(本当の市場)には出願するという方法に分かれると思います。後者の考え方は、その国・地域に、エンドユーザーや中間流通業者といったお客様がいるのであるから、仕向け地ではなくても、実際に商品が流通しているところには出願すべきとなります。

 

この点、日本の電機大手は、ハウスマーク(HITACHI、Panasonicのようなブランド)の場合、だいたいどこも、180~200程の国・地域を対象にしています。商標登録制度がある国は、すべてカバーしておこうという考え方です。実際に商品が流れているというのはそうだと思いますが、もう一つ、企業の見栄のようなものがあります。仕向け地ベースで、売上だけで見ると、60カ国・地域で、ほぼ、99%以上カバーできるのではないでしょうか。

 

しかし、通常は予算もありますので、売上やGDPなどを基準に、ある程度納得のできるところで出願国・地域は決める必要があります。出願国数ですが、ある有名な規格マークで60ヵ国、その後継の新しい有名規格マークで120ヵ国程度と記憶しているのですが、ハウスマークでも120ヵ国あれば、十分なように思います。以前、海外の大手企業のハウスマークを調べたとき、日本企業よりもだいぶ少ない国数だと思いました。

そして、この国・地域と、前回お話しした商品・役務を組み合わせて、多少の色付けもして、権利取得基準ができあがります。

 

予算を確保して、数年かけて、決めた商品・役務について、決めた国・地域について、出願して囲碁のように自分の陣地を取ります。陣取り合戦は、陣地の拡大が目標です。

そのとき、こちらが欲しいところにいる先行権利者がいる場合は、何等かの条件を示して、相手方との棲み分けが必要になります<同意書や共存契約です>。

また、こちらの陣地と思っているところに入り込んでくる会社(模倣品業者ではないことが多いです)がありますので、これに対する対応が必要です<異議申立です>。