「中国台湾」表記が議論に
2018年6月18日の朝日新聞で、JALとANAが、Webサイト上で、台湾のことを「中国台湾」と表記し始めたことに関し、台湾政府が両社に抗議し、日本政府も中国政府に懸念を伝えたという記事がありました。
- 中国は世界の航空会社に、台湾を「中国台湾」と表記することを求めている
- 世界の44の航空会社に書簡を送付。従わない場合は、中国の法律違反で処罰
- JALとANAは6月12日から実施
- 中国向け(簡体字)と、香港向けのサイト(繁体字)は、「中国台湾」
- 日本語サイト、英語サイト、台湾向けのサイト(繁体字)は、「台湾」
- 両社の広報は、それそれの利用者に、分かり易く、受け入れやすい表示と説明
- 政府関係者は、罰則を設けて、民間企業を脅すようなやり方は好ましくないとのこと
コメント
この件は、2018年6月25日の朝日新聞の社説にもなっています。
- 「台湾」という表記は、広く国際社会で使われている。「一つの中国」という原則を堅持する中国の立場に配慮したもの
- 唐突に「中国台湾」に変えよというのは、自らの主張を強めるための要求のつり上げ。無用な混乱を招く乱暴なふるまい
- 問題の背景は、国内での言論統制か。自国批判を制限されたネット上には極端に民族主義的な声。外国航空会社の地名表記もやり玉に
- 偏った声に押されて政策を決めたのであれは、自縄自縛
そうですよね。もともとは、中華民国と言っていたが、日中国交回復の後に、台湾という地名表記になったという認識でした。それ自体、中国に非常に配慮したものです。
ANAのサイトを見ましたが、目的地の検索の一覧表は、中国向けサイト、香港向けサイト、台湾向けサイトで、違いを設けて、新聞にあるような記載になっていました。
政府は、懸念は表明しているものの判断は民間に任せているとしているので、どんな罰則があるのか分かりませんが、民間は処罰は嫌ですので、中国政府に従います。この表記は、固定化しそうな感じです。
中国政府の主張は、台湾向けサイトや日本語・英語サイトでも、同じことをしてほしいのだと思いますが、それはしていません。JAL・ANAができることは、顧客の声に応じてサイトを作り分けるといった、現実的な対応をぐらいなのかもしれません。
ちなみに、台湾から来る書面を見ていると、住所は中華民国と書かれています。問題は、こちらから送る書面ですが、今は、住所を英語でTAIWANと書くようにしています。
現地の弁護士さんとの関係を考えると、中華民国と記載して返信した方が良いのかもしれないのですが、住所の部分は英語として、TAIWANと記載しています。
朝日新聞の社説の自縄自縛ですが、そんなに良い意味ではないのですが、以前の会社で主任になるときに、上司の課長に、レポートの最後の〆の言葉に使うように言われた事を思い出しました。