Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ネット不正出品の監視強化の新法

通常国会に提出予定

2020年7月2日の日経に、政府の未来投資会議が不正出品防止策として、ネット上の売り場の提供する「運営者」に、「出品者の本人確認」と「トラブル発生時の責任を明示する」ように求める新法をつくることを、来年1月の通常国会に法案提出する予定であるという記事がありました。

ネット不正出品の監視強化 対策開示、運営業者に責任 新法検討 :日本経済新聞

  • 架空の連絡先を届けた偽ブランド品を販売する事例が多発
  • アマゾン、楽天、ヤフー、メルカリなどが対象
  • 出品者の身元確認を強化。氏名、住所、連絡先といった本人確認の実施し、運営者に開示される
  • 人命や安全に関わる場合は、直接消費者に開示
  • 現在は、登記簿謄本、印鑑証明、銀行口座確認をする運営者もあれば、詳細な情報を確認しない運営者も
  • 4月のアマゾンの13業者は、運転免許証を偽造。消費者庁は処分相手を特できず
  • 米通商代表部は、英独仏加印のアマゾンを「悪質な市場」と報告
  • EUや中国、韓国では、運営者はトラブル発生時は、出品者と共同責任(賠償責任)
  • 新法は、EU並みの責任はないが、利用者が消費者保護への取組みを比較できるようにするもの。運営者に罰則はない

コメント

出品者が責任を負うのは当然なのですが、運営者がどこまで責任を負うかです。

消費者はアマゾン、楽天、ヤフー、メルカリといったサイトを信用して、取引しています。

しかし、プロバイダー制限責任法に近い話があり、日本の運営者は、責任を負ってきませんでした。

日本では、伝統的に流通がしっかりしており、模倣品は、通常のお店で売られるようなことは無かったのですが、ネット販売の時代になり、日本でもネット上には模倣品が溢れています。

 

やっと、ここまで来たかという感じですが、上の記事にあるように、運営者の共同責任を規定するEUや中国、韓国の例からすると、消費者保護からすると不十分な感じです。

 

新法によって確認のレベルが上がるので、良くなる面はあると思います。

しかし、本人確認書類の運転免許証を偽造する相手方ですので、登記簿謄本、印鑑証明でも、原本を提出させないと、PDFファイルの提出で良いとするなら簡単に偽造しそうです。

 

リアルな店舗では、営業が百貨店やスーパーに出張して商談して、登記簿謄本、印鑑証明、銀行口座の連絡をし、取引基本契約をして、はじめて取引開始になります。

 

この替わりに、運営者には、当該住所に、その人が住んでいるか、事業をやっているか、リアルに出張して確認をしてもらいたいなと思いました。

模倣品問題があったあとに、住所を訪問しているという話は聞いたことがあるのですが、出品者のアカウント作成時に、これをやると、ほぼ問題は防げると思います。

 

ただし、フリマアプリのサービスでは、無理があるかもしれません。

フリマアプリの場合は、住民票と運転免許書とオンラインでの面談ではないでしょうか?

リアルにオンラインで面談し、その顔画像を記録しておき、問題があれば、その顔画像を、被害者、行政や司法に提出するというような条件です。

 

この辺りになると、更なる、法律でのバックアップが必要な感じです。

 

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