主に商標出願に関して
昨日に引き続き、2018年7月5日のJETROのセミナーで聞いた話で、商標の話です。講師は、韓洋国際特許法人の李智瑛弁理士です。
内容は、
- 商標の対象
- 不使用取消審判
- フランチャイズの商標権
- 日本語の審査
- 冒認商標
といったところです。
1.商標の対象ですが、新しい商標として、「におい」まで対象としています。広いですね。
2.不使用取消は、今までは、請求するのに利害関係が必要だったのが、不要になったということです。2016年に1207件だったのが、2017年には2172件に倍増しているようです。
3.フランチャイズの商標権は、少し変わった話でした。
フランチャイズでは、フランチャイザーが商標権を持って、フランチャイジーに商標のラインセンスするというのが通常ですが、韓国では、フランチャイザーの代表者などが、商標を出願して権利者になることがあったようです。
その場合に、フランチャイジーの保護に欠ける場合があるそうで、フランチャイザーに権利を集めるために、代表者などの出願人に使用意思を確認して、フランチャイザーに移転を促すとのことです。
昔、日本でも、オーナー会社で、オーナーやその財産管理会社が商標権を持っていた例がありますが、それに近い話です。
4.日本語出願の件は、ひらがな、カタカナなど日本語で構成された商標は、韓国語で音訳又は翻訳して、審査されるということです。
日本語は、容易に意味や称呼が把握できるということで、識別性や類否が判断されるということでした。
日本語は、図形と考える国が多い中で、意味や発音まで見て、審査しているのは、日本語の国際化という面ではよいのですが、商標権確保という意味では少しハードルが高いなという感じです。
この運用は、特に、日本語についてであり、中国語はそこまで徹底はしておらず、また、アラビア語などは対象外ということでした。
例えば、「サンコー」という商標が、「(図形付き)SANKO」と類似するとか、「シーチキン」という商標は、商品材料についての品質の誤認・混同があると見るようです。
「西京味噌」という出願があると、京都および関西地方の味噌として、識別性なしという判断がされます。
これらの事例は、日本の審査に近いものですので、予測は可能です。
特殊な例として、「(どんぶり図形の中に)すき屋」の商標があったとして、これが、「数寄屋」に通じるとして、「お茶」と品質誤認・混同を生じるとして拒絶された例があるようです。
こちらの事例は、審査官の勘違いのような事例ですので、その後、出願し直して、登録になったとのことです。
5.冒認出願ですが、2013年に7264件、2014年に6293年もあった冒認出願が、2015年には348件、2016年には247件と激減しています。
これは、審査官が、海外で存在する商標について、審査官が検索して、積極的に権利者有利に判断して、拒絶しているためという説明がありました。
たぶん、権利者は、韓国では権利化しておらず、冒認になるのですから、周知性ベースの話です。ある意味、登録主義に、使用主義的な要素が入っています。
検索エンジンが一般的になった時代の審査としては、参考になる話だと思いました。
その他、輸出専用品の使用も商標の使用になるとかの商標の使用に関する話とか、権利侵害の話もあったのですが、面白いと思った話は、以上のようなところです。
以前いた会社が韓国事業が、あまりなかったので、知らないこともあったので、勉強になりました。