Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

オリ・パラ キャラクターライセンス

目標は、1万点で、140億円

2013年9月13日の日経に、東京五輪パラリンピックのエンブレムやマスコットをつけた公式グッズ(東京2020公式ライセンス商品)のライセンスの話が出ていました。

www.nikkei.com

  • ライセンスチームが品質、イメージとの適合性等を検証。
  • たばこはNG。前例のないものは、IOCと協議・確認
  • 組織委員会が契約。7月末で1300点超。ピンバッジ、Tシャツ、タオルなど
  • 珍しいところでは、五輪協賛宝くじ、切手、年賀はがき
  • ロイヤルティは、メーカー希望小売価格の5%(一部は7%)
  • 目標は、140億円。1万点

というものです。

 

コメント

市松模様のエンブレム、ミライトワソメイティのマスコットの話です。

140億円のロイヤルティ収入を5%から逆算すると、メーカー希望小売価格の合計は、2800億円となります。だいたい、この程度の規模を想定していることになります。

商品が1万点あるとして、一つの商品の売り上げは、2800万円となります。ぬいぐるみなど単価の高いものもあれば、ピンバッジなど安いものもあるので、そんなところかなぁという感想です。

 

まず、料率なのですが、5%(一部は7%)というのは、特許や商標に比べると高いような気がしますが、キャラクターライセンシングビジネスでは、一般的なようです。

2015年に発行された弁理士会 知的財産価値法科推進センターの「知的財産価値評価ガイド」にも、「ライセンスキャラクター名鑑2012」からの引用ですが、上代の5%が平均的とあります。

下記に同名鑑の最新版の案内があります。

https://www.voice-joho.jp/product/license/license-character2018/

 

ディズニーなどは7%だと聞きますし、昔セーラームーンが大ヒットしたときは14%になったこともあるので、5%というのは妥当なところなのだと思います。

 

弁理士会の冊子には、キャラクター自体が商品になる場合(例えば、キャラクターのぬいぐるみ)と、キャラクターにより商品の付加価値が上がる商品(例えば、ソーセージにキャラクターを表示する場合)は、料率が前者が6%で、後者が3%になるという事例が記載されていました。これは、理解しやすい話です。

 

通常、特許ライセンスや、商標ライセンスでは、工場出荷価格の3%とか、工場出荷価格を基準にすることが多いのですが、キャラクターライセンシングビジネス(著作権と商標権がメイン)では、メーカー希望小売価格(上代を基準にするのだというのが、へ~と思った点です。

 

そもそも、電気製品では、オープン価格が多くて、メーカー希望小売価格のある商品があまりないので、工場出荷価格とせざるを得ないのかなと思います。

 

なお、書籍の印税は、実際に売れた本の数×小売価格×10%という金額が標準的なようで、場合によっては、実売数ではなく発行部数となることもあるようです。

本の印税っていくら?スグにわかる「ベストセラーの印税額」 | いま読むべき本がわかるWebマガジン コトビー

 

キャラクターの場合、書籍の印税に代表される著作権と、商標権の混じったような法的構成ですので、料率や対象の売上金額の把握の方法が、双方の中間のようになっているのかなぁと想像しました。

 

アマゾンで、ミッキーマウスのキャラクターが出ている、商品を見ていると、定番のディズニーショップで売っているような商品以外に、スマホ関連商品、犬用のグッズ、おしりふきなどの赤ちゃん用品、壁掛け時計などが面白いところでしょうか。

 

一方、ハローキティはバリエーションが豊富です。ワイン、冷蔵庫、お醤油、杖など、なんでもありという感じです。

サンリオには、来るものを拒まずという開放性があるようです。