Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

日本マクドナルドの株式売却

50%→35%へ

2020年7月29日の日経に、米マクドナルドが保有する日本マクドナル 株ら式を売却する方針であり、保有比率は50%から35%になるという話がありました。

米マクドナルド、日本法人の株式を一部売却へ (写真=AP) :日本経済新聞

  • 資金で、グローバルでの新型コロナウイルス危機からの立て直しを図る
  • マクドナルドは、日本マクドナルド株を、カナダとシンガポール法人を通じて保有
  • 保有比率は49.99%。15%程度を売却へ
  • 拒否権は持つ3分の1以上は維持
  • 日本事業の実績、現地経営陣への信頼
  • 35%の維持は、日本事業へのコミットメントを示すもの
  • マクドナルドは、3%の経営指導料を受け取る契約
  • 経営幹部は、米マクドナルドからの派遣
  • 2014年度、15年度が赤字。16年度からV字回復し黒字。6月には上場高値

などとあります。

 

コメント

親会社の子会社のコントロールのためには、50%超が一番良いですが、40%以上で経営支配権があれば、連結決算の対象にもできますし、子会社の支配のためには通常はこれを目指します。

反対に最近は、上場子会社を廃止して、100%子会社にする動きも盛んです。

 

子会社などへの商標ライセンスも、出資比率が50%超を基本とするという会社は多いと思います。

かつては、100%しか商標ライセンスしないと言っている会社もあるぐらいでした。

 

マクドナルドの動きには、この考え方とは違います。35%の出資比率ですが、ブランド(商標)の使用は当然、許可する前提です。

 

米国流のブランド(商標)ライセンスでは、品質保証(Quality Control)があれば、ブランド(商標)のライセンスができるという思想です。

資本はのファクターは、日本の血縁に基づくブランドライセンスの考え方です。

(※ なお、日本の許諾被許諾は、商標ライセンスではありません。同意書の亜流です。)

 

3%のロイヤルティの支払は、経営指導に対する対価ということですが、商標の使用許諾を含んだものだろうと想像します。

 

経営指導は、経営全般の指導、海外工場からの製品供給などの経営資源の使用、成功事例の共有、マーケティングの会議など、色んなものがあるのだろうと思います。

 

米国流のブランド(商標)ライセンスでは、ブランド(商標)の使用の前提が、品質保証(Quality Control)です。

通常の商標の品質保証では、商標の使い方(How to Use)も重要なのですが、やはり製品の品質そのものが重視されます。マクドナルドのビジネスなら店舗運営や店舗デザインの統一感、CMが醸し出すイメージなども、サービスの質の問題として、品質管理の一環かもしれません。

このあたりまで来ると、経営指導と品質管理はマージして、区分けが難しくなるような気がします。

米国的には品質管理と商標ライセンスは区別できない関係にありますので、結局、経営指導と商標ライセンスもワンセットのもので区別しずらいものとなります。

 

現在は、社長が米国本社の派遣の方で、米マクドナルドの価値感を体現していると思いますが、現在の社長が交代しても、米国から社長が来るのだろうなと思いました。米国からの社長派遣も、品質管理に一役買っているような気がします。

そのためには、大株主を設定するのではなく、個別の株主ということになるのだろうとなと思いました。