トンボ鉛筆が許可
2019年11月26日の神戸新聞NEXTで、兵庫県小野市なONO消しゴムが、トンボ鉛筆の許可を得て作り直すことになるという話がありました。
神戸新聞NEXT|総合|小野市観光協「ONO消しゴム」 作り直しを検討
- 製造を委託した業者がトンボ鉛筆の許可を得ていなかったことが判明。千個の消しゴムを返品
- 小野市の市長が改めて、ONO消しゴムと同じ製品の再発注を同社側に打診
- 小野市観光協会がトンボ鉛筆が協議
- 消しゴム1万個を作り直し、催しなどで無料する方向
- 同じ物は許可できないが、どんなデザインなら可能か協議
- 協会は10種類以上のデザイン案を提示。同社が近日中にも回答
という内容です。
コメント
この問題、弁護士ドットコムにも、色彩のみの商標の法的な見方の紹介がありました。
「MONO消しゴム」にそっくり、小野市「ONO消しゴム」は本当にアウト? - 弁護士ドットコム
水色・白・黒のストライプはトンボ鉛筆の色彩の商標権の侵害になるのではないかとして、もう一つのオレンジ・白・緑のストライプは侵害にならないのではないかとしています。
不正競争防止法違反になるかどうかは、混同を生じるかどうか、取引の実情が考慮されるとしてます。
弁理士ドットコムの説明も、商標権にフォーカスしています。色彩商標の商標権侵害の議論は、そんな感じかなと思いますが、不正競争になるかどうかは、微妙な問題だなと思いました。
これまで、実際には、取引をしていないので、混同を生じていません。
問題は、仮に小野市観光協会が売店等で販売したときにどうなるかですが、一般のスーパーやコンビニ、文具店で販売するなら、出所混同という問題もありますが、小野市のイベントや小野市の観光用の売店で、小規模に「販売」したときに、本当に、トンボ鉛筆の「MONO」と混同を生じるかは問題です。
消費者はこれは違う、パロディだと分かった上で購入しますので、出所の混同は生じていないということもできそうです。また、広義の混同(企業混同)もなさそうです。
ポリューション(汚染)もなさそうですし、ダイリューション(希釈化)はあるかなもしれないというところです。ただ、ダイリューションに対しては、日本法は厳しいので、結局、著名商標との同一性や、何某かの権利の侵害になるかとなります。
法的には、結局、ぐるっと回って、色彩の商標権侵害になるかどうかに行きつきます。
さて、市長から正式に申し入れがあったためでしょうか。トンボ鉛筆もOKをするようです。案外、やさしいなと思いました。
問題は、どんなデザインにするかです。同じものは許可できないというのは、今のものは駄目だということですが、色を含めて、あまり変えてしまうと、パロディにもなりませんし、どうすれば良いのかなと思います。
トンボ鉛筆自体、リラックマとのコラボ商品でなどで検索すると、多数のパロディを出しています。「MONO 消しゴム リラックマ」で画像検索すると出てきます。
また、本物かどうか不明ですが「MONO」消しゴムの色違いのカラフルなものがあるようです。
パロディは、広告費をかけない宣伝と考えると積極的にやれば良いとなりますが、色彩のブランドと考えると、このようなルーズな運用で本当に良いのかなと思います。微妙なところです。
最近、「白い恋人」と吉本の「面白い恋人」が和解して、共同でコラボしているという話題がありました。
『白い恋人』石屋製菓と吉本興業、まさかのコラボ 『面白い恋人』和解から6年経て | ORICON NEWS
短期的な販促を重要と考えるか、長期的なブランドを考えるか、結局はそのバランスなのですが、非常に難しいところです。
もうしばらく注目しておきたいと思います。