Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

案内用マーク(ピクトグラム)

 

温泉マーク他を追加

 2017年4月15日(土)の日経と朝日新聞に、2020年の東京オリンピックパラリンピックに向けて、外国人観光客に分かりやすい案内記号の追加策が決まったようです。

今回は、コンビニ、自販機、スマホの充電コーナーなどが追加されたようです。経産省は、外国人観光客のために順次切り替えを呼びかけていきたいということです。

www.meti.go.jp

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ちなみに、以前のものもご参考に。温泉マークは、現行の図柄が外国人には温かい食べ物に見えるようで、変更を検討したが、現行への存続要望も強く、両者が併存となっています。

www.meti.go.jp

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この種のものは、慣れが重要ですね。温泉マークほどの議論になっていないかったですが、救護所の緑字に白十字は、工事現場の安全第一のマーク(白地に緑十字)と間違えやすいように思います。

人口の東京集中

大阪が人口減

2017年4月15日(土)の日経に、総務省の2016年10月時点の人口推計の記事がありました。記事がポイントとしているのは3点でした。

www.nikkei.com

  1. 外国人労働者> 外国人の純流入が13.6万人で過去最大の人数で、純増は2013年から4年間続いている。貴重な働き手としての外国人の存在感が増している。厚生労働省によると外国人労働者数は108万人で初めて100万人の大台を超えた。中国のほか、ベトナム、ネパールなど出身地域の幅が広がっている。
  2. <女性> 労働力となる15歳~64歳の生産年齢人口は低下している。その中で、女性は男性よりも340万人多く、子育て支援を軸に女性の活躍を促す仕組みが必要。
  3. 都道府県別> 人口増の都道府県は東京、沖縄、愛知、千葉、神奈川、福岡まで。東京は0.80%の人口増。残りの40都道府県は人口減。大阪もー0.08%の人口減。大阪市へは人口流入は続いているが、大阪府全域で見ると減少している。

コメント

3つの角度から分析している記事でした。人口減を止めるには、外国人移民が一番の手ですが、日本ではその方法についての議論は盛り上がらず、子育て支援(保育園の充実、出生率の向上策)、女性活躍(配偶者控除の廃止など)、高齢者活用(定年の65歳までの延長、高齢者の定義を75歳にするなど)の後の議論とされています。

世界の人口は過剰ですので、地球のことを考えると、外国人移民しかないのですが、昨今の欧州やアメリカを見ると、移民は大変であることわかります。人口の5%を超えると、社会問題が起こると聞いたことがあります。

 

さて、気になったのは、大阪の人口減です。3大都市圏では人口増と思っていたのですが、ついに大阪が人口減になりました。名古屋圏はトヨタをはじめ、自動車業界が活発ですので元気ですね。大阪人として、大阪の家電、医薬品、化学などにはがんぱって欲しいと思います。

梅田(大阪駅)に行くと、東京の街にまったく負けていません。ビルもお店もなかなかのものです。テレビのキー局もあります。街もカラフル(特に女性の髪の毛の色は明るい)で、官庁が無い、大使館が無い、世襲の上流階級がいない分、自由都市で非常に良いと思います。最近、汐留から虎ノ門京都、奈良、神戸を含めた文化の集積度は東京は遠く足元に及ばないのですから、新しい産業さえあれば、住みやすい街だと思います。

ただ、大阪人自身が、現実を直視しないところもあります。大阪府大阪市の人口が神奈川県・横浜市の人口を抜いたのは、各々、2005年・1978年です。特に、大阪市は、私がまだ中学生のころです。そのとき、軽くニュースで流れたのですが、その後、大阪ではこのニュースを聞いたことがありません。いまだに、日本第2の都市と思っています。現実を直視しないことが、問題を根深くする典型です。

外国人、女性、高齢者とありますが、大阪の活性化も同じレベルの問題です。日本の経済全体に対する政府・地方公共団体のセクターの占める割合の大きさが、東京一極集中問題の根底になりますので、最近は下火になっていますが中央官庁の移転や小さな政府がないと解決しない問題だと思います。

大阪の活性化を大阪府大阪市の自助努力に任せるのではなく、もっと国家レベルの問題と考えてほしいのですが。

大阪は東京に比べて、電車が空いていますので、住みやすい面もあります。

民法改正

今国会で成立へ

2017年4月14日(金)の日経夕刊に民法改正法案が、今国会で成立するという記事が載っていました。 債権部分の抜本改正は民法制定以来、約120年ぶりとなるとのことで、判例で定着したルールを法律化するようです。

ポイントは、次の内容です。

  1. 「法定利率」の引き下げ(5%から3%として、3年ごとに見直す変動制にする)
  2. 「約款」に関する規定を設ける
  3. 「短期消滅時効」をやめて、「権利が行使できると知ったときから5年」を原則とする
  4. 個人が連帯保証保証人になるとき、公証人による自発的な意思の確認を必要とする

国会での議論は、4つめの公証人確認で、配偶者による連帯保証も、公証人の意思確認が必要というのが民進党の修正案で、衆院法務委員会では否決されたということでした。


コメント

民法は社会の基本を規定する大変重要な法律で、戦後改正された家族法が今の社会を形成したということができるぐらい、家族法を変えると社会が変わりました。

債権法を変えると、多くの法律に影響します。そのため、120年も変えられなかったということです。東大教授だった内田貴先生が教授職を辞めて、法務省に入られ改正をまとめる仕事をされたときは驚きました。先生も法務省も本気なんだと思いました。2011年の新書ですので、ご参考に。ちょっと時間が経っていますね。

民法改正: 契約のルールが百年ぶりに変わる (ちくま新書)

民法改正: 契約のルールが百年ぶりに変わる (ちくま新書)

 

先生の理論は、こちらですよね。長期の積読状態です。 

契約の再生

契約の再生

 

個人的には、 今回の記事では、公証人の件が面白かったです。日頃、外国商標は委任状やら宣誓書などに、公証人認証や領事認証が必要になります。

公証人(Notary Public)は海外では非常に重要な働きをしているのに、日本ではあまり活用されていないように思っていたのですが、今後は積極活用されるのでしょうか。

公証人は、海外(特にフランスなど)では内容自体が事実であることを証明してくれるが、日本では証言したという事実を証明するだけというのが、私の理解ですが、今回の民法改正はどこまで射程範囲にしているのでしょうか。

東芝のテレビ事業

VESTEL(トルコ)に売却?

2017年年4月9日(日)の日経によると、東芝がテレビ事業をトルコ家電王手のVESTELなどの複数の会社と売却交渉をしているという記事がありました。

今回のTVの売却金額は最大で数百億円の規模ということです。

 すでに白物家電中国企業に売却しています。テレビ事業は東芝に残っていたのですが、今回そのテレビが売却されます。

テレビ事業は東芝に残っていたとはいえ、海外のテレビ事業は、すでにブランド供与ビジネスに切り替えており、日本国内での開発・販売のみに絞り込んでいたようです。

テレビ事業子会社の株式の大半を売却し、雇用と拠点(青森県三沢市)、東芝ブランドの維持を求めるようです。

今回の候補であるVESTEL(ベステル)には欧州でテレビについて、ブランドを供与済みとのことですが、他に中国の海信集団(ハイセンス)も関心を持っているとのことです。

 

コメント

長らく、テレビは家電の王様といわれてきました。家庭のリビングの中心にはテレビがあり、テレビの真ん中にブランドロゴが貼付されており、テレビを見るたびにブランドロゴを見ることになり、日々の生活の中心にブランドがあることになるので、電機メーカーではテレビは特別なものとされていました。

家電の王様の地位が、スマホに奪われつつあるとはいえ、未だに大切な商品であることは変わりません。東芝白物家電事業は、中国・美的集団(Midea)に売却しても、テレビは維持しようとしていたのは、そのような背景ですが、このテレビもついに売却対象になったということです。

Philipsなどの海外メーカーもすでに同じ道を進んでいますし、日本メーカーでもSHARPの海外事業も同じ状態です。

例えばPhilipsは、医療機器を中心とする会社にリストラクチャリングをしており、家電事業の目的はブランド露出をするためと割り切っています。特に家電で儲けようと思っていないのです。そのため、家電に人物金といった経営資源を投入せずに、ライセンスビジネスに切り替えています。技術供与や生産委託したりして関係のあった会社に事業譲渡し、技術者や工場がセットで移管するなら、ある程度安心できます。全く関係のない会社にライセンスするときは、品質管理やブランドマネジメント等、指導することが多くなり、手数もかかります。

特許と違い、商標、それもハウスマークのライセンスですので、多少のロイヤルティ収入よりも品質問題を起こさず、ブランド露出を継続してもえらうことが目的です。

日本に技術部門が残っていれば、事業のコントロールタワーが残っていることになりますが、今回の東芝はその部分を売却しますので、ブランド露出だけを残すことになってしまったということですね。

浜松町の本社ビルにも何回も行かせていただきました(知財は現在、川崎駅のところに移っていると聞きました)。 前の会社に入って以来、東芝の商標・ブランドの方には、お世話になりました。是非、現在の苦境を超えていってほしいと思っています。

海外マスコミの日本語サイト

BBCがお薦めです

2017年4月8日(土)の朝日新聞に英BBC、米WSJ、ロイターなどが、日本語サイトを続々解説しているというニュースがありました。

BBCの場合、英語で配信するニュースの中から1日10本ほどを、翻訳して配信しています。

ホーム - BBCニュース

英語版サイトに日本から月間、100万人近くからのアクセスがあったことが、開設のきっかけということでした。

海外ニュースがそのまま日本語で読めるので、学者やビジネスマンの情報収集に使われているようです。

 

コメント

BBCの他に、ウォールストリートジャーナル(WSJ)、ロイターなどもやっているようです。ただし、WSJは中身は有料ですし、ロイターは充実しているのですが、英語とのリンクが十分ではありません。

その意味では、BBCは使いやすくできています。日本語をみて、関心のある記事があったとして、その記事の下にある「英語記事」をクリックすれば、英語記事に行きます。また、映像にも、日本語の字幕がついています。これが無料とは驚きです。

BBCの日本語サイトは、英語学習にもつかえそうです。

 

 

BizCom体験レッスン

That is no guarantee of success.

先週水曜日に以前の会社の後輩2名と飲み会がありました。

話題が英語の勉強法(スキルアップ)の話になり、そのとき、一人の後輩に紹介された英語学校が、BizComです。早速、金曜日の夕方に体験授業に行ってきました(1000円、有償でした。珍しいですね)。

1時間少しの授業でしたが、大変参考になりました。先生は、山縣さんという書籍も書いておられる先生でした。先生の英語のブログを紹介されましたので、ご参考までに。
Caveman's Mindbody Quest (Gakの縄文式DO記)

TOEIC(R)テストで「高得点を取れる人」と「取れない人」の習慣 (アスカカルチャー)

TOEIC(R)テストで「高得点を取れる人」と「取れない人」の習慣 (アスカカルチャー)

  • 作者: 鹿野晴夫,山縣画児,松尾謙一,山田治
  • 出版社/メーカー: 明日香出版社
  • 発売日: 2016/06/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る


内容としては、何も海外に行かなくても日本で同じ水準にできるというコンセプトで、TOEICの得点の730点と860点にターゲットを絞って、

  • 730点を目標にする人はメッセージ発信力(ストック)が不足しておりキーフレーズを覚える。フレーズを定着させるためには、声に出して、書いてみて、使ってみる。

冒頭に記載した、That is no guarantee of success.(それは、成功の保証ではありません。)という表現をベースに、ゲームをしながら覚えてみるというものです。面白い授業でした。

  • 860点を目標にする人は、情報の伝達構造を体得するということで、結論→理由→具体例という方法を身につけるべき。日本語で云えないことは英語でも言えない。

実際、参加してみなと体感はできないと思いますので、関心のある方はご参加ください。東京と大阪にあるようです。

次は、正規の授業に一回参加できるようですので、行ってみたいと思います。

www.bizcom.training

権利のための闘争

商標登録異議申立の勧め
 
よくいわれているのは、日本人など農耕民族は権利をコツコツと取得するのが好きで、一方、欧米人などの狩猟民族はコツコツ権利を取るよりも侵害訴訟で権利行使してとか、異議申立とか、争うのが好きという国民性の違いに基づく違いがあるいいます。
 
以前の日本企業は、金持ち喧嘩せずで、権利は取得するが権利行使はしないという風潮でした。今の日本企業は、(電機メーカーなどは)それほど金持ちではありませんし、各社とも、模倣品対策、特許権侵害訴訟も積極的で、権利行使をいとわない会社が多くなって来ていると思います。この点は、徐々にですが、欧米化していっているように思います。
 
権利取得でお金を使うより、侵害訴訟や異議申立でお金を使うのは、知財のような無形資産においては、本来は、自然なことではないかと思います。イェーリングの「権利のための闘争」ではないですが、権利ははじめから権利としてあるのではなく、権利を主張する人がおり、相手方と戦い、結果として権利として認められるというものだと思います。特に、知財は、動産や不動産の所有権に比較して、振れ幅の大きな権利です。権利と認めらるものが、拡大される傾向がずっと続いています。知財のような無体な権利には、本来的に、「権利のための闘争」が必要だと思います。
 
商標の場合は、権利のための闘争といえば、模倣品対策もありますが、異議申立が決定的に重要です。異議は商標管理の基本だと思います。商標は囲碁のよう陣取り合戦ですので、異議をすることは隙のない権利網を構築することにつながります。また、第三者に対する抑止効果があります。何よりも異議をしないと、商標管理者に闘争心がわきません。以前、武田薬品が△と〇を組み合わせた図形には全部、異議をしていたと話を紹介しましたが、その精神は重要です。(負けが込むと担当者はいやになると思いますが。)
 
先日、日本商標協会の外国商標制度部会にオブザーバー参加させてもらったのですが、そのときの話題は、アメリカ異議事件で、「BUDWEISER」ビールが、オーストラリアの「WINEBUD」ワインに異議をして勝ったというものでした。「BUD」が共通しているので、戦うという考え方です。ダイリューションではなく、単純に出所混同するという結論でした。バドワイザー側は、アンケートも出しています。BUDWISER自体には、いろんな歴史があるよう(面白いので見てください)ですが、商標管理はやってるなと思いました。
 
異議案件を抽出する方法も課題ありです。紙公報でなくなり、ペーパーレスで、データベースの時代になり、情報会社に任せることになってしまい、担当者が公報チェックする機会がなくなり、異議申立をしようとする意思も低下しているように思います。これに、国内の付与後異議の制度も加わり、一旦、権利になってしまっているので、心理的に異議申立に躊躇してしまうことにあり、異議制度が危機にあるように思います。付与後異議は、個人的には、1996年改正の反省点の一つと思います。
 
外国、特に英米法系の国で、異議で戦うと相手方が署名者を呼び出しする等の反作用もあるのですが、それをうまくマネージメントして、異議申立を積極的に戦いたいものです。