Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

今後、国内商標出願が減る?

 

平成29年度(2017年)知的財産活動調査から

2018年6月28日に、特許庁のWebサイトで、平成29年度知的財産活動調査が公表されていました。その「結果の概要」をパラパラめくってみていると、2018年には商標出願が減少するとありました。

www.jpo.go.jp

https://www.jpo.go.jp/shiryou/toukei/files/h29_tizai_katsudou/kekka.pdf

 

●下記の数字は、内国人の商標出願の件数です。

これを見ていて驚いたのは、2018年度は出願件数がほとんどの業種で減る予定というところです。2017年比で、2018年は、-7.9%の予測です。これはどういうことでしょうか?

  • 2018年 142,531件(予測値)
  • 2017年 154,780件(暫定値)
  • 2016年 133,337件
  • 2015年 117,960件
  • 2014年 100,053件

この予測は、2017年9月の一ヶ月間に、約6,262者への調査を実施して上で出てきた数字のようですので、ある程度の信ぴょう性はあります。

 

https://www.jpo.go.jp/shiryou/toukei/pdf/syutugan_toukei_sokuho/201804_sokuho.pdf

この統計速報を見ても、2018年2月~4月は、前年比割れが続いているようです。

 

●商標出願件数が減るということは、日本の景気見通しも悪くなっているということかもしれません。商標出願の件数は、企業の売上等、企業活力のバロメーターだと思っています。これは、特許出願件数よりも、如実に商標出願件数に出てくるように思います。

 

最近、分割出願について、出願日の遡及効を得るには料金納付が必要という法改正まであったため、ベストライセンスと上田育弘氏の出願が減る影響かなとも思ったのですが、特許庁の資料では、各業種で減るようですので、それではないようです。

 

東京オリンピックパラリンピックを目指して、多くの企業が新商品・新サービスを検討していたのが、そろそろ打ち止めになったということでしょうか?

それなら、一過性のイベント出願が収まったということで、全体には、あるべき数字に戻るだけという理解をすれば良いのかもしれません。

 

●ちなみに、知財ラボの数字(毎月の商標の公開件数をカウントして、集計したもの)によると、ベストライセンスと上田氏で次の数字です。

<ベストライセンス㈱>

  • 2018年 14,590件(1月~6月の半年)
  • 2017年 25,581件
  • 2016年 19,949件
  • 2015年 8,130件

<上田育弘氏>

  • 2018年 2,327件(1月~6月の半年)
  • 2017年 6,029件
  • 2016年 5,701件
  • 2015年 6,656件

今年に入っても、出願活動は活発です。2017年には、両方で、31,610件の出願です。ただ、ほとんどが分割出願ですので、法改正の影響で、今後は、分割出願はだいぶ減るのだと思います。

 

●商標出願の統計は、次のところにあります。

https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/nenji/nenpou2018/toukei/0106.pdf

https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/nenji/nenpou2018/toukei/0204.pdf

  • 対象年 出願総数  内国人出願 外国人出願 ベストライセンス計
  • 2017年 190,930件 154,780件  36,159件       31,610件
  • 2016年 161,859件    133,337件  28,522件      25,650件
  • 2015年 147,283件     117,960件 29,323件      14,786件
  • 2014年 124,442件     100,053件 24,389件 (以下不明)
  • 2013年 117,675件      92,496件  25,179件
  • 2012年 119,010件      95,548件  23,462件
  • 2011年 108,060件      84,673件  23,387件
  • 2010年 113,519件      92,163件  21,356件
  • 2009年 110,841件      90,474件  20,367件
  • 2008年 119,185件      95,674件  23,511件

2008年秋にリーマンショックがあり、2011年に東日本大震災がありました。2011年が国内商標出願の底のようです。2013年9月に東京オリンピックが決定しましたので、その影響は、2014年ぐらいから出ていると見るのが自然です。

 

2017年の190,939件という商標出願全体から、外国人の出願35,979件を引いた、内国人の商標出願154,960件のうち、31,610件がベストライセンスと上田氏の出願です。内国人出願の約20%がこの両者の出願となっています。

逆にいうと、154,960件の内国人の出願件数から、この両者の数字を引いた123,350件が、2017年の内国人の商標出願のだいたいの実力ということになります(ベストライセンスと上田氏は、分割出願を更に分割出願しているなどがあり、内国人の統計は、よりしっかりとカウントしないと出ないのかもしれません。この点、ご容赦ください)。

それでも、2014年以前に比べると、だいぶ増えています。

 

また、この3年間、外国人による、日本出願が伸びているの点は、特筆できると思います。インバウンドと同じ影響が出てきているようです。資料は、無いのですが、先日の日経一面のことから考えると、中国人の日本への商標出願が増加することが想定されます。

 

特許の場合、外国人の日本への出願件数が、この10年間、4万8千ぐらいで横ばいのようです。

ここ3年の日本への外国人の商標出願件数の伸びは、日本を有望な市場とみて、出願を増やしていると見て良いように思います。

外国人の商標出願は、3年前の2014年比で、1万件程度のプラス要因です。

 

これらのことを俯瞰すると、 東京オリンピック後の商標出願ブームは一段落したこと、外国人が日本を一つの市場とみる傾向は続いていることは、言えると思います。

 

世界の商標登録件数の総数は、2014年からだいぶ増えています。2014年の358万件/年が、2016年には460万件/年となっています。登録ですので、タイムラグがあり、中国の商標出願の激増前の数値で、これですので、今後、もっと増えそうです。

 

日本企業も、従来の国内向けの企業(ユニクロ無印良品)、中小企業やスタートアップなど、海外に販路を求めて、外国商標出願する時代になっていますが、まだ、外国商標出願には慣れていないのか、外国出願は、2012年に12万9千件がピークで、2016年には11万件と減っています。

 

TPPも発行しますし、日本企業も、マドプロで良いので、外国出願を本気でやらないと、生き残っていけないと思います。 これからの課題です。

見てきました(映画)

フジコ・ヘミングの時間

辻堂の109シネマズで、「フジコ・ヘミングの時間」を見てきました。

fuzjko-movie.com

20年ほど前に、偶然NHKの深夜番組でフジコ・ヘミングさんのドキュメンタリーをみて、こんなに綺麗な音色のピアノは聞いたことがないと思い、早速「奇蹟のカンパネルラ」のCDを買いました。今でも、たまに聞いています。

 

先週も映画に行ったのですが、「羊と鋼の森」と「フジコ・ヘミングの時間」のどちらにしようかと迷い、結局、先週は「羊と鋼の森」で、今週は「フジコ・ヘミングの時間」にしました。二週間、ピアノ関係の映画が続きました。

 

調律師の話はありませんでしたが、中南米では、古い ピアノや家庭用ピアノに苦労しながら演奏会をこなしているシーンがありました。ピアノは、ヴァイオリンのように持ち運べないという話をしていました。

 

NHKの番組は、正確には18年前ということです。当時、60代後半だったフジコ・ヘミングさんは、現在、80代半ばにはなっている計算です。

まだまだお元気そうでした。タバコを吸うシーンが良く出てきたのですが、顔の色つやも良く、また、ピアノの音色や力強さも、全く衰えてはいない感じでした。こんな若い感じの80代がいるのか?という感じです。

 

戦中に、ドイツから日本に逃れてきた、ピアノは歌うように弾くということを云う、ドイツ人の先生に教わっていたようです。

もうお年ではあるので、多少のミスがあり、楽譜通りではないときもあるようなのです。

この点、一品製作価値の高い焼き物と、大量生産の焼き物があり、一品製作のものが、多少欠けていても、どちらを残すか?という説明をされていました。

60代の後半になって、急にスターになり、その人気を18年間、維持し続けている点が、素晴らしいと思いました。

 

敏腕マネージャーがいる訳でもなく、マネージメントは、ご自身でされており、講演の依頼などの連絡は、自宅にFAXや電話でするようです。樹木希林さんと同じです。

 

以前のNHKのドキュメンタリーは、素晴らしかったのですが、今回の映画はその続編のような感じです。

世界中に家をもたれ、経済的にも成功されているようですが、NHKのドキュメンタリーのときと同じように、飄々として、素直で真面目で努力家というのは変わりませんでしたが、18年前は成功する前なので、もう少し斜に構えているような、諦念しているような感じでしたが、お金ができ、余裕が生まれた感じはします。

 

しっかりした実力を持っておられるので、一旦人気になると、人気が持続するのだと思います。  

 

役者の弟さんや沢山の友人に囲まれて充実している感じでした。

ネットについての3つの見方

ダニー・オブライエン氏の話

2018年6月20日朝日新聞に、電子フロンティア財団のダニー・オブライエン氏とのインタビュー記事があありました。

米国・中国・EUのネットについての見方の違いを説明していて、説明が分かりやすいと思いました。

  • インターネットは、自由で開放的であるべきという考えが基本
  • 米政府は、早くからネットから情報を取ろうとした
  • 民間は、暗号化技術で対抗
  • 中国は、政府による監視を全面に出し、国民が悪さをしないように抑える戦略
  • 中国人は、プライバシーを政府に渡すことに嫌悪感がない
  • 米国は、インターネットは自由な言論空間であり、政府の干渉を嫌う
  • 欧州は、企業が個人情報をどれだけ持っているかを気にする
  • ルールに従わないと、域内で商売させない

コメント

米、中、欧と、プライバシーに対する考え方や文化が、ネット規制に影響を及ぼしているという面白い分析だと思いました。

 

EUの一般データ保護規則(GDPR)が5月から施行され、企業や団体が域外に個人情報を持ち出すことを禁止し、違反すると高額の罰金が科せられます。個人情報には、名前、住所、メールアドレス、商品の購入履歴などが入るようです。

これは、FacebookAppleAmazonMicrosoftなどの米国企業が強くなり過ぎ、価値のある個人情報を米国が独り占めしているという課題を、個人情報保護という別の方法で圧力をかけているものという面があります。

 

ダニー・オブライエン氏は、欧州の制度には、良い制度という評判があり、他国でモデルとなる可能性はあるとします。一方、中国の管理タイプの制度が世界に広がる可能性はないとしています。

 

中国のネットの見方と近いものに、監視カメラの問題があります。中国の監視カメラの設置台数は、日本の比ではありません。先日、テレビの報道番組で、中国の監視カメラ社会の報道で一般市民へのインタビューがあったのですが、監視カメラ社会を全く嫌がっていないのには驚きました。

この記事にある、ネットでのプライバシーを政府に渡すことに嫌悪感を抱かないというのと、同じだと思います。

 

日本は、情報を米国企業に吸い上げられているという意味では、欧州と同じなのですが、欧州のような規制をして、対抗しようという話は聞きません。どうしてなんでしょうか。

 

関連で面白い記事が、2018年6月23の日経夕刊にありました。半ユートピアにみる「現代」というタイトルで、最近、ジョージ・オーウェルの「1984」が米国でベストセラーになっているそうです。

1984」では、テレスクリーンに、人間が管理されますが、スマホは現代版のテレクリーンであり、レストランや道順を検索しているうちはいいが、熟慮すべき行動の選択までスマホの指令に依存する危険性があるとしています。

欧州のデータ規制は、データ管理者がおそるべき権力を手にし、その改ざんの威力は計り知れないとのことです。

www.nikkei.com

 

プライバシーは、権利としては新しいもので、基本は憲法上の権利で、政府と国民の関係での権利です。

実害があれば民法不法行為で議論になりますが、最近はネット社会になった影響で個人情報保護法ができています。

日本の個人情報保護は、法律が社会の文化を作ってしまったような、やりすぎな面があり、学校の学級名簿が作れないとかのマイナスの側面もありますが、定着はしてきているようです。

 

個人情報保護で、年賀状を送ろうにも住所もわからなくなり、結局、知人との連絡はFacebookに頼らざるをえなくなりました。

個人情報保護法のため、LINEなどの一部の企業に情報が集中しているという面があります。

その企業が悪用しない限りは、問題ないのでしょうが、Facebook問題が、1984の将来を暗示しており、批判が出ています。

企業の規制しか、対処方法がないのでしょうが、この先、米国の法律がどうなるかが、重要だと思います。

JAL・ANAの台湾表記

「中国台湾」表記が議論に

2018年6月18日の朝日新聞で、JALANAが、Webサイト上で、台湾のことを「中国台湾」と表記し始めたことに関し、台湾政府が両社に抗議し、日本政府も中国政府に懸念を伝えたという記事がありました。

  • 中国は世界の航空会社に、台湾を「中国台湾」と表記することを求めている
  • 世界の44の航空会社に書簡を送付。従わない場合は、中国の法律違反で処罰
  • JALANAは6月12日から実施
  • 中国向け(簡体字)と、香港向けのサイト(繁体字)は、「中国台湾」
  • 日本語サイト、英語サイト、台湾向けのサイト(繁体字)は、「台湾」
  • 両社の広報は、それそれの利用者に、分かり易く、受け入れやすい表示と説明
  • 政府関係者は、罰則を設けて、民間企業を脅すようなやり方は好ましくないとのこと

コメント

この件は、2018年6月25日の朝日新聞の社説にもなっています。

  • 「台湾」という表記は、広く国際社会で使われている。「一つの中国」という原則を堅持する中国の立場に配慮したもの
  • 唐突に「中国台湾」に変えよというのは、自らの主張を強めるための要求のつり上げ。無用な混乱を招く乱暴なふるまい
  • 問題の背景は、国内での言論統制か。自国批判を制限されたネット上には極端に民族主義的な声。外国航空会社の地名表記もやり玉に
  • 偏った声に押されて政策を決めたのであれは、自縄自縛

そうですよね。もともとは、中華民国と言っていたが、日中国交回復の後に、台湾という地名表記になったという認識でした。それ自体、中国に非常に配慮したものです。

 

ANAのサイトを見ましたが、目的地の検索の一覧表は、中国向けサイト、香港向けサイト、台湾向けサイトで、違いを設けて、新聞にあるような記載になっていました。

 

政府は、懸念は表明しているものの判断は民間に任せているとしているので、どんな罰則があるのか分かりませんが、民間は処罰は嫌ですので、中国政府に従います。この表記は、固定化しそうな感じです。

 

中国政府の主張は、台湾向けサイトや日本語・英語サイトでも、同じことをしてほしいのだと思いますが、それはしていません。JALANAができることは、顧客の声に応じてサイトを作り分けるといった、現実的な対応をぐらいなのかもしれません。

 

ちなみに、台湾から来る書面を見ていると、住所は中華民国と書かれています。問題は、こちらから送る書面ですが、今は、住所を英語でTAIWANと書くようにしています。

現地の弁護士さんとの関係を考えると、中華民国と記載して返信した方が良いのかもしれないのですが、住所の部分は英語として、TAIWANと記載しています。

 

朝日新聞の社説の自縄自縛ですが、そんなに良い意味ではないのですが、以前の会社で主任になるときに、上司の課長に、レポートの最後の〆の言葉に使うように言われた事を思い出しました。

 

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楽天のロゴ変更

二年連続でロゴ変更!

2018年6月26日の新聞各紙に、楽天のロゴ変更の1面広告が出ていました。ロゴ変更は、昨年に引き続き、2年連続です。毎年のロゴ変更とは、正直、驚きです。

corp.rakuten.co.jp

 

●昨年(2017年)は、赤い丸(基本形)の中に白抜きでRをあしらった図形マークを基本に、その右横にRakutenと記載し、更にその右に業態を表すディスクリプターを配置するという形でした。図形マークの色彩は、ディスクリプターの色彩と同期させ、変化させる作戦だったようです。

 

昨年は、FCバルセロナへのスポンサーシップを契機に、漢字の「楽天」からローマ字の「Rakuten」に変化させ、日本から海外にはばたく意思の表れだったようです。

また、多様な事業をカラーで表現したところも、ポイントだったようです。

 

昨年のロゴの件は、2017年7月1日発信の楽天のプレスリリースに詳しく記載されています。

corp.rakuten.co.jp

 

●赤い丸(色は変化)にRの白抜きは、それはそれで強いマークだったのですが、今回は、漢数字の「一」の文字をモチーフにしたのロゴになったようです。

Rakutenのローマ字の下に、「一」の図形マークが配置されています。

 

今回のロゴ変更の目的は、リリースからは、昨年とあまり変わらないように読めたのですが、5Gの免許を取得し、第4の携帯キャリアになることが大きいのかなと思いました。

 

ソフトバンクの黄色とシルバーの問題ではないですが、楽天がキャリアになると、ロゴの露出が大激増しますので、キャリアのブランド・ロゴが、実際上、コーポレートブランドになると思います。

 

以前の楽天ロゴの課題は、🄬とRakutenとで、「R」の文字が2回出てきて、重複していた点です。BridgestoneのBのように、B図形部分をロゴに入れ込むのが、一つの解決策だったのですが、今回は、その作戦は取っていません。この方法は非常に高度です。

 

●新マークの好き嫌いは別として、一番視認性の高い左端に、強い個性の🄬マークがあったのですが、「一」の図形要素のはローマ字ロゴの下のサブの位置づけになりましたので、アイキャッチは下がっています。

また、マークとしても、日経TRENDYのロゴを思い出す程度に、ありふれたものです。

漢字の「一」を、もっと強く出す方法もありますが、今回は控えめな表現だと思います。全体に、Rakutenという言葉を、世界の人に認識してもらおうという意図を感じました。

 

●ここまで来ると、文章表記上の漢字の「楽天」をどうするか考えるのが、次の課題になります。社名を含めて、「Rakuten」にすべき時期が、何れ来ると思いますので、まずは、文章中の表記では、漢字の使用をやめていき、カタカナの「ラクテン」や、ローマ字表記の使用を増やすなどが必要性ではないでしょうか。

 

この時、そもそも論ですが、「く」を「ku」とローマ字的に表現してくるのを、「qu」「cu」と表現する方法もあり、折角変えるなら、本当に「ku」が良いのか検討しても良いように思いました。

 

●製品や店頭看板があるメーカーなら、こんなに簡単に、たった一年でロゴ変更はできません。経営責任さえ問われかねません。

ネットを中心とした企業で、修正も比較的容易だからできたのだと思います。

 

●今後、5Gになり、キャリアとなると、リアルな店舗が相当出てきます。

新聞広告では、まだ、®Mobileが残っているようにも見えますが、ここは?です。

「Rakuten Mobile

  一     」

にするなら、今が最後のチャンスですので、色彩を含め、実際に店舗を作って、シミュレーションなどする必要があるのではないでしょうか。

 

●ちなみに、丸の中にRの文字は、商標の世界では商標登録が取れていることを示す、🄬を意味します。これは、世界的に相当普及している表記ですので、商標(ブランド)の近傍に🄬のマークがあると、これかな?と思ってしまいます。

 

外国でこのマークの入った商標を、商標出願すると、これは何を意味するのか?と各国の特許庁から追及され、場合によっては、この部分を削除せよと言われる可能性のなるマークです。

「赤い+」の赤十字のマークは、世界的に共通に、医療関係のマークと認識されていますし、「+」を外国出願すると、赤十字から異議申立があったりしますが、🄬はそれに近い課題のあるマークではあると思っていました。

 

強いマークなのですが、グローバル化を考えると、🄬からの離脱はやむをえないのかもしれません。

 

●カラー展開ですが、安易なカラー展開は、日本の郵便局になってしまいますの要注意です。

昔の郵便局は、赤と白を基本に、少しだけ緑を使った、分かり易い色彩だったのですが、郵政民営化と事業分割を契機に、事業を色分けしようとなり、物理的な一つの郵便局でありながら、機能ごとに、赤あり、オレンジあり、緑ありの色彩のオンパレード状態になってしまいました。これは、失敗だったのではないかと思います。

 

機能毎に色を分けるのは、悪くないと思うのですが、ポイントは、同じ、小さな特定郵便局に色々な色彩の看板が出たことです。パンフレットやWebサイトで止めておくべきものを混在させた、カラーコントールの失敗です。

 

楽天のカラーコントロールでも、同じことが言えます。

 

富士ゼロックスと米ゼロックス

アメリカ流の交渉術?

2018年6月25日深夜配信のYahoo!ニュース(毎日新聞)で、富士フィルムと米ゼロックスとの交渉で、過激なやり取りがされているということを知りました。headlines.yahoo.co.jp

コメント

富士ゼロックスの資本が、ゼロックス側がマジョリティであったときは、問題なかったのでしょうが、ゼロックスの救済の意味もあり、富士フィルムHDが過半を持つようになってしまいました。

関係性を整理するために、富士フィルムHD側が米ゼロックスのマジョリティを取るというのが、一つの解決策だったのですが、米ゼロックスからは、逆の解決策である別々の会社として経営するということが提示されています。

 

トランプ大統領北朝鮮や中国との交渉を見ていると、アメリカ流の交渉だなと思いますが、米ゼロックス富士フィルムHDとのやり取りも、相当にアメリカ流だなと思います。

今まで、子会社になろうかと言っていたのが、手のひらを返したように関係を切るとは、日本人ならそこまでは云わないなと思いました。

 

もし、記事通りに、2021年にゼロックスのブランド(商標)を使えなくなると、富士ゼロックスは大変なことになります。

富士ゼロックスは、社名変更やブランド変更をしないといけなくなるだけでなく、ゼロックスの名称は、複写機の代名詞でもあった訳ですので、これが使えなくなることは、富士ゼロックスにとっては相当な痛手です。例えば、「富士フィルムコピア」となって、お客さんが付いてきてくれるのかというと、相当疑問です。

 

山崎ナビスコが、ナビスコと決別して、ナビスコブランドや、オレオやリッツという商品がなくなっても、YBCヤマザキビスケットとして、自分の営業ルートを活用して、事業をや継続していますですが、同じことが富士フィルム富士ゼロックスにもできるかどうかです。

 

一方、富士フィルムHDが反論しているように、富士ゼロックが築き上げてきた、アジア太平洋地域での営業ルートを使わずに、今までと同じ規模の販売は無理だと思います。代理店商売だと思いますので、代理店と富士ゼロックスの結びつきは強固であり、米ゼロックスとしても、アジア太平洋地域を捨てるぐらいの覚悟は必要です。

 

また、米ゼロックス富士ゼロックスと本当に縁を切るには、別の事務機器メーカーを買収するぐらいのことをしないといけないと思います。これは数年かかる大作業になりそうですので、あまり現実的ではありません。

 

いままで、パロアルト研究所などの伝説もあり、「ゼロックス」は人気のブランドでしたが、今回のごたごたで、負の露出が続くと、ブランドの人気も低下しそうです。

 

交渉事ですので、いつかは良い落ち着きどころが見つかり、解決するのだと思います。

しかし、それまでは、富士ゼロックスの従業員としても、会社がどうなるのかと、非常に不安だと思います。

また、今まで、富士ゼロックスの製品を、「ゼロックス」と呼んで応援してきたアジア太平洋地域の代理店やユーザーは無視されている感じがします。

 

両者は優秀な経営コンサルや弁護士を多数雇っているのでしょうから、彼らから上手い解決策を提示できないものかと思います。 

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元号の商標(商標審査基準の改訂)

特許庁が審査での運用を示す

2018年6月22日に特許庁のWebサイトで、「元号に関する商標の取扱いについて」という文章が発信させています。

www.jpo.go.jp

  • 元号以外の元号についても現元号に準じた取扱いをするように、商標審査基準の改訂の検討
  • 現在の商標審査基準には「元号を表示する商標」について商標法第3条第1項第6号に該当する旨記載あり
  • 商標「平成」は、単に現元号として認識されるにすぎないため、商標登録を受けることはできない
  • また、他の識別力のない文字等を組み合わせた商標(例:商品「饅頭」に、商標「平成まんじゅう」)も、商標登録を受けることはできない
  • しかし、そもそも、元号にすぎない商標は、識別力がない
  • 元号は、会社の創立時期、商品の製造時期、その他の日付・期間等を表示するものとして一般に使用されるもの
  • 元号であるか否かは問わない
  • 「平成」ま、単に旧元号として認識されるにすぎなくなるものであるため、商標登録を受けることはできない
  • なお、ある特定の商品・役務に使用された結果、後発的に識別力が獲得されたものは、商標登録を受けることが可能

というような内容です。

 

コメント

世の中には、お菓子の「明治」(旧社名、ブランドは、「明治製菓」)や、「大正製薬」などの、有名企業・ブランドがあります。

これらは、そもそもが使用による、それぞれが登録された時代に、使用による顕著性(識別性の後天的な獲得)が認められて、登録されたのだとおもいます。それを明確にするための改訂だと思います。

 

審査基準が改正されてから、このように改訂しましたというのが、多いパターンですが、緊急性があったのでしょうか、改訂しますということを発表しています。

 

「現元号」というのは、平成に変わる段階で入ったのか、昭和からあった審査基準だったのか、忘れてしまったのですが、昭和の時代に明治や対象を名乗る会社は、既に大会社ばかりだったように思いますし、昭和の時代に、今から明治、大正を名乗る会社も少なかったのかもしれません。

 

あるいは、元号は、昔から数えると沢山あるので、そのすべてを拒絶理由とすべきなのか?というのも論点なのだと思います。大化や建武、慶長などは有名ですが、知らないものも沢山あります。

 

そのあたりの理由で、現行の商標審査基準は、現元号のみ、識別性なしとしていたのだと思いますが、新元号に変わったときに、旧元号の「平成」の入った商標を出願する人が増えるのではないかということで、その予防目的で検討しているのだと思います。

 

今住んでいる同じ区に「平成横浜病院」という病院があるのですが、地元では有名です。しかし、審査基準では全国的に認識されている必要があるとしてますので(商標権が全国的権利であることから)、登録は難しいのもしれません。

 

新しい元号ができると、新しい元号の商標を出願しようとする人は、増えると思いますが、旧元号となったものを、今更、商標出願しようとする人が増えるという気はあまりしませんし、念のための改訂という気がします。