Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

EUIPOのセミナー(その4)

Cancellation

Cancellationというと、不使用取消などの取消をイメージするのですが、EUTMでは、Cancellationは上位概念で、下位概念として、①Revocation(取消)と②Invadidity(無効)があります。

①のRevocation(取消)は、不使用取消などです。取消の効果は、取消請求日から効力がなくなるというものです。

②のInvalidity(無効)は、絶対的理由と相対的理由の双方があります。無効の効果は出願日から効果がないといものです。

 

これらは、当事者系の手続きです。

 

無効の絶対的理由は、「誰でも」が主張することができのに対して、相対的理由は、先行商標の所有者やランセンシーに限定されます(※日本では利害関係の有無で、処理しているところでしょうか。)。

挙証責任は当事者にあります。

ここらあたりにも、相対的理由は、当事者間で解決するものという考え方はうかがえます。

使用言語は、5か国語です。

 

 

まず、Revocation(取消)ですが、その理由は、不使用の他、普通名称化、欺瞞的・誤認を生じるおそれといったものです。この3つは、取消という概念になじむのだろうと思います。

Bad faith(悪意の出願)は、取消の理由ではなく、無効の理由ということでした。

 

取消は、EUTM全体について行われ、地理的な一部取消はありません。(指定商品などの一部取消はあります)

取消された場合は、各国出願にConversion(移行・出願変更)が可能です。

 

通名称化ですが、Action(作為)、inaction(不作為)で、普通名称化するとあり、挙証責任は取消請求をする側にあります。

権利者側は、一般名称として辞書に記載されていないと抗弁できるそうです。

登録後の普通名称化が、取消の対象で、登録前の普通名称化は、無効の対象です。

 

作為・不作為についての、権利者のSelf-harming act(自傷行為)の例としては、権利者自身による普通名称的な使用、ライセンシーに当該商標が普通名称であると示唆するような様々な態様を認める、辞書に商標という参照が無いことなどです。

通名称化を防止するには、顧客に商標であると認識させるために情報提供することが必要で、広告、ラベルへの警告表示、取引者への注意喚起、ライセンス条件の見直しと適正使用管理(モニタリング)が、必要ということでした。

 

※このあたりは、アメリカはNaked licenseで、商標登録が無効になるというところから、商標管理(trademark management)が発展しましたが、欧州は取消のあたりで、まとめているようです。

日本は、事後的な普通名称化は、取消理由でもなく、まったく遅れています。権利者を過保護にすることは、強い商標(ブランド)を作るには、マイナスであることが理解されていないようです。

特許庁が、権利者団体の実務家の意見を聞きすぎることと、弁理士会などの商標専門家からの商標制度を良くしようという提言がたりないのかもしれません。企業勤務の弁理士がもっと発言すべきかもしれません。

 

次に無効です。

EUTMRの7条の拒絶理由の他、Bad faithということを理由にできます。Bad faitheの理由は、異議のときにも使えないということで、無効だけです。

 

悪意の出願の定義はなく、判例法に任されているようです。

権利がなくても良く、利害関係も不要だそうです。

 

相対的理由については、商標(同一、漏示、名声)を根拠にする他、名称についての権利、肖像権、著作権意匠権、他の先行権利を基礎に主張できるそうです。

 

質問としては、ロゴを共同体意匠で登録を取得しておきて、それをベースに無効請求できるという話やがありました。可能だそうです。

 

最後に、BREXITの話になり、EUIPOもUKIPOも、Webサイトにまとめを出していることとと、今後はUKは、別出願(マドプロでチェックしておくなど)が推奨されるという話でした。

https://www.euipo.europa.eu/tunnel-web/secure/webdav/guest/document_library/contentPdfs/news/Notice_to_stakeholders_en.pdf

Intellectual Property Office - GOV.UK

 

 

 

 

 

 

 

 

EUIPOのセミナー(その3)

使用証拠

続きです。

EUTMには、使用証拠は、異議申立と不使用取消と無効の3点などで規定があるようです。もちろん、侵害にも関連しますが、そこは各国法によるのだと思います。

 

異議申立をしたときに、被異議申立人から使用証拠の提出を要求される点が、日本とは違うところでしょうか。よって、異議申立をするには、使用が前提となります。

 

商標には使用義務があり、Grace periodは5年であり、独占と長期の保護は商標の使用がないと正当化されないとします。

 

輸出のみでも使用になりますが、EU内での使用は必要ということです。

 

異議申立人が提出しないといけない5年以内の使用証拠は、2016年の改正前は、後願の商標の公告日前5年間の証拠だったのが、現在は、後願の商標の出願日(優先日)前5年に変わっているそうです。(理由の説明まではありませんでした。)

なお、不使用取消の場合は、取消の請求日前5年以内の証拠が必要です。

 

被異議申立人が使用証拠を請求できるのは、初回の答弁書を提出するときに限定されているようです。

使用証拠になるのは、写真、広告、カタログ、パッケージ、ラベル、インボイスと、一般的です。市場調査のアンケートが証拠になるのは、特徴的です。証拠が、主要5か国語以外のときは、翻訳が求められることがあるようです。

使用は、EUTMの場合はEU域内のどこかで良く、各国登録の場合は、その国一部でも良いとしていました。

 

出所を表示するための商標の使用でなければならず、販促の目的の商標の使用だけではだめということを言っています。キャッチコピーか、自他商品識別標識としての商標か、という点でしょうか。

Use as a trademarkと言っており、「商標的使用」と同じようなことを言っています。

無償の商品でも使用になることがあり(※最近はFreeの商品・サービスも多いためでしょうか)、一方、Give Awayは真正な使用とならないとします(※商品ではないためでしょうか)。

広告は一般的には使用証拠になるが、インターネット上の使用はWebページだけでは不足で、どこで、どうやってと説明が必要ということでした。

 

質問では、OEM製造して、輸出される場合、使用ありとなるかというもので、使用になるということでした。

また、設定登録がなく使用権者の使用でも使用になるということです。

 

コメント

実際に異議を受けたり、不使用取消請求を受けたときに、どのような使用証拠を提出するかは、現地代理人の指示に従ってやってみないとよく分かりません。

 

特許事務所での外国商標の経験は、3年弱なのですが、EUTMの異議を受けたも、異議したこともあります。被異議申立人側にたち、使用証拠の提出を求めるケースはありますが、異議申立人側で、使用証拠の提出を求められたことはまだありません。使用しているのが明らかなためでしょうか。

 

14%~16%は異議申立を受けたからといって、Cooling Off期間やその延長期間に、和解が成立することが多いこともあって、実際の争いにはならないのかもしれません。

 

相対的拒絶理由を無審査にした(異議待ち審査にした)というのが、EUTMの特徴です。無審査主義国と審査主義国が混在していた欧州を一つにまとめるための発明です。特許庁はすべて審査をする必要がなく楽ですが、出願人は大変になります。

 

さらに、Cooling Off期間で、和解を推奨することで、実際に審査官が異議の決定を出す必要があるものは、減します。

 

当事者同士で進める必要があるという発想自体は悪くないように思います。

 

EUIPOも、サーチレポートの提供や、TM Viewのアラート機能の提供など、ある程度のことはやってくれますが、最後は当事者主義というのは、一つ筋が通っているように思います。同意書の伝統があるので、その延長ということかもしれません。

相対的拒絶理由とは、いいネーミングです。

 

EUIPOのセミナー(その2)

異議申立

昨日の続きです。

まずは、統計の話で、EUTMの出願は、年間15万件(分類を累積的に計算)ぐらいで、そのうち18000件程度の異議があるようです。14%~16%は異議を受けるということで、この数字、非常に多いなと思います。

 

当事者主義であり、職権主義はありません。

使用できる言語は、ドイツ語、英語、スペイン語、フランス語、イタリア語です。

 

異議申立は2ヶ月間可能で、方式審査のあと、2ヶ月間のCooling Off期間があります。ほとんどのケースは、Cooling Offの期間に合意が成立するとのことです。EUIPOは関与しません。

 

出願人からも、異議申立人はからも、使用証拠の提出が基本的な攻撃防御の方法です。(使用証拠の提出は、出願人にとっては防衛のために、異議申立人にとっては攻撃のために使われます)。

 

異議申立の理由は、EUTMRの8条(1)(3)(4)(5)(6)にあり、相対的拒絶理由といわれるものです。

 

(1)は、Double identityとLikelihood of consusion(LoC)で、後者は、どこか一ヵ国で混同を生じるだけで十分です。ダブルアイデンティティのときは、混同の事実が不要です。混同は5つのファクターを総合的に判断するようです。日本の、机上の議論の類似とは違い、アメリカの異議レベルに大変そうです。

  • Identity/similarity of goods/services (Canon基準)
  • Relevant public(General publicとProfessional public)
  • Similarity/identity of the signs
  • Distinctiveness of the earlier mark
  • Other factors(Market、Coexistence、Interdependence、Prior cases)

(5)は、Mark with reputationで、商品・サービスが非類似のときにも適用可能です。

この主張は、EUTMかEUの国で、どこかの分類に、登録があることが必要ということです。

この主張では、Market surveysが一番の証拠になるとのことです。

権利侵害の3つの態様としては、Free riding、Dilution、Tarnishment(イメージを損なう)ということでした。

 

不使用の正当理由の有無も論点ですが、あまり認められないようです。

 

質問で、8条(5)の著名商標の保護は、類似の場合(1)でも、重複的に適用可能か?という質問があり、可能という答えでした。

一方、海外でのみ有名でも適用できるのか?という質問には、EUのどこかの国で有名でないといけないということです。

 

コメント

面白いのは、Double identity(商標同一、商品同一)のときは、混同が不要というところです。総体的拒絶理由は無審査なので、この初歩的なDouble identityも、異議申立人がチェックしないといけないというのは、ブランドを守る立場からは苦しいなと思います。ここぐらいは、特許庁にさばいて欲しい感じです。商標の類似は、混同の有無を判断する際の理由の一つに過ぎません。どちらかというと、商品の類似がより重要な問題と感じました。

 

混同の判断ですが、日本では裁判で判断するレベルのやり方だなということです。混同を生じていないが、類似で画一的に判断という日本のような方法は、英国流の審査主義の流れですが、審査主義の権化の英国がEUTMに入り、英国法も無審査になり、それで商標が回っているということは、日本も無審査で回る証拠です。

Brexitになっても、英国は無審査から審査主義に復帰しないと聞いたことがあるのですが、10年後、果たしてどうなるのかなという気がします。

10年たっても、現在の英国法のままであれば、これは無審査主義の勝利であるように思います。

 

出願時の先願主義と先使用主義の争いは、先願主義が勝利しましたが、審査についての審査主義と無審査主義では、EUTM流の無審査主義が旧英国流の審査主義に勝利する可能性が高く、今後の英国法がどうなるのか、楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

EUIPOのセミナー(その1)

EUIPOのツール

2019年12月16日、商工会館弁理士会館)で行われた、EUIPOのセミナーに出席しました。講師は、EUIPOのMr.Jose Izquierdoさんです。EUIPOの国際協力・法務関係部門の副部長ということです。

大きく、4つぐらいのTOPICがありました。

  1. TM Class、TM View、Design Class、Design ViewといったEUIPOのツールの説明
  2. 異議申立と使用証拠
  3. 取消審判と無効審判
  4. 質疑応答で出たBREXITの話

逐次通訳が入っているため、13:00-17:30という長時間の講義でした。

 

まず、ツールの説明です。

これらのツールは、無償であるということを何回も云っていました。

 

TM Classは、出願時などに有用なもので、欧州だけではなく、日本や中国アメリカも参加しており、合計76ヵ国・地域の情報が入っているようです。

NICE協定、マドリッド、TM5、各国特許庁のデータが入っていて、指定商品・役務の用語が各国官庁で受け入れられるかどうかを事前にチェックできるというものです。

 

TM Viewは、71地域の5,300万件の商標情報が入っているデータベースで調査ができるというものです。中国が入っていないのですが、データベースを整備中ということであり、2020年末には入る可能性があるとの情報でした。

アラート機能があって、ステータスに動きがあれば、アラートをすることも可能なようです。

 

通常は、市場前の調査に使うものですが、第三者が関連ある商標を出願していることをアラートする機能があるそうです。これに、ファジーサーチを組み合わせると、71ヵ国分のWatching Reportが出来るようです。

たいていの会社は、ハウスマークは有償のWatchingサービスをやっていますが、ネーミング・ペットネームは、ほったらかしがほとんどだと思います。

特に、欧州のように、相対的拒絶理由(同一、類似)は当事者の異議待ち審査という国では、Watchingをしているかどうかは致命的ですので、重要です。

 

10月からTM Viewのβ版が出ているそうです。AIを使ったり、イメージサーチができるとのことでした。

こちらは2020年春に本格運用するようです。

 

Design Classは欧州中心です。日本もアメリカも中国も韓国も入っていません。意匠に係る物品の記載が違うためでしょうか。

一方、Design Viewは、69ヵ国・地域の1,400万件の意匠が入っていて、調査ツールとして使えるようです。

 

ツールの最後に、プラクティスの共通化(移行)の話がありました。EUの各官庁の判断を共通化する取り組みで、12のプロジェクトが進んでいるそうです。

例えば、図形的要素のある商標の識別性の判断、白黒で表現れた登録の取り扱い、相対的拒絶理由の類似の考え方、などを調整しているそうです。

この考え方をまとめたものは、EUを超えて、例えばヨルダンでも採用されているという話がありました。

 

商標調査のとき、同一商標のズバリチェックなら、SAEGISも良いのですが、 TM ViewやGlobal Brand Databaseでもだいぶできるなという感じがします。

しかし、類似の判断になると、同じEU内でも、国によって、また、代理人によって、引用商標に対する評価が全く違い、同じ商標が検出されているのに、ある国の代理人はOKと言って、別の国の代理人はNGと言います。

このような状態では、TM Viewで日本の弁理士が海外の調査を判断するのは、無理だと思います。やはり、現地の弁護士・弁理士の意見を聞かないと、最終的な判断は出せません。

 

しかし、今回、TM Viewの話を聞いて、異議の対象を発見するためのアラート機能や、判断の基準自体を共通化する動きを見ていると、共通化が困難な類似の判断も、いつかは世界共通になる日が来るのかなと、少し思い始めました。

ミャンマーも、異議待ち審査ですし、審査官の審査前に事前に公告をする中南米の国も同じようなものがあり、日本とは全く違い、海外では異議はますます重要になっているので、このアラート、使えるようになりたいと思います。

 

 

 

 

 

 

海外企業のドメイン対策

日米企業間に差

2019年12月11日の日経に、「偽サイト対策海外に学べ」「五輪チケット販売で被害懸念」「強制閉鎖やドメイン活用」という記事がありました。

(真相深層)偽サイト対策、海外に学べ 五輪チケット販売で被害懸念 強制閉鎖やドメイン活用 :日本経済新聞

  • ブランドと消費者を守るため、海外では仲裁の活用が増加
  • ドメインネームにTOKYOや2020を含み五輪公式サイトと誤認されるドメインが約950(一部は悪用)
  • smbcに似せたドメインも増加
  • WIPOの仲裁(UDRPドメイン名紛争処理方針を採用)で、取消や強制移転が可能(レゴとカルフールの事例)
  • 利用件数は2018年は3447件。米国は976件だが、日本は30件に留まる
  • ブランド保護のためにドメインが重要ということが日本では未定着
  • ドメインの登録件数にも差
  • アマゾンは約2万8千件所有。楽天は5千件
  • アップルも約2万7千件所有。ソニーは約1万5千件
  • 他にGMトヨタ、P&Gと花王の比較
  • 社内でルールを決めたり、デジタル資産の管理者を明確にする必要

というような内容です。

コメント

ドメインネーム(ドメイン名)を、記事ではドメインと省略しているようです。

 

記事ではドメイン名の管理体制を一元化するような点も云っています。商標の場合、昔は社長の委任状が必要だったことや、現在も電子出願で専門的なところもあり、管理が一元化されている会社がほとんどだと思います。これに比べると、ドメインはお名前ドットコムなどで、簡単に取れたりするので、管理ルールが決まっておらず、管理がバラバラになりがちです。まずは、企業(グループ内での)ポリシーづくりというのは、その通りと思います。

 

記事に出ていた、数字に着目しました。

 

日本企業が米国企業と比べて、WIPOのUDRPの件数が少ないのは、そもそも日本企業が使っているドメインがJPドメインやCO.JPドメインであって、.COMなどのWIPOがUDRPに従って仲裁しているドメインとは別のドメイン名であり、よって紛争処理もWIPOではなく日本知的財産仲裁センターに行くためではないかと思います。

JPドメイン名紛争処理 | 日本知的財産仲裁センター

ドメイン名紛争処理方針(DRP) - JPNIC

https://www.wipo.int/amc/ja/domains/guide/

 

しかし、日本知的財産仲裁センターの仲裁は、年間10件もありません(2018年は7件)。

 

CO.JPの場合、一企業一ドメイン名に限定されていますので、あまり紛争が起こらないのは分かるのですが、JPドメインは一企業複数ドメイン名の登録が可能です。

種類と対象 | JPドメイン名の種類 | JPドメイン名について | JPRS

 

それなのに、こんなにドメイン名についての紛争が少ないのか、不思議な感じがします。至って平和な感じです。

JPドメインの場合は、一企業複数ドメイン名の取得が可能ですが、日本国内に住所を持つ組織・個人・団体に限られるとあります。

日本で、他人のドメイン名に近いドメインを取得して、悪用しようとする人は少ない理由は、このあたりにありそうです。

 

CO.JPやJPドメインは、日本企業ということが分かるのは良いのですが、グローバル企業となり、世界で戦うときは、各国各様のドメイン名での展開になり、CO.JPやJPでは限界があるように思います。アマゾンを見ると分かるように、地域に根差した企業活動をするには、すべてCO.JPやJPでは限界があります。

.COMですべて統一するか、各国ドメインにするかは、悩ましいところですが、どちらにせよ、CO.JPやJPではありません。

CO.JPやJPの世界を出たとたん、紛争の世界に入りますので、ドメイン名取得やWIPO仲裁などが必要になります。

 

一方、ドメイン名の取得件数ですが、楽天とアマゾンのドメイン名取得件数に5倍の差がある、アップルとソニーで2倍の差があるとありますが、事業規模も違うので、こちらはこんなものかなという感じです。

ただ、約1万5千件のソニーはさすがだと思いました。この数字を見て、各社驚いているのではないかと思います。

ドメイン名は、国やドメインによって違いますが、年間3千円とかの料金が必要ですので、10年で見ると3万円になったりして、 実は商標と大差ない金額がかかったりします。1万5千件もあると、相当な金額になりそうです。

 

今年の漢字(2019)

元号の「令」

2019年12月13日の日経新聞で、「今年の漢字」が令和の「令」に決まったという記事を見ました。

今年の漢字、新元号の令 :日本経済新聞

コメント

写真は付いているのですが、扱いとしては小さな記事です。

「令和」の「令」に決まったのは順当なところであり、ニュース性に乏しいということでしょうか。

 

昨年は自然災害が多くて「災」になったとありますが、今年も大きな台風が2つも来て、大変だったように思います。住んでいるマンションでも被害が出て、修理をしたようですし、エレベータの監視カメラのモニターは止まったままです。

自然災害は毎年起こっているなという感じです。

 

さて、確かに「令和」の時代になって、一連の儀式やパレードもあり、平成とは別の時代になっていく感じはしました。

 

日本漢字能力検定協会のWebサイトに詳細な説明があります。

https://www.kanken.or.jp/kanji2019/common/data/release_kanji2019.pdf

 

天皇の譲位に伴う改元が行われたことで、明るく迎えられた新元号「令」和に、新時代の希望を託した年。

 

「令」和は、日本最古の歌集「万葉集」から出典された。「初春の令月」の「令」は、素晴らしい、良いという意があり、日本の伝統文化の素晴らしさをあらためて感じる人が多かった。

漢字が持つ奥深い意味を改めて人々が知る機会となった。また「令」和をBeautiful Harmony=美しい調和と外務省が外国政府に説明したことにも注目が集まった。

 

 法「令」改正による消費税増税、芸能界の不祥事など法「令」順守に対する意識の高まりや、災害による警報発「令」、避難命「令」もあった一年。

このような3つの説明がありました。

 

投票で決めており、ベスト10は、次のようになっています。

1 位 「令」30,427 票(14.07%)
2 位 「新」14,850 票(6.86%)
3 位 「和」10,281 票(4.75%)
4 位 「変」7,749 票(3.58%)
5 位 「災」7,302 票(3.38%)
6 位 「嵐」7,029 票(3.25%)
7 位 「水」6,247 票(2.89%)
8 位 「風」 5,996 票(2.77%)
9 位 「天」 5,101 票(2.36%)
10 位 「税」4,142 票(1.91%)

 

もっと圧倒的に「令」かと思うとそうでも無いようです。

 

リリースには、過去の漢字も出てありますが、分かりやすいのは、2011年の「絆」と、1995年の「震」でしょうか。

 

 

飛び恥

ジェット機、電動飛行機、プロペラ機

2019年12月2日の日経に「飛び恥」の話が出ています。

「飛び恥」地球を救えるか 航空のCO2、新たな課題 :日本経済新聞

  • KLMオランダ航空が「責任ある航行」というビデオを制作
  • 「飛行機の代わりに電車で移動することはできませんか?」「いつも直接会って話をする必要がありますか?」
  • グレタさんが「飛び恥」という言葉を流行させた(※スウェーデン語でフッリュグスカム=flygskam、英語でフライング・シェイム=flying shame)
  • オランダ議会は電車で移動できる距離(170㎞)のアムステルダムブリュッセルの空路の廃止を決議
  • ロンドンーロスアンジェルス間のCO²の排出量は、2名で5.7トン(エコノミー)、9トン(プレミアムエコノミー)
  • 英国の平均世帯の年間排出量8.1トンに近い
  • 航空機輸送は伸び続けている
  • 対策はバイオ燃料、排出枠の購入、新技術の導入(航空機の電動化)

というような内容です。

 

コメント

飛び恥については、NHKもまとめています。

ビジネス特集 逃げ恥、飛び恥、赤っ恥~飛行機に乗るのは恥ずかしい? | NHKニュース

 

欧州では、天然ガスさえ規制の対象になりそうだそうです。最後は、自動車メーカーに課徴金を課すなど、技術開発をするメーカーの力を削ぐのは問題という日経らしいまとめです。

 

航空機の電動化はできるのか、疑問に思いました。ジェットだから速いのであり、電動化するとプロペラ機に戻るのではないか?という疑問です。

 

JAXAのページに、電動航空機の特集がありました。

特集「電動航空機」 | JAXA航空技術部門

イメージ図を見る限り、プロペラ機です。

技術的な説明としては、自動車のようなピュアエレクトリック方式では推力が不足し、小型機は可能でも、旅客機は無理だそうです。

そのため、旅客機は、ジェットエンジンを使って電気を発生させプロペラを回すようなタイプのハイブリッドになるようです。

 

ふくちゃんのブログをみたところ、現在の旅客機用のプロペラ機は、自動車エンジンのようなレシプロエンジンではなく、ジェットエンジンを使って動力を得て、プロペラを回しているそうです。

それでも、プロペラ機の燃料効率はジェット機よりは、30%~40%良いそうです。

伊丹空港ではプロペラ機が頻繁に離着陸。!ジェットエンジンかプロペラ機か⁉️ - ふくちゃんのブログ:飛行機&風景写真

 

プロペラ機のスピードって、遅いのでは?と思ったのですが、同ブログによると、

ボンバルディアQ400の最大巡航速度は時速667kmで、ほぼ同規模のジェット旅客機エンブラエル170の最大巡航速度マッハ0.82の約1.3倍ほどの差とあります。

実際の所要時間は、例えば、伊丹空港から鹿児島空港までの時刻表では、E170による 便が1時間15分なのに対してQ400による便は1時間25分とあります。

時間的には大して変わりません。

(※今夏、函館から札幌を飛行機で移動したのですが、ボンバルディアQ400であり、快適でした)

 

一番の問題は、プロペラ機は人気がないことだそうです。

しかし、これは広告や広報の力で改善できるような気がします。「飛び恥」の議論は、プロペラ機に追い風であるように思いました。

 

水素を使ったものは、水素を燃料電池として使うものと、水素エンジン(内燃機関)があるそうですが、水素エンジンはまだまだ時間がかかる感じです。

 

当面、ジェット機ではなく、プロペラ機(主流はターボプロップエンジン)にするだけでも、意味があるように思いますが、どうでしょうか。

一度に輸送できる人の数を別にすると、伊丹ー羽田間もQ400で十分そうです。開発中のMRJには申し訳ないですが、国内便はプロペラ機で十分なように思います。