Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

三省堂の「今年の新語2019」

辞書の視点で選ぶと

2019年12月5日のIT Media ビジネスオンラインの記事で、三省堂の「今年の新語2019」の記事を読みました。

今年の新語、大賞は「−ペイ」 トップ10入りしたビジネス関連語は? - ITmedia ビジネスオンライン

 

  • 大賞:-ペイ
  • 2位:にわか
  • 3位:あおり運転
  • 4位:反社
  • 5位:サブスク
  • 6位:電凸
  • 7位:カスハラ
  • 8位:垂直非難
  • 9位:置き配
  • 10位:ASMR
  • 選外:タピる、ワンチーム
  • 特別賞:令和

コメント

三省堂のサイトに詳しく説明がありました。

三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2019」

個人的に意味が理解できなったのは、6位の電凸、9位の置き配、10位のASMRです。

 

6位の電凸は、

メディアや団体などへの「電話突撃」のこと。「凸」は「突」の当て字です。2004年に生まれたとされ、ネット掲示板などで長らく隠語として使われてきました。攻撃する側の暗い自己満足が感じられることばでもあり、一般人は使う機会がありませんでした。  

だそうです。

9位の「置き配」は、

宅配する際に、品物を対面して渡すのではなく、指定された場所に置くことで配達すること。

10位の「ASMR」は、

【ASMR〔←Autonomous Sensory Meridian Response=自律感覚絶頂反応〕聴覚や視覚への刺激によって、脳に快感を覚える反応・感覚。

主にインターネット動画を通してひろまり、タイピング音や咀嚼(ソシヤク)音など様々なものがある。〔聞きようによっては雑音にしか聞こえないものも多い〕

 

「置き配」はなんとなく見たこともあるかもしれないのですが、「電凸」(でんとつ)とASMRは、はじめて見ました。

電凸」は読み方さえ分かりませんでした。

 

現代用語の基礎知識では、「ワンチーム」が新語・流行語大賞になっているのに、こちらでは選外というもの面白いところです。

このあたりは、次のように説明されています。

今回は「タピる」「ワンチーム」が選外となりました。「タピる」は、タピオカドリンクの大ブームとともに、しきりに使われました。ただ、ブームはいつまで続くか分からず、「タピる」が今後とも使われるかどうか、現時点では判断できません。また、「ワンチーム」は、ラグビーワールドカップ日本大会で、一丸となって戦うチームの意味で使われました。今後「一致団結」に代わって定着する可能性はありますが、現在のところは、まだ流行語的な色合いが強いと考えられます。

「流行語」とは一線を画しているようで、「新語」として 辞書に載せるかどうか(長期にわたって使われるかどうか)という視点のようです。

 

募集用のコピーには、次のようにあります。

辞書のトップメーカーである三省堂が、
「今年の新語2019」を選んで、後世に遺します。

皆様から2019年に「よく見た」「よく聞いた」言葉を募り、
その中から辞書を編む専門家が「今年の新語2019」を審査・選定します。

ベスト10に選ばれた言葉には
国語辞典としての言葉の解説(語釈)をつけて発表します。

さあ、あなたも「今年の新語2019」に応募してみませんか。

サイトには、2015年からの昨年までの「今年の新語」が掲載されていました。

今でも使っている言葉が多いのが、現代用語の基礎知識の新語・流行語とは違う、三省堂の今年の新語の特徴でしょうか。

ただ、毎年、あまり聞いたことがない言葉があるなという感じはします。

2018年の「モヤる」「わかりみ」

2017年の「オフショル」

2016年の「エモい」「スカーチョ

2015年の「じわる」「とりま」

解説を見ないと、意味が良く分かりません。

 

 

 

エンゼルのほっぺ

森永のエンゼル・スマイル・プロジェクト

2019年12月3日の朝日新聞に、森永製菓が川崎市の菓子店に、休眠特許をライセンスして成功しているという話が出ています。

  • 抹茶などに含まれるカテキンと、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールを一定の割合で混ぜると、体脂肪を減らす効果。森永製菓の特許技術
  • 森永では商品化に至らず
  • 保有特許の半数近くは休眠特許であり、ほかに使わせることはできないか
  • 森永は川崎市新興財団に相談
  • 川崎市の末広庵が、商品化
  • 商品名もライセンス(エンゼルのほっぺ)
  • 売上の2~3%で、年間数十万円にしかならない。森永はライセンス料を取らず、菓子店が一個あたり1円を、音楽のまち・かわさき推進協議会に寄付

という内容です。

 

コメント

はじめに思ったのは、「エンゼル」なんて重要な商標を他社にライセンスしていいの?という点です。商標管理の常識からすると疑問です。

 

森永では、「エンゼル・スマイル・プロジェクト」というものをやっているようです。森永のリリースを見ると、

「エンゼル・スマイル・プロジェクト」は、2013年に発足し、森永製菓が保有する「天使」「エンゼル」の商標等の知的財産権を活用した社会貢献活動です。具体的にはこれら商標権を希望される他の食品製造・販売・提供企業等に貸し出し、その商標権を使用する企業が商標権の使用料を森永製菓に支払う代わりに、子どもたちの育成・教育環境改善に寄与する社会貢献活動に携わっていただく取り組みです。

『エンゼル・スマイル・プロジェクト』活動 森永製菓の特許技術で老舗和菓子店『菓子匠末広庵』が商品化 売上の一部を子どもたちのために寄付 | 2019年 | ニュースリリース | 森永製菓

とあります。

 

この他にも数件、エンゼル・スマイル・プロジェクトで、商標をライセンスしているものがあるようです。

  • ユーグレナエンゼル プロビィ
  • 天使のミックスナッツ
  • 天使のパイリング

今回は、このプロジェクトに特許も入った点が、特徴です。

 

この商品は、末広庵のオンラインサイトでも販売しており、6個1000円です。サイトには、詳しい開発ストーリーも掲載されています。

エンゼルのほっぺ 6個入 ★ 和菓子 菓子匠末広庵オンラインショップ

 

森永のエンゼル・スマイル・プロジェクトですが、ライセンス対象は、同社の「天使」「エンゼル」だと思います。

天使のチョコリング」事件があり、「天使のチョコリング」は全体観察するだけではなく、「天使」とそれ以外に分けて観察することになり、「天使」に類似すると判断されています。その線に沿った活動だと思います。

天使のチョコリング事件)

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/174/081174_hanrei.pdf#search=%27%E5%A4%A9%E4%BD%BF%E3%81%AE%E3%83%81%E3%83%A7%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E4%BA%8B%E4%BB%B6%27

 

「チョコリング」や、「ミックスナッツ」「パイリング」は、商品の普通名称とも言えますので、「天使」のみが要部なるのは、分かるように思います。

このプロジェクトは、放置しておくと、結合商標の一部として、第三者に権利化されてしまう「天使〇〇」を、森永からのライセンスという構成にして、お墨付きをあたえ、コントロール下に置こうとするものではないかと思います。

「天使」「エンゼル」は、森永にとってはハウスマークのようなものですが、他の言葉と結合することで、容易に別登録になりそうな言葉でもあります。

その微妙なバランスを狙ったプロジェクトと理解しました。

オープンにライセンスすることで、少なくとも、「天使」+「商品の普通名称(かそれに近いもの)」については、第三者の登録を排除する効果があるのではないでしょうか。

利益を社会貢献するのは、その正当性を理由づけるためと理解しました。ちょっと変わっていますが、これ自体は非常に面白い取り組みです。

 

しかし、「天使のほっぺ」は、全体で意味があるので、「天使」とは別商標となりそうです。

ある程度、マスコミに出て、周知商標となっているので、第三者排除効は期待できますが、別登録になってもおかしくないように思います。

森永が商標出願しておくべきと思いますが。。。 

 

産業(意匠)革命、スプーンからスマホへ

意匠が伸びている

2019年12月10日、弁理士会の研修会に参加しました。タイトルは表題のものです。サブタイトルに「米国における意匠の保護と権利行使についての戦略」とあります。

講師は、McAndrews事務所のChristopher V. Carani氏です。

 

英語の勉強になると思って参加したのですが、逐次通訳もあって、自分では聞き逃した点も説明してくれるので内容も理解しやすく、ありがたい研修会でした。

3時間で、240ページのスライドは、凄い量の資料です。しかし、意匠の話は図面がないと分からないので、良かったように思います。

 

数字から見ると、米国の意匠は、1988年には5,000件/件の意匠特許付与件数だったのに、2018年はそれが35,000件になり、2019年は40,000件になりそうということでした。

米国の意匠は、特許の一種で、技術の特許はUtility Patent、意匠の特許はDesign Patentといい特許の一種です。日本とは違います。

そのため、意匠登録とは云わないようです(意匠では、登録/Registrationという言葉は使わない。類似/Similarityという言葉も使わない。権利範囲は、本質的に同一/Substantially the Sameで見る)。

 

意匠は、USPTOのKavid Kappos長官が退官後はじめて書いた論文のタイトルが「Design」だったこともあり、注目の分野だそうです。

最近の一番の話題は、AppleSamsungスマホの意匠特許の争いで、特許権侵害としては史上最高額の評決時の損害倍書額(1.05B$=1,155億円)が出た(※実際は和解)ということです。

 

研修会は、歴史からスタートして、iPhoneの話ということで、表題のタイトルになっているのですが、歴史は、初の米国最高裁の意匠の裁判(スプーン事件)から説明がありました。

その問題のスプーンの本物(アンティーク)を持参していただき、会場に回覧していただきました。サービス精神のある講師です。

 

そして、Nobelty/新規性やNon-Obviousness/非自明性、Functionality/機能性に及ぶというものです。

このあたりは、米国特許法の理解があると、スムーズに理解できるところです。

また、Prior Art/先行意匠の話などがありました。

 

さて、講師が云いたかったのは2つかなと思います。

一つはGUIです。通常の意匠出願は、年率7%から8%で増加しているそうですが、GUIの意匠出願は、年率700%という数字だそうです。Appleスマホの例をとり、線図のiPhoneの全体像の権利、白黒の画面の権利、カラーの画面の権利と、線図、白黒、カラーの使い分けが重要という話がありました。

これは、先ほどのSamsungとの裁判で、Jury/陪審が動いたのは、カラーをみて、類似性があると判断したためとあります。

出願では、白黒、その反転の黒白、カラーを出願すると云っていました。

 

二つめは、Continuation/継続出願です。米国には関連意匠も秘密意匠もないが、継続出願があるということで、これを上手く使えるかどうかがポイントのようです。

意匠特許付与時=公開時=までは、継続出願が可能で、子の継続出願継続中は孫の継続出願が可能です。

継続出願には、一番はじめのSpecification(ここでは図面)、に包含されている内容であれば、いつまでも継続出願できるそうです。

なんとAppleは、2007年のiPhoneの発売時の親出願の継続出願を、今(2019年)も新規にやっているそうです。

日本の関連意匠の法改正以上の状態です。ここは、驚きました。

ちなみに、Appleは、iPhoneの発売2日前に、120件の意匠を出願したそうです。

 

あとで意匠に詳しい日本の弁理士さんと話をしたのですが、この継続出願を活用した米国意匠出願をやっている日本の出願人はほとんどいないのではないかと言っていました。

日本の関連意匠でも、戦略的に上手に使っている会社はそれほどいないと思いますので、いわんや米国までということでしょうか。

 

米国意匠というと、陰影線を入れる図面の書き方ぐらいしか目がいかなかったのですが、ITの時代になって、画面遷移のCX(Customer experience)やGUIが重要なので、その部分のアイディアが、大挙して意匠特許に来ている感じです。

 

10年間ぐらい仕事量の3分の1は意匠をしていましたし、日本一意匠出願を出している会社の社内代理人だった時期も数年間あります。

また、チャンスがあれば意匠にも関わってみたいなと思いました。

流行語大賞2019

ONE TEAM

2019年12月3日の日経に、「現代用語の基礎知識」の選んだ今年の流行語大賞についての記事がありました。

流行語大賞「ONE TEAM」 「令和」トップ10入り :日本経済新聞

 

  • OEN TEAM(年間大賞)
  • 計画運休
  • スマイリングシンデレラ/しぶこ
  • タピる
  • #KuToo
  • 〇〇ペイ
  • 免許返納
  • 闇営業
  • 令和

その他、番外で選考委員特別賞としてイチローの引退会見時の「後悔などあろうはずがありません」が選ばれています。

 

コメント

新語・流行語大賞は、その年に発生した多種多様な「ことば」の中から、広く大衆に親しまれた新語・流行語を選んでいるとあります。時代を切り取っているのだと思います。

 

30のノミネートの段階では、知らないものもありますが、トップ10となるとさすがに聞いたことがあるものばかりです。 

nishiny.hatenablog.com

 

現代用語の基礎知識のサイトに、各ワードについての説明があります。

「現代用語の基礎知識」選 ユーキャン 新語・流行語大賞

 

選ばれた言葉に関連する人を招いて、一言、スピーチをしてもらっているようです。ONE TEAMについては、日本ラグビーフットボール協会の会長がスピーチをしたようです。

日本代表を率いるジェイミー・ジョセフヘッドコーチが掲げたテーマが「ONE TEAM」である。ジョセフはチームに必要な選手たちを国籍問わず招集し、31人の代表選手を選んだ。どんな強豪チームでも選手たちの思い、心が一つにならなければチームとして機能しない。

近い将来、移民を受け入れざるを得ない日本の在り方へのメッセージともなったとあります。

 

確かに、職場に外国人がいる会社も増えていますし、日本人でも新卒からいる人もいれば、途中入社で入る人もいて、更に違う事業場からの転勤組もいて、ONE TEAMというのは、どこでも考えないといけない課題だと思います。

年間大賞に選ばれて、然るべき言葉です。

 

香港の民主化要求デモや、グレタさんのClimete strike(気候スト)など、世界では、政治や環境を良く使用という運動がニュースになっていたと思います。

それに比べると、ここに出てきている話題は、それほど激しいものではなく、日常的な話題なような気はします。

 

ただ、地球はつながっているので、グローバルな話と日本の話は無縁でありません。計画運休の背景には地球温暖化による異常気象があります。

 

地球温暖化や環境問題に関連するワードが、日本においても、重要なように思います。

伊勢湾台風やジェーン台風のように、台風に名前がつけられていないので、自然災害についてのワードの候補が、計画運休しかなかったのでしょうか。

 

台風のネーミングは、今はルールに従って、ローテションしているようです。

台風には従来、米国が英語名(人名)を付けていましたが、北西太平洋または南シナ海で発生する台風防災に関する各国の政府間組織である台風委員会(日本含む14カ国等が加盟)は、平成12年(2000年)から、北西太平洋または南シナ海の領域で発生する台風には同領域内で用いられている固有の名前(加盟国などが提案した名前)を付けることになりました。

日本語は、コイヌ、ヤギ、ウサギ、クジラなどとあります。これは知りませんでした。

気象庁|台風の番号の付け方と命名の方法

 

日経MJ2019年ヒット商品番付

ラグビーWカップとキャッシュレスが横綱

2019年12月4日の日経に、今年の日経MJヒット商品番付が出ていました。

https://r.nikkei.com/article/DGKKZO52889080T01C19A2EA2000

     東/西

とあります。

記事の説明としては、横綱は170万人を突破したワールドカップであり、また、10月の消費税をきっかけに、西の横綱のPayPayをはじめとするスマートフォン決済の広がり、ウーバーイーツも軽減税率が適用され人気とあります。

タピオカは第3次タピオカブームだそうで、タピオカとタピオカ代用物の2018年の輸入量は2018年の4.6倍とあります。また、ドラクエウォークは2ヶ月で1000万ダウンロードとあります。

 

コメント

ワールドカップの盛り上がりから考えて、東の横綱ラグビーW杯というのは良く分かります。来年はオリンピックなんでしょうね。

 

注目したのは、サントリーのレモンサワーです。ハイボール人気があって、ウイスキーの原酒が足りなくなるなどの影響があったように思います。

 

最近は、レモンサワーが売れているようです。

レモンサワーブームが加速! すごいことになってきた | イエノミスタイル 家飲みを楽しむ人の情報サイト

サントリー「こだわり酒場のレモンサワー」バカ売れの戦略:日経クロストレンド

 

スーパーの店頭でも、ショーケースに、レモンサワーが大量に陳列されています。火付け役はサントリー「こだわり酒場のレモンサワー」のようですが、最近は、コカ・コーラの「檸檬堂」が一番良く見るかなという感じです。

 

さて、昔ブームだった、チューハイと、レモンサワーの違いは、サントリーのサイトによると、次のようにあります。

「チューハイ」の語源は、焼酎の「酎(チュー)」と、ハイボールの「ハイ」を組み合わせたものと言われています。しかし「チューハイ」に厳密な区分や法律上の規定があるわけではなく、焼酎やウオツカなど無色で香りのないスピリッツをベースに、果汁などを加えて炭酸で割った飲み物のことを指しています。
「サワー」の語源は、英語のサワー[sour]:酸味のある、酸っぱいです。スピリッツをベースに、柑橘類などの酸味のある果汁と、砂糖など甘みのある成分を加えて作るカクテルの一種に、ソーダを加えた飲み物を日本では「サワー」と呼んでいます。居酒屋などでも、「チューハイ」と呼ぶお店と「サワー」と呼ぶお店があるように、「チューハイ」と「サワー」はほぼ同じ意味で使われています。

「チューハイ」と「サワー」の違いはなんですか? サントリーお客様センター

 

最近のレモンサワーという商品は、チューハイのレモン風味と比べると、レモンを全面にだしているように思いますが、定義上は違いは特にないということです。

 

チューハイを名称を変えてリブランディングしたとも言えますし、チューハイのカテゴリーを分けてサブカテゴリーを作ったとも言えます。ブランド戦略としても秀逸な方法だなと思いました。

 

その他は、渋谷スクランブルスクエアがそんなに人気なのかと思ったのと、これは、東京ローカルの話題で東京以外の地域には関係ないなという感じがしました。(関西で渋谷スクランブルスクエアが話題になるほど人気とは思えないので)

ヒット商品番付は全国共通とすると、本当にそうかなと思います。

 

鬼滅の刃は、アニメは見たことがあったのですが、そんなに人気なのほ知りませんでした。

 

 

行ってきました(エコプロ展)

「セルロール」と「セルロースナノファイバー」

昨日、エコプロ展に行ってきました。会期は、2019年12月5日(木)、6日(金)、7日(土)の3日間で、その最終日の土曜日の午後に行ったのですが、それほど混雑していませんでした。

エコプロ2019 持続可能な社会の実現に向けて

数年毎に行っているのですが、直近で行ったのは2016年ですので、今年は3年ぶりになります。

2016年の、その前は、正確には覚えていないのですが、たぶん2010年~12年の頃だと思います。その当時は、電機メーカーの太陽電池や蓄電池や、それらをサービスで展開するものがメインの展示だったように思います。

 

さて、今年、積極的に展示をしていたと思ったのは、段ボールメーカー(レンゴー)、製紙会社(王子グループ、日本製紙グループ)、化学会社(三菱ケミカルホールディングス)、製鉄会社(JFEグループ)、ホテル(スーパーホテル)、電機メーカー(三菱電機)、大学(立命館大学)でした。

 

特に、レンゴーの展示で、セルロールは木材から作られるというという展示は、あまり知らなかったので、印象的でした。

次に、王子グループなど製紙会社のセルロースナノファイバーです。これは大型の素材であり、鉄やプラスチックやガラスやカーボンと対比できるような大型の材料のようです。これも木材などの植物由来です。

 

エコプロ展は、クイズがあったり参加賞の景品をもらえたりします。そのため、小学生や一般に人気であり、土曜日というのに、子供達が沢山いました。

将来を担う子供に対するブランドの認知を高めるという意味では、若者ブランディングであり、10年ほど先の就職時に、有利に働くものではありますが、それは時間のかかる話です。

子供達を相手にするためか、何となく展示が簡単なものになり、環境技術の内容よりも、一般常識を子供目線で説明するものになりがちです。ここらあたりがエコプロ展の苦しいところだと思いました。

 

上手に展示しているなと思ったのはJFEグループです。分かりやすかったと思います。鉄も再生可能なエコな素材と言っていました。

 

もう一つ面白かったのは、スーパーホテルです。朝食の野菜のオーガニックに拘っているそうです。新入社員と思しき人が一所懸命に説明してくれました。

もともと、接客業の人達なので、説明が上手いのです。よくあるメーカーの研究者・技術者とは違いました。

 

政府系でしょうか、SDGsなどの紹介も多く、SDGsのマークを使ったロゴなどもありました。

 

全体の感想ですが、グレタさんの参加するCOP25に比べて、熱気に欠けるように思います。

 

考えたのですが、エコプロ展の名称に原因があるように思います。

もともと、エコプロ展は、1999年からエコプロダクツ展としてあったものを、2016年にエコプロ展に改称したものです。

エコプロダクツ展 - Wikipedia

 

製品(プロダクツ)だけではなく、サービスも含めて、エコプロとしているようですが、以前のエコプロダクツ(エコ製品)のイメージが消えません。

環境問題の解決を、プロダクツとサービスから解決するという位置づけ自体は良いのですが、プロダクツの「プロ」が、モノよりのイメージを醸しだします。

 

おそらく、2016年にエコプロダクツ展から、エコプロ展にしたのは、製品色を薄め、サービス業の参加を募るためだと思います。

そうであれば、いっそ、正式名称をエコプロジェクト展などに改称すべきだったのではないでしょうか(略称はそのまま「エコプロ展」でOKです。認知はされているので)。

クールビズの一律見直し

環境省の方針変更

2019年11月28日の日経に、環境省が「クールビズ」「ウォームビズ」の実施期間や室温を一律に設定するのを止める方針という記事がありました。

クール・ウォームビズ、期間や室温柔軟に 環境省 :日本経済新聞

 

その理由は、

  • 取り組みが定着
  • 働き方が多様になっている
  • 環境省の業務効率化の一環。環境省が月間を設けているキャンペーンが20あり、それを4分の1程度に減らす
  • 全国一律での活動は時代にそぐわない

そして、

  • 名称はそのまま残す
  • 企業が通年で取り組めるようにする
  • 夏は28度設定で、ノーネクタイ。冬は20度設定、という一律設定はしない
  • 小泉進次郎環境相は、11月1日の記者会見でクールビズの見直し方針を出している

とあります。

コメント

この問題、アゴラに詳しい記事がありました。

小池の失政に小泉が泣く…姫路市の“クールビズ返上”成功が注目 – アゴラ

2017年5月に、クールビズスタート時にクールビズの担当者課長だった、盛山法務副大臣が、28度設定はなんとなくの目安でスタートし、それが独り歩きしたということを暴露したところからスタートしているとあります。

 

このアゴラの記事は、「エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング」(EBPM)の重要性を訴えています。

 

この記事の中で、神戸新聞姫路市役所が、28度設定から25度設定にして、業務の効率化が上ったという検証結果が出ています。

25度にすると、作業効率が6%向上するという専門家の意見があり、実施したようです。

 

結果、光熱費が7万円上昇しているが、効率化で残業が減り、人件費が4000万円削減されたとおります。

神戸新聞NEXT|総合|室温設定25度で 職員の8割強「効率上がった」

 

結果としては、業務効率についてのアンケートで、「とても向上した」と「少し向上した」とで計85%を占めたそうです。

人件費の削減は、働き方改革の影響の可能性もあるのだと思いますが、近年の夏の暑さはひどいものがありますので、28度にこだわる必要はなさそうです。

 

このようなファクトベースの話が、、「エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング」(EBPM)ということのようです。

このEBPMは、役所についての話ではなく、組織の大小を問わず、考えておかないといけないことではないかと思います。

 

グレタさんが、アメリカから急遽ポルトガルに行くことになり、飛行機に乗らないというポリシーから、ヨットで大西洋を横断したことが話題になっています。

「飛び恥」というようですが、この問題も、ファクトベースで、考えないといけない問題の代表的なものです。

「飛行機でなく電車移動を」捨て身の呼びかけする航空会社。欧州では「飛び恥」という動きも | BUSINESS INSIDER JAPAN

 

東京大阪間の移動の一人当たりのCO2排出量は、飛行機と新幹線で4倍の差があり、明らかに新幹線に軍配があがります。

http://airsickness.fc2web.com/tokyo_osaka.htm

 

近距離の比較なので、このファクトだけではグレタさんの行動の評価はできないのですが、東京大阪間を飛行機で行くのは、確かに考えないといけないなと思いました。

日本の航空会社はドル箱路線が無くなると、大変になるんでしょうね。